米海軍は艦艇に対するメンテナンスサービスの遅れについて分析を行い、180日以内に報告書を議会に提出しなければならなくなった。
※本記事は2019年12月22日の公開した記事を大幅加筆したもです。
参考:US Navy to dive deep into its maintenance woes
ニューポートニューズ造船所が攻撃を受ければ米海軍の戦争継続能力は消滅?
米海軍が艦艇に提供するメンテンナスサービスの大半は「時間を守る」という基本的な点を守ることが出来ず、円滑な艦艇運用の妨げになっている。
昨年、メンテナンスを受けた米海軍の駆逐艦の約7割はスケジュール通り港を離れる事ができず、大量のスケジュール遅延は新たにメンテナンスを受けるため帰ってきた駆逐艦にも影響を与え、ドックの空きを待つ駆逐艦が無意味に港に係留され多くの時間を無駄にしたという報告が議会に提出された。
報告を受けた議会の説明によれば米海軍は2014年以降、メンテナンスの遅れで計2万7,000日以上の時間を無駄に失ったらしい。
これは1年あたり5,400日(12万9,600時間)以上を失ったという意味で、これは300隻で割ると1隻あたり18日以上の時間を「予定外」に失ったことになる。

出典:public domain アーレイ・バーク級駆逐艦「オスカー・オースチン」
では、なぜ米海軍のメンテンナスサービスは時間を守れないのか?
1つ目は米海軍が持つ艦船修理廠への投資が少なく設備が老朽化しているという点、2つ目は冷戦終結後の軍縮やテロとの戦いで米海軍の艦艇規模が縮小されてしまったため民間造船業界も縮小してしまい、米海軍に提供できるメンテナンス能力が急増した需要に追いついていない点、3つ目は新造艦建造スピードが冷戦終結後に鈍化したため米海軍を構成する艦艇の平均艦齢が上昇、その影響で定期メンテナンスに要求される作業量も増加して限られたメンテナンス能力を食いつぶしている点の3つが挙げられる。
更に付け加えれば冷戦終結後の軍縮で海軍の艦艇は規模が縮小されたのに、作戦に要求される艦艇の需要は減ることが無かったため「訓練→任務→保守」の運用サイクルが早まり、予想以上に艦艇が消耗してしまっていることも関係しているはずだ。
しかし駆逐艦などの小型艦に関しては米海軍の艦船修理廠以外にも複数の民間企業が所有するドックを利用できるので、ニューポートニューズ造船所に頼っている空母に比べればマシな状況なのかもしれない。

出典:public domain 乾ドッグに横たわる空母「ハリー・S・トルーマン」
米海軍の主力空母「ニミッツ級」は30年以上掛けて調達されたため1番艦から10番艦まで艦齢に大きな差があり、1番艦~5番艦までは艦齢が30年以上、6番艦~8番艦までは艦齢が20年以上と老朽化が進んでいるためメンテナンスに要求される作業量も右肩上がりなのに、空母にメンテンナンスを提供できる施設がニューポートニューズ造船所しかないためメンテナンススケジュールに遅れが生じている。
このような問題の解決に米海軍も取り組んでいるものの根本的に問題を解消するには「予算」を増やすしかなと言われており、米海軍に報告書を提出させるなど議会が問題解消に乗り出してみても状況が好転することは期待できない。
因みに、ロシアはニューポートニューズ造船所とリマ陸軍戦車工場(全米唯一、M1エイブラムス戦車のアップグレードが行える施設)を破壊さえすれば「米国の戦争継続能力をへし折る事ができる」と言っている。
※アイキャッチ画像の出典:U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 2nd Class Michael H. Lehman
要は、1980年代に当時のレーガン大統領が対ソ連戦略の一環としてぶち上げた「海軍600隻計画」が事の発端だと思う。
この計画は実現しなかったとは言え、米海軍の予算に無理な負担を与えた挙句、冷戦終結でタガが外れて極端な軍縮へと走った結果、海軍艦艇への支援能力が必要以上に削られて、約30年後に破綻したと言うのが、この話の流れだろう。
こうなったら、国防戦略を根本的に再検討(それも「中国、ロシアと今後敵対すべきか否か?」と言うレベルからの見直し)するしか打つ手は無いのだけど、大統領選が来年だし、マトモな議論が出来るのかな?
