スバトボ方面の状況はウクライナ側とロシア側で食い違いを見せていたが、視覚的な証拠が登場して答え合わせが可能なり、ウクライナ軍はノボエホリフカを奪還し、カルマジ二フカ付近でもロシア軍をゼレベツ川近くまで押し戻している可能性が高い。
ロシア軍はノボセリブケを制圧した可能性が高いが、ゼレベツ川を渡河した攻勢はロシア人情報源を主張するほど上手く行っていない
スバトボ方面について複数のロシア側情報源は「ナディア、ノボエホリフカ、セルヒフカをロシア軍が保持している」と、ウクライナ側情報源は「ナディアを奪還し、ノボエホリフカの一部からロシア軍を追い出した」と、どちらの陣営でもない情報源は「ウクライナ軍が反撃を開始してノボエホリフカを完全に解放した。さらにナディア郊外にもウクライナ軍が迫っている」と報告していたが、視覚的な証拠が登場して答え合わせが可能になった。
カルマジ二フカに近いゼレベツ川の対岸にあるロシア軍の橋頭堡=ⒶⒷまで前進してきたウクライナ軍部隊を砲撃するロシア軍の様子、ノボエホリフカの西外れ=Ⓒにあるウクライナ陣地を砲撃するロシア軍の様子、ナディア付近=Ⓓのウクライナ陣地を砲撃するロシア軍の様子が確認されており、少なくともロシア軍はノボエホリフカの集落内から追い出され、カルマジ二フカ付近でもウクライナ軍に押し戻された可能性が高い。
ナディアの状況を示す視覚的証拠はないので集落をどちらが支配しているのかは謎だが、どうやらゼレベツ川を渡河したロシア軍の攻勢はロシア人情報源を主張するほど上手く行っておらず、戦果を誇張していたのだろう。
ロシア軍の支配地域と考えられていたステルマキフカ周辺のⒺでもロシア軍の徘徊型ドローンがウクライナ軍陣地を攻撃しており、この地域でもウクライナ軍がポジションを改善した可能性が高いが、両軍が激しく支配権を争っていたノボセリブケでは集落端=Ⓕのウクライナ軍兵士を排除する動画が登場、この集落の支配権をウクライナ軍は失っていると考えるのが妥当だ。
Росіяни атакували Хмельниччину ракетами.
Виникла пожежа складу відходів кукурудзи на території зернового елеватора у місті Старокостянтинів.
У результаті вибуху травми отримав працівник об’єкта.
Рятувальники ліквідували загоряння складу на площі 1400 кв.м. pic.twitter.com/FB2MCSF9Z2
— МВС України (@MVS_UA) August 6, 2023
因みにウクライナ内務省は6日「ロシア軍のミサイル攻撃でフメリニツキー州スタロコスティアニティヴの穀物施設が炎上している」と発表し、ウクライナ人消防士が穀物施設の消火活動を行う様子を公開したが、ロシア人達は「スタロコスティアニティヴ空軍基地に対する攻撃結果の映像だ」という異なる説明つけて映像を拡散しており、これもロシア人にとっては「愛国的な日常作業」なのでSNS上で情報を拾う際には十分気をつけてほしい。
追記:ロシア側情報源は事実に嘘を織り交ぜてくるものの「価値のない情報源」という意味ではないので注意してほしい。勿論、航空万能論の情報も「管理人の偏った見方」が含まれているので、他の観測者が公開している情報と合わせて見ることをお勧めする。
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※アイキャッチ画像の出典:Сухопутні війська ЗС України
多少の動きはあるものの、どちらも決定的な結果は出せずって感じでしょうか。ウクライナ側から南部で一次防衛線を突破したという発表もありますが詳細は出てこず、ここ1週間は全体的に膠着してる印象です。
結局のところ、援助に疲れた欧米が段々とウクライナ支援から手を引き、残った支援国にも高価な装備orウクライナの事情を優先しろ!とがめつく要求して怒らせた挙句、ロシアに徐々に押し返されて国土を3、4割程度失った状態で停戦するって未来が見えるんだよなぁ。
希望的で楽観的な観測以外、ウクライナが巻き返せる未来が見えない。
ロシアは停戦条件を提示していないので、そのシナリオの場合だとウクライナは国土の3・4割どころか全土を征服されて無条件降伏しか有り得ないですよ
そして、それで戦争は終わりでは無く、ウクライナ征服に味を占めたプーチンは「この戦争でウクライナを扇動した諸侯苦に対して報復する」と呼号して総動員を発令し、バルト三国やポーランドへ侵攻する未来が見えますが?
