ウクライナ戦況

ゼレンスキー大統領がG7で防空システム供給を要請、ロシアはShahed-136を2400機発注

ゼレンスキー大統領は11日、G7緊急会合で「ロシアがイランに徘徊型弾薬Shahed-136を2,400機も発注している」と明かし、フランスとイタリアにSAMP/T提供を要請、西側が提供する防空システムへの十分な量の迎撃弾を供給を訴えた。

参考:Зеленский предложил странам G7 “формулу мира”, чтобы остановить Путина

この手法はドンバス地域のウクライナ側地域から住民を追い出すため過去にロシア側が用いてきた手法に類似する

ゼレンスキー大統領は11日、G7緊急会合で「ロシアには戦いをエスカレートさせる能力(空からの攻撃によるテロ攻撃)をもっており、これを否定するためには最新の防空システム=エアシールドが必要だ」と語り、IRIS-TSLMの提供を前倒ししたドイツ、高度なミサイル防衛と防空システムの提供を決定した米国に感謝の言葉を述べた。

出典:IMA Media 演習に登場したShahed-136

しかしゼレンスキー大統領は「ロシアがイランに徘徊型弾薬Shahed-136を2,400機も発注している。提供される防空システムが十分な量の迎撃弾を持ち、ウクライナ軍の指揮管制システムに統合されることが重要だ。このことを12日に開催されるラムシュタイン会議で良く話し合ってほしい」と要求、さらにフランスとイタリアに「出来るだけ早くSAMP/Tを提供して欲しい」と要請している。

今回の発言でゼレンスキー大統領は「米国が高度なミサイル防衛と防空システムの提供を決定した」と述べているため、バイデン政権はパトリオットシステムとNASAMSシステムによる多層式防空網をウクライナに提供する可能性が高く、イランにShahed-136を2,400機も発注しているという話が本当ならロシア軍は今後、電力設備だけでなく暖房用のガス供給整備や集中暖房システムを破壊してくることが予想され、12月~2月の平均最高気温が0℃を下回るウクライナにとっては死活問題だ。

出典:Kremlin.ru/CC BY 4.0

この手法はドンバス地域のウクライナ側地域から住民を追い出すため過去にロシア側が用いてきた手法に類似しており、プーチン大統領はインフラへの攻撃でウクライナ人から電気と暖房を奪い、冬の寒さに根負けしてロシアへの妥協に傾くか、極寒のウクライナから大量の避難民が欧州に流入して経済的な負担になることを狙っている可能性が高く、このあたりの綻びに付け込んで交渉ベース=ロシアの要求に沿う形での戦争終結を目論んでいるのかもしれない。

因みにゼレンスキー大統領は「プーチン大統領にウクライナでの目標達成が難しい」と認識させる措置を「平和の方程式」と呼んでおり、エアシールドの提供はその1つに過ぎない。

追記:ウクライナは最初のIRIS-TSLMシステムをポーランドとの国境で受け取ったらしい。

関連記事:プーチンの狙い、冬の電力遮断でウクライナ人から妥協を引き出すこと
関連記事:ロシア軍がウクライナの電力輸出を遮断、イランにShahed-136を2,400機発注か

 

※アイキャッチ画像の出典:President of Ukraine

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コメント

    • おわふ
    • 2022年 10月 12日

    ロシアの暴挙は、もちろん非難すべきですが、西側の防空システムが有効に働くのか気になる。

    そして、そろそろ重装備の提供開始すべきでは?

