バフムート方面では先週、第3突撃旅団によってロシア軍の機械化部隊が殲滅されたのを視覚的に確認したが、今度はクリシェイフカの高台を奪還するため投入されたロシア軍の機械化部隊がウクライナ軍に殲滅される様子が登場した。
ここまで来るとロシア軍の砲兵レーダーが多数破壊され、クラスター砲弾で砲兵装備も多数失っているという話が真実に思えてくる
バフムート方面は「前線の位置」に大きな動きがないものの戦闘自体は非常に活発で、ロシア軍はクリシェイフカに定着したウクライナ軍に反撃を加えるためT-90を含む機械化部隊を投入したものの、アンドリーフカ近郊=Ⓐで第3突撃旅団に殲滅され、8月10日~17日の動きを一言で表現するなら「圧倒的にウクライナ軍がロシア軍を消耗させた」と表現できるが、今度はクリシェイフカの高台を奪還するため投入されたロシア軍の機械化部隊がウクライナ軍に殲滅される様子が登場した。
この戦いが発生したのはクリシェイフカ北の高台にある森林ゾーン=Ⓑで、ロシア軍は最低でもT-72×3輌とBMP-1×3輌を投入して塹壕の奪還を試みたものの、この動きはウクライナ軍のドローンに監視されており、少なくともT-72×2輌、BMP-1×2輌、相当量の兵士をウクライナ軍の砲撃(戦車の攻撃も含む)で失っている。
防衛側のロシア軍がドローンで監視されている戦場に機械化部隊を投入するのは無謀に見えるが、英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)のジャック・ワトリング氏は「対砲兵レーダーを多数破壊されたロシア軍の砲兵部隊は効果的な火力支援が出来なくなり、陣地を巡る戦いでも優位性を失いかけているため戦車や歩兵戦闘車を前に出すしかなく、これをウクライナ軍に大砲やドローンで破壊され消耗を強いられている」と指摘。
A 🇷🇺#Russian mechanized assault was destroyed by 🇺🇦#Ukrainian forces at south of Bakhmut. pic.twitter.com/ixaWAgX507
— Cloooud |🇺🇦 (@GloOouD) August 20, 2023
— Cloooud |🇺🇦 (@GloOouD) August 20, 2023
さらに第128独立山岳強襲旅団のドミトロ・リシウク大佐もニューヨーク・タイムズ紙の取材に「クラスター砲弾で敵の大砲を数多く破壊することができ、以前の敵部隊は20門の大砲から火力支援を受けていたものの現在では2門~4門だ」と明かしており、火力支援の低下がロシア軍の無謀とも思える攻撃を強制しているのかもしれない。
流石に、ここまで来るとロシア軍の砲兵レーダーが多数破壊され、クラスター砲弾で砲兵装備も多数失っているという話が真実に思えてくる。
関連記事:クラスター砲弾の到着で戦場の様子が変化、ロシア軍の火力支援量が低下
関連記事:侵攻541日目、ウクライナ軍はザポリージャ、南ドネツク、バフムートで優勢
※アイキャッチ画像の出典:Twitter経由
ISW曰く「ロシア軍は将校不足に直面しており兵卒(二等兵)が指揮を執る中隊もある」とのこと。
今のロシア軍は無謀でも攻撃することしか出来ないのでは。
考え無しに攻勢続けてきたからだと思うよ
方針を防御に切り替えれば戦力の培養も人員の育成も出来た
防御戦は損失を抑えコントロールできるメリットあり
独ソ戦でもソ連は防御の時期を作って戦力を育てたが、ヒトラーはそれを怠りドイツ軍を消耗させ尽くした
今のロシア軍はカフカス攻勢やってるドイツ軍のようだ
ロシア軍は、基本的に守勢に転換してますよ。
3月中旬から、ロシア正規軍は大規模な攻撃をひかえています。4月5月のバフムト攻略戦はワグネル主体でしたし。
ウクライナ軍主力が攻勢を展開する南部では、ロシア軍は陣地戦でウクライナ軍を消耗させる方針なのは明らかです。
今回のバフムト南部のロシア軍の攻撃は、戦線維持の要になる高地の奪回を目的とする戦術的なもので、ドイツ軍のカフカス攻勢とは比較になりません。
ロシア軍は、北部で攻勢に出ていますが、これも2月頃の攻勢に比べれば小規模です。北部はロシア軍が戦いやすい条件が揃ってるので、限定的に攻勢に出て、戦争の主導権を完全に明け渡さないようにしているのかもしれません。
ロシア軍がバフムト攻勢をやってた時は守勢じゃないな
ほぼ全域で攻勢の意図が見られたが撃退されていただけで、プーチンから無理なオーダーが出されているんだろうなと思った
そこでワグナーだけが成果出していたので、バフムトが重要になりプリゴジンが増長する結果となった経緯だよ
過去のISWの戦況とか見たらいい
ええ、見てますよ。
2月末まで面的に大規模な攻撃が続いてましたが、3月に入ってバフムト包囲まであと一歩のところで、火力投射量が急激に減っていき、攻勢が頓挫しました。
