ウクライナ戦況

ロシア軍がウクライナ軍基地を攻撃、複数のSu-27が破壊された可能性

ロシア人ミルブロガーのRYBARは1日夜「ロシア軍がIskanderでウクライナ軍のミルゴロド空軍基地を攻撃し、少なくと2機のSu-27が破壊され、4機のSu-27がクラスター爆弾の影響を受けた」「一撃で6機の戦闘機を無力化した」「北部軍管区が発足して以来最高の戦果だ」と報告した。

参考:Рыбарь
参考:Fighterbomber

これ以上のことは謎なので専門家の分析を待ちたい

ロシア人ミルブロガーのRYBARは1日夜「ロシア軍がポルタヴァ州ミルゴロド空軍基地をIskanderで攻撃し、少なくと2機のSu-27が破壊され、4機のSu-27がクラスター爆弾の影響を受けた。高い確立で損傷を修復するのは不可能だ」「ロシア軍は一撃で6機の戦闘機を無力化したことになり、これは北部軍管区が発足して以来最高の戦果となった」「恐らく今回の攻撃でパイロットと地上要員にも損失が出たと思われるが、これは敵側の発表によって間接的に確認されるだろう」と報告。

出典:管理人作成(クリックで拡大可能)

攻撃を受けたミルゴロド空軍基地は前線から140km離れた地点にあるものの、ウクライナ軍は基地を上空から監視していた無人機に気づいておらず、この距離でIskander(恐らく弾道ミサイルタイプのIskander-M)に狙われれば数分以内に着弾するため、露天駐機された状態のSu-27にとってひとたまりもないだろう。

但し、この映像には不可解な点も存在する。

出典:管理人作成(クリックで拡大可能)

映像の冒頭で写る赤丸のSu-27は健在だが、映像中盤になると破壊されて残骸になっており、その後の基地の状況はSu-27らしき航空機が6機表示(言及のない航空機が1機写っている)され、クラスター弾の攻撃で4機のSu-27が影響を受けているように見えるが、2機のSu-27を破壊したと主張する終盤の映像はクラスター弾による攻撃の映像とは完全に別物だ。

中盤と終盤の映像に写る基地の状況=Su-27の駐機状況は完全に異なっており、恐らくミルゴロド空軍基地を攻撃した別の映像を繋げている可能性が高く、RYBARが主張する「一撃で6機の戦闘機を無力化した」という話には疑問が生じる。

因みにロシア人ミルブロガーのFighterbomberも同様の報告しているが、これ以上のことは謎なので専門家の分析を待ちたい。

関連記事:ウクライナ軍によるSu-57の破壊、UMPKの有効性が低下している可能性
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関連記事:未知の無人機による攻撃か、Tu-95が配備されたロシア軍基地で爆発

 

※アイキャッチ画像の出典:Рыбарь

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コメント

    • 黒丸
    • 2024年 7月 02日

    前線から140kmの所でSu-27は何をする為に配備されていたのでしょうか?
    Su-25やMig-29なら航空支援かなとも思えるのですが。

    5
      • jimama
      • 2024年 7月 02日

      Su25とかの脅威度は相変わらず高いので順当に考えればそれの迎撃任務だと思います
      ただSu27の航続距離(武装状態増槽無しで4000㎞)からするとちょっと前線に近すぎる気もしますが

      18
        • たむごん
        • 2024年 7月 03日

        戦闘機の航続距離は、巡航速度ギリギリの節約飛行、カタログスペックなんですよね。

        実戦だと(スクランブルもそうですが)、レーダー回避は複雑な軌道と増速、トス爆撃(滑空誘導爆弾)も投下直前直後は全速力です。

        燃料爆食いしますから、数百キロくらいの戦闘行動半径と考えるのが無難と思います。

        1
          • たむごん
          • 2024年 7月 03日

          追記です。

          >戦闘行動半径(作戦半径)とは目的地まで行って「戦闘して」帰ってくるわけですから、全力で飛び回る戦闘の最中に燃料を大量消費してしまうので、最大航続距離の半分の数値になることは絶対に有り得ません。戦闘行動半径は最大航続距離の3分の1~4分の1くらいの数値になるのが普通です。

