米空軍とロッキード・マーティンはF-16V(Block70/72)の新造機需要の高まりを受けて同機の製造ラインを増設すると発表したが、これ受けて米空軍協会が発行するAir Force MagazineはF-16は2060年代まで空を飛んでいるかもしれないと報じている。
参考:F-16s Could Still be Flying Into the 2070s
米空軍がF-16C/Dを2035年まで維持することを予定しているため海外の顧客に安心感が広がっている
ロッキード・マーティンはサウスカロライナ州グリーンビルにある新工場にF-16の製造やアップグレード作業を移転(2019年稼働開始)、年間48機体制で各国の需要(新規製造128機/アップグレード405機分)に対応中で受注済みの128機に関しては2026年までに台湾、バーレーン、モロッコ、スロバキア、ブルガリアの顧客に引き渡されると予想しているが、米空軍が2035年まで600機ものF-16C/Dを運用し続けることを明かしたため海外の顧客に安心感が広がっているらしい。
米空軍は比較的新しい部類に属するブロック40以降のF-16C/D×約600機を2035年頃から新型のマルチロール戦闘機「MR-X」で更新する計画を議会を提案する予定で、このMR-Xはハイエンドなミッション以外を手頃な価格で遂行可能な戦闘機だと説明しているが、MR-Xの役割をF-35Aが果たす可能性も残されている=つまりF-35Aが運用コストを「大幅に引き下げる」ことが出来た場合にのみF-16C/Dの更新をF-35Aで行う可能性にも言及している。
今のところF-16C/DをMR-Xで更新することになるのかF-35Aで更新することになるのかは謎だが、この計画は同機最大の顧客「米空軍」が600機ものF-16C/Dを今後15年運用することを保証しているため、先日発表されたF-16V(Block70/72)製造ラインの増設と合わせると同機の運用に欠かせないスペアパーツの供給やサポート体制が今後も十分な規模で維持されるだろうとの観測に繋がり、F-16を運用する海外顧客に安心感を与えているというのが米空軍協会が発行するAir Force Magazineの主張だ。
つまりF-16導入国は今後も安心して同機の運用を継続していくことができると判断し、F-16Vの新規購入を検討している国にも好影響を与えるのは確実でロッキード・マーティンはF-16に関する300機もの追加発注を見込んでいるらしい。
特にインドへ提案しているF-16の高度な派生型「F-21」は1万2,000時間(約32年間の運用を保証)もの耐久年数を備えているため「F-16は2060年代まで空を飛んでいるかもしれない」と予測しているのだが、前政権とは異なる武器輸出のポリシーを掲げるバイデン政権に変わってからF-35AやF-16Vと競合するフランス製の戦闘機「ラファール」の販売が伸びており、両者が直接対決したクロアチア空軍の次期戦闘機選定でもF-16Vはラファールに敗れている。
さらにロッキード・マーティンが期待を寄せているインド需要はロシア製防空システム「S-400」導入によって御破算になる可能性が高くなっており、米空軍やロッキード・マーティンの期待通りF-16が売れ続けると予測するのは危険かもしれない。
米国はS-400導入を強行したトルコに制裁を発動しており、バイデン政権もインドに「S-400導入を強硬すれば敵対者に対する制裁措置法(CAATSA)に基づく制裁を実施する」と再三警告しているがインドは「独自の外交政策と独自のニーズに基づいて安全保障上の決定を下すため米国の圧力には屈しない」と主張してS-400導入を断念する気はサラサラ無い。
ロシアもS-400の年内引渡しに何度も言及しており「もはやCAATSA発動は避けられない」との見方が強く、この辺りの事情が改善されない限りF-21のインド導入は難しいだろう。
まぁF-16導入国やF-16V発注国にすればロッキード・マーティンの皮算用よりも米空軍が2035年までF-16C/Dを維持することを発表したことの方が重要で、世界各国に点在するF-16のサポートを請け負う企業は当分仕事に困らないはずだ。
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※アイキャッチ画像の出典:ロッキード・マーティンが公開したYouTube動画のスクリーンショット F-21
F-2も2060年代まで飛ぶって事か?もしかして……
古いF16の耐用年数が伸びる訳ではないよ
そもF2は別物です.
殆ど共通点が無いので関係ないです
残念ながら無理、独自構造に拘ったせいで肝心な主翼が別物な上に防衛省がアップグレードを諦めてる。
そのうち航空戦力が整うか削減されたら偵察機に格下げされて基地の片隅で余生を過ごすんじゃない?
