バイデン政権が議会に提出した対ウクライナ戦略には「ロシア軍と戦うのに役立つ能力リスト」が含まれ、CNNは「このリストにJASSMとLink16が含まれている」「ウクライナは両システムの提供を繰り返し要求している」と報じ、ウクライナ軍は未だに戦術データリンクが使用できない状況らしい。
参考:US military compiled list of American weapons systems that could help Ukraine in the war with Russia
ウクライナ軍はパトリオットシステムやF-16等の西側製システム間で戦術データの共有が出来ない状態
ゼレンスキー大統領は西側諸国が提供する長距離兵器=ATACMSやストームシャドウの制限解除を繰り返し要求し、バイデン大統領に提示した勝利計画の中でも「長距離兵器の制限解除」は重要な要素の1つに挙げられ、引き渡しが始まったF-16向けの長距離兵器としてJASSM提供が噂されたものの「制限解除に関する新たな決定」や「ATACMSやストームシャドウに匹敵する新しい長距離兵器の提供」は引き出せず、F-16向けの新しい武器としてJSOW提供が発表されただけだったが、どうやらウクライナは長距離兵器と同じぐらいLink16の提供を要求していたらしい。

出典:PRESIDENT OF UKRAINE
共和党はウクライナ支援資金の拠出を認める過程で「バイデン大統領やゼレンスキー大統領は『勝利するまで支える』『必ず勝利しなければならない』という曖昧な言葉でなく『具体的な勝利への戦略』を提示しなければならない」「ウクライナが勝利するにはどうすればいいのか、どれぐらいの時間がかかると予想されるかなどで、この見積もりは正確である必要はないものの『最終的な目標』と『撤退基準』を理解する必要がある」と要求、バイデン政権は9月初めに機密扱いの対ウクライナ戦略を議会に提出した。
この報告書には米欧州軍のカヴォリ司令官が作成した「ウクライナ軍がロシア軍と戦うのに役立つ可能性がある能力リスト」が含まれ、CNNの取材に応じた関係筋は「このリストにJASSMとLink16が含まれている」「ウクライナは両システムの提供を繰り返し要求している」と明かし、CNNは関係筋の話として「米当局は機密性の高い技術がロシアに流出するのを恐れている」「Link16の提供が実現していないのも機密流出が原因だ」と報じており、ウクライナ軍はパトリオットシステムやF-16等の西側製システム間で戦術データの共有が出来ない状態だ。
Just announced: Sweden will donate a new military capability to strengthen Ukraine’s air defence. Package 16 will be the largest 🇸🇪 military aid package yet at €1,16bln. Sweden will donate Airborne Surveillance and Control aircraft (ASC 890) to 🇺🇦. (1/6) pic.twitter.com/iRqGeQE9oJ
— Pål Jonson (@PlJonson) May 29, 2024
スウェーデンが提供予定の早期警戒機=Saab340 AEW&Cは最大450kmの範囲内で最大1,000個の空中目標を検出・追尾することができ「ウクライナ空軍の認識力を大きく改善する」と期待されているが、Link16が使用できないとリアルタイムでの戦術データ共有に問題が生じるだろう。
関連記事:提供決定から約1年、待望のF-16がウクライナに到着
関連記事:ウクライナへのAEW&C提供、GlobalEyeの納期前倒しが提供時期を左右
※アイキャッチ画像の出典:Командування Повітряних Сил ЗСУ
結局、信用も信頼もされていないのが透けて見えるから、西側がウクライナのために、とか嘯いても第三者からすれば薄っぺらく感じてしまう。当のウクライナ人やゼレンスキー大統領も理解はしてても縋るしかないから仕方がないのかもしれませんが。
2022年2月まで西側、ロシアのどっちにつくかどっちつかずだったのが痛いところ(NATO加盟を志向はしてたけど)
そういえばほかのF-16導入国はどうなのかとググると韓国とか米の同盟国だけの採用みたいだから、同盟関係にないウクライナに提供されないのは仕方ない気がする
そりゃ現状アメリカが一番警戒しているのはロシアでは無く中国ですから、ウクライナに提供して情報漏洩や横流しにロシアによる鹵獲などで中国に渡るのは一番阻止したいでしょうからね。
時間をかけて準備した上ではなく、泥縄でやっつけにシステム導入することになるのだから心配も当然。既存の通信網と連携するために一部平文とか、同じ通信経路で暗号と暗号鍵を同時にやり取りしてしまうとか、納期が迫ったエンジニアは過失と故意両面でなんでもやるからな。
