米空軍は、中国が開発した長射程空対空ミサイル「PL-15」に対抗するため、ロッキード・マーティンがAIM-120AMRAAMよりも射程が遥かに長い、AIM-260を開発中だと話した。
参考:Lockheed Quietly Developing AIM-260 To Counter Chinese PL-15
AIM-120とほぼ同サイズの新型空対空ミサイルAIM-260
米空軍と米海軍は共同で「AIM-260」と呼ばれる、新型空対空ミサイルを開発中だ。
これは現在使用しているAIM-120AMRAAMを置き換えるもので、中国が開発した長射程空対空ミサイル「PL-15」に対抗するためのものだ。
中国が開発した「PL-15」は、米国のAMRAAMと比較しても遜色ない性能で、一部ではAMRAAMの性能を上回り、射程だけで言えば、欧州のミーティアに匹敵すると言われており、アクティブ・フェーズドアレイレーダーを備える「PL-15」は、有視界外から発射が可能で、マッハ4に達するほどの高速なスピードで接近し、狙われた航空機は回避は困難だ。
中国の空対空ミサイル「PL-15」との射程距離の格差を埋めるため、ロッキード・マーティンが極秘裏に開発しているのが、今回、その存在が初めて公に発表された「AIM-260」と言う訳だ。
これまでも、AIM-120AMRAAMを置き換える新型ミサイルの計画は幾つか存在した。
AIM-120 AMRAAMのラムジェット版開発計画があったが、欧州がミーティアの採用を選択したため計画が頓挫し、その後、米空軍、米海軍、米海兵隊が、AIM-120 AMRAAMと、AGM-88 HARMを置き換える目的で共同開発しようとした「次世代空対空ミサイル」は、2013年当時のオバマ政権に開発予算を取り消されたため、またも計画も頓挫した。
その後、2017年に「AIM-120D」を置き換える為の「長距離交戦兵器」の研究が始まったと言われているが、計画の詳細は全く不明で、計画の進展状況は全くの不明だった。
今回、2年前に研究が始まったと言われていた「長距離交戦兵器」の存在が、ようやく明らかになったという意味だ。
しかし、AIM-260の詳細については明らかにされておらず、いくつか判明している情報は以下の通りだ。
- AIM-260のサイズは、AIM-120とほぼ同サイズ。
- AIM-260は、AIM-120のフォームファクタと互換性がある。
- AIM-260は、AIM-120よりも射程が遥かに長い。
- AIM-260は、ラムジェット推進を採用していない。
- AIM-260は、2021年に試射を行い、2022年には初期運用を開始する予定。
ステルス戦闘機のF-22やF-35は、ウェポンベイ内に空対空ミサイルを搭載するため、搭載兵器のサイズに制約があるので、AIM-260をAIM-120とほぼ同サイズに収めることは非常に重要なポイントだ。
AIM-120とほぼ同サイズにも関わらず、射程が長いということは、ミサイルの弾頭部分(誘導装置や炸薬など)の小型化により、サイズを変更することなく、ロケットモーターの固体燃料スペースを増やすことに成功したのだろう。
問題は、AIM-120より遥かに長い射程が、どれほどのものなのかと言う点だ。
最新のAIM-120Dの射程は「180km」程度だが、中国が開発した「PL-15」の射程は200km、最大で300kmとも噂されている。
幾ら、弾頭部分の小型化に成功しても、固体燃料がAIM-120Dの倍になることは物理的に不可能なので、恐らく、中国の「PL-15」との射程距離の格差を埋める程度だろう。
それでも、これまで中国に劣っていた空対空ミサイルの射程距離の部分で、格差を解消できるということは、戦闘機パイロットにとって吉報なのは間違いない。
※アイキャッチ画像の出典:Public Domain F-35A
AIM-120のロケットモターは20%がゴム系、80%が酸化剤だったはず。
射程を延長するには単純に推進剤の量を増やすか、エネルギー密度を上げるかですが
今回はにはAIM-260のサイズアップが困難なため
ロケットモターにアルミやその他何をを添加して燃焼温度を上げていると予想しています
ほんとオバマめ余計な事しやがって…
確か炸薬無し、直撃による破壊を狙ったミサイル計画(CUDAでしたっけ?)もあったはずですが、頓挫したのでしょうか。