インド太平洋関連

印メディア、海軍は艦載戦闘機にF/A-18E/FではなくラファールMを選択

インドメディアは9日「海軍がヴィクラント向けの艦載戦闘機にラファールMを選択した。来週に予定されているモディ首相の訪仏時に契約を締結する可能性が高い」と報じており、これが事実ならF/A-18E/Fの生産ライン閉鎖は2025年で確定する。

参考:Navy zeroes in on naval Rafale; jet deal likely during PM’s France visit

F/A-18E/Fの生産ライン延命がかかっていたインドからの受注、ラファールMの勝利が濃厚

インドは双発の艦載戦闘機「TEDBF」を開発しているもののプロトタイプの初飛行は早くても2026年以降なので、空母ヴィクラント向けの艦載戦闘機を海外から調達する必要があり、米国のボーイングがF/A-18E/F BlockIIIを、フランスのダッソーがラファールMを売り込んできたが、どうやらインドはラファールMを選択したようだ。

出典:ボーイング F/A-18E/F BlockIII

The Times of Indiaは9日「海軍がヴィクラント向けの艦載戦闘機にラファールMを選択した。来週に予定されているモディ首相の訪仏時に契約を締結する可能性が高く、その前に国防調達会議でラファールMの調達を承認するだろう」と報じており、これが事実ならF/A-18E/Fの生産ラインは予定通り2025年で閉鎖されることになる。

米海軍はF/A-18E/Fの調達打ち切りを何度も要請してきたが、議会は国防権限法(毎年の国防予算の大枠を決める法律)に同機の調達を盛り込んで海軍にF/A-18E/F調達を強制、これに業を煮やしたギルディ作戦部長は2022年6月「海軍が必要としていない航空機調達を議会に働きかけるを止めてほしい」と訴えたものの、議会は2023年度の国防権限法にも8機の調達を盛り込んだため、F/A-18E/Fの調達打ち切りは2024会計年度に持ち越されることになった。

出典:Josh097/CC BY-SA 4.0 TEDBF

F/A-18E/Fを巡る海軍と議会の戦いは約10年間も続いており、これ以上は無理が通らないと察知したボーイングは今年2月「F/A-18E/Fの生産ラインを2025年に閉鎖する。インドからの受注に成功した場合のみ生産ラインの閉鎖が2027年になる」と発表していたため、ラファールMの採用が決まればF/A-18E/Fの生産ライン閉鎖は2025年で確定(閉鎖されるのは同機の新造機生産ラインのみで、BlockIIからBlockIIIへのアップグレード作業やEA-18Gの近代化プログラムは2030年代まで継続予定)する。

因みにインドが開発中のTEDBFは主翼の折りたたみ機能を備えたカナード+デルタ翼構成で、全長16.2m、最高速度M1.6、最大離陸重量24~26トン、F414-GE-INS6×2基、6発の空対空ミサイルを携行して2時間の任務を行うことができる4.5世代機だと説明している。

関連記事:ラファールかF/A-18E/Fか、まもなくインド海軍が導入機種を決定
関連記事:インド、第5世代戦闘機の試作機が2026年までにロールアウト可能
関連記事:10年間に及ぶ米海軍と議会の戦いが決着、2025年にF/A-18E/Fの生産ラインを閉鎖

 

