ウクライナ戦況

ウクライナ、インフラを攻撃するロシア軍の狙いは大量の難民を欧州に押し付けること

ウクライナ大統領府長官顧問のポドリャク氏は22日「ロシアの狙いはインフラ攻撃によって欧州に新たな難民問題を引き起こすことだ。この人道的大惨事を止める唯一の方法はできるだけ早い防空システムの提供だ」と訴えた。

参考:Ударами по критической инфраструктуре Россия хочет вызвать волны беженцев из Украины – ОП

ロシア軍のインフラ攻撃によって現在、約150万人のウクライナ人が電力を失っている

ロシア国内で「インフラを破壊して欧州に難民化したウクライナ人を送り込め」と初め言及したのは軍事アナリストのコロチェンコ氏で、ハルキウ州での屈辱的な敗北後(9月中旬)に出演した国営メディアの番組内で「あらゆるインフラを破壊してウクライナを暗闇に沈めなければならないし、12月までに2,000万人のウクライナ人を難民としてEUに送り込まなければならない。これが我々の目標であり必ず達成すべき課題だ」と言及。

出典:MilitaryLand.net

この提案についてモスクワ大学のシドロフ主任教授は「国際条約に基づく戦争のルールは『可能であれば特定の対象を攻撃してはならない』という勧告的な性格が強く、あらゆるインフラの破壊は可能だ」との見方を示し、大統領直属で少数民族問題を担当するベズパルコ氏も「軍事向けや民間向けに区別できないインフラを攻撃する必要がある。ウクライナ全土が寒さと暗闇に覆われ、燃料がなくなれば敵の抵抗は止まる」と訴えていた。

10月10日にロシア軍が本格的にインフラ攻撃を開始すると連邦議員達も「ウクライナの電力設備を破壊すれば電力は勿論、給水設備、下水設備、冷蔵設備が役に立たなくなり、電力を失えば鉄道の制御も困難になるため鉄道設備や鉄道橋を破壊する必要すらない。この状況下で一般市民はどうやって生活するのか?食事を調理すること、食品を保存することも、食料を運ぶ事もできなくなるだから。生活が困難になれば一般市民は国から脱出を試み、大量の難民が欧州に押し寄せるだろう」と主張。

出典:Russia1 60Minutes

さらに「電気が止まれば決済システムも機能しなくなり、生産活動が停滞すれば労働者にどうやって賃金を支払うのか?ウクライナ経済は毎月何十億ドルもの支援で成り立っているが、残りの経済が崩壊すれば国は立ち行かなくなる。攻撃を行い結果を評価して確実に目標を破壊するという現在の戦術は古典的だが非常に効果的で、この攻撃を今後も継続していかなければならない」と述べいたが、ウクライナ政府はロシア軍の狙いだと公式に認めたため注目を集めている。

ウクライナ大統領府長官顧問のポドリャク氏は22日「ロシアの狙いはインフラ攻撃によって欧州に新たな難民問題を引き起こすことだ。この人道的大惨事を止める唯一の方法はできるだけ早い防空システムの提供だ」と述べ、プーチンの計画を阻止できるかは欧州の指導者達に懸かっている訴えた。

因みにウクライナ大統領府は22日「ロシア軍のインフラ攻撃によって約150万人(14:00時点)の国民が電力を失っている」と明かした。

関連記事:ウクライナのインフラを全て破壊、2,000万人を難民としてEUに送り込め
関連記事:ロシア、ウクライナへのインフラ攻撃は飢餓をもたらし難民を発生させる
関連記事:クレムリンを支持するロシア人、再教育をウクライナ人に施し同化を強制

 

※アイキャッチ画像の出典:President.gov.ua/CC BY 4.0

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コメント

    • ななし
    • 2022年 10月 22日

    イスラエル先生お呼びですぞ!

