ウクライナ軍参謀本部は24日「ルハンシク州とドネツク州で4つの拠点を解放した」と発表、イランはウクライナに「もしロシアがウクライナでイラン製無人機を使用していると証明されれば無関心ではいられなくなる」と伝えた。
参考:ВСУ вытеснили врага из 4 населенных пунктов на Донбассе – Генштаб
参考:Iran says won’t remain ‘indifferent’ if Russian use of its drones in Ukraine proven
正規ルートではない商用部品で構成された残骸を調べたところで「イランで製造されたと立証できない」とイランは考えているのだろう
ウクライナ軍参謀本部は約2週間ぶりに東部戦線での前進を発表、ルハンシク州とドネツク州で4つの拠点を解放したと明かしたが内3つは視覚的に解放が確認済みだっため、新たに解放が確認されたのはルハンシク州のカルマジニフカのみだ。
東部戦線の反撃は全体にペースが落ちているものの新たにカルマジニフカを確保したことで「ウクライナ軍がスバトボまで約9kmの地点に到達した」と評価できるが、クレミンナ方面ではロシア軍がウクライナ軍をゼレベツ川方向に押し戻し、両軍の接触線をクレミンナから遠ざけることに成功している。
この方面における両軍の交戦は「冬支度に向けたポジション争いだ」という指摘もあり、今後の焦点は年内にヘルソン市をウクライナ軍が奪回できるかどうかだ。
ウクライナ軍参謀本部は22日「ロシア軍がヘルソン州のチカラブとシャリーヴネを放棄して後退、ベリスラフに駐留していた将校や医療関係者も避難を始めた」と発表、まだ放棄された拠点をウクライナ軍が支配している訳では無いが、両拠点の放棄はブラスキンズキーやボロゼンスキーを起点する突出部のリスクになるため再びロシア軍の撤退=戦線整理につながるかもしれない。
ただロシア軍はドニエプル川北岸地域からの撤退を匂わせつつ市街戦の準備を進めており、ウクライナ国防省情報総局のキリロ・ブダノフ准将も「現時点でロシア軍のヘルソン撤退はない。ノーバ・カホフカの水力発電所をウクライナ軍が抑えた段階で撤退を検討し始めるだろう」と述べているので、ウクライナ軍が水力発電所経由のアクセスを物理的に遮断できるかどうかが「ヘルソン奪還」のポイントになるのだろう。
因みにイランのアミラブドラヒアン外相は再び「ウクライナで使用するための武器やドローンをロシアに供給していない」と主張したが、ウクライナには「もしロシアがウクライナでイラン製無人機を使用していると証明されれば、我々は間違いなく無関心ではいられなくなる」と伝えている。
つまりイランは「ウクライナで使用しない」という前提でロシアに武器を供給しており、正規ルートではない商用部品で構成されたShahed-136の残骸を調べたところで「イランで製造された」と立証するのが難しい=幾らでも言い逃れが出来ると考えているのだろう。
恐らく外交ルートでイランの武器供給を止めさせるのは不可能に近く、イスラエルが爆撃したシリアの組み立て工場もShahed-136を製造しているのかは不明で、イエメンやパレスチナにもイラン製無人機を製造する拠点があるため供給源を完全に潰すのも難しいものがある。
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※アイキャッチ画像の出典:Генеральний штаб ЗСУ
これはイスラエルに期待するしかないんでしょうかね。防空システムにしろ神風ドローンの工場の破壊にしろ。早めに工場吹き飛ばしてほしいところ。そしてウクライナ軍は冬までにヘルソンを奪還してノーバ・カホフカとかの対岸に圧力かけたいでしょうね。頑張ってほしいです。
チカラブとシャリーヴネのウクライナの目的は、ノーバ・カホフカの水力発電所を確保することなのでしょうね。逆にロシアとしては、水力発電所を取られたら厳しい。どこかの時点でドニエプルを水没する計画じゃないかな。
ドエニブル川西岸を抑えられたら、即座に水力発電所のダムを破壊(犯人はウクライナと発表)
ダムが破壊されたら渡河は不可能になるのでヘルソン方面の戦線は来夏まで停滞。
冷却水喪失で原発メルトダウン(ウクライナのダーティーボム発言はこの伏線では?)