そうなると度重なる援助で弾薬備蓄を消耗したNATO諸国は戦時体制を整えたロシアに対してロクな抵抗が出来ず、下手をするとベルリンまで失うかも知れません
文中の語句が間違っていたので訂正
誤:ウクライナを扇動した諸侯苦→正:ウクライナを扇動した諸国
失礼しました
NATOの軍事援助が芳しくないのは、ある意味でウクライナは他人事であるからであって、いざNATOに戦火が及ぶとなれば平時体制から戦時体制に移行するのではないでしょうか。
そしてロシアの戦時体制にNATOの平時体制の武器供給量が追いついていないだけであって、経済力的には同じ割合の資金を戦時体制として投入するのであれば、経済力に勝るNATOが兵器生産力が上回るはずです。
…工場さえあればですが。
そもそも兵器を作る工場がなければ、ゲームのように1日で建築完了するものではないので、間に合わないかもしれませんね。
とは言え、プーチンもNATOに喧嘩を売るほどではないとは思うので、最悪でもウクライナ全土占領で止まるとは思います
今の時点じゃどうか知らんがロシアが領土をかなり失ったタイミングだったかでプーチン大統領自身が「今考えれば(ブチャの虐殺が発覚する前の)あの条件は検討するに値した」とか言ってたと思うし提示してないは流石にないのでは?
良く分からないけどたかが格下のウクライナにこれだけ苦労してやっているのに格上のNATO相手にケンカ売るメリットって何よ。制限だらけのウクライナイナに渡してない兵器なんて幾らでもあるし策源地であるロシア本国への攻撃とか補給地への攻撃なんかウクライナ単独の比じゃないぞ。
キエフは三日で陥落する筈だったね
余りにも甘過ぎる上に都合良すぎる見立て、本気で言ってるならギャグのセンスが無さすぎる
戦況に1ミリも関係ない個人の感想文を書くところではないですよこのコメ欄は
記事に関する感想も駄目なんですか???
同意です。なお、コメントに関する感想ですが、意見には心の中に留めておくべき物、他者に表明して有意義な物があると思うので、そこで判断したら良いのではないでしょうか。
そもそも支援は善意や救恤で成立しているかというと怪しいものがあるんで
ポーランドとかイギリスとかはロシアがウクライナを吸収したらヤバすぎるから支援している面が大きい
ウクライナへの支援を打ち切っても構わないと言う人たちには,ウクライナが今の前線を維持して停戦できると考えている人がいるようですが,ウクライナの現政権や高官が抵抗しなくなってしまう,亡命してしまうというリスクを過小評価している気がします。ウクライナが緩衝地帯になる保証は全くないんですよねえ。
私も同意見ですね
「ウクライナへの支援を切る」というシナリオはありえないと思います。
そんな事をすればウクライナはまたロシアに靡きますよ。
ウクライナという国を甘く見過ぎではいけません。
ウクライナがロシア陣営からEU側へと靡いたのは何も民主主義の精神に感銘したからではなく(それは戦時中でも繰り返される汚職が証明している)
EUに靡いた方が美味しい思いができるからに他なりませんよ。
それができないと分かれば、良くて東欧の爆弾になるか、常道的に考えればまたロシアに靡くでしょう。
そんなことは欧米諸国も分かりきってると思います。
ウクライナという国を西欧側に繋ぎ止めるという選択をした時点で、ウクライナに対して永遠に輸血を行い続けるという選択からは逃れられないのですよ。
どうでしょうね? 政策の決定は、達成すべき目標を見据えて為される物です。
態度がどうとかの気分論とは馴染まない次元の事柄ではあります。