          (2020/7/5 兵器のカタログスペックをそのまま信用してはならない理由 JSF Yahooニュース)

            • 事実
            • 2024年 7月 04日

            現地で空戦でもするならな
            今時の迎撃戦闘だったらR27乱れ撃ちして帰ってくるだけ

            フランカーの4,000kmはクリーンなフェリー性能ではなく10トンぶら下げた状態でのスペック
            そもそも4,000kmの1/3は1,300km、1/4でも1,000km

      • kitty
      • 2024年 7月 02日

      もはや掩体運用できないとどうにもならない時代ですね。
      元々は前線から140kmなんて位置にある基地では無かったわけですが前線の方が近づいてきて…。

      28
      • nachteule
      • 2024年 7月 02日

       普通にHARM運用能力とかJDAM運用能力は付与されていると思うしMigー29で出来る事はSuー27でも出来ると思った方がいい。

       最近だってウクライナのエアストライクとかちょくちょく聞いているし調子気乗って前線に出てきた可能性。燃料なり機体の負荷的な面とか色々あって近い位置に配置していた可能性はある。

       仮にデコイじゃなくて本物なら前にシャヘドだったかでSuー24だったと思うが破壊された時以来の失点で、敵の射程距離圏内で何してんのと叩かれても仕方ないよな。あの時ですら前にやられていたのに対応がお粗末とか言われていたし、まさかFー16入ってきている?からミサイル消費のための的にしたとかないよなぁ。

      11
    • 2024年 7月 02日

    Su-27まだまとまった数があったんだ!の驚きと搭載兵器あるんかい?の疑問。

    25
      • 理想はこの翼では届かない
      • 2024年 7月 02日

      ここ最近はウクライナ軍も滑空爆弾を使い始めたという話があったようななかったような
      その都合で前線配備しようとしたんじゃないですかね?

      4
      • かき
      • 2024年 7月 02日

      旧ソ連の飛行場にありがちな使わなくなった飛行機が放置されていたとかですかね。
      ソ連時代から引き継いだSu-27が全て飛行可能な現役とは思えないですし。

      5
    • たむごん
    • 2024年 7月 02日

    前線から、あまりにも近い位置のため、本当に駐機していたのか・デコイの可能性も気になっています。
    ウクライナ=ロシアともに、無人機や各種ミサイルなどによる、インフラ設備へのの攻撃が話題になっているからです。

    最前線に滑空誘導爆弾の投下情報があり、空中給油機の使用をあまり聞かないため、かなり前線に近い位置に配置する必要もあるとは思います。
    戦闘機の戦闘行動半径は、速度が速ければ極めて短くなるからです。

    両国の戦闘機が、前線からどの程度の距離に分散配備しているのかは気になりますね。

    >攻撃を受けたミルゴロド空軍基地は前線から140km離れた地点…

    15
    • AAA
    • 2024年 7月 02日

    ドローンに発見されて即ミサイル飛んで来るとか今の戦場って怖過ぎだろ

    24
    • 2024年 7月 02日

    前線から140kmに配置するとしたら普通はヘリでしょうし、Su27を駐機させるなんて考えにくいです。やはり続報待ちで良いかと

    15
    • きりる
    • 2024年 7月 02日

    グーグルマップを見るに分散パットは30ほどでバンカー無し
    撮影時期は開戦前だと思うけど密集して駐機してるし宇露共に失敗して覚える系なのかもよ

    空自も色々と考える必要があるな
    隠す為にハンガーとバンカーを沢山作って移動は基本的に夜間とかにしたら被害を軽減できそうなんだが
    あと分散パットに置くのは自走できるデコイで遠隔操作
    さすがに熱源で判別できるレベルの無人機に簡単に接近を許すことはないでしょ

    3
      • n
      • 2024年 7月 02日

      空自は駐機してる機体はノーガードですからね。
      その辺をきちんと考えている台湾の航空基地とは大違いですよ。

      15
        • 事実
        • 2024年 7月 02日

        三沢はF35対応で100%対応じゃね?
        千歳と小松も半分はあるはず
        新田原もF35にあわせて導入予定
        その他もスクランブル用は確保している
        北偏重は冷戦の名残りかな?

