米国関連

米陸軍、無人航空機に対する対抗兵器「IM-SHORAD」の評価試験を開始

ニューメキシコ州ホワイトサンズ・ミサイル実験場で、いよいよ暫定的な機動近距離防空システム「IM-SHORAD」の実弾射撃テストが始まると報じられている。

参考:Live-Fire Tests In August For Army Air & Missile Defense

米国製の複合式近距離対空防御システムが実用化に向け実弾射撃テストを開始

これまでの米陸軍の地上部隊は圧倒的な航空戦力によって航空支配が確立された戦場で戦うことを前提にしており、前線の味方部隊が空からの攻撃に晒される戦場環境で戦うとは思ってもいなかったため、地上部隊に随伴して移動しながらから部隊の頭上を守る短射程の防空システム開発を疎かにして、高速で飛行する空中目標や弾道ミサイルを迎撃する拠点防空に特化した防空システム開発(パトリオットPAC3弾やサードの開発)に注力してきた。

しかし小型で地上を這うように飛行する安価な無人航空機(UAV)の登場で戦場環境が一変、これまでの防空システムでは対抗できないことが明らかになった。

出典:Bayhaluk / CC BY-SA 4.0 バイラクタルTB1

米国の代表的な防空システム「パトリオット」のレーダは小型で地上を這うように飛行するUAVを効果的に検出したり、地上部隊に随伴して移動しながらからUAVを迎撃するよう設計されていないため役に立たず、米陸軍の地上部隊に残された対抗手段は目視で確認できる目標に対してのみ有効な携帯式の防空ミサイル「スティンガー」のみで、拠点防空も夜間に地上を這うように接近してくるUAVに効果的な対抗手段がない状況だ。

そこで注目を集めているのがロシアが開発した「パーンツィリ-S1」や韓国が開発した「K-30 SAM」などの複合式近距離対空防御システムで、レーダーと赤外線探知システムでUAVを捕捉して搭載する機関砲と短距離地対空ミサイルで撃墜するという比較的枯れた技術で開発された兵器で作動範囲も狭いが、近距離でUAVを捕捉するのに赤外線探知システムは有効で実用性が高いらしい。

補足:韓国が開発した「K-30 SAM」が注目を集めているのは、西側で生産ラインが稼働中=入手可能な近距離対空防御システムが韓国のK-30 SAMしかないため

しかし小型のUAVですら精密誘導兵器を搭載して攻撃を行うようになってきたため、ロシアのパーンツィリですら逆にUAVの餌食になることが多くなってきた。そのためロシアは10km前後だったパーンツィリの交戦距離を最大40km、目標の検出範囲も75kmまで拡張した新型のパーンツィリSMを開発中だ。

出典:Photo by Capt. Marion Jo Nederhoed 米陸軍が2018年に試作した近距離対空防御システム

米国も小型のUAVの脅威に対抗するため、指向性エネルギー兵器(所謂レーザー兵器)を搭載した近距離対空防御システムを開発中だが実用化に時間がかかるため、暫定的な近距離対空防御システムとして装輪装甲車ストライカーにレーダーと赤外線探知システム、2種類のミサイル(スティンガーとロングボウ・ヘルファイア)と30mmチェーンガンを搭載(初期段階では7.62mm機銃も搭載していた)した「IM-SHORAD」を開発中で、実用化に向けた実弾射撃テストがニューメキシコ州ホワイトサンズ・ミサイル実験場で開始されると報じられている。

恐らく近距離対空防御システムの開発は既存の技術の組わせなので実用化へのハードルは難しくなそうだが、シリアやリビアでイスラエルやトルコの無人航空機と日々戦い続けているロシアのパーンツィリの方が実用面で完成度は高いだろう。

果たして米陸軍が開発したIM-SHORADの実力は如何ほどだろうか?

 

※アイキャッチ画像の出典:United States Army

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コメント

    • 匿名
    • 2020年 8月 04日

    この手の枯れた装備日本は疎かにしてるからなぁ
    少数の87式だけ、コンプレックス型は開発すらせず

      • 匿名
      • 2020年 8月 04日

      金がないし、国民の理解もないからね……
      平和ボケはできる状況でなら良いことかもしれないけど、殺る気満々の国々のなかこの始末は流石にちょっと

    • 匿名
    • 2020年 8月 04日

    近距離防空システムをちゃんと持ってるのに完成してるのがここしかないだけだとか軽くディスられる韓国可哀想……

      • 匿名
      • 2020年 8月 04日

      あいつらは日頃の行いが悪すぎるので、残念でもないし当然。

      1
      • 匿名
      • 2020年 8月 04日

      実際韓国は余計な艦船やら潜水艦に手を出さず、コツコツ陸軍装備だけを開発していった方が西側諸国じゃ存在感示せるのにな
      もちろん国防上でも北のドローンの脅威は大きいんだしさ

      1
    • 匿名
    • 2020年 8月 04日

    最終的にはコスパの戦いになりそう
    防衛品だし、日本も参加すりゃいいのに

    • 匿名
    • 2020年 8月 04日

    現状の無人航空機は防御力は紙だし動きも緩慢で「何かを当てさえすればどうとでもなる」程度の存在ですからね。複雑なことは考えずに検出して射撃だけでいいと思います。

    • 匿名
    • 2020年 8月 04日

    とはいってもUAVによる攻撃は貧乏国の戦争にしか使えない。
    対空ミサイルに対して安全なステルス機で高空から偵察して、それとリンクした長射程の精密誘導対地ミサイルで攻撃するのが最適解だな。
    そしてルックダウン能力の高いステルス機にとっては低速なUAVは射的の的に過ぎない、高価なAAMを使わず機銃弾でまにあう。