    3
      • ミリオタの猫
      • 2022年 10月 22日

      イスラエル「無理です。11月1日に総選挙なので……」
      ロシア「オイ、イスラエル。ウクライナへ武器を売ったら、国内のユダヤ人を弾圧するからな?(黒い笑み)」

      5
        • 名前
        • 2022年 10月 23日

        イスラエルが恐れているのはロシアとの協力関係が終わってシリアとの関係悪化など周辺地域の不安定化なんで

        15
          • Natto
          • 2022年 10月 23日

          意外とイスラエルさん弱腰。

          1
            • 名無し
            • 2022年 10月 23日

            イスラエルにとっては「対岸の火事」なんで。

      • 半分の防衛費の国から
      • 2022年 10月 23日

      イスラエルの代わりにドイツの出番かもしれません、スカイレンジャー35(C-RAM)拡販チャンス到来ですよ‥在庫有るのかな?固定式のスカイシールドでもOKじゃない?

      参考

      ドイツの自走式対空戦闘車輌「スカイレンジャー」が売れない理由

      リンク
      リンク
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      1
    • ななし
    • 2022年 10月 22日

    超個人的な事ですが。ウクライナ郵便に地雷犬のパトロングッズやらイカスお手紙セットを注文した翌日にshahed-136の無差別攻撃が始まり、支払い処理はされたけど注文の品がどうなるか判らない…。
    なので、日本政府には大量の発電機と問題あるかもだけど日野のトラックをですね買い叩きしてでも送ってあげて欲しい。

    16
      • 112
      • 2022年 10月 23日

      ロシアによる攻撃で破壊されたウクライナの電力インフラについて、復興に必要な設備を日本側が提供することを松田大使が会談で伝えたことを、ウクライナのエネルギー省がFacebookで報告しているようです。

      12
        • あばばばば
        • 2022年 10月 23日

        ウクライナはちゃんと時間と場所を指定したのだろうか。
        日本は某利根川のような事を言い出してもおかしくないだろう。

        3
    • K(大文字)
    • 2022年 10月 22日

    >国際条約に基づく戦争のルールは『可能であれば特定の対象を攻撃してはならない』という勧告的な性格が強く、あらゆるインフラの破壊は可能だ

    まぁ、今の地球上に各国に対する強制力を有する世界政府が存在しない以上、この言い草は間違ってはいない。
    間違ってはいないが、それを安保理常任理事国が言っていいのか。
    常任理事国は、「国際秩序に対して特別な責任を負う」建前で強力な特権を維持している。
    にも関わらずここまで国際法を蔑する言動を繰り返すロシア。
    果たして、常任理事国たる資格はあるのだろうか。
    この点、イギリスが真っ先に問題提起し、近ごろウクライナも指摘し始めたが、戦後処理の論点としては十分に考慮されるべき話だと思う。
    もっとも、その時には今現在の『ロシア連邦』がそのまんま存続出来ているのかも分からないけど。

    45
    • L
    • 2022年 10月 23日

    インフラ攻撃が続いてもNATOの地対地ミサイル供与されなさそ〜(もう次は核くらいしか契機ないじゃん)
    ってのがウクライナも分かってるからから非効率的な防空兵器だけ要求してる、と読んでる

    4
    • タカ
    • 2022年 10月 23日

     このようなロシアの主張とヘルソンのダム破壊が一直線に繋がっているようで怖い。
     ダムを破壊してザポリージャ原発の冷却水を取れなくして機能停止、さらなる電力不足によって難民発生を狙っているとすれば…。

    12
    • ぽち
    • 2022年 10月 23日

    ロシアの常任理事国は、悪魔の飽食ですね。。。
    アメリカの中間選挙、イギリスの首相ごたごた、もロシアに好機でした
    でも、ここでまた逆転が☆ジョンソンさんの返り咲きも見えてきたかも!?
    ジョンソンさんが強力な支援を行うと希望!
    でもその前に、ドイツもアメリカも、とにかく支援の前倒しを
    インフラ復興支援と称して、NATOで発電所を守ってほしい

    7
      • k.ziro
      • 2022年 10月 23日

      ジョンソンさんが帰ってきても英国民は彼の復帰を喜ぶかどうか判らない。
      返って保守党の支持を更に失うだけの可能性が高い。

      ドローン攻撃も北、東、南の三方を24時間体制で人力で監視しなければならず、かなり困難だとおもう。
      レーダーは鳥のようなものを航空機と誤認しないように小さな反応は無視するように作られているので
      WW1のように聴音機でも使うしかないのかもしれない。

