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米陸軍、UH-60の後継機にティルトローター機のV-280を選択

米陸軍はUH-60の後継機としてシコルスキー/ボーイングが開発した二重反転式ローターとプッシャープロペラが特徴のDefiant Xではなく、ロッキード・マーティン/ベルが開発したティルトローター機のV-280 Valorを選択した。

参考:US Army makes largest helicopter award in 40 years

ロッキード・マーティン/ベルは3,000機以上の需要(1対1で交換した場合)を手に入れた格好だ

米陸軍は回転翼機(AH-64/OH-58/UH-60/CH-47など)の後継機開発をバラバラに行うのではなく、センサー、アビオニクス、エンジン等のコンポーネントを共通化=ファミリー化することでコスト削減や開発期間の短縮を狙い「FVL(Future Vertical Lift:将来型垂直離着陸機計画)プログラム」を立ち上げ、UH-60の後継機プログラム=FLRAA(Future Long-Range Assault Aircraft:将来型長距離強襲機)の座をDefiant XとV-280 Valorが争っていた。

しかし米陸軍はFLRAAの勝者としてV-280 Valorを選択したことを発表して注目を集めており、FLRAAはUH-60だけでなくAH-64の更新もカバーしているためロッキード・マーティン/ベルは3,000機以上の需要(1対1で交換した場合)を手に入れた格好だ。

今のところ米陸軍はV-280を選択した理由を明かしてしないが、V-22の開発・運用で熟れてきたティルトローター技術の信頼性が二重反転式ローターとプッシャープロペラを上回った可能性があり、速度面や長距離展開能力でもV-280の方が優れていたことがDefiant Xを打ち負かした決定打になったのかもしれない。

因みに退役したOH-58の後継機プログラム=FLRAA(Future Attack Reconnaissance Aircraft:将来型攻撃偵察機)の座を巡ってもDefiant XとBell360 Invictusが争っているが、シコルスキーはロッキード・マーティンの子会社(2015年に買収)なので、どちらに転がっても米陸軍の回転翼更新需要にロッキード・マーティンは関与できるという歪な構造だったりする。

関連記事:F-35への出資で利益を得たイタリア、デファイアントXにも投資か

 

※アイキャッチ画像の出典:Bell

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コメント

    • けい2020
    • 2022年 12月 06日

    これなんかも機種決定にけっこう影響してそう、F-35のあれはチートすぎる

    >パイロットや乗組員たちが機体の周囲360度の視野すべてを「可視」することができるよう設計されたネットワークカメラを搭載して試験飛行中とのこと。
    > 「PDAS(Pilotage Distributed Aperture System)」と呼ばれるパイロットを支援するこのセンサシステムは、「F-35」で採用されているものと同様のシステムに基づいています。

    13
    • AH-X
    • 2022年 12月 06日

    おお!多分こっちが選定されるだろうなとは予想してましたがやっぱりでした。

    ただUH-60の後継といっても機体単価は相当高額(多分UH-60の2~3倍)にはなりそうなので1対1で置き換えるのは難しいんじゃないかと。

    あと、いつか陸自にも配備されそうですね。

    20
      • hogehoge
      • 2022年 12月 06日

      陸自はUH2配備始まったばかりなんで当面は考えてないんじゃないかなと。CH47の代わりにというのも無理ですし。
      空自なら僻地や離島への軽輸送や緊急搬送用途とかで微妙にありそうな気もするけど。

      17
      • HY
      • 2022年 12月 07日

       既にV-22があるでしょ。

      2
      • チェンバレン
      • 2022年 12月 07日

      二重反転ローターといえどヘリの形態では高速飛行に向かない、翼による揚力が得られないから飛行がエンジン頼み=燃費悪化、低速時はプッシャーペラがデッドウエイトになるなどなど

      まあV-22で実績あるし妥当な選択ですね

    • AAA
    • 2022年 12月 06日

    自衛隊も将来的にこれ買うのかな
    米軍の統合軍用ヘリだし買ったほうがベターだよな

    9
    • hogehoge
    • 2022年 12月 06日

    スパホ後継やKC46の問題と来て汎用ヘリ後継もとなると、いよいよボーイングがヤバそうな気がするなぁ。
    ミサイル中心のレイセオンを除けば、米防衛産業はLMTの一強時代か。

    13
    • 南無
    • 2022年 12月 06日

    バロー
    近所のスーパーみたいだ

    23
      • 匿名
      • 2022年 12月 06日

      ヴェイパーコーンよろしく、自分の中ではヴェイロー(ベも可

      • Natto
      • 2022年 12月 07日

      北欧倶楽部!
      妙に気合の入ったホムセンが好き。

    • トーリスガーリン
    • 2022年 12月 06日

    速度と航続距離では圧倒的だったしこいつが選定されること自体は順当かなって感じではある
    オスプレイよりは簡略化されて整備性も格段に上がってるらしいけど、ブラックホークと比較すると維持コストは跳ね上がってるんじゃなかろうかという印象は強い
    100機単位で配備が進んでいけば案外ブラックホークと変わらない水準まで落ちていく予定なのかな?