前線の砲弾備蓄の減少と人的被害の蓄積で、攻勢限界に達したんでしょうね。
>ほぼ全域で攻勢の意図が見られたが
2月までと比較して、4月5月は明らかに攻勢が散発的で小規模になってますよね。
この時期のロシア軍は、戦力回復のための再編と補給が必要な状態で、プーチンが何か言ったとしても戦略的な攻勢に出る余裕はなかったと思いますよ。
もし余裕があれば、バフムトをマリウポリのように完全に包囲してから攻撃してたでしょう。
独ソ戦でも3月まで激しく戦い、4月5月の泥濘期は再編補給と夏季戦闘の準備を行い、6月から戦闘再開のサイクルでした。今回も同じですね。
私も同意見です。
ロシア正規軍ならマリウポリのように包囲してゆるゆる攻めたでしょう。
ワグネルは、ウクライナ軍的な戦いをしてましたね。そういうワガネルに頼らざるを得ないロシア軍という視点もありますが。
海兵旅団が壊滅したり空挺投入してたりしてるし流石にそれはない
ロシア軍全体として、開戦から無謀な突撃を繰り返す傾向にありましたが、その中でスロヴィキン司令官はヘルソン撤退を主導し、ザポリージャ州に防御陣地を構築するなど、比較的、保全主義的な性格を見せていたと感じました。ミルブロガーの中でも「無駄な損失を抑えている」と評価が高めでした。
彼が指揮している間、ザポリージャ南部ではほとんどロシア軍が攻勢に出ることはなかったのですが、プリゴジンの乱の後、彼が排除されると、ロシア軍はウクライナの反抗作戦に対して防御陣地の前で戦わされたり、これまで温存してきた航空戦力まで投入するなど、運用のされ方が変わってきたように見えます。
ロシア軍の中の数少ない慎重派の指揮官を取り除いた結果、全域で抑えが効かなくなってるんじゃないですかね。
当たり前っちゃ当たり前の話なんですが索敵、対砲兵レーダー、機動化砲兵、この3点セットを維持できるかどうかは死活問題ですよね
自衛隊の砲機動化は19式配備が進展すれば改善されるとしても索敵手段としてのドローン拡充は急務だろうし、これからは対砲レーダーの損耗備蓄とか必要になる時代なんですかねぇ…
南部戦線ではロシア軍の防御線で中々前進出来てませんが、バフムト戦線に関しては、ウクライナ軍は有利な位置を確保してあえて前進をやめたのかもしれませんね。
クピャンスク方面に防御部隊を回して、砲兵部隊は内線戦略を用いてクピャンスクとチャシブヤールをロシア軍より迅速に移動できます。
> 南部戦線ではロシア軍の防御線で中々前進出来てませんが、
ロシア側ソースで、ロボチネから撤退したという話が出てきたみたいです。
これまでの動きを見る限りバフムト方面は南部での突破を支援する為の陽動なんじゃないかな?
南部は温存してた攻勢用の部隊が続々投入され始めてるけど、バフムトは第3旅団を始め去年から防衛戦してた部隊がそのまま反撃してるし
ロシア軍の対砲レーダーはやはりハイマース等の長距離ロケットで排除したのですかね。
ロシア軍のGPS妨害も本当に要所だけしか、カバーできていないのでしょうね。
砲兵レーダー狩りの話も最初は「ほんと?そんなうまい話ある?」って感じでした
SNSでは色んな噂がありますが、どれかが本当だったのが段々わかってきたりするのは情報を追っていて面白い部分ですね
先日の記事でもクラウン氏や他の人がクリシェイフカの高台を奪還してからは無理に領土を獲得しようとせず、砲撃戦の有利さを活かして無謀なロシア軍を削ってるという意見があったが、やはりそれが正しそうだな
優秀な司令官を解任しまくった今のロシア軍は先人の残したリソース(防衛ライン含め)を無駄に消耗してるようにしか見えない
ロシア軍よりウクライナ軍の問題の方が最近は取り上げられやすいから、ロシア軍を過大評価する人が増えたんだろう
事実、ロシア軍も反攻作戦緒戦のある時期までは優勢だったのだろうと思います。
6月のウクライナ軍の損失はロシア軍のそれより大幅に大きい情報もありましたし。
ただここのサイトでも触れられてきた、クラスター砲弾の活用、対砲兵レーダーや妨害装置を集中的に破壊する戦術、急造の野戦防空システム、正面より横からの攻撃への転換などハードソフト両面の改善によってかなり改善されたのでしょう。
一方でプリゴジンの乱以降のロシア軍側の混乱という敵失も時間差で出てきたようです。
この戦争は数か月前の状況が当てにならないくらい流動的に変化します。なので、またロシア軍が優勢に見える局面も出てくるかもしれません。
ただ、ウクライナは諸々の問題を抱えながらも何とか打ち負かす努力を続けている。今はそれが少しずつ実りつつあるのであり、当たり前ですが改めて「人間が戦っているのだな」と思わされます。
>「人間が戦っているのだな」と思わされます
まさに
ネットの情報だけで色々わかった気になっているネット軍師様はこういうところ忘れがち