      3
        • モンパ
        • 2022年 10月 23日

        >ジョンソンさんが帰ってきても英国民は彼の復帰を喜ぶかどうか判らない。
        そうかな?
        コロナ禍でのパーティに対するお仕置きとしての辞任要求だったので
        政策的にはジョンソンに特に不満はなかったのでは?
        特にウクライナ対策が必要な今、頼りになるのはジョンソンだと思う。

        2
    • zerotester
    • 2022年 10月 23日

    「ウクライナのインフラを破壊して大量の難民を発生させたらうちの勝ち!」とロシアは思っているようですが、大事なことを見落としていませんか。

    そんなに大量の難民が押し寄せたら、欧州が直接的に困るわけで、欧州としては何か対応するしかありません。もちろん防空装備の提供はしますが、それも間に合わず、他に手がないとなると、より直接的な手段に出るしか無いかもしれません。ロシアのこの行動はNATOが直接参戦する可能性を高めていると思えます。

    33
      • バーナーキング
      • 2022年 10月 23日

      >ロシアのこの行動はNATOが直接参戦する可能性を高めていると思えます。

      これまでの対応で「それはない」と高を括られちゃってるんでしょうなぁ。
      読み違いである事を切に願いますが。

      8
    • XYZ
    • 2022年 10月 23日

    難民が発生するのはNATO諸国もアメリカも許容できないはずです。

    これ以上インフラへの無差別攻撃を続けるならば、国際法違反を名目に介入すると警告をするのが即効性があると思います。

    17
    • Ard
    • 2022年 10月 23日

    つってもウクライナ難民はすぐ帰るからな。欧州も全力で受け入れるよ。

    15
    • 南蛮一の知恵者 朶思大王
    • 2022年 10月 23日

    ウクライナ全土を巨大な冷蔵庫にしておいて、国民の食品保存の心配してくれるのは何ともお優しいことで。
    冗談は抜きにして、ドローンも航続距離や精度の点で万能ではないから、国内疎開や囮目標による攻撃分散で被害はどこかで底を打つと願いたい。
    近くに軍事施設がない地域ならばECMで対抗も手段としてはあると思うのだが、民生の無線通信やレーダーに障害が出る弊害の方が大きいのだろうか?

    1
    • 折口
    • 2022年 10月 23日

    2000万というとウクライナ国民の半分ですかね。そりゃそんだけ難民をヨーロッパに送り込めたら流れも変わるでしょうけど、ロシアがそうしたようにウクライナも開戦当初から徴兵対象者の国外渡航は制限しているんですよね。旦那さんだけ国に残って戦って奥さんと子供は国外っていうのはあるでしょうけど、どっちにしろ家族が一つに戻るためには戦争に勝つ必要があるのでうーん?という感じですね。
    あとはまあウクライナの場合は戦争難民になるので、中東アフリカの経済難民や東欧の出稼ぎ労働者みたいに西ヨーロッパの稼げる街を目指す必要が必ずあるわけじゃないですよね。生活基盤を求めて来ているというよりは国を追われて仕方なく出ていく訳だし、平和になったらまた帰国することが前提ですから。受け入れ国の能力的にも地理的にも、行ってせいぜいポーランドやルーマニアのような近い場所じゃないかなあと。

    そもそも、難民を西欧に送って云々というのはロシアが順当に勝ってウクライナ政府を追い詰めてれば勝手に生じていたはずの副次作用なんですよね。少なくとも、勝てない時に目指す起死回生の奇策とかではないです(というかこれ作戦を論じる体裁ですが、やっぱり序列意識に基づく懲罰的なニュアンスのほうを強く感じます)。インフラへのミサイル攻撃の被害を軽んじる訳ではないですが、この攻撃が最大限上手く作用してウクライナをブラックアウトさせられたとしても期待するような展開にはならないんじゃないかと。
    これもいわゆる「ロシア地政学」的な世界観から出てきた妄言や願望の類なんじゃないかな…。陰謀論的な世界観でも国民と国家指導者が信奉してれば軍の作戦に反映されるというのはナチス・ドイツも同じですが、今のロシアは意思決定の一番上の部分(国民が共有する普遍的な価値観や世界観)が腐ってるよなあと思いました。

