ウクライナ戦況

ウクライナ軍がドネツ川の対岸にある拠点を奪還、南部戦線への牽制か

ウクライナの国家親衛隊第15独立連隊と第103独立領土防衛旅団の兵士がドネツク州のOzerneを奪還、ドネツ川の対岸にある拠点をロシア軍から解放したという点で興味深い動きだ。

ドネツ川の対岸に反撃のため橋頭堡を築いた格好だが、南部戦線に敵戦力を集中させないための牽制かもしれない

ロシア軍はリマンを5月末に制圧、ウクライナ軍部隊の大半はスラビャンスク方面に退却したためドネツ川を挟んで両軍が睨み合う格好になり、ロシア軍はイジュームからスラビャンスクを目指して南下、一時は防衛拠点のBohorodychneをほぼ占拠していたもののウクライナ軍の反撃で押し戻され、この地域の戦線は膠着状態を保っていた。

出典:GoogleMap 大まかなスラビャンスク方面の状況/管理人加工(クリックで拡大可能)

しかしウクライナの国家親衛隊第15独立連隊と第103独立領土防衛旅団の兵士がOzerneの奪還に成功、ドネツ川の対岸に反撃のため橋頭堡を築いた格好だが、この地域に架かる橋は全て破壊されているためウクライナ軍は何処かに渡河ポイントを設置した可能性が高い。

因みに現在のウクライナ軍にリマンを奪回するだけの戦力や意思は無いと思われるので、南部戦線に敵戦力を集中させないための牽制かもしれない。

追記:ウクライナ軍が新たなTB2の攻撃シーンを公開、ロシア軍のT-72が複数破壊されているのが確認できる。

関連記事:反撃を開始したウクライナ軍が空爆を24回実施、ドニエプル川の橋も半壊

 

※アイキャッチ画像の出典:MilitaryLand.net

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コメント

    • 美濃尾張をやろう
    • 2022年 9月 04日

    TB2が搭載している誘導兵器は何なんですかね?

      • zerotester
      • 2022年 9月 05日

      この攻撃で何が使われているかは分かりませんが、以前にリトアニアの国防相がウクライナにTB2用の爆弾を送ったとツイートしており、その写真に写っていたのはレーザー誘導爆弾の MAN-Lのようでした。滑空爆弾で8~14kmの射程があるそうです。
      他に対戦車ミサイルの UMTAS も搭載できるとあります。

      9
        • zerotester
        • 2022年 9月 05日

        間違い、MAM-L です。トルコのRoketsan というメーカーの製品らしい。

        4
      • 鳥刺
      • 2022年 9月 05日

      通常の航空機発射ミサイル・爆弾は重過ぎて搭載できないので、軽量小型のTB2専用の小型滑空誘導爆弾が中心。

      トップアタックor軽装甲目標ならそれで充分という逆転の発想。

      2
    • 鼻毛
    • 2022年 9月 04日

    TB2映像のバトルフィールドとMGSが混ざったような謎の曲w

    4
    • 南蛮一の知恵者朶思大王
    • 2022年 9月 04日

    国家親衛隊と100番台の領土防衛旅団といえば、正規軍旅団より練度や装備で劣るイメージがあるのだが、攻勢作戦の宣伝に使われるのは余裕のなさと見るか、レベルの底上げと見るか。

    1
      • zerotester
      • 2022年 9月 05日

      ウクライナ軍の正規の発表ではなさそうですし、最近ウクライナ軍は作戦情報をSNSなどで漏らすなと言ってるので、二線級部隊だからこそ漏れてしまったのではないでしょうか。
      領土防衛隊は地元民であり自分たちの土地を取り戻したわけなので、テンションが上がってしまうのも仕方ないでしょうけど。

      10
        • 南蛮一の知恵者朶思大王
        • 2022年 9月 05日

        旅団ナンバーに間違いなければ、第103独立領土防衛旅団は西部のリビウ州が管区で、増援でJFOに参加しているようです。少し前までは管区外に派遣された領土防衛隊の脱走が問題になっていたのに、危険な渡河作戦も成功させるほど士気が回復したなら、ウクライナ軍には明るい材料ですが。

        30
      • くらうん
      • 2022年 9月 05日

      映像の兵士はFASTヘルメットにSUREFIRE製ヘッドライト等付けていて、装備は中々充実しているように見えますね。

      11
    • 鳥刺
    • 2022年 9月 05日

    第15連隊、5~6月は激戦地にばかり投入されていて、スラビャンスク戦の後後方に下って補充再編に入っているようでしたが、復活したと思ったらいきなりドネツ渡河ですか。怖気すら覚える戦意…