クラスター弾頭が効果を挙げているというのは、提供しているアメリカへのアピールなのか、本当に効果が高いのか
どっちなのだろう
効果があるとしたら、対装甲車用の子弾のおかげなのか
それとも単に面制圧が強いということなのか
バフムトに投入されて直ぐにロシア軍の防衛ラインを突破して、その後は敵を包囲したり今回は機械化部隊を壊滅させたりと
第3突撃旅団精鋭すぎだろ
ここまでどの部隊よりも前進に成功し続けている所を見ると、現時点でウクライナで一番の精鋭部隊な感じもありますよね。本当に凄い。
今回壊滅させた機械化部隊は戦車2両、歩兵戦闘車1両と規模が小さいので小隊(40人くらい)程度であり
現地にとっては大戦果かもしれませんがウクライナ全体から見れば小さな小さな勝利だと思います
精鋭と言えば精鋭でしょうが精鋭すぎると言うほどのものではないと思います。
アゾフOBとか志願者主体で編成したって話だからね、東部の内戦で実戦経験者も多いだろうし戦意も高いんだろう
そういや内務省のアゾフも再編を終えて南部に到着したとか言う話も先日出てたな
戦況動画は装甲車両出して攻勢出すほうがコテンパンにやられるパターンばっかり見てる気がする…
双方出待ち戦法が最強の戦術と化していますな
堪えられずに前に出るとボコボコにされる
ロボティネやウロジャイネ方面でもロシア軍が同様の無理攻めをかけて結構な損害を出しているのが観測されています。
この損失もですが攻勢をかける規模とタイミングが中途半端なのが気になります。
中隊規模にも満たない中途半端な台数での攻勢ですし、タイミングも落とされる前に撤退支援としてやるかもしくは十分な数をそろえてからの再侵攻の一環としてがセオリーじゃないのかと思うんですが、どうにも中途半端な動きに見えます。
前線部隊の統制が取れていないんでしょうかね。
ロシアの戦闘車両に対する攻撃がかなり正確でしたが、ウクライナ側は何を使用して攻撃したのでしょう??
車列の先頭車が地雷原に突っ込んで列が止まったところに集中砲火を叩き込む動画が新たに出ています。
6両の戦車や装甲車がたった30秒で無力化されるのは割と衝撃でしたね。そして擱座した車両から逃げ出した兵士にとどめのクラスター砲弾。
What does U.S. aid to Ukraine look like?でTwitter(X)検索すると動画が出てきます。
「ロシア軍は最低でもT-72×3輌とBMP-1×3輌を投入して塹壕の奪還を試みた」とありますけど、昨年に比べるとロシア軍の投入してくる機甲部隊の戦力がどんどん目減りしているのがわかりますね。当初の頃の作戦では戦車数十両投入みたいな規模は当たり前だったのを考えると、ウクライナ軍の奮闘ぶりとロシア軍の凋落ぶりがよくわかります。このペースでどんどん削っていって欲しいです。
お互いに攻めた方がボコボコにされているよな
これに懲りて侵略戦争を諦めてくれればいいんだけどな
プーチンの嫌がる兵器を支援したかいがあったな
しかし動画の丘の斜面が一面隙間なくクレーターだらけってえげつないな
クラスター爆弾は効果があるかもしれませんね。
増援の部隊を砲撃で叩いているのは、両軍ですよ。たぶんウクライナ側が宣伝のためにどんどん動画を出しているのだと思います。
ウクライナ軍はロシア軍の後方の弾薬や兵士の集積を叩いていると、以前によく言われたののですが、実際はロシア側も同じことをそれ以上やっていたのですよ。
クリシチエフカ方面は先月くらいまで注目していました。最近また双方が増援を出しているかもしれませんが、先月までの兵力情報です。
ロシア軍は、第4ライフル旅団(たぶんルハンシクの民兵)がずっと守ってきました。少し前に83空挺旅団と空軍の自動車歩兵と特殊部隊が増援されています。
ウクライナ軍は当初第28旅団、次に第3と第5突撃旅団、アイダール大隊、次に第22、24旅団、砲兵が第45、26、43砲兵旅団。ウクライナ軍は総じて火力の劣勢のなかでも、南部の幾つかの地点とクリシチエフカに重点配備しているようです。
戦術グループアダムもいたみたいです。(129領土防衛旅団、第210特別大隊、第80空挺旅団)
第15警備旅団(親衛隊)も一時いたみたいですが、今は南部にいるようです。鉄道旅団?もいたみたいです。
それで、7月時になった時に主力は、第5突撃旅団と第22旅団と第80空挺旅団と警察官の旅団(名前がややこしい)と思います。
それらの旅団が実質どれだけの戦力があったかは不明です。
動画を上げた第3突撃旅団は、クリシチエフカ正面からやや南の方に変わったようです。クリシチエフカが意外に、本当に意外にロシア軍が退却しないので、南に南に攻勢が広がってきた感じです。第3突撃旅団の移動は、たぶん、第3突撃旅団も第5突撃旅団も、クリシチエフカ正面で波状突撃を続けていたので、だいぶ損耗しているのではないかと思います。