ウクライナ軍発表を信じるなら10月23日頃からロシア軍との交戦が激化(23日~1日までのロシア軍兵士の戦死者数は5,400人)しているが、両軍の前進や後退を示す視覚的な証拠が何もないので戦線はほぼ膠着状態と評価するのが妥当だろう。
このまま冬を越えるための準備に入る可能性も十分ありえるが、何が起こるかは予測不可能
ウクライナ軍が10月23日~10月29日の間に発表したロシア軍兵士の戦死者数は3,180人と非常に大きな数字で、10月30日には950人(10月30日~11月01日の3日間で2,220人)という信じられない数字を発表したが、前線に大きな変化は観測されていない。
7月末以降に記録されたロシア軍兵士の戦死者数と戦線での動き | ||
07月31日~08月06日 | 1,230人 | HIMARSでヘルソン州のロシア軍を攻撃 |
08月07日~08月13日 | 1,500人 | AGM-88HARMの投入、クリミアでの爆発 |
08月14日~08月20日 | 1,500人 | クリミアでの爆発、ケチル市で初めて防空システムが作動 |
08月21日~08月27日 | 1,500人 | HIMARSでヘルソン州のロシア軍を攻撃 |
08月28日~09月03日 | 2,550人 | 29日に南部司令部が反撃開始を宣言 |
09月04日~09月10日 | 3,200人 | 6日頃にハルキウ州で反撃を開始、バラクレヤとクピャンスクを解放 |
09月11日~09月17日 | 2,000人 | イジューム解放、ハルキウ州のロシア軍がオスキル川西岸まで撤退 |
09月18日~09月24日 | 2,050人 | オスキル川を渡河してリマン方面への反撃を開始 |
09月25日~10月01日 | 3,310人 | オスキル川沿いやリマン周辺で拠点を解放 |
10月02日~10月08日 | 2,450人 | リマン解放、ヘルソン州で反撃、ロシア軍が撤退を発表 |
10月09日~10月15日 | 2,620人 | クリミア大橋爆発、ロシア軍による都市攻撃 |
10月16日~10月22日 | 2,370人 | ロシア軍の攻撃で火力発電所の約半数が損傷 |
10月23日~10月29日 | 3,180人 | 前線に大きな変化なし |
10月30日~11月01日 | 2,220人 | 前線に大きな変化なし |
ウクライナ軍発表を信じるなら10月2日のリマン解放後、両軍の交戦レベルは低下したものの10月23日頃から再び激化しており、これが何を意味するのかは判断材料がないため何とも言えないが、ウクライナ軍やロシア軍の前進や後退を示す視覚的な証拠が何もないので「ほぼ膠着状態」と評価するのが妥当だろう。
年内にヘルソン奪還という話も出ていたが、ロシア軍はドニエプル川北岸地域に約4万人の戦力を終結させたという報告もあり、HIMARSの攻撃を回避する兵站ルートの確立(クリミアから鉄道でマーネ周辺に装備や物資を運搬、そこからトラックでドニエプル川沿いまで運び、HIMARSで狙えない架橋機材を流用したフェリーで対岸に運搬)にも成功しているため、ロシア軍がヘルソン市やドニエプル川北岸地域から撤退する気配はない。
ウクライナ軍参謀本部が先月22日「ロシア軍がヘルソン州のチカラブとシャリーヴネを放棄して後退した」と発表したが、今のところ両拠点にウクライナ軍が入ったという報告も視覚的な証拠もないため、ブラスキンズキーやボロゼンスキーを起点する突出部の崩壊は発生しておらず、このまま冬を越えるための準備に入る可能性も十分ありえる。
因みに困難な冬場を乗り切るためのウクライナは必要な物資の備蓄を進めており、シュミハル首相は「インフラ設備の復旧に必要な資材、移動式の発電機や暖房器具の供給を増やしてほしい」と同盟国に要請しているらしい。
果たして日本政府が提供する発電機(11月に国会に提出される第2次補正予算案に必要経費を計上する予定)は年内にウクライナへ到着するのだろうか?
