中国の軍事的な圧力に晒されている台湾では潜水艦技術の国産化に関する取り組みがスタートしており、その計画の副産物として建造される水中プラットフォームの将来性について面白い話が出てきた。
参考:國防MIT》中科院「慧龍專案」曝光 測試國造聲納等潛艦紅區裝備
国産潜水艦の建造が始まったばかりの台湾も既に自律運用が可能な無人潜水艦に目を向けている
台湾は中国の圧力によって防衛装備品の輸入手段や開発等に大きな制約を受けてきたため抜本的な軍の近代化が何年も暗礁に乗り上げていたのだが、トランプ元米大統領が中国との対決姿勢を前面に押し出した影響で戦闘機のアップグレード事業、新しい主力戦車の調達事業、国産潜水艦の建造事業等が前進、後任のバイデン大統領も台湾軍の近代化を支持しているため最悪の状況(=防衛装備品が時代遅れになり台湾軍が中国軍による侵攻の抑止力として機能しなくなるというリスク)からひとまず脱しつつある。
しかし防衛装備品の輸入は現在も非常に限られたルートでのみ実現可能で、特に国産潜水艦の建造には国産化に至っていないレッドゾーン装備(戦闘管理システム、デジタル・ソナーアレイシステム、ペリスコープ、魚雷発射管、ディーゼルエンジン等の装備を指す総称)を海外から調達する必要があり、このような機密性の高い装備品の輸出許可を得るためには困難な交渉が要求され制限も多いことからレッドゾーン装備の国産化が進められているらしい。
問題は開発した装備を海中でテストするためのプラットフォームが台湾には存在しない点で、台湾国防部傘下の国家中山科学研究院(中科院/CAS)は36.6億台湾ドル/144億円の費用を投じて小型の水中プラットフォーム開発「慧龍プロジェクト(2019年開始)」を立ち上げ実際に建造が始まっている。
この水中プラットフォーム(全長50m×全幅10m/最大潜航深度150m)は開発した装備品をテストするのに最適なモジュール設計を採用しており、米海軍が開発を進めている無人水中艇「オルカ/Orca」よりも大型で中国鋼鉄が開発したHY80相当の高張力鋼(ただし中国鋼鉄はHY100相当の高張力鋼も開発済みらしい)を採用しているのだが、飽くまで現段階では「遠隔操作による水中試験用プラットフォーム」と呼ぶべき存在だ。
ただ計画を主導している中科院の関係者は「このプラットフォームには将来性がある」と主張している。
つまりモジュール設計を採用した水中試験用プラットフォームを拡張することは容易で交換可能なコンポーネント化された武器、ソナー、制御用AIなど必要な要素を組み込めば「自律運用が可能な無人潜水艦」に発展する可能性を秘めており、建造中の国産潜水艦と組み合わせれば台湾海軍の潜水艦戦力強化に大いに役立つという寸法だ。
勿論、直ぐにどうにかなるという話ではないのだが、国産潜水艦の建造が始まったばかりの台湾も既に自律運用が可能な無人潜水艦に目を向けているのが非常に興味深い。
因みに数日前に中国軍が無人潜水艦プログラムの機密を解除して「10年以上前に台湾海峡で実施したテストで水中無人機(UUV)が目標(模擬潜水艦)に魚雷を命中させた」と発表したことについて海外メディア(勿論一般紙ではなく防衛関係)が一斉に取り上げ始めており、ある防衛メディアの記者は「報告書の内容が事実で中国が10年前にこのようなテストを成功させていたなら、我々は現在の中国が何を持っているのか想像することしかできない=類似する兵器が西側に存在しないという意味」と述べているのが印象的だった。
関連記事:中国が無人潜水艦プログラムの機密を解除、UUVによる模擬潜水艦への魚雷攻撃に成功
※アイキャッチ画像の出典:Boeing Orca
幅10メートルだと全長との比が1:5で、水中運動体としてはいささかぽっちゃりが過ぎるんだが
どんなデザインなんかね
「台湾の無人潜水艦」なら日本の潜水艦以上に速度は要らんのじゃないかね。
どうしても速度が欲しくなったらその時にストレッチするのもそこまで無理な事じゃなかろう。
そうねえ、大陸からの揚陸艦艇を迎え撃つ、待ち伏せ攻撃用と考えたら、速度よりも粛静を優先だもんな
イルカ類の縦横比が概ね1:5なので、機動性に劣ることはないでしょう。
巡航性・積載性を重視するなら、クジラ類のように縦長のほうが良いかと思いますが。
有人潜水艦用国内開発機器類を組み込んで試験するプラットフォームなんで、必要概算寸法を10m幅×50m長と見積もったんでしょ。
最大水中速度等はその形状での設計値通りならそれで良いんでしょうし。
別の記事で中国の水中無人機がコメント欄でボロクソ言われていましたが、台湾以外の国でも開発が進むとして国際共同開発が行われるのでしょうか?