    32
      • 月虹
      • 2022年 10月 12日

      ウクライナにはロシア軍に占拠されたザポーリジャ原発(原子炉6基・6000メガワット)を除くとムィコラーウ州の南ウクライナ原発(原子炉3基・2850メガワット)、リウネ州のリウネ原発(原子炉4基・2800メガワット)、フメリニツキー州のフメリニツキー原発(原子炉2基・2000メガワット)の3箇所の原子力発電所があります。

      この3か所は重要防御拠点なので防空ミサイルシステムの配置は必須といえます。原発先進国であるフランスは原発や再処理工場に武装した警備員を配置し(テロ行為等があった場合、射殺も認められている)、対空ミサイルシステムも配置するなど万全な警備態勢を取っています(過去のイスラムゲリラによるテロ行為の教訓から)

      西側の重装備に関しては戦闘機の供与は喫緊の課題でしょう。既にウクライナ空軍の出撃回数は一桁台になってきていて、これには機体喪失というより整備部品の枯渇が影響している様です。

      8
    • 佐々籐士郎
    • 2022年 10月 12日

    もうすでにプーチンは「ウクライナを自分たちの勢力に引き込むこと」をあきらめ、
    これまでのうっ憤を晴らすためだけの攻撃、つまり「八つ当たり」に出ているんじゃないか。

    29
    • ぽち
    • 2022年 10月 12日

    >イランにShahed-136を2,400機も発注・・・電力設備だけでなく暖房用のガス供給整備や集中暖房システムを破壊

    どこまで卑劣なんだ! DVオトコの短絡的ミサイル発射ではない
    ウクライナ国民を凍死か難民に追い込み、欧州の分断も狙う。虐殺かつ有能な新司令官の発案ですか・・・?

    アメリカと欧州は、全速力で防空システムを供与してほしい
    日本も、小型発電機などで支援できるはず

    29
      • おわふ
      • 2022年 10月 12日

      今こそ人道的支援が活きますね。
      岸田さん、今ですよ。

      30
      • ido
      • 2022年 10月 12日

      日本は地震対策用に小型発電機を多数保有しているはずなのでそれを提供して欲しいですね。

      17
    • bbcorn22
    • 2022年 10月 12日

    まあイランはそれほど集荷できないだろw
    そのうち内戦になりそうなレベル。
    それより遠距離ミサイルがやっぱり必要だね。
    別にモスクワに打てとは言わないが
    ロシア内の基地とインフラは攻撃しても核は使えないだろう。
    ウクライナを多少ひるませることはできても
    所詮NATOの敵ではない。
    NATOはまずベラルーシから攻めればいいのではないか。
    ベラルーシ軍と示し合わせて猿芝居できるだろう。
    ベラルーシ侵攻は実際にはベラルーシ軍を助けて軍事クーデターを起こす筋書きで。
    ベラルーシからルカシェンコがいなくなればロシアは第二のウクライナと戦わなくてはいけなくなる。
    実際には戦闘はないだろうがロシアはそちらに戦力を裂く必要がある。
    ウクライナの負担はずいぶん減る。
    義勇兵の中にベラルーシ軍出身のものは多いのでいくらでもつなぎはつけられるから。

    16
      • k.ziro
      • 2022年 10月 12日

      イランはアゼルバイジャンの動向が気になるようですからねえ
      あまり気前よく兵器を出せる状況ではないような気もします。

      2
    • 名無し
    • 2022年 10月 12日

    以前から言われていた事だけどやはり徘徊型UAVをミサイルで迎撃するのは全く割に合わないなあ

    27
    • 折口
    • 2022年 10月 12日

    日本が送れて役立ちそうな防空システムは…うーん思いつかないですね。近SAMとかはアリかもしれないですが、送れる余剰在庫もなければ部隊から剥ぎ取っても弾薬備蓄が全然足りないですし。代わりに中多でも送っておきましょうか(もっと在庫が足りない

    7
    • 匿名希望
    • 2022年 10月 12日

    迎撃ミサイルは高価だからな。
    それよりは、戦車などで領土を取り返せればいいが、季節的に止まらざるをえないのか。

    1
    • RED
    • 2022年 10月 12日

    他人が凍える算段つけてる場合じゃないだろうに……多くの補給路を遮断された上に満足な冬季装備もないあんたらの軍、この冬で全滅しかねないんだがな……。

    まあ、もはや正面からでは勝てないと観念してるからこんな攻撃に出てるんだろうが、プーチンらは相手からの憎しみを買うことの意味をもっと重大に考えるべきだ。
    生活ができず尊厳もなくなれば話は別だが、尊厳がある限り相手は執念で乗り越えてくるぞ。