まあ戦局が膠着したところで38度線よろしく東西分割で成り行き停戦が現実的なラインではないでしょうか。
現状ではロシア軍がウクライナ全土を制圧する力は無いがウクライナ軍もロシアを追い出す程の力も無いことは分かりきっていることかと思います。
指揮系統がしっかりしていて情報が統率された軍隊には意味ないと思いますが、指揮系統が混乱していてSNSから小隊単位が情報を得ているような場合、戦果を過大に言いふらすのって案外効いたりしそうですね。
昨年のハリコフ反抗でロシア軍が重装備の破壊措置すらせずの逃げ出したのって、ウクライナがあえて拡大した戦果発表することで、包囲されると思って我先にロシア兵が逃げ出したのではないでしょうか。
逆にその真似をしようとして、今回ロシア側がOSINTも利用して組織的に戦果を過大発表し、ウクライナ防衛線を混乱・撤退させようとしていたのかもしれません。
たかがSNSですが、動員兵多数の今回の戦争の場合、割と撹乱情報が効きそうです。
比較的最近のアメリカ世論調査でもウクライナ支援の支持率は7割を超えており、特に支援疲れの兆候は見られませんね。
つい先日のCNNによる調査では、ウクライナへの追加支援について反対が遂に50%を超えてしまっています(55%)
落ち着きつつあるとはいえ長引くインフレに対する不満と明確な結果の出ない反攻作戦は、懸念されていたようにアメリカ世論を徐々に支援から手を引く方向に変えてしまっているように思えます
いつまでもウクライナへの軍事支援が続くと考えるのは危険ではないでしょうか
7月のNATO首脳会議でこれからもウクライナ支援は強く継続していくという共同宣言がされているので、世論とは関係なく支援はほぼ行われる可能性が高いと思います。世論は無視できないと言われますけど、NATOでの活動は安全保障に直接関わることでもっと無視できない事柄なので。
アメリカがもしトランプ大統領になってしまったら危ないかもしれないけど、バイデン大統領が続投になればほぼ確実に支援は継続されると思う。
確かに世論の影響は無視できませんが、アメリカ以外の国の総選挙は来年以降なんですよね。
インフレは頭の痛い問題ですが、戦争を止めさせたからと言ってすぐに収まるものでもなく、選挙においては「敗戦した」という印象の方がネガティブに働く可能性が高いです。
未だ、両軍の戦力比は機動戦の現出を許さない拮抗状態のようです。
相手がよほど過疎でないと、開豁地に出た攻撃部隊は迅速に指向される各種火力に捕捉されますし、両軍とも敵火力からの分散の必要から攻撃部隊を小単位に分割する傾向が続いているので、配属の兵站部隊もそれに従って縮小し、必然的に攻撃の持続力が失われます。
ウクライナ軍のバラクレヤ突破時は、初期突破の正面で部隊数で6:1以上のの優勢、ロシアの既設陣地は最前線の拠点の周囲のみ、という条件で、今回のスバボ戦線はそこまでの戦力比にはなっていませんでしたし。
>愛国的な日常作業
まぁ、昨年来からの、ロシア人系情報源の誇張と先走りには慣れっこなので(笑)
スバトボ方面の戦況は、
スバトボ方面は、ロシア軍はそれほど大きな兵力ではないのではないか。(ロシア軍の総兵力の配分からみても)
たまたまウクライナ軍が薄かったから最初わりに進んだが、ウクライナ軍が増援されたら押しもどされたのでは。
最後の方で管理人さんが、ロシア側の情報について述べたことについては、
ロシア側の情報は、ブロガーなども多く自由勝手に発信していて玉石混淆だから、取捨選択が大事なのだろうと思う。例えば、プーチンや軍の作戦を批判しているものも、過度に応援しているものも、過剰反応しているものもあると思う。
