米ブルームバーグ紙は9日、ウクライナを支援する国々は旧ソ連製兵器の在庫枯渇を見越し「NATO規格の兵器供給に向けて動き出している」と報じている。
参考:Nations Eye Modern Arms for Ukraine as Soviet-Era Stocks Dwindle
ウクライナとNATOは戦いの長期化を見据えて「ロシア軍と戦いながら兵器体系をNATO規格に切り替える」という離れ業に取り組む
2月24日に始まったウクライナとロシアの戦いは「短期間でロシアが勝利する」という予想を覆し、ウクライナを支援する西側諸国の中には「この戦いが数ヶ月~数年単位に及ぶ長期戦になる」と考え始めており、東欧諸国が保有する旧ソ連製兵器の在庫だけでは足りなくなるかもしれない。
この問題に精通したNATO関係者は米ブルームバーグ紙に対して「加盟国の中にはウクライナ軍が高度な兵器の運用・維持が出来るよう国外で訓練を開始するところもある。これは旧ソ連製の兵器体系に基づいたウクライナ軍の体制を徐々にNATO規格の兵器体系に移行させることを意味している」と述べており、英国のトラス外相も「ウクライナが旧ソ連規格の装備からNATO規格の装備に移行するのを2ヶ国間ベースで支援することで合意した」と発表している。
ウクライナのクレバ外相は「侵攻当初に最新兵器の供給をある国に要請したが『訓練に最低でも2ヶ月間はかかる』と言われ拒否された。もし要請に同意して訓練を開始していれば1週間~2週間後に我々は最新兵器を入手出来てきただろう」と嘆いているが「長期的な視点で訓練やメンテナンス計画を立案した上で武器を供給することの重要性も理解している」と述べているのが興味深い。
つまりNATO規格の重装備(航空機、装甲車輌、榴弾砲やMLRS、防空システムなど)を導入するには扱う兵士の訓練も不可欠だが、これに対応したロジスティクスの構築も同時に行わないと意味がなく、ウクライナとNATOは戦いの長期化を見据えて「ロシア軍と戦いながら兵器体系をNATO規格に切り替える」という離れ業に取り組もうとしているのだ。
勿論、このような取り組みをNATOから引き出せたのは「国家の主権や自由を守るためならウクライナ人は命がけで戦う=国民に犠牲を強いるロシア軍との戦いを多くの国民が支持している」という点が大きく、多くの国民が戦う姿勢を通じて多くのNATO加盟国を本気にさせたのだろう。
国民の生命を何よりも優先するという価値観にも、主権や自由を守るため命がけで戦うという価値観にもそれぞれ一理あるが、多くのウクライナ人が後者の価値を支持しているのはほぼ間違いない。
関連記事:英国、装甲車輌やマスティフなどの防護装甲車をウクライナに提供
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※アイキャッチ画像の出典:Cpl Si Longworth RLC / OGL v1.0 ウォーリア装甲戦闘車(ウクライナに提供される装備ではなくNATO規格の装備のイメージ)
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主権と自由を守ることと、命を守ることは必ずしも矛盾はせず、今のウクライナの場合は、むしろ、主権と自由を守る事こそ命を守ることになっていると思っています。
多くの著名人や影響力を持つ人がそれに気づいて欲しいと願うばかり。
日本国内では「降伏=命•人権が守られる」という見方が未だ根強いですね。むしろ主流かも…
日本の場合は先の戦争で米国に降伏したことで、基本的人権や自由民権などがより促進されたという面があることが大きいと思います。
更には戦後復興の成功体験も相まって「降伏=命・人権が守られる」というロジックが更に強化されたのではないかと。
もちろん、日本の事例は歴史的にも世界的に極めて例外中の例外なのは皆さんご存じの通りですが。
なぜ「降伏=命・人権が守られる」というロジックが広がったのかという戦後史をきちんと研究したら1冊の分厚い本が書けそうですね。
私見ですが、米軍が相手の降伏が影響しているのではと考えます。角川文庫「この命義に捧ぐ」の受け売りですが、対ソ戦で張家口の引き上げで邦人保護を成功させた根本博中将は、武装解除はソ軍に対して行わず北京で国民党傅作義将軍に対して行い、多くの人命・財産を救ったと言われています。
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欧米諸国がどれだけ資金を肩代わりできるかでしょうね