    25
      • らっしー
      • 2022年 10月 23日

      ここ数日でウクライナが折れて妥協する様な見込みが聞かれたりしますが、
      自分はどうしてもそうは思えなくて。
      ウクライナ人がこれまでにされてきた事を(歴史的にも今般の戦禍的にも)思えば、
      一時中世的な生活を耐える事になろうと、この冬に少なくない犠牲者が出ようと、
      やっぱり却って怒りの炎を燃え滾らせる結果になる気がします。

      ウクライナ人にも都市生活しか知らない層や、ロシア移民の隠れ親露派などは浮足立つかもですが、
      歴史上のこれ迄の弾圧と違って世界に支援者が多く居て闘う力もある今、
      どうにも彼等が折れるとは思えませんし、ロシアが一時的に調子付いても更成る悪手を打っただけの様な…。
      やはり見てる世界が違うからやってしまうんでしょうね。

      6
    • たまねぎ
    • 2022年 10月 23日

    経済を停止させ生産能力を奪うことで戦力低下を狙うのは、戦術としては今のところ成功しているが、
    そもそもウクライナの軍事力は国内の生産能力よりも国外の支援(ロシア軍の鹵獲を含む)に依存している以上、戦略的な決定打にならない気がする。
    インフラ破壊も結局欧米日本の支援があれば復旧は可能だし、電力に関しては燃料非効率にはなるが自家発電設備を増やしてオフグリッド化を進めれば対処できる。
    長期戦を見据えた戦術だとしても、戦争が年単位で続いて先に倒れるのはウクライナよりもロシアになるから、逆に有利な早期講和を目論んだ銃後への揺さぶりか?
    ロシアの戦略目標が相変わらずよくわからん。

    22
    • 匿名
    • 2022年 10月 23日

    有効な手段ではあるけど、国連加盟の大国さまが現代において焦土戦術とか最悪ですね

    20
    • 案山子
    • 2022年 10月 23日

    という事はロシアの発電所が壊れても文句言わないよね…戦争やってるんだからな…
    インフラ破壊が有効な戦術なのは分かったけど、すごい腹が立つな…

    15
    • 暖冬に期待
    • 2022年 10月 23日

    冬が近づいているだけに発電所の5割を破壊されれば戦時下での早期復旧は多分無理でしょうから該当区域の住民は避難するでしょうし、可能性のある南部のタム破壊の企てを考えると厳しい展開が続くでしょうね。
    ウクライナと国境を接するNATO諸国が一時的な難民受け入れを行ってもおそらくは膨大な数でしょうから、NATO側が分水嶺を超えて工兵隊や施設隊、死亡も覚悟の上の民間企業の類を展開し施設の復旧と、インフラ設備を守れる防空部隊を展開しないと避難民爆弾を防げないでしょうね。
    ウクライナの冬季で屋外修理作業ができるの皮存じませんが。
    現在の小型ドローンによる飽和攻撃に対応できる装備がNATO側に多数あるかは知らないのですが、在庫のドローンを使い尽くしてもイランからの補充が続けばペースは落ちても低コストな攻撃か続きますね。
    それと原子炉の爆発を狙う南部ダム破壊を行わせると完全に詰みですが・・・

    • 半分の防衛費の国から
    • 2022年 10月 23日

    ここは、ドイツがスカイシールドをウクライナに提供とか、明るいニュースが欲しい所ですね。車両搭載型のスカイレンジャーなら大喜びですよ、ラインメタルも良い宣伝になるでしょう。

    参考

    リンク
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    • 58式素人
    • 2022年 10月 23日

    ロシア本土での”ボカン” が多く発生すると良いですね。
    聖ペテルブルグが孤立する形で起これば良いですね。
    聖ペテルブルグを失えば、ロシアは自身を欧州の国と
    自称することはできなくなり、アジア国家になると思います。
    独裁国家にお似合いです。

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