        あとシリアでコンクリの掩体壕がトマホーク程度で簡単に抜かれているのでなんとも
        コスパ的には分散パッドの方がよさげだし、日本の場合は近SAMや基地防空用SAMが豊富だし、能力向上型が弾道弾に対応したらまた優先順位は変わるかも?

        2
    • A-Z
    • 2024年 7月 02日

    ダミーだったりしてなw

    5
    • にほんへ
    • 2024年 7月 02日

    スラブ人共の戦闘機は日光浴でもさせないとぶっ壊れるんか?

    10
      • paxai
      • 2024年 7月 02日

      ロシアの空軍基地の駐機場には屋根がないけど駐車場には屋根があるって話スコ

      11
      • ドナドナ
      • 2024年 7月 02日

      面白い、が、皮肉とはいえ民族は関係ないでしょ〜

      8
    • 774
    • 2024年 7月 02日

    あーあ、好きな機体なのに
    悲しい

    5
    • m
    • 2024年 7月 02日

    ドローンで発見→数分でイスカンデル着弾
    これじゃおっかなくてF16外に出せませんね
    バンカーの中に大事に大事に飾っておくのが良いでしょう
    どうせエイブラムスみたいにゲームチェンジャーにはならないんだし

    21
    • m
    • 2024年 7月 02日

    ドローンで発見→数分でイスカンデル着弾
    これじゃおっかなくてF16外に出せませんね
    バンカーの中に大事に大事に飾っておくのが良いでしょう
    どうせエイブラムスみたいにゲームチェンジャーにはならないんだし

    1
      • kitty
      • 2024年 7月 02日

      ソーティの数が減ってでも、空中給油とかで航続距離を伸ばして運用するのがいいのでしょうが、果たして、ウクライナ人F-16パイロットは空中給油できるスキルがあるのでしょうか?

      3
    • りにあ
    • 2024年 7月 02日

    東部・北東部ではまだ7月初旬なのに猛暑予想ですね。暑さの中でのバイク突撃。バイク進軍は北斗の拳を思い出だします。
    オフロード非対応バイクの可能性大なので舗装道路を走行しそうですね。

    1
      •  
      • 2024年 7月 02日

      何言ってんの?
      ウクライナ含め世界の多くの地域は7月が一番気温高いぞ
      日本は梅雨の関係で8月が一番暑いけど

      2
      • 事実
      • 2024年 7月 02日

      スクーターですらタイヤ変えるだけで普通にオフロード走れる

      3
    • paxai
    • 2024年 7月 02日

    映像の不可解な点に関しちゃ回答っぽい話が出てるなあ。偵察が5時間半に渡って行われ複数回の攻撃が実施されたのではないかって話。ただこれに気づくとはやりますねぇ

    13
      • gepard
      • 2024年 7月 02日

      5時間も空軍基地真上に偵察ドローンがいるのに何もできないのは大丈夫なんですかね…

      10
        • jimama
        • 2024年 7月 02日

        もちろんそんなわけない
        なにより140㎞も内陸部までドローンが侵入出来て
        厳重な警戒のはずの空軍基地の偵察を継続できていたということ(これは両軍に共通か?)になる
        普通に短射程の防空体制も死んじゃってるのかも
        そのせいで陸で大規模な攻勢の準備なり防衛施設の配備なりも見放題でどうしようもないということなので
        物資の集積すらままならなくなるのではないかなと