先日戦時にも関わらず、新たなガス田が発見された事が話題になった事から分かるように、ウクライナには大規模な天然ガス田があるものの開発は進んでいないそうです。
どうせ今後ロシアから天然ガスを買くのははばかられるし、少々資金がかかったところで終戦後にウクライナからガスが買えるようになれば、十分モトが取れるのではないでしょうか。
ウクライナが併合されたらポーランドやスロバキア、ルーマニア、モルドバが最前線になり、ポーランドの隣国であるドイツなんかは尻に火がつきますから。
今回のロシアによるウクライナ侵攻が国の主権や人権、西側国家の方向性など様々な問題が関わる戦争という前提がある上で、もともと対ロシアを見据えていたNATO全体としては金と物資を出せば出すほど対象の戦力(脅威)が物理的に減少していく現状では、どんな形であれ戦争が完全に終結するまでは出し惜しみする理由も事態も無いかと
アメリカは対ロシアよりも対中国にリソースを割いているので、すでに内部で上限を設定している可能性があると思われますが
自国にウクライナ兵が来て自国産の兵器を訓練して持って行ってくれるなら、
国内経済に還元されるので、
公共事業としては悪くないのではないでしょうか。
そろそろリセッションも見えてきましたし。
英国政府の高官は「今後三週間が重要だ」と言ったそうですが、それはドンバス地方の包囲を意図してイジュームから南下するロシア軍の作戦を阻止することが重要という意味でしょう。ロシア軍はそれをよほどの大兵力で行わないと逆に包囲殲滅されるので、最後の力を振り絞った反攻になるかもしれません。バルジの戦いのようなものです。これを阻止するために今は即戦力になる兵器が送られています。
その作戦が失敗すると、ロシアは今の占領地を維持する作戦に移行するだろうからそこからは長引きます。この「NATO規格の兵器を供給する」というのはその段階を見据えた動きでしょう。投入は数カ月後になるかもしれないけどその暁にはロシア軍をウクライナから叩き出すという。早くそうなることを期待しています。
ちなみに今日のISWの分析は興味深くて、「アメリカやイギリスがロシアの戦力を誇張しているのではないか」ということに紙幅が割かれていました。例えば米国国防総省はロシアが戦闘力の80〜85%を保持していると言うが、人員の2割を失った部隊の戦闘力は大幅に下がる(3割でほぼゼロになる)のでその言い方は誤解を生むんじゃないかと。傷ついた部隊を改編して戦闘力を取り戻すには数カ月が必要だが、ロシアはそれをせずに投入しようとしているのでどれだけ効果があるのか疑問だ、といった内容でした。他にも「ロシアが予備役6万人を招集」という発表に対する意見などがあります。
ISWは「そのような誇張」が意図的なものかは知らないと言ってますが、ある程度意図的なのかもしれませんね。「ロシア軍はまだまだ強くてどんどん援助しないとやばい」と思われた方が国民の理解を得やすいので。実際、ウクライナからロシア軍を完全に排除するにはまだまだ兵器が必要なので、それでいいんだと思います。
う~ん、それはもしかすると英米が「ロシアの戦力を誇張している」のでは無くて「ロシアの戦力を充分把握出来ておらず、その結果意図せずに過大評価している」のでは無いかと思いますね。
例えば、現状のロシア軍将兵の士気の低さを考えると前線から脱走して帰って来なかったり戦闘を拒否してロシアへ送還された兵士が少なく無いと思いますが、それは計算しようが有りませんから評価出来ませんし、他にもその様な「客観的な評価が出来ない要素」、つまり「戦場の霧」がウクライナの戦場を覆い隠しているのでロシア軍の戦力評価が実態よりも上方修正されてしまっているのだと思います。
士気についてはISWも言及していて「エリート部隊でさえ士気は非常に低い」と言ってますが、未確認の情報が多いとも言っていて、実際数値化しづらい部分でしょう。組織の問題も目には見えにくいので、あくまで技術的に「これだけの兵員と武器が残っています」としか言えないというのが米国防省などの立場なのかもしれませんね。
その通りだと思います。
更に、現在のロシアは欧米等からの経済制裁で半導体等の輸入が途絶えた為に兵器生産が事実上の途絶状態に陥っており、戦車工場も操業停止に追い込まれているとの情報が有る為、現在ロシア軍に残っている兵器及び各種装備の補充や部品・消耗品類の供給も覚束ないのではと推察されますが、これも詳細は調べようが有りませんから、結果的に米国防総省等の発表では「ロシア軍は今だ戦闘力の80〜85%を保持している」と言う事になってしまう訳です。