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※アイキャッチ画像の出典:Сухопутні війська ЗС України
>ロシア軍はドニエプル川北岸地域に約4万人の戦力を集結させたという報告もあり
ドニエプル北岸はロシア軍にとって補給が難しい(橋に頼らざるを得ない)土地なのに、そこに大軍を集結させてどうするんだろうね。
「ウクライナは暖房を失う!」と親露派がはしゃいでいるけど、むしろあの辺りのロシア軍の方が補給不足で凍死しそう。
4万人入っても民間人6万人が疎開したから補給の負荷的には楽になってるでしょ
室外の4万人と、室内の6万人では必要物資が桁違いな気はする
室外のロシア軍に室内程度の物資補給してない可能でもあるから、なんとも言えないが
前線の軍人の環境なんて住居で暮らしてる民間人に比べれば元々劣悪でしょ
暖房ガンガンかけてテレビ見てステーキ食ってるなら話は別だが
バハムート周辺でロシアの攻勢が続いているから、やたら死者が多いのかね。
泥濘期の今はむしろ戦線をむりに推し進めようとする方が愚策。
まさにその愚策を無理に実行してるから「戦闘は激化している(大量のロシア側戦死者が出ている)にも関わらず戦線は膠着している」のではないか、という話かと。
バフムート周辺の戦線にはワグネルの軍団も参戦していて徴用した囚人兵を効果的に運用している模様。囚人兵は日没すると陣地から前進し始め、ウクライナ軍に発砲させることで配置場所を割り出している。ウクライナ軍の場所が判明するとワグネルの精鋭がそこを目がけて攻撃するという戦術なのでウクライナ軍もギリギリまで発砲を我慢しなければならず「厄介な戦術だ」と前線の兵士が語っていましたね。
囚人兵は碌な装備を持たされずに前進してくるので戦死する確率が高く、捕虜にしても扱いはロシア正規兵と変えなければいけないので現場的に負担が増えるようです。
威力偵察自体はソ連軍のころからやってる伝統的なものなので、兵力に多少の余裕が出てきたんでしょうね
ウクライナVSロシアVS冬将軍三つ巴の戦いになるのか
ロシア軍がウクライナに動員兵十万人あたりいれているみたいだから、銃弾一発で防弾装備もなしに死ぬ人たちも多いでしょうね。
ロシアが攻勢かけているから、ウクライナがよく防いでいるでしょうね。
防寒装備やら越冬装備がない時点で、凍死・病死が大量に出でてそうな上に、
防寒装備無しで塹壕戦とかしたら壊死やら低体温の傷病者が凄いことになるけど、
これといって対策が有るわけでもないから、楽にしてあげてるから死者が増えてる可能性もあるな
南部戦線異状なし、って感じですね。泥濘期で動きにくいのと、ロシア軍がヘルソンに無謀な突撃をして兵を摺り潰していて、ウクライナ軍も堅牢な陣地で防戦するのに留める感じでしょうか。ロシア軍が増員を続けているようですが、ウクライナ軍もただ増えるのを眺めている訳もないので、増員した端から減っていってるのでしょう。このペースで淡々と削り続けられれば最高ですね。
……ただ挽肉製造を続けているウクライナ兵の精神が病んだりしないか、は心配です。
ウクライナ兵の犠牲も出ているはずなので、そちらも心配。
プーチンのやつは、ほんとに人の命をなんだと思ってるんだ!?って思いますね・・・
>ただ挽肉製造を続けているウクライナ兵の精神が病んだりしないか
ウクライナで日本人義勇兵として戦った山田大樹氏は支給されたライフルでロシア兵を狙撃したが「遠距離からの砲撃とは違い、スコープで相手の顔を目視し、ライフルの引き金を引く。その心境、そしてウクライナ人を助けるためとはいえ、ロシア人を殺すことに葛藤はなかったのか?」との問いに「敵とはいえ、彼らにも親や友達がいて、さまざまな人生を送ってきた者をたった一発の銃弾で命を奪ってしまいます。それは敵も同様で、それを承知でこちらを攻撃してくるのだと意識しています。戦場で敵を殺すことについて、モラルを考えては駄目だと思います」と回答しています。