        15
      • Guest
      • 2024年 7月 02日

      初撃を受けてウクライナ軍が戦闘機の退避を試みたのでダブルタップを仕掛けたという話が出てましたね

      12
    • Easy
    • 2024年 7月 02日

    色々謎の多い発表ですね。
    普通に考えると、前線から140キロに貴重なSu-27を6機もまとめて置いておかないでしょうから、単にデコイを誤認して空爆して大戦果発表しているだけに見えますね。そしてその理由は「滑空爆弾をロシア領内に何十発も誤爆」という先日の報道に対する「ロシア軍の信頼回復作戦」あたりでしょうか。
    ただ、もしこれが本当に戦果が上がっているのだとすると。
    発表されてるドローンによる偵察ではなく。Humintによる情報リークでの爆撃と考えるべきですね。その場合、ドローン偵察映像は撮れないので他の「イメージ映像」を用いて戦果発表することになます。情報源を守らねばなりませんから。
    この場合は、「発表されている映像は嘘だが攻撃そのものは真実」というネジれが発生します。
    なので、必ずしも「映像が嘘なら戦果も嘘」とは言えないんですよ。
    ただし、これにも「Humintを通して嘘情報をロシアにつかませて囮のデコイを攻撃させた」なんていうパターン「映像も嘘だし戦果も虚偽だがロシア軍は本当だと思い込んでいる」も派生するので、なかなか悩ましい。
    なんにせよ、映像が信用できない時は、真実は依然として霧の中にあり。6機のフランカーは「生きているかもしれないし死んでいるかもしれない」シュレディンガーのフランカーとして我々の心の中に存在するのです。

    12
      • 名無し三等兵
      • 2024年 7月 03日

      なぜ前線から近い航空基地へ虎の子のSu-27を配備した?って疑問ですが
      ホームベースとして活動する航空基地と、戦況に応じて一時的に進出する
      前進基地としての航空基地は区別して下さい
      例えるなら尖閣をエアカバーするのに那覇からだと遠いので石垣島へ分遣隊
      を進出させるようなもんです、この様な事はどこもやります。
      ガ島を攻撃するのにラバウルでは遠いのでブインに航空基地を作って分遣隊
      を送り込んでたのも同じです。
      そこをヒューミンとや無人機や偵察衛星でSu-27が進出して来たのを察知されて
      攻撃されたのかもしれません
      ウクライナ側が迂闊だったったかもしれませんが、ロシア側もこの機に地上で
      撃破出来るチャンスを逃さなかっただけかもしれません。

      2
        • バーナーキング
        • 2024年 7月 03日

        何故「6機もまとめて」をスルーするんです?

    • 58式素人
    • 2024年 7月 02日

    他所の記事ですが。
    Su-27ではありませんが、Mig-29の稼働数は、現在、 約60機とのこと。
    保管機の現役復帰が続いているみたいです。
    先日のカザフスタンの部品などがこういうところに行くのかな。
    Su-27も同様であれば良いな、と思います。
    戦役(戦争?)なのだから。

    5
    •        
    • 2024年 7月 02日

    ウクライナ空軍って何やってるのか良く分かんないですね、戦闘機飛ばしたとしても落とされるから基地に放置されっぱなしなんでしょうか。
    脅威でない以上攻撃する意味も無いので、ロシア軍からもタマのムダとして放置されてるんですかね。
    しかしF-16の供与が近づいているので、ココで「F-16を供与したところで無駄やでー」という意思表示で、
    一発弾道ミサイルをぶっこんでみたんでしょうか。

    4
    • NIVEA万能論
    • 2024年 7月 02日

    なんというか「高い確率で損傷を修復するのは不可能」とか「恐らく今回の攻撃でパイロットと地上要員にも損失が出た」とか、不確実なところまで希望的に語ってしまうのはロシアもウクライナも同じだな、と。

    5
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