ウクライナ軍参謀本部は16日「マリウポリを防衛する部隊は司令部が要求した全ての任務を達成した」と発表、各部隊の指揮官に兵士の命を救うよう命じた。
参考:Гарнизон “Мариуполь” выполнил задачу, приказано сохранить жизнь – Генштаб
果たしてノボアゾフスクやオレニフカに移送された兵士は本当にウクライナへ戻ることが出来るのだろうか?
マリウポリのアゾフスタル製鉄所に閉じ込められていた民間人は既に退避が完了、一刻も早く治療を受ける必要があった重傷者56人もノボアゾフスク(ロシア軍占領下)にある病院に移送され、さらに211人の兵士がドネツィク州のオレニフカ(ロシア軍占領下)に移動、捕虜交換手続きを経てウクライナ軍支配地域に戻る予定らしい。
参謀本部は「マリウポリを防衛した兵士のお陰で予備役編成や国際社会からの支援を受けとる貴重な時間を得ることが出来た。彼らは司令部が要求した全ての任務を達成したが我々にアゾフスタルの封鎖を解く力はない。今重要なのは彼らの命を救うことだ」と述べて、製鉄所に残る全ての兵士を救出するための措置が現在進行していると述べている。
両国間で合意が成立したのはアゾフスタル製鉄所に閉じ込められた「負傷者(推定500人~600人という説やもっと少ないという説がある)の退避」のみなので、恐らくオレニフカに移動した211人の兵士は重傷者以外の負傷者を指している可能性が高く「負傷していない兵士は引き続き製鉄所に残る」という意味だが、参謀本部は「要求した全ての任務を達成したので兵士の命を救え」と命じているため「製鉄所における抵抗の終了」を示唆しているように解釈できるが、具体的に「兵士の命を救え」という指示が何なのかは不明だ。
果たしてノボアゾフスクやオレニフカに移送された兵士は本当にウクライナへ戻ることが出来るのだろうか?
負傷していない兵士(約600人前後らしい)の退避も実現する見込みがあるのだろうか?
追記:兵士の命を救えという指示は製鉄所内の瓦礫埋まった生存者の救出作業や製鉄所からの避難作業を指しており、ウクライナ軍は製鉄所をロシア軍に明け渡すための作業も行っているらしい。つまり製鉄所からウクライナ軍の兵士は退去するという意味で負傷していない兵士は捕虜となるのか、一旦別の地域に移送されたのち捕虜交換でウクライナ軍支配地域に戻れるのかは不明だ。
関連記事:マリウポリの製鉄所に残る民間人避難が完了、但しウクライナ軍は残留
関連記事:マリウポリで戦うアゾフ連隊、負傷者を公開して治療の必要性を訴える
※アイキャッチ画像の出典:АЗОВ
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長い間、増援も着ないのに戦い続けた彼らを尊敬します。これからは外交官の腕の見せ所でしょう。日本も戦後にこういう兵士の心のケアをしなければ。長い間ご苦労様です。まだ油断はできませんが、頑張ってください。
こういう指示が出るってことは、ロシアと何らかの合意が出来たみたいね
一時は「司令部に見捨てられた」なんて話も出たけど、水面下の交渉が実って良かった
相手がロシアなので、実際に交渉結果が公表されるまでは何とも。
その交渉結果すら守られないことが多いので、籠城部隊の苦境はまだ続くと考えた方が良いとは思います。
ロシア側が「マリウポリに立て籠もっている連中は裁判にかける」とか言い続けていたので、取り残されたウクライナ軍兵士が「これ以上継戦できないから政治交渉でなんとかしてくれ」と要請していたわけですよね
この状況で、ロシアと何の合意も無く降伏指示(と取れるような指示)を出すとは思えないんですよ
どうかな…
人道回廊にしてもまずロシアの選別収容所に送られてたって話だし、
ロシアからしたらアゾフ連隊は、ネオナチとする最も遠慮がいらない相手