※アイキャッチ画像の出典:public domain

バブムート方面でロシア軍が反撃、南ドネツク方面でウクライナ軍が前進前のページ

米英仏独、ウクライナ向けに調整された新たな安全保障の枠組みを協議中次のページ

関連記事

  1. インド太平洋関連

    韓国空軍は胴体着陸で損傷したF-35Aの修理を断念、廃棄か教育機材か

    韓国メディアはバードストライクが原因の胴体着陸で損傷したF-35Aにつ…

  2. インド太平洋関連

    インド版F/A-18E/Fを開発? 印政府が海軍向け双発戦闘機の開発承認

    インド政府は国産戦闘機「テジャス」の海軍仕様機が空母「ヴィクラマーディ…

  3. インド太平洋関連

    最大潜航深度はそうりゅう型並?韓国、3000トン級潜水艦にHY-130相当を使用

    8月23日、韓国の潜水艦連盟の会長キム・ヒョクス氏は自身のFacebo…

  4. インド太平洋関連

    海外の潜水艦専門家、韓国初の原子力潜水艦導入が実現に近づいている

    潜水艦分野の専門家であるサットン氏は15日、船舶向けに設計された小型モ…

  5. インド太平洋関連

    衝撃的な事実、パキスタンのパイロットの40%は偽ライセンスで旅客機を操縦

    パキスタンのグラム・サルワール航空大臣は首都カラチで墜落した旅客機事故…

  6. インド太平洋関連

    JF-17に手を焼くミャンマー空軍、新たに導入したSu-30SMEを公開

    ミャンマー空軍が導入したSu-30SMEを初めて公開して注目を集めてい…

コメント

    • 無印
    • 2023年 7月 09日

    ラファール、おめでとー
    まぁ先が見えてる機体を導入しないわな
    ラファールなら次世代機が完成するまで、フランスが意地でも使い続けるだろうから、その点は安心かもしれない

    ただ、かつてのロシア空母に、アメリカ製戦闘機が着艦する光景は見たかったなぁ…

    42
      • hiroさん
      • 2023年 7月 10日

      ラファールはインド国産の「ヴィクラント」向けで、ロシアから購入した「ヴィクラマーディティア」はMIg-29Kを継続使用するはずです。

      2
    •  
    • 2023年 7月 09日

    アメリカ製だと、アメリカの実質同盟国であるパキスタン相手には使用制限をかけられるだろうな
    印パ戦争では両国に禁輸措置など制裁かけられた前例がある
    近年の小競り合いでも、パキスタンのF16は防衛のみで、インド領への攻撃には使用できない様子
    その点ろくでなし度の高いフランス製なら

    印パ戦争ではインド海軍の圧力も大きかったしな

    29
      • 2023年 7月 09日

      兵器を購入する最大の理由は敵戦力の殲滅力であり、カタログスペックの競技大会では無い
      空母で使用するなら仮想敵はパキスタンで確定する以上、パキスタンに対して最も攻勢能力が高い機種を選んだ、と言うより仮想敵への交戦力の無い機種は選択肢に無かったと考える方が無難ですね
      先のF414に併せて印パ両国間の交戦力を落とそうとしたアメリカの意図をインドは見透かしたと評するのが妥当かと思います

      11
      • hiroさん
      • 2023年 7月 10日

      パキスタンとは宿怨の関係だけど、インドの空母3隻態勢は中国海軍に対する対抗策だったと思います。

      3
    • gepard
    • 2023年 7月 09日

    インドが作るトップガンが見たかった…

    18
      • Ard
      • 2023年 7月 09日

      天使とダンスやな!

      10
      • ななし
      • 2023年 7月 09日

      歌って踊るトップガン観たかった…

      25
        • そら
        • 2023年 7月 09日

        マクロスかな?

        10
        • 鼻毛
        • 2023年 7月 10日

        元々トップガンの冒頭って歌にあわせてデッキクルーが旗持って踊ってるのであれをインド映画風にやるなら違和感なさそう

        5
      • 名無し
      • 2023年 7月 09日

      インドさんなら、ラファールをUS NAVY塗装にしてバッチリ撮ってくれるで。

      2
      • チェンバレン
      • 2023年 7月 09日

      gepard氏のお茶目コメントとは珍しや

      14
    • 朴秀
    • 2023年 7月 09日

    ラファールはよかったな
    空軍とも共通だし使いやすいだろ

    ホーネットは性能差を考えれば仕方がない
    実は米海軍が一番喜んでいたりして(ラインが閉鎖できる)