その前にF-3に置き換わるからそれはない
F-16とF-2に関係は無し
ただしF-15JSIやF-3(仮)次第では、独自に延命改修を行って運用寿命を延ばす可能性は有る
F-2の主翼構造材の調達が予算に載っていますし
それは朗報。F-15の改修も全く順調じゃないし、F-2には暫く頑張ってもらいたい
これから納入する(つもりの)最新型であるF-21は
耐用年数が長いから、って話のどこをどういじくったら
F-2の運用期間が延びる話になるんだ…
定数の縛りが現状のままだと、F-3の整備がF-2と置き換えな形態で進むので、﹙F-3の計画でデジャス級の開発遅延が起きた場合は別ですが﹚その可能性は乏しいですね。
仮に起きた場合、日本もインド時空間に飲み込まれているか、或いは周辺環境が定数の縛り破棄を強いるような状況なのか、
どちらにしろ非常にヤバい事態になっている筈なので、無いことを祈ります。
インドに提案してる新規を限界まで使ったらって想定か。
まぁ、さすがにその頃はインドだってもっと金もあるだろうし、飛んでないでしょう流石に。
いくらインド時空でもその頃には国産戦闘機が飛んでるだろうに
飛んでるよね…?
ポメラだかよりテジャスの方がちゃんとしてそう.
1960年に運用開始された機体を2020年まで実戦部隊に配備してた世界有数の経済大国がありましてね
日本っていうんですけど
え?
その国20年以上前に準国産戦闘機を開発・配備してませんでしたっけ?
F-2の生産を継続して、ファントム爺さんを1飛行隊でも更新してれば
色々と捗ったのになぁ…
>F-2の生産を継続して、ファントム爺さんを1飛行隊でも更新してれば
ラスボスの大蔵省なり財務省なりが、大盤振る舞いしてくれるような世界線が必要ですね。
日本が戦争に突入しているのではないでしょうか?、その世界。
何十年か前の政治家が9条とか諸々の改憲を決断した世界かな?
なお現実はそこまでいかなかった模様
こんなに言われてんならF-16を防衛省が買うかも?
それでも1995年時点の予定130機よりは全然少ないよ?
当時は戦争中どころか冷戦すら終結して
中国の脅威も今とは比べ物にならなかったんですが?
むしろ貴方がどんな世界線からやってきた観測者なのかが気になります。
>それでも1995年時点の予定130機よりは全然少ないよ?
現実より単純に1飛行隊分多いだけでなく、その世界線は現実世界よりF-2のニーズが高く、当然予備機など削られた分も無いというか、寧ろ増大しているものと解釈していました。
F-4後継という、F-1/T-2系統の後釜以上の枠も獲得出来る訳ですから。
現実のF-2は、比較的逆風な予算環境にあったとの認識でいます。
そんな環境では飛行隊の純増など望めない、
では現実と逆でF-2整備にとって追い風な予算環境なのだろう、と解釈してのコメントでした。
上のを書いた後、ふと思ったのですが、想定されてたのは現実より牧歌的な世界線で、
・F-2の当初の配備は現実と同程度﹙調達中止が無い分少し増える﹚
・第4次F-Xの候補としてF-2かF-2要撃型があがり、F-35などの候補を破ってF-4後継の枠を確保
といった感じのケースでしょうか?
そちらのケースは、指摘があるまで念頭になかったです。
F-16Vの開発資金を一部提供した台湾に先見の明があったか…w
ゼネラル・ダイナミクスさんなんでF-16売っちゃったの
面白そうだからググって見たら、1990年に力のある筆頭株主が亡くなったらCEOが不採算部門の売却を行い、セスナやミサイル製造部門、宇宙システム部門、コンベア部門etc…のうちの一つだね
後にガルフストリーム社を買収して航空機部門に復帰とか
10年後にはさらなるアップデートで「F-16Z」みたいな名前になってたりして
そうなったら、その次は「ZZ」かもw
?「F-16かなぁ?いや、違う。違うな。F-16はもっとこう…バァーッて動くもんな!」
?「もうちょっとだけ続くんじゃぞ」
精神崩壊してるやんw
zzなのかGTなのか。
60年代までF-16を延命させるとか言ってるが、すでに初飛行してるっていう新型機はどうなってるんだ。
新型機が有望ならF-15/16/18は不必要になるはずなんだが。
NGADはF-22しか代替しないのでそうはならない
2060年代には世界の空は今と変わっている(安価なステルス機が出回っているか、無人機主流になっている)可能性が高いので、時代遅れが過ぎるF-16が飛び続けるのは難しいでしょう。ドーントレスが現在の空を飛ぶようなものです。