正に「幽霊の正体見たり枯れ尾花」と言う諺がピッタリ当てはまるのが今のロシア軍ではと思っています。
次の記事で、英米インテリジェンスの成果と限界の事を触れていますが、そこでウクライナ軍の士気については読めなかった事の一つに挙げています。
ロシア軍の士気は、逆方向で読めなかったのでしょうね。
取り敢えず武器なら何でも使って貰えて実戦データがとれる。それも相手は歴とした国家
しかも、戦後の売り込みにもつながりえる
こんなチャンスは滅多にない
少数でも良いから、なんとか国産武器を送って
コンバットプルーフと実戦データ、改良点の洗い出しをして欲しいんだけどなぁ
レーダーあたりならなんとかならないものか
1つ前例作れば後はなし崩し的に、天下の悪法(法律じゃないけど)の1つ、輸出制限解除まで見えるのに…
武器を試験用に少量送っても、だれが実戦で使うのでしょうか。
豊和の銃ならともかく、少数兵器の試験運用に付き合って翻訳や
操作訓練等を悠長にしている余裕は今のウクライナにはないです。
「武器なら何でも使って貰えて」というのは、被災地に古着を送るようなかなり厚かましい考えかと。
国として送るのであれば、架橋・渡河資材や重機や建機といった
輸送路の修復や増設・防空壕作成に使えるもののほうがウクライナの役に立つのでは。
さらに言えば、民生用のトラックやら車あたりを送ったほうが喜ばれるかもしれない。別にテクニカルにしろとは言わんけど、後方地域の輸送には使えるので。
まあヨーロッパの日本車のシェアてそんなには高くなかった気がするので、メンテできないかもしれないですが。
使うかどうかは相手が決めることであって、こちらで先回りすることではないと思います。
厚かましくふるまうことも国際社会では必要なのであり、謙虚なのは必ずしも美徳ではありません。
先の記事でも触れられていた対艦ミサイルのように日本の優位性が想定され、有益と認められる武器の拠出は考慮してよいかと考えます。
平時と違って後方から前線まで輸送できる兵装にはかなりの制限があります。
命懸けで最前線まで届けたが、使い慣れておらず置物にしてしまうような余裕は全くありません。
西側兵器の習練のために、ウクライナ兵を西側で訓練するパターンも出てくるだろう
もはや単なる停戦というパターンはない、ベトナム戦争の再来だ、どちらかが倒れるまで闘わねば
価値観①:国民の生命を何よりも優先する
→降伏して、シベリア送り → その過程で生命が失われる
→さらにウクライナには別のロシア人が移住し、歴史が無くなる
価値観②:主権や自由を守るため命がけで戦う
→その過程で(多少は)生命が失われる
そして、ウクライナの歴史が無くならない
①のパターンなら、一般市民が理不尽に命を落とす事があっても目撃される事はまずないでしょうね
そして、多くの人命第一派にとっては「そこ」が最も重要な点なのです()
ウクライナ「F-16が欲しいよ」
無理だろと思ってたが粘ればワンチャンスあるかも?
ウクライナ空軍ではSu-27とMiG-29だけでなく、Su-24とSu-25も連日の様に出撃していますから、この戦争を生き残ったとしても機体寿命と予備パーツの在庫が保たない可能性が高いです。
近代化改修されたMiG-29の納入時のニュースに、機体寿命延長措置によってあと10年位飛べるとありましたし。
戦前からウクライナは出来たらF-16、無理ならグリペンの導入(それも駄目ならイスラエルでMiG-29の魔改造)を模索していましたし、近隣のポーランド、スロバキア、ルーマニア、ブルガリアがF-16を導入または導入予定ですから、ウクライナもF-16導入というのは自然な流れだと思います。
これを期に旧ソ連圏の国々の装備がNATO規格のものに更新が進めば、西側は軍事的にこれまで以上に協調しやすくなるので将来的な戦力アップになりそうですね。
もしアメリカに第二次大戦時並みの工業力があれば特需でウハウハだったかも
一方でロシアは現時点で大量の人員、装備を失っているのが確実視されている中で年単位で戦ったら一体どうなることやら…
東部に戦域をしぼったので損失のペースはいくらかはましになるでしょうが航空支援が不十分な状況が続く以上はまだまだ多くを失うでしょうし、一年経つ頃には死傷者20万人とかデタラメな数字が出てももはや驚かないです。
>もしアメリカに第二次大戦時並みの工業力があれば特需でウハウハだったかも
…しかしながら、どんなに望んでも無い袖は振れないのです!