    27
      •     
      • 2023年 7月 09日

      単純にラファールの方が上とはいえないと思うが
      ラファールはレーダーレンジが短く、長射程ミサイルを有効に使えないのが欠点
      搭載量やら何やら、スパホなら曳航式デコイもあるしアメリカ製兵器運用できる強みもあるんで

      10
        • 匿名希望係
        • 2023年 7月 09日

        西側はフランス系だからあんまりメリットには・・・

        1
        • DEEPBLUE
        • 2023年 7月 10日

        元のスペックがあっても、結局パキスタンに使えないのではどうしようもない

        4
    • TA
    • 2023年 7月 09日

    わし(インドの民よ…聞こえますか…ラファールを買うのです…まずカッコいいし…どう見てもカッコいいし…とにかくカッコいいです)

    13
    • もり
    • 2023年 7月 09日

    00年代は欧州機と言えばアメリカ製に比べて1段下に見られたものだが最近はよく売れて面白いね

    9
      • ASDF
      • 2023年 7月 09日

      当時はボーイングが最強と思っていた
      ラプター(主契約はロッキードだけど)、イーグル、スーパーホーネットを擁するボーイングに死角はないと
      時代は変わるものと言う言葉をかみしめる

      13
    • ありうえよ
    • 2023年 7月 09日

    機体規模と艦型、機体の能力を考えるとF/A-18C/DならまだしもF/A-18E/Fでは大きすぎてオーバースペックで完全に能力が発揮できず使い勝手が悪そうだろう。

    5
    • paxai
    • 2023年 7月 09日

    ステルスにあらずんば戦闘機にあらず!みたいな時代が来ると思ってたけどそーでもない感じ。

    7
      • 匿名
      • 2023年 7月 10日

      ステルス機を持てない・持ってない国同士で使用されるので…
      中露の二流ステルス機ですら外へは出していないわけですしね

      6
        • hiroさん
        • 2023年 7月 10日

        ウクライナ侵攻に伴う経済制裁(?)で頓挫している様だけど、ロシアの「チェックメイト」は輸出用だったはず。

        2
    • チェンバレン
    • 2023年 7月 09日

    ボーイングの戦闘機部門ダメそう
    ロビー活動で海軍からの反感買ってるし
    …まあ海軍もLCSとかDDG1000とか散々やらかしてるけど

    戦闘機と爆撃機はノースロップ・グラマンとロッキード・マーティンの2強になってしまった
    タンカーも赤字で炎上中
    ボーイングで生きてるのってグラウラーとオスプレイとE-7くらい?あと無人機か

    7
      • DEEPBLUE
      • 2023年 7月 10日

      ノースロップ・ボーイングになる可能性割とあると思います

      1
    • ブルーピーコック
    • 2023年 7月 09日

    Mig-29Kはシステムやらエンジン等、あらゆる箇所に問題があるとされているから、ラファールに選定したのは既に空軍での運用実績がある点も含めて堅実な選択だな。何機取得するのやら。

    8
    • RAAF
    • 2023年 7月 10日

    F414エンジン買うからアメリカはそれで我慢してという政治的やり取りなのかもね
    後の事を考えると性能面よりも自由に運用できるラファールを選択したのには納得です

    6
  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 中国関連

    中国は3つの新型エンジン開発を完了、サプライチェーン問題を解決すれば量産開始
  2. 欧州関連

    オーストリア空軍、お荷物状態だったタイフーンへのアップグレードを検討
  3. 米国関連

    米海軍の2023年調達コスト、MQ-25Aは1.7億ドル、アーレイ・バーク級は1…
  4. 軍事的雑学

    4/28更新|西側諸国がウクライナに提供を約束した重装備のリスト
  5. 米国関連

    米陸軍の2023年調達コスト、AMPVは1,080万ドル、MPFは1,250万ド…
PAGE TOP