米国関連

全軍を挙げてドローンの脅威に対抗、米軍が全兵士に対するカウンタードローン訓練を開始

マッケンジー米海兵隊大将は「兵士からコックまで兵種に関係なく全ての人員がカウンタードローンに関するスキルを身につける必要がある」と主張していたが、米軍の兵士は本当に小型ドローンの脅威に対抗するためカウンタードローン対策を学び始めた。

参考:US Army trains forces across military on tools to fight drones

ドローンバスターシリーズと呼ばれる無線周波数ジャマーやスマートシュターを使用したカウンタードローン対策を学ぶ

米中央軍の司令官を務めるケネス・マッケンジー米海兵隊大将は今年2月「ドローンがもたらす脅威の増大は効果的な対抗手段の欠如と相まってイラクやアフガニスタンで猛威を振るった即席爆発装置(IED)以来、最も懸念される戦術の一つで米軍は大型の無人航空機に対応するシステムを持っているが遥かに小型でモーターで静かに作動するドローンを検出するようには対応しておらず、これを効果的に無力化する方法も欠如している」と指摘。

さらにマッケンジー大将は「UAVやドローンの脅威は海外に展開している部隊や施設だけ問題では無くなっており、兵士からコックまで兵種に関係なく全ての人員がカウンタードローンに関するスキルを身につける必要がある」と語り、米陸軍の全ての兵士にカウンタードローンに関するスキルを身に着けさせるための訓練アカデミー「Joint Counter UAS Center of Excellence」を2024年までに創設すると明かして注目を集めていたが、国防総省の中で小型無人航空システム対策を主導するC-SUASオフィスは米軍の兵士を対象にした訓練を開始したと報じられている。

出典:U.S. Army/ Staff Sgt. Timothy Gray 商用のドローンに対する対処法を開発中の米陸軍第5機甲旅団

小型UAVや小型ドローンの脅威に対抗するために開発された各種ツールの使用方法を学ぶため米軍から派遣された兵士はアリゾナ州ユマのプルービング・グラウンドに集結、C-SUASオフィスによれば「彼らは2週間に渡りドローンバスターシリーズと呼ばれる無線周波数ジャマーやスマートシュターを使用したカウンタードローンを学ぶ」と説明している。

ドローンバスターと呼ばれる無線周波数ジャマーは小型UAVや小型ドローンをコントロールしている制御周波数に作用して制御リンクを乗っ取り、強制的にホバーリング状態を維持するか着陸を指示する装置だ。

スマートシュターとはイスラエルのスマートシューター社が開発した「SMASH(スマッシュ)」呼ばれるスコープのことで、標的を一度捕捉すると自動で追尾し続けるため兵士はトリガーを引いたままSMASHを覗き込んで追尾された標的に十字カーソルを合わせ続ければSMASHに搭載されたコンピュータが標的までの距離、角度、方向、速度、風向きを計算して最適なタイミングで弾丸を発射するので標的に必ず命中するという代物のことを際している。

出典:オランダ陸軍

つまりプルービング・グラウンドに集められた米軍兵士は無線周波数ジャマーを使用した間接的なカウンタードローン対策に加え、スマッシュスコープを使用した直接射撃による小型UAVや小型ドローンの破壊方法を学ぶという意味で、マッケンジー大将が「兵士からコックまで兵種に関係なく全ての人員がカウンタードローンに関するスキルを身につける必要がある」と明かした構想が具体的に動き出したのだろう。

関連記事:米軍を最も安価に攻撃する方法を明かす米海兵隊大将、答えはコストコで売っている
関連記事:小銃でドローン撃墜は可能、オランダ陸軍が実証した魔法のスコープ「SMASH」有効性

 

