ロシア人ミルブロガーが運営するRYBARはアウディーイウカ方面について「ロシア軍がステポヴェを支配しラストシュネを制圧した」「シュベルネも制圧している可能性がある」と報告、ウクライナ人が運営するDEEP STATEも24日「ロシア軍によるラストシュネ制圧」を認めた。
参考:Хроника специальной военной операции За 23 февраля 2024 года
参考:Битва за Авдеевку: взятие Ласточкино и зачистка Северного обстановка по состоянию на 19:00 24 февраля 2024 года
参考:Мапу оновлено!
予定された後退か押し切られているのか不明なものの、ロシア軍は前進を続けるアウディーイウカ方面の戦い
アウディーイウカを巡る戦いは「ウクライナ軍の撤退」という形で決着がついたが、ロシア軍はアウディーイウカ西郊外のラストシュネキ方向に緩衝地帯を広げるつもりで、ウクライナ人が運営するDEEP STATEもロシア人ミルブロガーが運営するRYBARも「ロシア軍がラストシュネキ方向に前進した」と報告。
DEEP STATEは23日「ロシア軍がコークス工場付近で支配地域を広げた」「ロシア軍がシェベルネ方向に前進した」と、RYBARも「ロシア軍がシェベルネ方向に前進した」と報告していたが、アウディーイウカ西郊外の状況はどんどん悪化している。
RYBARは23日~24日の報告の中で「ウクライナ軍がエイブラムスの映像を公開してロシア軍のステポヴェ支配が確認された」「ウクライナ軍兵士がラストシュネからオルリフカ方向に撤退する様子が確認された」「集落をロシア軍が支配している映像も登場した」「第1独立親衛自動車化狙撃旅団(第1スラブ旅団)によるシュベルネ制圧の報告が多数あるものの確証はない」「ラストシュネでの前進を考えればシュベルネ周辺の状況は悪化しているためシェベルネを制圧していても不思議ではない」と報告。
RYBARが言及した「ウクライナ軍がエイブラムスの映像を公開してロシア軍のステポヴェ支配が確認された」という下りは「第47機械化旅団が23日に公開したエイブラムスの映像」のことで、初めて戦場に投入されたエイブラムスは「ベルディチ集落の東郊外=Ⓐ」から「ステポヴェ集落内のロシア軍陣地」を攻撃しているため「ステポヴェ集落内にウクライナ軍の足場はない」という意味だが、DEEP STATEは24日に更新した戦況マップの中で「ロシア軍によるステポヴェ制圧」を認めていない。
逆にDEEP STATEは「ウクライナ軍がロシア軍の装甲車輌を破壊する映像」が「オルリフカとコークス工場の中間地点=Ⓑ」で登場したため「グレーゾーンとロシア軍の支配地域がオルリフカに拡大した」と、ラストシュネ方向でも「まとまった数のウクライナ軍兵士が徒歩でラストシュネからオルリフカに向かっているロシア側の映像=Ⓒ」「ラストシュネ集落内=Ⓓでロシア国旗が掲げられた映像」「ラストシュネ集落内で大統領旗をもつロシア軍兵士の映像(位置不明)」が登場したため「ロシア軍がラストシュネを制圧した」と報告。
— EjShahid (@EjShahid) February 23, 2024
DEEP STATEは「ロシア軍によるシェベルネ制圧」を認めていないが、ラストシュネ南郊外でのロシア軍前進を報告しているためシェベルネを失うのは時間の問題だろう。
※念のためですが「視覚的証拠の記号」は記事内で言及した映像や画像にリンクしている仕様です。
関連記事:アウディーイウカ方面の戦い、ロシア軍が3km以上前進してシュベルネに侵入
関連記事:侵攻726日目、アウディーイウカ制圧後も各方面でロシア軍の前進が続く
※アイキャッチ画像の出典:Операция Z: Военкоры Русской Весны
展開が早いですが、アウディーイウカ陥落時と違い、捕虜動画が出てこない事、ロシア情報源でも撃破報告が小隊クラスと小規模である事から、恐らく計画立てて段階的に撤退しているものと考えられます。
動画が出てきたエイブラムスも発砲しまくった後、元いた場所に帰っていったので、遅滞防御の一貫ではないでしょうか。
そうなると、ウクライナが何処を防衛ラインとして設定しているかが気になってきます。
実質的に間接火力の投射ぐらいで、歩兵間の戦闘はほとんど起きていないだろうと思います。
恒例の記念写真の背景の建物がこれほど綺麗に残ってるのは、この戦争ではとても珍しく。
実質的にほとんど何の戦闘も無かったのではないかと、単にウクライナ軍が組織的に撤退してそこにロシア軍が入っただけではないかと思いますね。
コークス工場から砲弾が届いてしまうラストシュネキの維持はどだい不可能ですし、ラストシュネキが制圧されれば南北から挟撃されるシェベルネも維持は無理でしょう。
ステポヴェ・ラストシュネキ・シェベルネを放棄しての撤退は既定路線として、ベルディチ・オルリフカ・トネネキーに防衛ラインを設けるつもりなのか、それとも、もっと退いてアウディーイウカ近郊から離れるのか。
低地にあるこれらの集落は守るには難しく、高台のオケレタインに守りを集中させたほうがよいと思いますが、さて。
アウディーイウカが陥落してからの戦線の動きの早さを考えると、この街がどれだけ戦略的に重要であったか、それを失ったウクライナにとってはどれほどの大打撃だったのかというのが改めて良く分かりますね
加えて南部戦線においてもロシア軍がロボティネの奥深くまで浸透して集落の半分が既に制圧されたという情報も出てきており、この辺りには2個機械化旅団とウクライナ空中機動軍で最強と謳われる第82独立空中強襲旅団が展開していた筈なのですが、それでも後退を強いられているとなると損耗や砲弾不足がやはり相当に深刻なのかなと
個人的にはクリンキーで未だに消耗を続けている3個海兵旅団とその後方で待機している1個海兵旅団全てにクリヴィー・リフに駐留する1個戦車旅団、キエフ防衛戦力として置かれている1個猟兵旅団と5個機械化旅団のうち幾つかを引き抜いて南部戦線や東部戦線の補強として送ることはできないのかなと考えてしまいますな
特にキエフは可能性が低いとはいえ万が一を考えると防衛兵力の必要性は理解できますが、今の危機的な状況を考えると2~3個機械化旅団は引き抜いて増援として投入した方が良いのではないかと思ってしまいますね
キエフ防衛軍はロシアの侵攻よりクーデターを警戒してんじゃないの?
