シルスキー総司令官は東部戦線の状況について23日「ハルキウ方面の敵は損害を被って成功していない」「クピャンスク方面のキブリスカ周辺は状況が厳しい」「最も激しい戦闘はポクロウシクとクラホヴェの両地域で発生している」と明かした。
参考:Головнокомандувач ЗС України
第41独立機械化旅団は「ロシア軍がチャシブ・ヤール市内に足場を築いた」という話を否定
シルスキー総司令官は23日、東部戦線の状況について「最も激しい戦闘はポクロウシクとクラホヴェの両地域で発生している」と明かし、ハルキウ方面の状況については「最初の攻勢で小さな成功を収めたものの、ロシア軍はボルチャンスクの市街戦で完全に泥沼にハマり突撃部隊の損失が大きくなった。敵は現在、積極的な突撃作戦を支援するため各方面から予備戦力を移動させているが効果はない」「敵はリプシ付近でも大きな損害を被ったため積極的防御に切り替えた。地雷除去作業を進め、我が軍の陣地に砲撃を加えて損害を与えた」と言及。
クピャンスク方面については「クピャンスク近郊の森林地帯で戦闘が続いている。キブリスカ周辺ではロシア軍が我が軍の防衛を突破してオスキル川に到達しようとしている。この方向の状況は厳しい」と、バフムート方面については「チャシブ・ヤールとイワニフスキーでは激しい戦闘が続いている。敵は最新のT-90M、BMP-3、BMD-4を駆使し、何としても市内に足場を築こうとしているが、この種の装備は我が軍の対戦車兵器やFPVドローンによって破壊されている」と言及。
アウディーイウカ方面については「最も激しい戦闘がポクロウシクとクラホヴェの両地域で起きている。敵は最も訓練された部隊をスタロミハイリフカからベルディチの間に突撃作戦に投入し、我が軍の防衛を突破しようとしている。この攻撃は装甲車輌、オートバイ、バギー、徒歩による移動で行われる」と言及、他の戦線については「落ち着きがないものの言及した戦線に比べれば敵対行為の回数と激しさはずっと低い」と述べた。
シルスキー総司令官が言及した「スタロミハイリフカからベルディチの間」は「クラスノホリフカからノヴォポクロフケのライン」を意味し、恐らくロシア軍はアウディーイウカ西郊外に広がる低地部分でウクライナ軍の防衛ラインを突破しようとしているのだろう。
但し、ロシア軍はオチェレティネ方向でもノヴォオレクサンドリヴカに向けて前進しているため、ウクライナ軍はアウディーイウカ北西に広がる高台方向への突破も警戒しなければならない。
因みに第41独立機械化旅団はRadio Free Europeの取材に応じた中で「ロシア軍はチャシブ・ヤール市内への侵入を試みているが、今のところ街に入れていない(23日時点)」と述べ、ロシア軍がチャシブ・ヤール市内に足場を築いたという話を否定した。
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※アイキャッチ画像の出典:СИРСЬКИЙ
茶渋の東部地区は全部グレーゾーンでいいんじゃないか?
ハリコフ方面の防衛に成功して、なおかつ東部が部隊抽出しても問題なかったのであれば、大丈夫そうですね。
リプシ東側の高地、最高所および陣地がどうなったのか。ボルチャンスクの市街戦は、川を挟んで南側の事を指しているのか気になります。
ブトゥソフ氏が、ハリコフ方面は厳しいと報告していましたが、援軍により戦線が落ち着いたのか少し見守りたいと思います。
(2024.05.17 ウクライナ人ジャーナリスト、敵はリプシから2kmの地点に迫っている 航空万能論)
個人的意見ですが、まだ楽観する段階ではなさそうです。
確かにハリコフ方面は比較的動きが少ないですが、戦力を引き抜かれたと思しきバフムート方面が不味そうです。中立的なOSINTによれば、クリシェイフカとアンドリーウカが短時間で陥落し、ウクライナ軍は運河へと敗走しているようです。
運河以東をロシア軍が確保すればチャソフ・ヤールへロシア軍が前進する際側背の安全が確保されるので、ウクライナ軍にとってただでさえ悪いチャソフ・ヤール方面の戦況がさらに悪化しそうです。
仰る通り、クリシチェイフカ・アンドリーウカは、周辺に集落がなく後方は平原ですし。
チャシウヤール周辺の旅団を、ハリコフに送ったという話しもありますよね。
シルスキー総司令官の発表が、『ただちに影響はない』に準じるものなのか注目したいと思います。
とりあえず、いま「大丈夫」と安心させるよりウクライナ内部に巣くうガン(汚職)や、物資不足 人員不足 脆弱な産業基盤のどれか一つでもマシになった、改善されるといった情報の方がずっと嬉しいですけどね。
グッドニュースだけど、2週間後に戦線が安定しているか怪しいという不信感が…。
仰る通りです。
戦争は、5年くらい続く可能性ありますからね。
ウクライナに限った話ではないのですが。
期待値を高く上げすぎてしまうと、少しダメだった時でもギャップが大きくなり、落胆を引き起こす気がするんですよね。
そういえばプーチン大統領は10年は続けるとか言ってましたっけ。
今3年目なんで後7年は最低でも続く感じに?