要するにハイマースでドニエプル川に架かる橋を砲撃して、ロシア軍の補給を遮断し、ドニエプル川西岸のロシア軍を孤立させて、撤退させるというヘルソン市奪回作戦は失敗に終わったということです。
クリミア大橋の破壊もロシア軍の補給を止める効果はありませんでした。
ロシア軍は動員令で予備役部隊を編成することにおおむね成功し、渡し船を使ったドニエプル川西岸への補給、輸送も確立し、ヘルソン市の防御は盤石になったということでしょう。
現時点ではクレミンナやスバトボもウクライナ軍が奪回できるような感じではありません。
ウクライナ軍が攻撃、反撃できないということは、ロシア軍の予備役兵の装備もおおむねいきわたっており、士気や戦意もそこそこ十分ということでしょう。
ウクライナ軍は電気がなくて、無線機を使うのも大変で、いざとなれば伝令や手紙に頼る他ありません。手旗信号や、のろしなども使うかもしれません。
なんとまぁ返信欄が伸びそうなコメントですこと…
ちなみに士気に関してはどうもロシア軍は投稿しようとしてる人らをふっ飛ばそうとしてる(そしてそれにウクライナ側はテメェの血は何色だー!!とブチギレ)って感じで死兵化してる故に膠着状態になってるだけかと
それこそ相も変わらずバフムートへの特攻を続けて死体の山を築いてるあたりそういうことかと
ロシア程の大国がウクライナ相手に優位に立てず、新兵を消耗されることで戦線を維持しているならむしろ危機的状況では。
輸送網が改善されても根本的な物資不足と兵士不足は依然として解決していないようですし。
本来ならロシアに対して第2戦線を構築できる国は中国なんだけど、中国人はどうしてロシアを応援するのだろう?
台湾などと言う渡洋作戦という危険なことをしなくとも、キンペーの独裁に領土拡大が必要というなら、ウスリー川なんてケチな事を言わずに黒龍江こそが中国とロシアの国境であると主張すれば、ウラジオから尼港まで支配下におけるし成功率は高いと思うのだが。
それぐらい劇的な事象がないかぎり、ウクライナの軍事的優位は確定しないだろう。
電力不足が軍にも悪影響を及ぼしてる。
ロシアと中国が戦争を開始したら核戦争になりかねないのにするわけないじゃん
しかし露助の、イランからの供与によるドローンの見境いない民間インフラ攻撃は地味に響きそうですな…。
根本的に解決できる方法ないのかねぇ。
現代においての電力不足は軍事に無視出来ん影響をもたらしそうで一段と面倒くさそうですねぇ。
全般に言えるだけど対空兵器はもちろん、発電機及び補修機器の継続的な供与する事で
西側の結束を露助に見せつけるしかない。
インフレで苦しい時ではあるが、西側としての世界秩序が瀬戸際ってのを
もっと人々が認識しないと状況は一気に崩壊するでしょうね。
西側の支援疲れと、ウクライナに対しての支援をしてホントに何になるのか?無駄だよ!とか言う人間がポツポツ宣い始めての世論の傾きとかが表れ始めると厄介ですねぇ。
露助の目に見えるエスカレーション(戦術核使用)が無いと変わらないのか。
いや、核使用はもう完全にライン越えだな。
日本も機動的に予算を使えるようにしたらいいのにね。
日本の場合、財務省が一番の天敵でしょうな…。
ウクライナ軍の東部戦線での反撃が進んでいる時、
ロシア軍は東部戦線の崩壊を止める援軍を送るより、
クリミアが攻撃圏内に入るリスクや面子が潰れる事を避ける為、
南部戦線の維持をする兵力(援軍)を優先しているのだろう。
と分析しているサイトが有りましたね。
同じく、損害に対して進撃が見合わないバクムットに固執するのも
戦果を上げて勝利を宣伝したいのだろう、という事らしいです。
部分動員を掛けて時間稼ぎをして、
冬季のエネルギー問題で欧州へは揺さぶりを掛けてはいますが、
見通しや予想が的確ならば現状とは成っていない訳で。