当面、ウクライナは自家製の類似品を作らないといけないのかな。
相対的に劣勢な戦力なのですから、戦力の有効利用をしないと、ですね。
>戦力の有効利用をしないと
その結果が、ロボティネの挫折、クリンキーの水遊び、クルスクの立ち往生、というのが何とも。
詳しくはありませんが、西側に限らずと思いますが。
司令部の持つ戦況を前線も共有するのは必要でしょう。
戦況の中で、前線は自身の立ち位置を良く理解できるのでは。
また、司令部に情報を集約するにしても、
より新しい情報を集めることができるでしょうし。
旧東側軍隊の良く無いところの一つは、
戦況が司令部にのみ集約/独占され、かつ、
戦況を組み立てる情報が少なからず古いことと思えます。
東側式は、国の規模が小さければ弊害は少ないでしょうが、
戦線の長さが1,000kmを超えて東側式では非効率では?。
上意下達の連絡組織のみでは不足でしょう。
だから、軍事ブロガーなどが多数いるのでは?。
ウクライナも、そういう所が見受けられるような・・・。
NATOは別にしても、自国のリンクを確立した方が良いのでは。
理論上はそのように感じられるかもしれませんが、実際のところは大規模な戦線の作戦と言えば東側の得意とするところですね。
この辺りはこれまでの記事のコメントでも議論されていたかと思いますが、一兵士・前線司令が戦力を発揮するには大規模戦略など知らずに目の前に集中してもらう方がよいでしょう。全情報を全員が理解しておくべきと言うのは個人主義的な超人思想で、実際は前線の苛酷な状況の中で目の前に関係ない思考判断にリソースを割く方が現実にそぐわないです。
一会社員の担当が会社の趨勢を決める決定を理解するのは効率が悪く、前線から離れた専門組織である司令部単位での集約・共有こそが効率的な大規模戦術方式です。
勿論、前線で発見された非効率性、司令判断の誤りが司令部単位で止められる弊害もあるかと思いますが、そのあたりを汲み取るために作られていた政治将校とかの方が非効率極まりない仕組みになっていた歴史もありまして、やはり組織運営論は難しい所です。
なるほどです。
ウクライナがどのような判断をするか、ですね。
素人の想像では、Link16に接続する前に、
自国のリンクを確立するべきでは、と思います。
日本の場合はそうだったと憶えています。
フランスが今回のように link16 を使えない国への輸出用に、独自のデータリンクを作ってたりしないのかな。
X1.8クラスの大規模な太陽フレアが発生し11日に地球に到達し
磁気嵐,GPS障害が発生するらしい。
NATOの精密誘導ミサイルに頼るウクライナ軍には痛手となり、
前線兵力が圧倒的なロシア軍に有利だから攻勢を掛けるチャンスか
ついに宇宙空間の“気候条件”も地上戦の動静に組み込まれる時代になったのですね。
日本も航空自衛隊から、「航空宇宙自衛隊」へと変革が求められる時期は近そう。陸上自衛隊との連携度合いは別の課題としてありそうですが。
だけどやっぱり航空宇宙自衛隊はダサいと思う。
やっぱり「帝國宇宙軍」一択ですよね!
近いってか、もう決定されてますよ
戦時量産型のUMPKの方が影響大きそうだけど。
ノイズ対策最低限だろうし
自衛隊でも、リンク16は採用されています。
日本目線で見ても、妥当な判断かなと思いますね。
機密がバレたらヤバいプロトコルは使い物にならない(アルゴリズムが公開できない暗号方式が駄目なのと同じ理屈)ので、中国ロシアにパクられるのを恐れてるのかな。
ても、もう漏れてそう。
元パトリオット部隊の人がF-16喪失の時に、IFFは機密だから提供されてないのではと言っていたが、link16が駄目なら、IFF モード4?もありそうな話だ。
あれ?
キメラ軍のウクライナは最初からIFF使っていないと聞きましたが。
正直衝撃ですよ
西側戦闘機は最新型でなくともデータリンクで優越するというのが触れ込みではありませんでしたかね
ちょっと前に話題になった警戒機とかデータリンク無しで使うんですか?
現代戦でそのレベルで使うとなるとドンガラと大差無い気が……
まあ既に何機か堕ちてるらしいし、そうなるくらいならってアメさんの考えも分からなくはない。
心底驚く話ですよね。早期警戒機とデータリンクしないなら、単なる広域偵察機でしかなくなってしまいます
ウクライナ軍の防空の迎撃率の低さもこの影響なのかと思ってしまいます
ウクライナだけでなく将来的な話にもつながるかも知れないので、フルバージョンだけじゃなく下位互換バージョンみたいなものを紛争当事国へ提供出来るプランを考えるのも手かも知れないですね。
もっとも、ウクライナの紛争はかなり深い所まで無人機が飛び交ってきているのに対応したり、決死の対地攻撃を敵側が行わなければならない状況かつ、ウクライナ自体もかなり広大な話なので、それなりに適応も出来てきた話なのかも知れない。無人機等がそれなりに迎撃される事例も増えている為、おそらくは別の手段でもって程度の差はともかく、似たような事もやっているのでしょう。更に高度な事をやりたいとか、多重化させたいってことかな。