アウディーイウカでウクライナ貴重な人的資源を消費したのもありますが、ロシアはアウディーイウカを手に入れた事で、ドネツク市が後方の補給拠点として機能し始めましたしね。
半年かけて取ったロボティネが二ヶ月で取り返されそうになってるので色々言われそうな気もしますけど、それよりあの辺って防護陣地本格的なの無いだろうから攻勢開始前のラインまで押し戻されそうな気が。
そうなると貴重な人や兵器、弾薬、時間やらを消費して、得たものは何も無いとかに…。
夏の攻勢では、ロボティネの集落自体は二ヶ月と少しで陥落していましたよ。
得たものについては…ロシア軍はウクライナ軍の攻勢を相当警戒していたので、他戦線での攻勢を遅らせる効果はあったと思います。
失った兵力と釣り合うとは思いませんが…。
見せてもらおうか
M1A1エイブラムスの実力とやらを
冬の雪の中で戦うアメリカ戦車というと、昔見たアメリカ戦車映画、
「フュ―リー」
を思い出します。上から見た十字路が十字架みたいに見えたりして・・。あと
「ホワイトタイガー」
というナチスの怨念が宿った戦車の映画も思いだします。そういえばジオン軍もネオナチみたいでしたが。栄光あれとか。
そもそもガンダムの元ネタはハイラインの「月は無慈悲な夜の女王」ですよ
地球連邦政府から月が独立に成功するが、事実上の指導者が演説中に発作で死ぬ
つまりこの作品の「続き」を描いたのがガンダム
ちなみにビルゲイツの「マイクロソフト」の元ネタはこの小説のAI、スーパーコンピューターの名前であり
さらにその元ネタはシャーロック=ホームズの兄マイクロソフト=ホームズである
シャーロックより頭が良い設定で、つまり作者より頭が良い存在なのであまり登場しないが
大変興味深い話をありがとうございます。
ホームズの兄については昨年NHKで放送されていたシャーロックホームズで出てきて
「誰なんだよこの爺さん」と思ってるところに、別視点でシャーロックが「さすが兄さん、見事です」と言うエピソードがあり、楽しんだ覚えがあります、彼マイクロフトという名前だったんですね。
と言っても、調べてみると英語ではマイクロソフトとだいぶ綴りが違うようで俗説や勘違いのように言われてるようですが、スターウォーズのキャラクターデザインも日本の特撮に影響されたという監督自身の話もあるようなので
本人から実際どこでインスピレーションを得たか語られることはなくとも、こういう話のネタはかなり好きです。
なるほど、ハイラインの
「月は無慈悲な夜の女王」
面白そうなので買って読んでみます。
スターウォーズは黒澤明の
「隠し砦の三悪人」
だとか、デススターへの突入は深作欣二の
「宇宙からのメッセージ」
という説もあります。
ザクとは違うのだよ!ザクとは
ドネツク州のアウディーイウカ附近に挺進せる部隊は、寡兵克く敵の執拗なる反撃を撃攘しつゝありしが、其の任務を終了せしに依り、2月下旬陣地を撤し、他に転進せしめられたり。
第110独立機械化旅団が半年以内に前線に姿を現したらそういうことになるでしょうね。壊滅していたはずなんだから。
ウクライナ軍は、弾薬と兵士が不足していますからね。
ウクライナ軍が、防衛・撤退、判断を間違えれば、抵抗力がさらに弱くなるため、本当に難しい判断になりますね。
後方防衛線の強度、管理人様の記事を拝見して(陣地構築が対ドローンに対応していないなど)、かなり気になっています。
ウクライナ軍陣地について、管理人様の過去記事、考察が分かりやすいので追記します。
>ロシア軍の陣地に対するプローチは『砲撃による面制圧』から『FPVドローンを使用して兵士を直接狙う制圧』に変化
>夏の間に強化された防衛陣地を整備していれば「FPVドローンの効果」を軽減できていたのに、これが全くないのは怠慢としか言いようがない。DEEP STATEは軍の様々な部署と言葉を交わす機会があったが、誰も防衛陣地に関する技術的トレーニングに興味を示さなかった
(2024.02.15 ロシア軍がバフムートで成功した理由、FPVドローンの大量使用と防衛陣地の欠如 航空万能論)