    報じられるドネツ北岸のロシア軍部隊数が薄くなって来た途端にこれです。ウクライナ軍は、停滞した戦線では隙を見て積極的に陣前逆襲に出るのも特徴的で、敵から見れば非常に煩い戦い方でしょう。兵力抜き過ぎるとハルキウ北郊の潰走みたいな事になりますし、当面の敵を拘束する効果大かと。

    23
    • むむ
    • 2022年 9月 05日

    笑顔が本当にウキウキ感出てて逆に不安になる
    生きてくれ~

    24
      • 鳥刺
      • 2022年 9月 05日

      SNSに記念写真をアップすると、ロシアはムキになって攻撃かけてきますからね。ハルキウ北方Ternova付近での国境到達記念の写真を上げたら、暫くそこが争奪の地になりました… なんもない場所なんですが。

      5
    • 霞ヶ浦
    • 2022年 9月 05日

    あっけなく?渡河成功させるあたりやはり戦線の長さに対し戦力密度が足りてない感が強い

    14
    • 通りすがりのななし犬
    • 2022年 9月 05日

    こういう戦車が精密誘導弾で破壊される映像(空から撮影した)は、ウクライナ・ロシア戦争が始まってから、度々見るけれど、中の人は大丈夫なのだろうか? 最初の爆発があった直後に誘爆して大爆発を起こすパターンの時は、中の人の生存確率は「0%」なんだろうね。

    搭載されている砲弾が誘爆を起こすまで3秒ぐらいしかなくて、その間に脱出しなければ助からないと読んだ記憶がある。(T-72の場合)

    戦車は必要なのだろうけれど、最前線に送られる戦車兵は辛いね。T-72はウクライナ軍も多数使用しているようだけれど、同様にやられているんだろうね。戦車兵は最前線に行くように指示されたら死を覚悟して出撃するのだろうか? 歩兵より生還率が低いのではないだろうか?

    3
      • 台湾大好き
      • 2022年 9月 05日

      陸海空問わず生還率が一番高いのが歩兵と聞いた記憶があります。出典失念悪しからず。

      5
      • ナイトアウル
      • 2022年 9月 05日

      どんな状況でも死は等しく訪れるから戦車に乗っているからって死ぬ前提と考えるのは極論でしょ。
       固定翼機、回転翼機、生身の兵士、艦船乗組員みんな攻撃されて死ぬリスクがある。最近じゃ後方の安全と思われる空港や指揮所すら狙われる始末。

       ジャベリンとかも決して万能な兵器でもないし練度が高い部隊は損耗も少ないらしい。対応によっては幾らでも生存率は上げられる。
       無謀な突撃だけ命じられるなら死を覚悟しなきゃならんのはどこも同じでしかない。

      3
    • 名無志野
    • 2022年 9月 05日

    牽制と言うか西側向けのパフォーマンス感ありますね

    2
    • タイヤキ
    • 2022年 9月 05日

    畑でとれる兵士に比べて、ロシア戦車は侵略の主力だから、上限が修理して使っても一万二千台しかないから一台でも多くのロシア戦車倒せば侵略する力落とせる。

    3
    • 匿名さん
    • 2022年 9月 05日

    Tb2から発射出来るミサイルだと当たり所が良くないと撃破は難しいのか
    それとも露助も対策してるのか前よりビックリ箱にはなってない気がする。

      • バーナーキング
      • 2022年 9月 05日

      ここの過去記事でも紹介されていて「数千メートルの高度から使用することで戦闘車両の装甲を貫通できる」的な表現がされてます。
      逆に言えば運動エネルギーの助けがあって初めて戦闘車両に有効な打撃を与えられる、ということですね。
      当然当たりどころや角度が悪ければ有効な打撃は与えられないでしょう。

      3
      • nemo
      • 2022年 9月 06日

      TB2は機体が小さい分ペイロードも限られるので、小型のミサイルしか積めないんですよね…

      1
    • makumaku
    • 2022年 9月 05日

    J. comme JéJé 🇫🇷 (@HeliosRunner)が、9月初めごろに撮影されたとされる、シベルスキー・ドネツ川を渡るウクライナSOF部隊の映像をポストしています。
    リンク

    1
    • 美濃尾張をやろう
    • 2022年 9月 11日

    未来から来ました

    まさかこっちが本命だったとは、この時は誰も知る由はなかったのでした

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