ウクライナ側は、わりと情報統制がきびしいと思う。例えば、ロシア側のミサイル攻撃をベランダからとった動画を投稿しても、まずいことになるようだし。
現状のロシア軍の戦果と予想されてる戦力規模に大きな乖離があるなと反転攻勢後のドネツク北東部の状況を見ていて思いました。
もしかすると、他の方が指摘もしてますが10〜15万人程いる戦力は実際には数分の1レベルか、存在するとされる第1親衛戦車軍は少なくとも同地域には存在しないのかもしれません。
兵士が足りてないと最近ロシア側が言われてる中で、ずっと部隊を遊ばせるとも考えにくく、南部の方が進撃が進んでる事から北部の部隊が引き抜かれたのか、それともロシア国内で本格的な訓練を受けてるのか……
自分の考えを証明できる材料を自分が持っていないので全く説得力はありませんが……
この方面に10万を超える露軍がいるとの情報はウ軍の側から言い出した記憶がありますが、別の情報源による補完があるのかは気になりますね。
ウ軍側の反攻が始まってそこまで経っていない時期だったこともあり、当初から実数が疑われていた戦線ですが、実際はどうなのやら。
ウクライナ軍東部方面部隊のチェレバティ報道官は7月17日、ロシアが兵士10万人あまりをハルキウ州クピャンスク一帯に集結させ、ウクライナの守備の突破を図っていると明らかにした。
チェレバティ氏は
「敵はリマン―クピャンスク方面に非常に強力なグループを集結させ、人員10万人超、戦車900両超、多連装ロケット砲370基超を投入している」
と説明。というのですね。
あるいはウクライナ軍の言う通りに大軍が集結していても、それがすぐに攻撃に使われるとは限らず、またこれから攻撃してこないとも限りません。しかしロシア軍は予備役を動員していることから、この戦線に10万人くらいいても別に不思議ではありません。
どっちにしても、支援が縮小されそうなウクライナ軍にとって有利な状況ではありません。
所在不明で、現在ロシア軍側唯一の有望な戦線突破戦力・切り札とされる「第1親衛戦車軍」といっても、大規模攻勢作戦なんてまず無理な話だと思います。
まとまった部隊規模で集結すれば、すぐに米軍偵察衛星に捕捉され、まず集結地をハイマースで叩かれて、無理矢理攻勢に出たところで、たちまちウクライナ側のドローン攻撃・精密誘導砲弾・地雷原・ジャベリンetcの餌食にされ大損害受けるだけかと。
ロシア側もそれはわかってるでしょうから、精々自軍支配地域内での限定的な機動打撃、みたいな防勢任務くらいにしか使えないでしょう。
もっとも、ただでさえ苦しい諸方面の前線陣地守備隊からの戦車寄こせの矢の催促で、至る所小出しに配属出してるうちに、「第1親衛戦車軍」自体が既に消えてなくなってる可能性もなきにしもあらずですが。
返信ありがとうございます。
単に大規模で行動できないとするなら、例えば南部の防衛のために第1親衛戦車軍の一部がスポット支援的な運用があると思うので、個人的にはずっとロシアなのか、いつも言われる北東部かは分かりませんが訓練してるのでは?と考えています。
そんな根拠もないからあれですが、第1親衛戦車軍の主力をなしてた第4親衛戦車師団は昨年のハルキウ戦で大きな損害を出しており、再建には数年との説もありました。
そのため、再度精鋭を作るためには時間を取っているのかなと。
ロシア軍の訓練状況が分かればなんてこともないのでしょうが、侵攻始まってからは陸軍はてんで分からなくなりましたね