米国関連

米国がウクライナ支援を発表予定、短射程のATACMSや155mm砲弾を供給

米国のPOLITICOは12日「まもなくバイデン政権が3億ドル相当の武器をウクライナに送ると発表する」「このパッケージにはクラスター弾を内包した短射程のATACMSが多数含まれる」「155mm砲弾やHIMARS向けの追加弾薬も含まれている」と報じている。

参考:White House expected to send more ATACMS munitions to Ukraine
参考:Russian Small Diameter Bomb-Like Glide Weapon Appears In Ukraine
参考:US Ukraine supporters advance effort to force House vote on aid

もはや絞り出した感が漂うウクライナへの追加支援、期待された長射程ではなく短射程のATACMSを供給

米国のPOLITICOは12日「まもなくバイデン政権が3億ドル相当の武器をウクライナに送ると発表する」「このパッケージにはクラスター弾を内包した短射程のATACMSが多数含まれる」「155mm砲弾やHIMARS向けの追加弾薬も含まれている」と報じており、このパッケージを送るための資金について国防総省の関係者は「ウクライナ向けの契約で節約された資金を使用した」と述べているため「会計ミスの発覚で返還された資金」を使用したという意味だろう。

出典:Office of Speaker Mike Johnson Public Domain ジョンソン下院議長

但し、国防総省の関係者は「この方法は大統領権限(PDA)によるウクライナ支援の代替手段ではない」と、POLITICOも「このパッケージをウクライナの人々は歓迎するだろうが、これは一時的な解決に過ぎない」と述べており、ウクライナ軍の弾薬不足は下院がブロックしているウクライナ支援資金(総額600億ドル)が解放されないと根本的に解消されない。

因みにウクライナ人ミルブロガーのПолковник ГШは「戦場で回収された正体不明の残骸」を公開して「敵が無誘導爆弾を安価な巡航ミサイルに変換する新しいキットをした」「UMPB D-30SNと呼ばれるシステムは本体と弾頭(FAB-250)が一体化し、慣性航法と衛星航法を備え、恐らくジェットエンジンと燃料タンクが組み込まれている」と言及。

さらに残骸からイメージを作成して「UMPB D-30SNは航空機とタルナードから発射できる」と主張しているが、航空機に吊り下げるための突起部分について「タルナードで使用する際にここをどうするのかという謎が残っている」とも付け加えているため、本当にUMPBがタルナードからの地上発射に対応しているかは不明だ。

UMPBについては米WarZoneも「ロシアの新しい長距離攻撃兵器が戦場に登場したようだ。このシステムは航空機とMLRSからの発射に適している有翼の精密誘導爆弾かもしれない。まだ情報は限られているもののロシアが高価なミサイルに代わる安価な兵器供給に取り組んでいるという証拠だ」「弾頭部分は他から流用されたものかもしれないがシステム自体は専用設計でGBU-39に似たものだろう」と報じており、GLSDBのようにロケットモーターを追加すれば地上発射に対応できると言いたいのかもしれない。

追記:バイデン政権が3億ドル相当のウクライナ支援を発表、サリバン大統領補佐官は「このパッケージにはスティンガー、HIMARS用弾薬、155mm砲弾(クラスター弾頭タイプの砲弾を含む)、105mm砲弾、対戦車誘導ミサイルが含まれている」と明かし、パッケージにATACMSが含まれているかは言及しなかった。

追記:ロイターは12日「民主党がジョンソン下院議長を迂回してウクライナ、イスラエル、台湾への支援(総額950億ドル)を採決するための署名集めを開始した」「この手続きには最低でも下院議員218名分の署名が必要だ」「必要な署名が集まれば法案を強行採決できる」と報じている。

関連記事:長射程タイプのATACMS、バイデン政権がウクライナ提供に取り組んでいる
関連記事:米国のウクライナ支援資金が枯渇、最後となる支援パッケージを年内に発表

 