※アイキャッチ画像の出典:U.S. Army/ Staff Sgt. Timothy Gray 商用のドローンに対する対処法を開発中の米陸軍第5機甲旅団

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コメント

    • 匿名
    • 2021年 9月 30日

    ライフルで撃ち落とすのは無理じゃないの
    せめてショットガン

    2
      • 匿名
      • 2021年 9月 30日

      数撃てば当たる(笑)ショトガンどはドローン相手でないときに不自由だりうし、
      銃取り付けのグレネードランチャーを改造して対ドローンの散弾にするくらいのアイデアは、米寿はすでに研究してるでしょうし

      1
      • 匿名
      • 2021年 9月 30日

      ショットガンは射程が短いから無理じゃね

      11
        • 匿名
        • 2021年 10月 01日

        ライフルを上空へ向けて撃った場合と
        散弾を上空へ向けて撃った場合の
        無関係の民間人に流れ弾が当たる被害の差って知ってるか?

          • 匿名
          • 2021年 10月 01日

          それ大小ドローンを破壊できる程度なのかな、当たるだけでは意味ないから

          1
      • 匿名
      • 2021年 9月 30日

      ショットガンだと有効射程が50mと短すぎ。一応100m先にも届くけど
      それだとショットがバラけすぎて今度は狙った対象に当たらなくなり
      逆に難易度が高くなるという上級者向けのアイテム(汗)

      16
        • 匿名
        • 2021年 10月 01日

        しかもそれ水平距離だよね。
        わずかながら上空を飛ぶドローン相手では
        位置エネルギーの分、ますます厳しくなる。

        1
      • 匿名
      • 2021年 10月 01日

      ショットガンじゃ届かんから、将来的には通常のライフルで連射できる多弾頭のフレシェット弾みたいなのが開発されるかもしれんね

    • 匿名
    • 2021年 9月 30日

    ドローン対策が諸外国と比べて遅れている自衛隊も
    米軍に続いて学べという偉そうな熱いコメントに期待w

    4
      • 匿名
      • 2021年 9月 30日

      と言うか、米軍が真面目に学習し始めたから自衛隊が米軍に続くのは時間の問題
      何だかんだ言って、自衛隊は日米共同訓練で常に米軍を見ているからね

      21
        • 匿名
        • 2021年 9月 30日

        自衛隊は自主的に取り組む気はないのかね、、、何でもかんでも米軍頼みで情けなさすぎないか?

        7
          • 匿名
          • 2021年 9月 30日

          0から試行錯誤してやるより、実戦経験が多くて現場を知っている米軍に倣ったほうが人手も金銭的にも有利
          変なプライドより効率高めるほうがいい、限られたリソースは有効活用するに限る

          33
            • 匿名
            • 2021年 9月 30日

            セコいが正解だ

            23
              • 匿名
              • 2021年 10月 01日

              まあ車輪の再発明してても仕方ないからね。
              車輪については米国に教えてもらいつつ、
              日本は翼の研究を進めてもらいたい。

          • 匿名
          • 2021年 9月 30日

          そもそも自衛隊の歴史自体が、日本の防衛だけで無く「日本に駐留する在日米軍の支援」の為に組織されたと言う背景が有るからね(もっとも憲法の兼ね合いで、有事法制が出来るまで米軍に対する支援は日本国内に限られていたけど)
          だから米軍頼みで無いと動けない様に、自衛隊の組織が出来ている点を忘れちゃいけないよ
          因みに、下の方の書き込みで『防衛省というか自衛隊として無人機の将来的運用体系や対処法の構想が出来ていないのかと』と書き込んだ人が居るけど、答えは『出来ない』
          自衛隊が勝手にやると三矢研究みたいに批判される可能性が有るし、下手に米国に知られるとFS-Xの様に潰される危険性も有る

          3
      • 匿名
      • 2021年 9月 30日

      日本の場合防衛大綱が軍事的安全保障政策の基本方針なんで、そこにドローン対処能力の充実等が反映されないと、財務省も関連予算を認める根拠がなく研究止まりになりかねない。
      防衛装備庁の研究開発ビジョンも基本的に防衛大綱を無視できません。