    24
    •  
    • 2022年 10月 12日

    防空システム提供はいいけど徘徊型の自爆ドローンを防空システムで落しても
    向こうは安くてこっちは高いからコスト的に大損という問題はある
    迎撃率にしてもそうだけど日本にミサイル撃ち込まれたとして
    全部撃ち落とすのは無理というのは今回よくわかった人多いと思う

    16
    • 名無し2
    • 2022年 10月 12日

    この手の嫌がらせドローン等の大量の低スペ目標を迎撃するための安価な迎撃ドローンの登場が待たれる

    6
    • タイヤキ
    • 2022年 10月 12日

    リヴィウの変電所は精密弾道ミサイルで攻撃している辺り、ポーランドは巻き込みたくないだろうな。
    ロシア軍もたてなおしてへルソンに陣地作成して三重の防御ラインつくり補給を船やボートや橋でしていたり、東部も後方で陣地建設はじめていたりと動員兵労働者として防衛出来るほど使いたてなおしているみたいだから、弾道ミサイルでウクライナの混乱中にロシア軍たてなおすの目的だろう。
    このまま冬将軍きたらウクライナも攻勢はかけづらいな。

    4
    • 58式素人
    • 2022年 10月 12日

    ①Shahed-136に限った話ですが。
    いくつか前の記事で、ウクライナ兵の話で、
    「特徴的な音で数キロ前から見つけられ、対空機銃で撃墜できる。」
    というのがありましたね。
    であれば、Shahed-136の目標だ推察できれば、
    その手前に待ち構えるのが良いような気がします。
    少し古いものでも良いのでレーダー照準の対空火器で十分かなと思います。
    先日、米国から提供されたVAMPIREなどは適任かなと思います。
    ハイドラ70ベースの対地・対空兼用ミサイルで、MANPADSより安価と思います。
    ②他所の記事の中で。
    巡航ミサイルをMANPADSで撃墜したというものがありました。
    低速のものなら、条件が良ければできるのですね。
    高価なものを安価なもので撃墜するのは意味があることと思います。

    6
    • 名無し
    • 2022年 10月 12日

    MANPADSで低空で侵入してくる巡行ミサイルの撃墜に成功してる動画あったけど、あれはもう職人芸+半分以上がお祈りだわ。
    飛行経路を予測してベストポジションに陣取り、ロックオンに成功してもほんの少しでも発射のタイミングがズレると追いつけない

    5
      • 58式素人
      • 2022年 10月 12日

      そうですね。
      ウクライナは、自前のAEW機が欲しいところと思います。
      SRBMについては、多分、ルーマニアにあるレーダーから
      データをもらえると思いますが、低空を飛ぶ同時多数の目標を
      捉えるのは大変ですね。
      現状できることは、目標を仮定して飛行経路を割り出し、
      最後は数の勝負でしょうか。
      AEW機かそれに代わるものが欲しいですね。

      1
    • 暇人28万号
    • 2022年 10月 12日

    防空より人道支援で日本は頑張るべきだろう、凍えて死ぬぬは辛かろうて

    6
    • Vahagn
    • 2022年 10月 13日

    さながら「冬の戦略兵器化」ですね。ウクライナのインフラを破壊しつつ欧州に電力とガスと難民の負担を強いる…卑劣極まりない。
    ハッタリ核兵器よりよほど効果的。

    思うにロシアは一回、ガツンと同じ目に遭って懲りるべき。無知で政府の受け売りしてる田舎者も都市生活者も、素寒貧の生活苦にあえげば疑問も浮かぶだろう。
    大勢のロシア国民が、3月革命よろしくパンをよこせ旦那を返せとなった時にこの戦争はようやく終わるんでしょう。

    あらためて、武力を振りかざす相手には武力で反撃するしか身を守る方法はないのたと教えてくれる。

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