結局また韓国が一人勝ちするんですかね…
すでに確実に万単位の人命が失われているだろうに、一体何十万、あるいは何百万人死ねば終わるのでしょうね…
長期で戦うためにもロシアに完勝するためにも西側の兵器への切り替えってのは必須だよな
ボロジャンカやブチャの一件で、ウクライナの人々にとっては
無防備で虐殺されるか、戦って死ぬかの2択になったから
中途半端な講和や停戦は絶対にしないでしょうね。
仮にロシアの東部占領がうまくいって、対独戦勝記念日にプーチンが勝利を宣言しても、
戦争は終わらないでしょうし、人は死に続けるでしょう。
NATOとウクライナ指導部はそれを見越して動いているし、
現状これ以外に選択肢はないとは思いますが、本当に直視したくなくなるような現実です。
過去に遺恨を残すような停戦にはもはや合意しないでしようね。ドンバスクリミアを棚上げにする妥協案もあったようですが、少なくともドンバスは譲れなくなったのではないでしょうか。
ソ連時代に、ウクライナはスターリンによる計画的な飢餓「ホロドモール」で数百万人が飢餓により死んだから、
人的被害が数万数十万なら主権や自由を守る価値としては割が合うと考えられるのかもしれない。
素人のまったくの思いつきなのだけれども。
NATO規格ではなく日本規格(?)で、81式自走架柱橋はどうだろうか。
今回、両軍が難渋しているのは、春季の泥濘だけれども、
81式自走架柱橋は、これをクリアできる可能性はないかな。
現地には、沼沢地も多いし、WW2の戦記を読むと、独ソ両軍が難儀している。
一回、ウクライナの軍人に見てもらっても良いのではと思う。
もし有効ならば、ロシア軍の意表を突いた進撃路ができるかも。但し許容荷重40t.
泥濘期は秋にもあり、これは、例年、10月末から始まるそうだ。
これには間に合わせられそうな気もする。
81式自走架柱橋では通行可能にできる距離が短すぎるため、数百台単位で送れるのでもない限り広大なウクライナでは残念ながら戦術レベルでの泥濘問題は解消できないかと
加えて言いますと仮にできたとしても全く横によけられない一本道ですので、初期ロシア侵攻軍のように途中途中を撃破されて長期間動けなくなる車両が大量に出るリスクもありますし
残念。やはり思いつき程度ではダメですね。
思い付きでも建設的な意見はどんどん言った方がいいと思います。
ブレーンストーミングと同じで、10言ったうちの1つでも有効なら儲けもんだし、それが人づてに伝わっていって最終的に実現する可能性もゼロじゃないんですから。
国土交通省には応急組立橋があるので、こちらを送った方がいいかも
民生用なので、自衛隊装備提供に比べて国内での反発が少ない。
民間車両での運搬を想定して作られているので、比較的輸送しやすい。
現地での組立も民間業者を想定しているので、軍隊への負荷が小さくなる。
デメリットは、日本の災害対応力が一時的に低下すること
川幅数百メートルの欧州の大河には対応できないこと
重量制限があり戦闘用軍用車や欧米で一般的な大型トレーラーの通行が困難なこと
かな
もう一つ言えば、紛争地の真っ只中に文民を派遣する件に対して賛否が割れそうな点ですかね
閣僚的にも犠牲者出たら政権丸ごと政治生命が終わりかねませんし…
未だ、韓国のT-80やBMP-3がある。
後は師団単位、軍団単位で変更していくのでしょう
ふと思ったのが、日中戦争の日本軍みたいな状態なのかなと。ロシアは。
日本は中国兵を弱小だ雑兵だと舐め腐って、また補給・兵站を軽視して長期離進軍し、国際社会の非難轟々受けて、結局失敗した。
中国人民の反日に懸ける情熱をとうとう理解できず、また英米ソ連からの軍事援助による増強もあって……。今回のウクライナと似ているなと。
それはまったくそうで、日本国内に中国への憧れが強く、八紘一宇ではないですが兄弟家族のような感覚があったのに現地ではあまり歓迎されなかったことが泥沼化に繋がった一因と言われています
当時のある将校が「日中戦争とは、弟が兄さんわかってくれと殴っているようなもの」と評したそうで、ロシアから見たウクライナとの関係に似てますね
どのみち旧ソ装備とか性能的にアレで将来性無いの供給体制的にも確定してて脱旧ソは既定路線なの国家インフラごとそうなるのであれば戦後再軍備は完全西側ナイズで良くて東側規格使う東欧北欧連中も今回の件で確信したね
独仏アレで米英支援で戦うなら米軍互換が最も確実なの保有量と供給力と政治判断速度の観点からも明らかで逆に独製装備なんぞ非常時にはエクスパンド自体が困難なの独軍活性化でメーカーてんやわんやなのからに明らかだ
旧ソ連系の装備大系は、丸ごと中華に吸収合併される形で根強く生き残りそうな気がします
先進国や東欧諸国では西側装備への移行が進むでしょうが、新興国や開発途上国にはまだまだ多くの需要が残っていますし…
ロシア軍は弾薬生産も低調で、5月にいずれかの兵器の弾薬が尽きて諸兵科連合として機能しなくなるとも言われていますね。まだ増員しているというのなら、5/9は単なる記念日ではなく本当に継戦能力の限界の可能性もあるとは思います。
そういう話は私も見ましたが、何が足りなくて製造できないのでしょうね。信管の材料とか?
野砲の弾や航空機搭載爆弾が不足してくれるといいのですが