インド太平洋関連

今度は有線誘導にも対応!韓国、ウェイクホーミング対応の新型魚雷を2020年までに配備

軍事情報誌「ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー」は24日、韓国政府が2020年までに新型の魚雷「鼬鮫(タイガーシャーク)」を潜水艦に配備すると報じている。

参考:MADEX 2019: South Korea aims to deploy Tiger Shark torpedo by 2020

ウェイクホーミングまで備えた韓国の新型魚雷「タイガーシャーク」

韓国の防衛産業企業「LIGネクスワン」が開発した魚雷「タイガーシャーク」は2018年6月に運用評価試験が完了し、現在量産に向けての準備中を行っている最中だ。

この魚雷はリチウムイオン電池による電気推進方式を採用しており、サイズは21インチ(53cm)、最大射程約50km、最大速度50~60ノット、光ファイバーによる有線誘導、アクティブ/パッシブ音響誘導に加え、航跡波による誘導(ウェイクホーミング)も可能で、噂では水中を航行する潜水艦が発生させる「乱流」を感知し追跡できる機能があると言われている。

※この魚雷が「深深度」に対応しているのかは不明

出典:Edmont / CC BY-SA 3.0 航跡波

韓国が以前開発した国産魚雷「白鮫」は、イルカ級潜水艇(150トン)での使用が考慮され19インチ(約48cm)で設計されたため、21インチ(53cm)の89式魚雷(日本)やMk48(米国)と比べると、弾頭重量以外は明らかに性能が劣っていた。

特に、白鮫はサイズが19インチ(重量約1トン)にも関わらず、89式やMk48などの21インチ(重量約1.7トン)魚雷よりも「大きな爆薬」が搭載されていたため破壊力に関しては申し分ないが、最高速度は35ノット+α、射程は30km、最大運用深度300m、有線誘導には非対応(アクティブ/パッシブ音響誘導のみ)だったため対魚雷用デコイに対しては特に脆弱だったと言われている。

しかし韓国は、有線誘導に対応していないことを逆手に取り、打ちっぱなし機能(発射後に操作する必要がない)を備えているので、多目標に対する攻撃が可能だとアピールしていたが、結局、命中しない攻撃に意味がなく、ドイツからSUT魚雷(有線誘導対応)を輸入して使用することになる。

ただ、ドイツ製のSUT魚雷は非常に高価で、価値の異なる全ての標的に対して使用できるほど予算が潤沢ではなく、軍艦や潜水艦などの標的に対してはSUT魚雷、商船など非武装な標的に対しては白鮫魚雷というように、使い分ける=節約する必要があったため、性能的に不満が多かった白鮫魚雷の量産は細々とだが継続されることになった。

韓国海軍にとっては待望の国産21インチ魚雷、複数の誘導方式が選択できるようになった新型魚雷「タイガーシャーク」が既存の潜水艦(214型潜水艦、島山安昌浩型潜水艦)に搭載されれば、格段に艦艇攻撃能力が向上すると見られる。

但し、言われている通りの性能が発揮されればの話だ。

 

※アイキャッチ画像の出典:ilyashulika / stock.adobe.com

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コメント

    • 匿名
    • 2019年 10月 25日

    「但し、言われている通りの性能が発揮されればの話だ」

    韓国型兵器に対する一行要約有難うございました。

    • 匿名
    • 2019年 10月 26日

    SUT魚雷をベンチマークしたのが分かってしまう。

    • 匿名
    • 2019年 10月 28日

    「商船など非武装な標的に対しては白鮫魚雷」の部分は引用でしょうか。それともブログ主様の追記? これって完全に無制限潜水艦作戦ですよね。それを仕掛ける相手って、北朝鮮相手は考えにくいですから、日本を念頭に置いているとしか考えられないですね。

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