ロシア国防省は「巡航ミサイル4発で西側が提供のT-72や装甲車輌を破壊した」と意気揚々に明かしたが、ウクライナ側は攻撃を受けた工場をジャーナリストに公開して「ロシアが嘘をついたことを証明する」と発表した。
参考:Четыре ракеты РФ в Киеве ударили по ДВРЗ, но танков там нет – “Укрзализныця”
そもそもロシアは「国家の権威」を守ることが重要なので情報に対する価値観が異なるのだろう
ロシア軍は1ヶ月ぶりに首都キーウにある鉄道車輌の修理工場を巡航ミサイル4発で攻撃、ロシア国防省は「工場に隠されていた西側提供のT-72や装甲車輌を破壊した」と戦果を発表したが、工場を所有するウクライナ国営鉄道は「ロシアのプロパガンダに登場する戦車や装甲車輌は工場になく、ここは製品を輸出するための貨車や穀物運搬用車輌を修理していただけ」と声明を発表、さらにロシアの嘘を暴くためジャーナリストを攻撃を受けた工場に招待するとも述べている。
ウクライナ国営鉄道のアレクサンドル・カミシン最高経営責任者は「海外のジャーナリストの方々に工場を取材してもらいロシアが嘘をついたことを証明したい」と述べており、国防省から認定を受けた報道関係者(現在ウクライナ国内を取材する報道関係者は登録義務があり国防省にパスを発行してもらう必要があるらしい)のみが公開イベントに参加できると説明した。
さらにロシア国防省は「オデーサ空域でウクライナ軍機を撃墜した」とも発表しており、これについてウクライナの国防関係者は「ロシアのプロパガンダをその都度否定するのに飽きた」と述べているのが興味深い。
工場に「戦車や装甲車輌はない」と主張するだけでなく「攻撃を受けた工場をジャーナリストに公開する」と言っているのでロシア国防省の発表は嘘か、ロシア軍のインテリジェンスが機能していないかのどちらかだろう。
プロパガンダも情報戦の一種だが、情報発信や共有に時間の懸かった時代と異なるためロシア式のプロパガンダ=適当な作り話は敵に混乱をもたらすのではなく「ロシアの信憑性を無駄に貶めているだけ」とも言える。
まぁロシア国防省は侵攻当初から現実離れした数字や情報を多く発表しているので管理人は「公式という名の作り話(嘘や誇張の割合が多すぎるという意味で発表の全てが嘘ではない)」と受け止めているが、そもそもロシアは「国家の権威」を守ることが重要なので情報に対する価値観が異なるのだろう。
因みに戦争研究所はイジューム方面に投入されている第35諸兵科連合軍の司令官は森林地帯での戦闘を考慮しない不味い指揮のせいで、第64独立自動車化狙撃旅団と第34独立自動車化狙撃旅団と壊滅に追いやり、さらにロシア軍は前線に供給する医療物資や機器が不足して「不必要な手足の切断が急増している」とも指摘(少々情報源が怪しい)している。
追記:ウクライナ側は「工場に隠されていた西側提供のT-72や装甲車輌を破壊した」というロシア国防省の発表が嘘だと証明するため攻撃を受けた工場を報道関係者に公開した。
この公開イベントに参加した報道関係者は「工場に武器や装備の類が一切ないことを確認した」と主張している。
関連記事:英国防省、ウクライナ軍の反撃でセベロドネツク市内のロシア軍は失速
※アイキャッチ画像の出典:Ministerstwo Obrony Narodowej
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プロパガンダがどんどん下手になってるなぁ。第35諸兵科連合軍司令官は人生オワタコースだな。現場の下士官に殺されるか粛清されるか戦車で轢かれるか。というか2個旅団を壊滅に追いやる方が難しい気もする。
SNSやネット、衛星などが発達した情報化社会において情報の精度、ひいては国への信用度よりもいわゆる大本営発表の類を重視しているということでしょうか
北朝鮮や中国並みに情報規制しているならまだ国内向けでは有効かもしれませんが、ウクライナ侵攻後にメディア規制始めた(それさえも若者にとってはザル)程度のロシアでは国外はもちろん国内の人たちさえもろくに騙せないような気がしますが
南アジアや東南アジア、中東、中南米、アフリカでは親ロシアのフェイクニュースが広まっていて情報戦に負けているのは実は西側じゃないかとの懸念が出てますね
逆を言えば、親露のフェイクニュースが広まっているのは欧米が嫌いな人が多い国に集中していますね。
要するに、人は自分が信じたい情報しか信じない訳で、そこに付け込むのがロシアのハイブリッド戦争における情報戦の要諦なのでしょう。
まだ今発表の真偽がわかったわけではないが、ついこの間までゲラシモフドクトリンを掲げて情報工作のプロたるイメージを持った国の面影はどこへやら。
今や国外で彼らの情報を100%信じているのは反欧米のオルタナティブか、前頭葉がアレな人しかいないじゃないか。
余裕の無い人間がすることは組織が大きくても変わらないな。
イジューム付近は防衛が難しそうに見えますがそうでもないんですかね?