これくらいやりそうですね
これは不発だったり、ロシア軍が置き去りにしたShahed-136を捕獲されるフラグ。
ロイターが英独仏が安保理決議違反としてイラン製ドローンの調査を始めたとあるし、バイデンは中間選挙の趨勢次第では追加のイラン制裁を行いそう。これ以上、何を制裁するんだって感じではあるが。
2010年前半の国連&各国制裁を復活させるとかですかね?あれは民間貿易全てに決済も駄目になったので今後またイランへの制裁が強化されるとしたらそれが復活しそうです。
クレミンナでのロシア軍の反撃が成功し、ウクライナ軍が逆にゼレベツ川に向かって退却しているということは、クラーケン連隊を中心に行われたこの方面でのウクライナ軍の反撃はすでにいったん終わった、予備の兵力を使い果たしたということで、しばらくウクライナ軍の攻勢はこの方面では行えないということかもしれません。
とはいえ、ロシア軍の方がこのまま一気にリマンを奪回ということもないとは思いますが、状況次第、ロシア軍の反撃如何ではウクライナ軍がゼレベツ川の西岸に退却することもあるかもしれません。
ヘルソン州でもブダノフ准将はロシア軍の撤退はとうぶんないと言っていて、また実際に現時点では撤退していません。
ノバカホフカ水力発電所の橋についても、クリミア大橋でさえも、応急修理にはそれほど時間がかからなかったことを考えると、応急修理不可能、完全に通行不可能なほどに破壊するというのは普通に考えて無理でしょう。
ウクライナ軍はクレミンナ攻略は後回しにしてスバトボ攻略に戦力を回したんだから、クレミンナ近辺が膠着状態になるのは当たり前ですよ。
ヘルソン奪還は11月末までとか年内とかウクライナ軍は言ってますから、その前にスバトボ奪還が先でしょう。
300機以上も飛ばしてきたら、1つや2つ「不発」状態で「不時着」している機体があってもよさそうに思うのですが、ひっそり不時着していたら見つけるのは難しいでしょうか?
どこにどの程度飛ばしてるのかウクライナ側は知ることができないので、あるとは思いますがサイズの小ささもあり見つけれたらラッキーくらいだと思います。
部品供給ルートを締め上げるのは必要ですが。
記事にも書いてあるけど部品は民生品の流用だからイランが製造してるという証拠にはならないって。
部品は中華でしょうが民生品を生産販売することに何の問題もないのだから。
たしかロシアのドローンは日本製の部品が使われていたはず
ウクライナがヘルソン方面を非公開とする他は双方の国防省の発表する戦線は概ね一致しているところ、ザポリージャ方面ではロシアがウクライナの兵力集結を指摘しています。
このことはハリコフ攻勢前、ロシアのイジューム方面への攻撃の警戒と重なります。
警戒していても反撃を許したのは攻防の末というよりロシアの自壊の隙を突かれたという図式に見え、それを裏付ける鹵獲等は東部バフムートへの撤退でウクライナが見せた手腕と対照的でした。
ヘルソンではロシアが建設した舟橋はウクライナが発表するところの「HIMARS治療の処方」されたところですが、繰り返し補給路を繋ぐ努力はノーバカホフカが生命線という点で双方の一致を示しています。
ヘルソンにはロシアが固執するだけの理由があるとして、ザポリージャの件はヘルソンの情勢を睨んでウクライナもロシアに緊張を強いるだけの備えはあるということなのでしょう。
このあたりも間接アプローチ的な兵站・交通の破壊と並んでバフムートで平押しするロシアとの対照を感じます。
10/25の«Медиазона»の記事
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10/8に動員されて、訓練無しでスバトボに放り込まれた動員兵たちの小隊が辿った軌跡。
弾薬無し、無線機無し、指揮官無しで退却を続け、部隊を離れて空き家に隠れていたらしい。
ほうほうの態で北部国境まで落ち延び、ベルゴロドで記者のインタビューを受けた。
ロシア軍のパニック状態が行間からにじみ出ていて、動員兵たちが過酷な状況に置かれて
いたことがよく分かる。
”部分的”動員令は、むしろロシア軍にいっそうの混乱をもたらしているだけではないのか。
クレミンナ近辺では膠着状態ですが、スバトボ近辺ではウクライナ軍は着実に東進しています。ゼレベツ側沿いのTerny〜Makiivka〜Kovalivka〜Raihorodka〜Stel’makhivkaラインの町はすべてウクライナ軍が掌握し、スバトボ西4kmのPopivka近辺ではP66にまでウクライナ軍が達しています。
P07/P66はスバトボの西の尾根沿いを走ってますから、この尾根沿いのラインを全て抑えて砲撃優位を確保したら、あとはスバトボ南のKrasnorichens’ke側か北のNyzhnia Duvanka側かどちらかから攻め込むだけです。ロシア軍の戦力的にKrasnorichens’ke側は固いので北ルートの方が有力ですかね。
ヘルソンで粘るかもしれないですが、ウクライナにとって嫌なのはヘルソンのロシア軍が無傷で戦略撤退してバフムトやクレミンナ等の東部に回ることと思います。ヘルソンで精鋭部隊を釘付けにしておいたほうが好都合かもしれません。また、そのバフムトもロシアは諦めかけていて、ドネツク市西境のロシア・ドネツク共和国側のディフェンス関連が活発になっているようです。