    23
    • 無印
    • 2022年 12月 06日

    UH-60の後継って事は、いずれ自衛隊も使うのだろうか
    この機体の公式HPに、日本語があるのはそう言う事なのかな…?

    11
    • 南極1号
    • 2022年 12月 06日

    信じられないほど開発が順調ですね。
    あとはコストの問題でしょうね。日本も導入して欲しいけど。
    AH-64の後継っていうのも楽しみですね。その頃、当方が生きているかわかりませんが。

    4
    • ななし
    • 2022年 12月 06日

    オスプレイの問題点が解消されてたりするから陸自も買うでしょうね
    というかオスプレイ買う必要あったのかな…?

    2
      • 匿名
      • 2022年 12月 06日

      いつの知識で止まってんだよ・・・
      一生反対してれば?

      40
      • 7C
      • 2022年 12月 06日

      買わなかったらオスプレイ筆頭に高速展開する航空機による水陸機動団の展開をするための訓練やノウハウ獲得がさらに数年先になると思いますが
      バローの生産配備、部隊習熟ってこれからさらに先の事ですけど台湾有事の件が現実味を帯びて危機感が出ている状況で水陸機動団の育成完了をそこまで遅らせる理由ってありますかね

      36
    • 名無し2
    • 2022年 12月 06日

    世界中の軍隊が中古のUH-60を安く買えるチャンス到来
    とりま戦後のウクライナ軍への供与分は確保で

    8
    • RED
    • 2022年 12月 06日

    決め手はやはり信頼性だろうね。すでにティルトローターは既知の技術になっているし、V-22で得られた知見をフィードバックさせる形で設計されているから、海のものとも山のものとも知れないデファイアントより信頼できると判断されたんだろう。
    それにデファイアントはVTOL時に推進プロペラがデッドウェイトになるし、構造も複雑化するのが目に見えてるからね……これで航続距離・燃費や速度の面でV-280が勝っているなら、まあそうなるなと。

    一応、低速域での機動力や前面投影面積ではデファイアントが有利らしいんだけど、どうせMANPADSなんか持ち出されたら大した優位点にならないしね……。

    21
    • 台湾大好き
    • 2022年 12月 06日

    この子は機体下部やスタブウィングに武装をさせることは可能なんでしょうか。オスプレイみたいにリモート機銃しかつけられないみたいなことにならなければいいなと。
    (もしかして機体上面に、、、ウッ、英国面が疼く。。。)

    10
      • りんりん
      • 2022年 12月 06日

      ティルトローター機の欠点はご指摘のように武装の取り付け位置が限られることと、機体サイズがデカイ!ことなんですよね。
      駐機するにもメンテで格納庫に入れるのも、艦艇に搭載するのにも、とにかくデカイ。
      現場は嫌がりそうだけど、米軍兵的にはオスプレイで慣れたのかな?

      14
        • きっど
        • 2022年 12月 06日

        >機体サイズがデカイ
        Defiant Xも、二重反転ローター故に背が高いという欠点が有るんですよね……
        既存の艦艇や輸送機に搭載する際には、それらが問題になる可能性が高いです
        もしも天井につっかえない様にキャビンの高さを抑えれば、現状でも天井が低いと不満のUH-60系以上に背の低いキャビンになりかねない問題が……

        10
        • 南極1号
        • 2022年 12月 06日

        艦載型ができれば凄い戦力になりそうですが、オスプレイのような主翼ローテーション機能をもたせればコストが跳ね上がるでしょうし、難しいですかね。
        コンパクトに艦載できるのはヘリコプターのメリットなんですね。

        3
    • Natto
    • 2022年 12月 06日

    羽根とローターが畳めてもC130で空輸は無理でしょうな。

      • トーリスガーリン
      • 2022年 12月 06日

      こいつスペック上ではC-130並に航続距離長いから自分で飛んでいくのでは?

      19
      • あばばばば
      • 2022年 12月 06日

      一応、C-130と同じくらいの航続距離の予定だから、C-130に搭載できなくてもヘーキヘーキ

      9
    • 兵長
    • 2022年 12月 06日

    何でもかんでも欲しがるのは良くないが、特殊部隊には適してるね。
    一般部隊は60やUH2で良いだろ。

    1
    • 折口
    • 2022年 12月 06日

    言っちゃ悪いですけど、SB-1とV-280って全く別種の飛行機でしたし、コンセプト段階で競合できてなかったですよね。そして将来性や発展性を考慮すればV-280が選ばれるのは必然なのかなと(海兵隊や特殊作戦部隊は既にV-22でティルトウィング化に着手していますし)。あとV-280はカッコいいですからね!