>工場に「戦車や装甲車輌はない」と主張するだけでなく「攻撃を受けた工場をジャーナリストに公開する」と言っているのでロシア国防省の発表は嘘か、ロシア軍のインテリジェンスが機能していないかのどちらかだろう。
>プロパガンダも情報戦の一種だが、情報発信や共有に時間の懸かった時代と異なるためロシア式のプロパガンダ=適当な作り話は敵に混乱をもたらすのではなく「ロシアの信憑性を無駄に貶めているだけ」とも言える。
ロシアにとっての世論工作のターゲットは、主に国内のロシア人だろうから、間違ってないと思いますけどね。
以下補足。
今回の攻撃の目的は、西側提供兵器の輸送を遅らせるために、鉄道関連施設を目標としている。
それをそのまま発表すれば、また戦況が悪くなるのかと思われかねない。
だから、嘘とすぐばれることでも、景気のいいことを言っておく。
戦争中だと、嘘とばれる頃には、他のニュースが見出しを飾るから、大した影響もない。
また、東部戦線の進捗が思わしくないから、このニュースでカモフラージュしている可能性もある。
戦況の如何に関わらず、敵の補給能力撃滅は正当な作戦と思いますが、隠さなければならないのですかね?
ロシアもウクライナにいるヒューミントの情報他各種情報を分析して、西側補給物資の集積所と判断して攻撃したけれど、管理人さんの指摘通り分析能力が錆びついていたのが真相では?
あるいは、ウクライナ側も物資を集積する予定でいたか、集積した物資は移送済みだった可能性もあるかも。
わざわざ報道陣に公開するのも怪しいかも。
>正当な作戦と思いますが、隠さなければならないのですかね?
作戦目的を敵方に公開する必要性がありませんよね。
公開するということは、公開する意図が隠れていると思うべきかと。
>西側補給物資の集積所と判断して攻撃したけれど、管理人さんの指摘通り分析能力が錆びついていたのが真相では?
高性能な衛星だと、地上にいる人の持っているスマートフォンの機種まで見分けられるとも言われている現代で、大型の軍事装備の集積場所であれば、一目ではないかと。
ウクライナ側も、次から次へ送られてくるものを、いちいちハンガーで隠せるとも思えませんし。
それに、鉄道や道路で移動すれば、スパイでなくとも近くの一般市民でもすぐわかるでしょう。
そう考えると、ロシア側が戦車があると思って打ち込んだけど、ありませんでした。という仮説の信ぴょう性は薄いと感じます。
従って、「ロシア国防省の発表は嘘」の説が真相に近いと考えます。
何か意図を歪められている様ですけど。
>作戦目的を敵方に公開する必要性がありませんよね。
公開するということは、公開する意図が隠れていると思うべきかと。
攻撃前ならともかく、攻撃後に公開するのは普通ですよね。
>高性能な衛星だと、地上にいる人の持っているスマートフォンの機種まで見分けられるとも言われている現代で、大型の軍事装備の集積場所であれば、一目ではないかと。
理論上と現実は乖離があります。
貴方の言う通りなら実際の戦況は違うと思われませんか?
ロシアがわざわざ高価な兵器を使って攻撃した意図を過小評価する意味が解らない。
>攻撃前ならともかく、攻撃後に公開するのは普通ですよね。
普通の基準がよくわからないです。
>貴方の言う通りなら実際の戦況は違うと思われませんか?