その場合日本も参加するのかな?
こちらも人様のことを言えんが、台湾は中共のスパイも多いから盗まれるでしょう。
盗まれて欲しい?盗みたい?
それを言うならば、どこの国ならば中華工作員から安全なんだよ(笑)奴らはどこにでもいるし、いつでも侵入してくるよ
ゴキブリの居ない飲食店は無いのと同じだよ
本邦が研究中のモジュール型UUVのコンセプトに似てるな…あっ!
大型無人プラットフォームを作ろうとなってモジュール化を検討しない方が不自然だろ…
UUVは暴発事故おきるんじゃねーかなぁ、特に中華製。
流石にもう中国製=ポンコツの認識は時代遅れじゃね?
建設業とかは怪しいけど
ポンコツにならないように期間は余裕を持って開発するだろうね。
軍事分野とかは大陸中国はガチで一位取りに行ってるんだから
ごめん。
機体の損壊じゃなくて、誤作動の意味で言ったんだ。
普通の貨物船を攻撃しそうで。
旧ソ連同様に、人民軍海軍は大規模な事故を起こしても発表しないし
中国人は隠蔽にかけては得意 ただ海中事故は誤魔化しが出来ないのも事実
中国軍が無人潜水艦プログラムの機密を解除したのは、敵対的な日米台が中国沿岸域で活動可能な無人潜水艦艇の開発に乗り出しているからじゃないですかね。
中国は既に潜水艦を攻撃可能な無人潜水艦の開発に成功しているから無駄だぞと。
探知できなきゃ攻撃もできないんで国内向けの意図かもしれませんが。
とにかく面子を最優先する中華思考からすると、西側と同等かそれ以上であることを国内外にアピールしないと共産党は政権維持できないから。
その、10年以上前に実験に成功したものの何ら続報もないし実用化の大々的アピールも無いことに違和感を覚えないのは、お人好しすぎるよね
ブラフだと結論したい
ブラフかどうか私は判断できませんが、論文の教授が
>「UUVによる哨戒結果を改善するには定期的にソナーを人間が微調整する必要がある」と述べており、さらにUUVに用いられる技術は情報の取得、目標の検出・評価、各種パラメーターの制御など全てのサブシステムが完全に独立した意思決定能力を獲得する必要があるので「従来の潜水艦に採用されていた一部の技術は無人プラットフォームの役にたたない」と指摘している
と書いていることから当時にシステムとして完成できていたかは疑問ですね。
その後10年で進展はあったとしても、昨日今日始めたばかりではない各国のUUV技術の研究開発状況から見て、兵器として使い物になるレベルなのかは眉に唾したくなるのが正直なところです。
それね。いまも研究はやってるにしろ、当時のAI技術でどの程度の成果のあったことか。
おそらく技術的な壁に当たって頓挫してたのが、ロシアや西側の動きを見て焦りだしたんですよ
つまるところ十年前には既に課題を見つけていたという事であり
十年あれば相当な進歩が見込めることから
こんな課題が(あった)と発表したとも考えられる
俺はその発表をこう読んだよ
完全無人なら、耐圧区画も要らなさそう。
潰れたら艦自体終わるんだが…
人いないんだから内圧高めりゃ良いだけじゃん。
記事にある台湾のは有人潜水艦のテストベッドだから耐圧区画は必要だな。
内圧高めればというが浮上時に高い内圧に耐える為に逆の意味で耐圧殻がいる。
水深に応じて変化させるとしたら強力なコンプレッサーと大きなボンベが要る。
どうせ1000メートルくらいで上出来だしステップで内圧3段階くらい制御してれば圧潰しないし浮上の下げる方向はベントすれば?どうせ浮上すると見つかるし
最悪使い捨てられる無人艦はたぶん音紋解析魚雷用なんだし運べる魚雷の本数が多いから実用化したら無人機よりかなり期待できそう
艦の大きさとか想定される水圧的にかなり大規模なコンプレッサーが必要になるだろうから運用コストが膨らみそう