最も、国防上重要な生産・整備設備が国内に一か所しかないと言うのは、米国以外でもよくある話だけどね。
取り合えず、アメリカは覇権云々は中国に任せておいて自身は自衛のみに専念した方がいい
下らんプライドより自国の内政を充実させないとアメリカは自壊の道へ進むぞ
ほげぇぇぇ中華の崩壊を煽ってたら、いつの間にか国内のリベラル勢が独立を主張し始めたんごwww
「因みに、ロシアはニューポートニューズ造船所とリマ陸軍戦車工場(全米唯一、M1エイブラムス戦車を再生している)を破壊さえすれば、米国の戦争継続能力をへし折る事ができると言っている。」
もちろんこんなことをすれば虎の尾を踏むようなもので、既存の戦力を全力で投射されて戦争継続云々の話ではなくなるでしょうけど。現代の兵器の能力であれば、防衛目的だけのために拠点を複数に増やしたところで的が増えるだけでしょう。予算面だけでなく、人材面や機密上の問題も大きいのかもしれません。
因みに、日本は神戸の三菱重工業神戸造船所と川崎重工神戸工場を破壊さえすれば、海上自衛隊・潜水艦隊の戦争継続能力をへし折ることができる。
リンク
はぇ〜すっごい…早くあなたの国の大統領に伝えてくれば?
そんなことは、既に知っているんじゃないかな。
中部地方に核を落とせば航空戦力も壊滅するね
メンテナンスはそこではなくとも出来るのですが…
長崎県佐世保 「え!?」
商船の建造か中国等に流れ、米国内の多くの造船所が廃れてしまい、
造船も、メンテも極一部の米海軍お抱えの造船所でしか行えなくなっていることと、
さらに成果主義の行き過ぎで、造船所含め製造現場の技術継承がなされず、新たな技術者が育たず、新造もメンテも計画通り行かなくなってる点もあるかと。
実は二次大戦直後から米国造船業はガタガタになってるんですよね
40年~50年代に閉鎖・倒産された造船所が大量に有る
元々が一次大戦の時に作りすぎた場所ですし
>因みに、ロシアは
自分たちはもっと酷いでそ…… (  ̄_ ̄)
産業の空洞化が効いている。
造船業も中国、韓国、日本で殆どを占める。
戦車も新規生産をしていない。
あらゆる意味で、厳しい状況だろう。
航空機と無人兵器に頼るしかないか。
日本も危ないよ。
だから政府が金出して国内造船から船を買って商社等に安くリースする会社を設立する方向に動いてる
要は中韓が政治資金注入してダンピングを繰り返すのでこっちも同じことしますよってこと
アメリカでコレ、ロシアがあのザマ、将来の中国はどれ程の惨状を見せるのだろうか?
規模も予算もあんまり変わらなかった海自でも、更新キツいからね(上記よりは確実にマシだが)
今年の春、初めて米軍艦(DDG69 Milius)の整備が横須賀海軍施設外の民間施設(三菱重工業 本牧工場)で行われることがニュースになっていました。
ソースは朝日新聞とあって批判的なトーンでしたが、艦船造修能力に余裕のある日本など同盟国がメンテナンスを行えばwinwinでしょう。
「先進国に友達が多い」ことこそ中国やロシアに対するアメリカのアドバンテージだと、トランプ大統領が早く気づいてくれるといいんですが。
あんなアメリカマンセ〜で思考停止してる大統領が気付く訳がない。
フランスがいなければ揚陸艦だって持てないロシア言う?と思いますが…まあ現実ですからね。
イワンロゴフ級起工したやんけ。
今までまともな空母も揚陸艦も造れた試しないですよね?