※アイキャッチ画像の出典:public domain

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コメント

    • 名無しの悪夢
    • 2024年 3月 13日

    アメリカの国防予算8952億ドル
    ウクライナ支援資金600億ドル
    中国の国防予算2361億ドル
    改めて見ると巨額という他ないですねぇ…

    14
    • 暇な人
    • 2024年 3月 13日

    民主党が国境封鎖の予算認めればいいのにそれをあくまで認めないからこうなっている
    選挙で勝てない民主党は不法移民を入れてそれに選挙権を認める事で人種構成を変えようとしている

    21
    • 58式素人
    • 2024年 3月 13日

    GLSDBは意外に使えそうな気がします。
    前線での航空優勢がない時でも、味方の地上襲撃機と同じ効果がありそうな。
    砲兵の制圧射撃とはまた性質の違う形でしょうが。
    贅沢を言うと、終末で最前線にコントロールが渡されると良いですね。
    うまく転ぶと、言うところの”極限着弾”が実現出来そうな気がします。
    終末誘導は、最前線の砲兵観測員にお願いする形になるのでしょうか。

    6
      • jimama
      • 2024年 3月 13日

      >>終末誘導
      安直な気もしますけど、それこそドローンがやるようになる気がします
      カメラ付きで大体のアタリをつけて
      レーザー付きで照準と
      というかロシアもウクライナも近いことはもうやってるか

      1
        • 58式素人
        • 2024年 3月 13日

        GLSDBのGBU-39の弾頭炸薬量は23kgだそうです。
        弾頭全体で93kgの貫通・爆散破片弾(炸薬含み)だそうです。
        弾体の運動エネルギーも期待できますし。
        威力を考えると、現状のFPVドローンで代替は無理でしょうか。
        将来は判りませんが。急降下爆撃のできるドローンができるかな。

        1
      • Whiskey Dick
      • 2024年 3月 13日

      航空機(有人若しくはドローン)は偵察と目標補足のセンサーに徹して、火力投射手段は車両若しくは艦船で行うといった役割の分離が今後増えるかもしれません。この方式だと射程は地上発射型ミサイルに依存するため空襲ほどのオンデマンドは期待できないが、航空機に直接兵装を搭載するより大きな火力投射が可能です。
      GLSDBは射程150kmあるので、もう少し射程の長いものを用意できれば航空機を危険に晒すことなくSEAD任務が可能になる。(最近ウクライナのパトリオットシステムが被害を受けたが、これも上空から発見して短距離弾道ミサイルで止めを刺したと思われる、ロシア式の新しいSEAD手段なのでしょう)

      • nachteule
      • 2024年 3月 13日

       GLSDB自体、航空戦力に頼れない所向けで使用を想定していた筈なんで開発コンセプトズバリでしかないような気がする

       それに元が精密誘導で威力を限定して建造物や車両等を狙う爆弾なのだから極限着弾みたいな状態で使う爆弾では無いでしょう。
       通常の砲弾や爆弾みたいに破片による被害を狙うものでは無いし、本来の使い方である陣地に対して使うにしても近くに接近した上で使うよりはドローンで偵察した上でポイント指定すれば良いだけでしかありません。

    • たむごん
    • 2024年 3月 13日

    シンプルに、滑空誘導爆弾よりも射程が延びる事を理解しました。
    コストや射程・戦闘機以外からも発射できるのかが気になっています。

    前線からの距離に余裕ができれば、対空ミサイルによる迎撃リスクを減らす事になります。

    滑空誘導爆弾の投下は、対空ミサイルの射程内(前線配備)に入りますから、爆弾投下前・離脱時の高速により、機体寿命減少・航続距離減少・エンジンへの負荷なども考えられます。

    1
    • たむごん
    • 2024年 3月 13日

    シンプルに、滑空誘導爆弾よりも射程が延びる事を理解しました。
    コストや射程・戦闘機以外からも発射できるのかが気になっています。

    前線からの距離に余裕ができれば、対空ミサイルによる迎撃リスクを減らす事になります。

    滑空誘導爆弾の投下は、対空ミサイルの射程内(前線配備)に入りますから、爆弾投下前・離脱時の高速により、機体寿命減少・航続距離減少・エンジンへの負荷なども考えられます。

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