果たしてウクライナはそこまで人的資源や国の体力が持つのか気になりますが。
クリミア危機が、2014年でしたから、そこを起点にすれば10年ですか…。
戦争、休戦を挟みながら、10年も有り得そうですね。
言っている内容からすると、物資が届いたようですね。
ただ、敵は成功していないとはいうものの、それを見越している可能性もけっこう高いと思いますので、しばらく様子見ですね。
相変わらずジリジリと進むことしかできないロシア軍
ウクライナを屈服させるよりプーチンが死ぬ方が早そう
リプシ付近はウ軍が有利な地形とはいえ、圧倒的な火力よって押しつぶされている状態ですし、それを抑止しようとして前線に高価な車両を出してみればすぐにドローンの標的になるでしょうから難しいところですね。時間の問題かと思われます。
ロ軍の人的損害も多いでしょうが、ウクライナ内部でゼレンスキーの「全前線から弾薬不足の話を聞かなくなった」という内容の発言に対して文句、罵詈雑言に近い主張をするウ軍人をよく見るようになりましたし、北部防衛に時間をかけて後方のゼレンスキーラインの完成を急ぎたいところでしょうが、ウ側の情報を見るにかなりお粗末なもので文句を垂れている動画も頻繁に流れているのを見るとかなり全前線がギリギリなんだと痛感させられますね。
オデッサに限らず、新しい動員法の影響で街に人が全くいないゴーストタウンと化している状態で兵士の補充は上手くいくのでしょうか……?そろそろ本当に停戦を視野に入れなければ終戦後にゼレンスキーが降ろされ、また親ロシア側の人間が大統領になって終わるのでは……。
毎度のことですが両陣営のミルブロガー・OSINT勢の主張と、シルスキー総司令官の主張にそれなりに乖離があるので「ほんとでござるかぁ?」という感じ
ハリコフ周辺は落ち着きつつあるのか、ロシア軍がローテや準備をしてるのかが判別がつかないですね
外方面も含めて状況がはっきりするのはまた数日後ですかね
まあロシア軍の総数が5大隊では明らかに数が足りませんし、ポルチャンスクもさすがに落ちませんでしたか。記事にある通り今になって戦力増強しているのかもしれませんが、実際に増派はこれまでなかったのでしょう。何にしてもロシア軍が本気でハリコフを攻めようとしない限り此方は停滞ですね。
リプシの高台を取り返せるかが焦点ですが、ロシア軍が増派するとしたらこの高台の維持に注力するでしょうね。
しかしハリコフ方面以外の地域がやはり引き抜かれたのか、少なくとも其方に予備を送れず後退しているのも戦況からの事実です。戦略的に打開するためには、ロシア側に握られた主導権を握り返せる材料があるかどうかですね。
ウ軍、露軍のたかが5大隊程度にこんなに部隊を貼り付けちゃっていいんですかね。
ボクシングじゃありませんが、ジャブを続けられた後に出されたフェイントで、ボディが空いてしまった気がします。
汁スキーの言っている「敵は最も訓練された部隊をスタロミハイリフカからベルディチの間に突撃作戦に投入」が気になります。
汁スキー → シルスキー
でした。すみません。
でも汁スキーも嫌いじゃないかも
防御を固められる前に国境まで押し戻したいのでは。
あるいは、あわよくば正規軍による越境攻撃をやり返したいのかもしれません。
さすがにこの状況で咎める者もいないでしょうし。
>敵は最新のT-90M、BMP-3、BMD-4を駆使し
量産宣言してたT-90MはともかくBMP-3もBMD-4Mもまだ出せるのか…
ロステックの記事だと戦車の生産増加量を3.5倍で軽装甲車類は3倍らしい。増産令は戦車や弾薬に限らないようだ。
ロシア軍が成功していないからと言って、ウクライナ軍が失敗していないとでも思ったか?