まあ完成品見せてもらいましょうかね。
そのロシアがフランスから買おうとしたミストラル級強襲揚陸艦ですが、ウクライナ騒乱の影響でとっくの昔にキャンセルされ、建造中だったロシア向けの2隻は2016年にエジプト海軍へ引き渡されましたよ
そしてロシアは、今年7月に新型の揚陸艦2隻「イワン・ロゴフ」と「ミトロファン・モスカレンコ」をクリミア・ケルチの造船所で起工しています
現代の戦争は軍にとっては勝っても負けても地獄なのかもしれない…(負けたら勿論、勝っても戦争前中の軍拡戦後の軍縮で数十年後に地獄が来る…)
「狡兎死して走狗烹らる」、紀元前から繰り返されてきた歴史ですね。
これだけデジタル化が進んでも、国力を担保する軍事力を支えるのは最終的には自国の工業力、現実に物を産み出す力に他ならないというのは興味深いですね。確かに同盟国間で分業や役割分担は可能ですが、いざ戦争となればそれを完全に頼ることはできません。当然分断や遮断、破壊があり得るのですから。
こうして考えると、トランプ大統領がどこまで見通しているかはわかりませんが、中国の覇権に対抗するためには一見孤立主義にも見えますが、アメリカ・ファーストと産業を呼び戻す、工業力を復活させる方針はどこまでも正しいと感じます。
日本の造船所が暇しているから
米軍のメンテナンスを請け負えばいいのに
在日米軍の艦についてはやってますね。
それ以外の艦も、特に空母をとなるの色々ハードルが高そうです。
横須賀のドライドックで整備ならしてんだけど、原子炉がちょっとね
ニューポートニューズの負荷さえ軽減できればいいので、そこは問題にならないかと。
ただ「ニューポートニューズとリマ『と横浜』を潰せば」となるのを許容しないお花畑さん達が問題かなぁ。
まあ彼らにとっては米海軍と日本企業の健全化なんて不利益でしかないから当然だけど。
戦争をしない限り米海軍の老朽化は止まらない。そのうち艦艇の大半が時代遅れの産廃になる事さえあり得る。この調子だとフォード級四番艦の建造が始まるのは早くても25年以降だろうな。
横須賀に空母入るドックあるんじゃなかったっけ?
アメリカの製造業軽視も原因かな
金融こそ新時代の産業であり製造業など敗戦国にでもやらせておけという風潮が広がり
軍需ですら日本のミサイルシーカー、ドイツの戦車砲、イタリアの銃がガンガン米軍に納入されてそれが良いことだとされていた
流石に軍需は反省して改善したはずだがはたして・・・
アーセナルシップA「空母って金とメンテナンスの時間バカにならないよね」
アーセナルシップC「極超音速ミサイルとかいう物騒なのが出てくるんでしょ?いい的じゃない?」
アーセナルシップB「つか艦隊の象徴は俺たちでよくね?」
韓国「その手があったか!!!」
ロシアはクレムリンを吹き飛ばすだけで国民がこぞってプーチンにそっぽを向くから、試してみ(笑)
独裁なんて倒れるのはあっという間ですよ、
過度のアウトソーシングも考えものだ。
中国に機密を抜かれ続けるのも、民間に依存し過ぎているからではないか。
アメリカの空母10隻体制の背景には、世界展開に必要な数とは別に、造船所やメンテナンス体制の維持に最小限という背景があります
つまり、この問題は先には日本や中国にも降りかかるということ
軍艦、大型艦というジャンルのメンテナンスに必要なインフラをどう維持するのか、その費用にたぶん中国がいちばん悩むことになる
米空母の数の維持については米原潜の数の維持とも結びついてる。即ち核。核兵器・核抑止には金がかかる。
我々一般市民がお金のあるときに車を何台も揃えたり、高い時計買ってもさ、あとから車検やら税金やらメンテナンス費用もついてくるだろ、それをごまかし引き伸ばそうってしててしくじってるよ、とくに不景気になると痛い(笑)
いまは米国がそれに苦しんでて、やがて軍拡を邁進してるチャイナが同じ病に陥るって
造船業も、やがては中韓から別の途上国にシフトして今の日米の状態になるから
情報だのデジタルだけで天下とれるって思い込んでるさんの勘違いを打ちのめすニュースですね
流行やら人気とは別に、人間は飯食って糞を出す、撃たれたら痛いし死ぬ、物はすべて手入れしないと劣化して壊れるという現実の問題をちゃんと考えような