そうですか?
武器の集積場所ならともかく、実際の部隊レベルだと、分析に時間使っているうちにも、刻々と移動するから、どれほど活用できるのかわかりませんね。
>ロシアがわざわざ高価な兵器を使って攻撃した意図を過小評価する意味が解らない。
どのあたりが過小評価しているのでしょうか。
ドボルニコフは顔つきからして「出来るヤツの顔」してるから
4月に司令官に就任してから、第二次攻勢でロシアは一気に締まりが入ってウクライナは苦戦になるかもと恐れてたけど
結局ドボルニコフをもってしても結局締まりが入り切らずにここに来てキーウ攻略の時と同じノリにまで崩れてきてる感じ。
ドヴォルニコフは更迭されたとの説がありますね
一部の人にとっては自らを蔑んでいる社会規範を否定し中傷して踏みにじることで自身の優位を脳内で確立することが大事だから
その世界観を補強するものが真実になるのよ
キエフ上空を飛翔するカリブルと思しき巡航ミサイルが撮影されているので(動画では一発のみ)、何かを爆撃したのは間違いないのかなと思います。開戦数日で雨のように使っていたカリブルですが、兵器があると特定した敵首都の重要目標に対して公式発表でもたった4発しか撃たないというあたり、当初予想されていた通り在庫を殆ど打ち尽くして温存している段階なのかもしれないですね。
イジューム含めドンバス正面のロシア軍部隊には相当数の現地徴集兵やド/ル民兵が混じっているという情報も散見しますよね。彼らはロシア軍とそれほど連携している訳でもないようなので(砲兵の支援はうけていないし、弾除けや露払いに突撃させられているという話まで見るけど…)衝撃力を失いウクライナ側の火力が充実してきたら停滞もやむなしという感じなのかなと思ったり。
東部での露の「第二攻勢」の当初の威力は目を見張るものがありましたし、再編した軍でこのままスチームローラー戦法に回帰してドニエプル河まで打通してしまうのでは?と思っていました。しかしまさかこんなに早く攻勢が停滞するとは…
国内向けの発表で、国際的な意味を求めてないんですね。
大きな北朝鮮になっていく。
北朝鮮はロシアの前身であるソ連からすべてを学び真似ることから始まってますから
個人崇拝、先軍思想、情報管理統制、収容所国家
北朝鮮のオリジナリティーは指導者の世襲だけですよ
そもそも巡航ミサイル4発で「工場に隠されている装甲車両を攻撃する」ってコスパ悪いのではないでしょうか。どこにあるか分からないので狙いが不正確だし、広大な鉄道工場の建物を多少崩したからといって中にあるものが全てダメになるわけでもないですし。
西側の武器支援が嫌で仕方ないので「邪魔してやったぜ」ということが言いたいのでしょうか。
発表しているのはウクライナ政府ではなく国営鉄道の人なのですね。自分のところの資産を攻撃されて激おこということでしょうか。
修理作業が出来なくなるし、技術者も殺傷できるので、効果は高いよ。
今回死傷者はいないそうだし、映像を見ても工場の一角が崩れているだけですね。航空爆弾や砲兵射撃に比べて巡航ミサイルの純粋な破壊力は高くないと思えます。
ウクライナが全てを公開していると思います?
開戦当初から自軍の損害は隠蔽していますの。
クレムリンの大本営発表だと、現在のウクライナ上空の制空権はどっちにあるんだ?
ゲラシモフ・ドクトリンの宣伝戦への傾注も、肝心のロシア自身の認識が日々でまかせの煙幕程度では役に立ちませんね。ロシアに現代広報を制作できる人材がいないわけではない(ウラジスラフ・スルコフ等)にも関わらず、今回の戦争で出してくるプロパガンダの質の低さ、古さには呆れるばかりです。
>第35諸兵科連合軍の司令官は森林地帯での戦闘を考慮しない
>不味い指揮のせいで、(二個旅団を)壊滅に追いやり
森林の一本道に前哨も側衛も無しに突っ込んでモッティされたんですかね???
初夏だというのに冬戦争じみてきました。