      現行防衛大綱における無人機に関係する記述は以下の部分だけ。
      >我が国周辺海空域における常続監視を広域にわたって実施する態勢を強化する。また、無人水中航走体(UUV)を含む水中・水上における対処能力を強化する。
      >我が国から比較的離れた地域での情報収集や事態が緊迫した際の空中での常時継続的な監視を実施し得るよう、無人機部隊を保持する。

      防衛省というか自衛隊として無人機の将来的運用体系や対処法の構想が出来ていないのかと。
      噂されている防衛大綱見直しでは漏れのないよう十分な検討の元に行ってほしいですね。

      6
    • 匿名
    • 2021年 9月 30日

    これって、誰でもスナイパーになれるのかな。
    クレイ射撃で無双出来るよ。

      • 匿名
      • 2021年 9月 30日

      クレイ射撃と違って飛行高度や飛行経路が全然違う

      2
      • 匿名
      • 2021年 9月 30日

      麻生先生に再登板をw

      3
    • 匿名
    • 2021年 9月 30日

    そういえば、やっぱり軍用のドローン(マルチコプターなタイプ)は一般人が持つようなドローンの難点を克服してるのかな?

    具体的にいうと、モーターやバッテリーやスクリーンの熱問題とか、風に対する問題とか、雨の日は使えない問題とか。

    1
      • 匿名
      • 2021年 9月 30日

      多分なんですけど、一般人でも買えそうなマルチコプターのやつは
      民生品の全天候型産業用ドローンをそのまま使ってる感じなので
      多少の雨とか風速10mくらいなら余裕だと思いますよ。

      4
        • 匿名
        • 2021年 10月 01日

        地表と上空30mではかなり風速は違います。勿論、高くなればなるほど速くなると考えて構いません。
        更にいえば、特に風上に向かう時は風速+自身の飛行速度がドローン自身にかかる負担となります。

        恐らく、個人が使う(業務等でつかうKg単位のモノではない)中でも、傑作といわれているDJIのファントム4ですら、「地表で風速5m(木の葉っぱが揺れている程度)」あると飛ばさない方が良い位でしょう。

        1
    • 匿名
    • 2021年 10月 01日

    リツコ「大丈夫。あなたはテキスト通りにやって。
        最後に真ん中のマークが揃ったら、スイッチを押せばいいの。
        あとは機械がやってくれるわ。
    スマートシューターの説明でこれ思い出した

    3
    • 匿名
    • 2021年 10月 01日

    ドローン対処の訓練も良いけど、ドローンが活動する条件下で360度24時間ずっと稼働してハンヴィー1台レベルで収まるような探知システムでもあるのかね。見つけられなきゃ迎撃も糞も無いと思うんだけど。

    あと、ショットガンに関して言うなら弾も銃身のチョークも銃身長の選択肢が広すぎて、どんな組み合わせがベストで対処させるつもりなのかな。弾とチョークの選択で命中率や射程が変わる、銃身長で威力が変わる。

      • 匿名
      • 2021年 10月 01日

      訓練内容からして「見つけた場合の即応対処法」ですね。
      小型ドローンの探知及び対処システムの確立はまだまだ先の見込み。その状況で偵察/攻撃型小型ドローンは現実の脅威要素になりつつある。
      現時点で小部隊でも携行可能な装備を活用し少しでも有効な即応対処能力を得ようてことでしょう。
      コックにまで対応スキルを身につけさせようてのは、小型ドローンがどこに現れるか分からない(検知困難)だからだと思います。

      1
    • 匿名
    • 2021年 10月 01日

    これって夜間対応に重きを置いてるのかな。

    • 匿名
    • 2021年 10月 01日

    日本の場合、工作員による停泊艦艇、航空機等へのドローンによる破壊工作をどうするんでしょうね。市街地に向けて発砲することになるから銃器ではまずいし、レーザー兵器が必要ですね。

    2
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