    1
      • 匿名
      • 2020年 8月 04日

      でもさ、アメリカも実験したC-130から百機ぐらいばらまいちゃうようなUAVだとどうかね。
      数の暴力で飽和攻撃されたらいまのところ対処方法ないと思うんだけど。
      あと機銃弾で十分っていうのは分かるけど、加えてそれなりなFCSが必要だからこの時点でコスト的には防御側がどうしても不利に思える。

        • 匿名
        • 2020年 8月 05日

        百機ぐらいばらまける時点で個々のペイロードは大したことがなくて、したがって攻撃力も航続距離も低いのでは。
        大きな弾頭のEFPやHEATも積めないことが予想されるので、目標にある程度以上の装甲があると効果的なダメージを与えられないだろうし。

        1
      • 匿名
      • 2020年 8月 04日

      先進国ではむしろテロに使われるのが脅威なのでは

      1
      • 匿名
      • 2020年 8月 04日

      「多数の小型の的に機銃弾を当てる」ってのがどれほど高コストか考えましょうよ。
      特に戦闘機の固定機銃を当てようと思ったら機首そっち向けなきゃいけないんですよ?
      しかもF-35の機銃弾は200発。数十機数百機の無人機相手にするにはあまりに貧弱です。
      ミサイルも同様。一機数万円やそれ以下の雑魚ドローン数百機の中に数機のまともな攻撃力備えたドローンが混入してたとしたら
      ミサイルで対応するのはあまりにハイコストです。

      さっさとレーザーなりマイクロ波なりで雑魚ドローンだけでいいから駆除出来る防空システムを実用化していただきたいところです。

    • 匿名
    • 2020年 8月 04日

    UAVにはUAV、対UAV用UAVの登場が楽しみです。
    カルネージハートのような戦場が見たいなあ。

      • 匿名
      • 2020年 8月 04日

      まずは無人機vs無人機でつばぜり合いよね
      基地、構築前衛部隊の防御に必須なんだけど
      この国は悠長だからなぁ
      なんせ航空機地前に凧を飛ばしても取り締まれない国、、

    • 匿名
    • 2020年 8月 04日

    日本国内で使われる可能性は低いんだから取得の意欲も涌かんだろうよ
    無人機に夢見すぎ

    1
      • 匿名
      • 2020年 8月 04日

      一部の方曰く、日本に特殊部隊が潜入してRPGとか使って大型のレーダーサイトや停泊中の潜水艦を全滅させるのは簡単らしいし、
      誘導兵器を搭載可能なUCAVを日本に数百機持ち込んで自衛隊を一日が全滅させるのも簡単にできるんじゃないんですか、知らんけど。

      • 匿名
      • 2020年 8月 04日

      な、ん、で?

      ひっそりと小音で夜中に飛んできて
      燃料タンクや武器庫、アンテナ、配電施設、連絡機器 とかを壊していくんやぞ?
      今発表されてるUAVだけがドローンじゃないぞ?
      車載型だって水深型だってあるし

      • 匿名
      • 2020年 8月 04日

      お前馬鹿か
      夢見ているんじゃなくて現実見てんだよ

      • 匿名
      • 2020年 8月 04日

      島国の場合はまず大量に持ち込むのが難しいですからね。航続距離は無いようなもので、大陸や海上から飛ばすのも困難。ステルス爆撃機で上空からばら蒔く手もありますが、それができるのは現状アメリカのみ。

      1
        • 匿名
        • 2020年 8月 04日

        その代わり、以前首相官邸の屋上にドローンが不時着した例がある様に、テロ目的で市販品のドローンを改造して爆発物を積むとか、監視装置を積んで偵察等に使われたら打つ手が無くなるけどね

        • 匿名
        • 2020年 8月 05日

        持ち込むなんて事せずに、国内で工作員が”買えば”いいんだぞ
        本国で開発したデータをもとに、日本国内でパーツを購入して製造、調整する。
        クアットコプターみたいな形態にせず、固定翼機にすればそこそこの距離も飛べるぞ

          • 匿名
          • 2020年 8月 05日

          大量に、という点を考慮するなら「日本在住の中国人が中国製のドローンを購入」すればもっと手っ取り早いですね。
          市販ドローンの流通経路でどんどこ国内に搬入できます。
          基地やら水源地やら原発やらの周辺地もバンバン中国人に買われてる現状、
          ある日突然それらの地域の「民家」から大量のドローンが「出撃」して来たら対応は極めて困難でしょう。
          ドローン対策も必要ですが外国人による重要地の土地購入への対策もなんとかして欲しいところです。

          • 匿名
          • 2020年 8月 06日

          現状、世界のどこでも実現してないですよね、そのテロは。

          1
    • 匿名
    • 2020年 8月 04日

    むしろ国内ならゲリコマが個人携行型のロイタリング兵器使う可能性が増大してるから日本こそヤバい

      • 匿名
      • 2020年 8月 04日

      そんなものに一々SAMやAAAを持ち出せるのか?
      普通にジャミングやレーザーで対抗するでしょう

      • 匿名
      • 2020年 8月 04日

      いくらドローンが小型の兵器とはいえ、検問を通るには大型すぎて水際で止められます。

      1
    • 匿名
    • 2020年 8月 04日

    スペック馬鹿は現実も観ることが出来ないんだなぁ
    底辺はつらいね

    1
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