    しかし主力汎用ヘリコプターをこれで置き換え、できるのだろうか…。S-70シリーズ自体がヘリコプターとして相当に高価な部類に入りますが、ほぼ同じ席数(UH-60の11席に対してV-280は14。)でどう見てもさらに高価なV-280によって汎用輸送任務を代替していくというのは一抹の不安を感じます。もちろん置き換えは時間をかけてゆっくり行う訳ですが、ティルトローター機の特性を考慮すればヘリと混合運用をするのは利点を削ぐことになりますから、部隊単位である程度まとめて更新していかないとですよね。米軍も兵員数や戦力目標に対して予算が潤沢とは言えないですから、後年になってプログラムに横槍が入ってきそうな。

    とはいえ、ロシアや中国といった仮想敵に対して完全な技術的優位がとれる意義は無視できないほど大きいですよね。日本もV-22を少数採用しましたが、ティルトウィングで歩兵部隊を空中機動化できる優位性は正規戦から小規模衝突、抑止領域まであらゆる場面で機能しそうです。

    9
      • 名無し三等兵
      • 2022年 12月 07日

      UH-60の後継とは言っても、あくまで「米陸軍の」範疇でしょう。
      それに用途的にも価格的にもUH-60系の全てと1対1の更新はしないと思っています。
      ハンヴィーの後継車とされたJLTVも、高性能を狙った結果、オーバーサイズや大重量化で
      「全てをこれに更新する予定は無い」と言われてしまっているのと同じ事になるかと思います。
      それとUH-60系は空軍、海軍、沿岸警備隊でも使用されていますが、全軍の全てをこれに
      更新もしないと思います。
      なにより海軍や沿岸警備隊では艦載機運用として外径やサイズがUH-60と全く異なるこいつは
      DDや巡視船では格納庫が適合しません。
      空軍は使うかもしれませんが、海軍や沿岸警備隊では別途、従来型の中型汎用ヘリの選定が
      必要になると思います。

      2
    • 名無し2
    • 2022年 12月 07日

    やっぱり名前が良くなかったんだよ

    1
      • 南無
      • 2022年 12月 07日

      ディファイアントと言われたら真っ先に、英国的発想のあっちが浮かびますよねぇ

      3
    • おっさん
    • 2022年 12月 07日

    ティルトウイングってのはティルトローターよりも見込みがないんでしょうか。
    どういうふうに評価されてるんだろう?
    回転翼モードじゃティルトウイングのほうが良さそうに思えるけど、構造的に不利益なのか固定翼モードを重視してるのか。
    なぜティルトローターが選択されてるのだろう。
    別にティルトウイング推しってわけじゃありませんが理由には興味が…ついでに2重反転ローターにも推進プロペラにも興味はありません。

      • 7C
      • 2022年 12月 07日

      個人的にはむしろティルトウィングにあんまりメリットを感じないなぁって思いますね

      ヘリモード時にダウンウォッシュを浮けないメリットはあるにせよSTOL時の空気抵抗の大きさやエンジン含む翼丸ごとが稼働する事による重量バランスの変化のリスク、何よりもエンジンと翼全体を可動させるために必要な可動部の構造の事とか(バローならオスプレイよりもさらに進化していてナセルはそのままローター部分だけを稼働させるので構造もその分のものだけで済みますし)

      そういったデメリットもありますし、何よりも一番痛いのはティルトウィング&オスプレイまでの方式だとナセルがすぐ真横に来る都合上サイドドア方式に出来ないので・・・
      ブラックホークの置き換えでサイドドアからの運用が出来ないってのはちょっとって思います

      今までのティルトウィングからローターまでの経緯を考えるとむしろティルトウィングか過渡期のものだろうなぁと思っています

      5
    • ユーリ
    • 2022年 12月 07日

    JMR-Mediumという中量級のAH-64とUH-60後継の区分があって
    そのうちのUH-60後継であるFLRAA将来型長距離強襲機が決まったのかな
    と思ってたのですがこの記事を見るとAH-64後継もこれで決定なんですかね

    • ブシロード
    • 2022年 12月 07日

    これって護衛艦の後ろとかにあるヘリポートと格納庫でもいけるサイズなのかな?

    • abon
    • 2022年 12月 07日

    日本は60Lが開発中で取得の予算も確か通ったんで海自用としては要らない

      • 名無し三等兵
      • 2022年 12月 08日

      そもそもこいつでは、機体の外形サイズから護衛艦の格納庫に適合しません。
      性能以前の問題です。

    • Yanti
    • 2022年 12月 07日

    離着陸の時に排ガスを下方に噴出しないのがいいね👍

    3
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