ロシアにとって、国際法があってないようなものだってことは証明されてしまっているから、捕虜にした彼らに何するかわかった物じゃない。
仮に国際法が守られたとしても、ロシア軍の現場が暴走する可能性も付きまとう
予断を許さない状況であることに変わりはないかと
ロシアが信用ならない相手だってのはウクライナが一番良くわかってるでしょう。その上で司令部がこの指示を出したんだから、兵士の安全については目処が立ってるんじゃないかなあ。
合意はできていたとしても、ロシア側が約束を守るのか確信はできんのでしょうな。そうでなければ司令部からはストレートに「投降しろ」という指示が出ているでしょうよ。
「(ひどい目にあうリスクは大きいが)降伏する」
「(現状より更に厳しくなるが)抗戦を継続する」
「(成功率は低いが)敵中突破を図る」
「兵士の命を救う」ための選択肢としてはいずれも可能性は低いが、まだしも当地の事情が分かっている現地部隊に判断を任せた方が少しでも可能性が高い方を選択できるから、その裁量を縛らないための柔軟な指示でしょう。
機械翻訳ですが引用すると
>軍最高司令部はアゾフスタールに駐留する部隊の司令官に、要員の命を救うよう命じた。
>連隊「アゾフ」の司令官デニス・プロコペンコは、マリウポリの守備隊が任務を完了し、部下の命を救いたいと言いました。
「要員(部下)の命を救う」とは降伏するという意味でしょう。
軍最高司令部は「降伏を許可する」、プロコペンコ司令官は「降伏を許可願いたい」というニュアンスか。
互いに「降伏」という言葉を避けているのかと。対象を負傷者に限定してはいないと思えます。
その上で
>国防省、ウクライナ国軍、国家警備隊と共に、国境警備隊はアゾフスタル鉄鋼工場の領土で封鎖されたマリウポリの防衛隊を救出する作戦を開始した
ロシア側と交渉し降伏後ウクライナ支配地に捕虜交換等で帰還できるよう全力で手配する、という意味かと。
戦死傷者を含む全員に勲章授与ということになるんでしょうね。
移送された人数まで一桁単位で把握しているのだから、ロシアも彼らに下手なことはできない。
と思いたい。
北東部に置いての反攻作戦が軌道に乗り始めたことにより、南東部のマリウポリでロシア軍を釘付けにするという目的は既に達しつつ有る。
彼らは、地球上で最も過酷な任務を達成した、文字通りの英雄。
そういえば、マリウポリ地下に潜伏してる相手に焼夷弾で打ち込んだりといった、無意味な行動を繰り返しているロシア軍の行動は不可解。
だからこそ、防衛研の方の見立ててではこれは、ロシア軍の仕事してる風に見せてる演技じゃないかって指摘していましたね。
マリウポリで本気で攻めたら多数のロシア軍側に多数の死者がでる。攻略しても、次は死地になってる東部、北東部地域の激戦地に飛ばされる。
どれも嫌だから、意味のない攻撃をダラダラ仕掛けてとにかく長引かせるサボタージュ状態になってるんじゃないかって。
ロシア軍の士気の悪さを聞く限り、本当にありそう
地下要塞になってるのに地表だけ焼いても仕方ないしな…
焼夷弾に混ぜ込んで変な煙焚いてないといいけどな…。
普通に降伏したら命の保証が無いけれど、
捕虜交換ならいくら何でも殺しはしないだろう、という判断なのかな。
ただ、これまでのロシアのやってきた事を見てると、
自軍の捕虜は存在しないor行方不明なので捕虜交換の交渉などしていない、
アゾフは護送中に逃亡を図ったという名目で射殺した、とか何でもやりそうなのがなぁ。
無事に帰ってこれればよいが。
ロシアに身柄を拘束された脱出組負傷兵の中に米軍特殊作戦コマンドの元司令官が混じってたという話を目にしたのですが、どこまで本当なのやら。開戦前からウクライナ軍に入ってた米軍顧問団の一人がそのまま戦闘に参加していたという話はありそうですが…
単に「降伏」して「捕虜」になっただけでしょ
敗走を転進と言ってるのと同じ。
こんなわかりやすいプロパガンダないのに