インド太平洋関連

豪州が無人機分野への投資を最大1.7兆円まで増額、低コストドローンにも2,000億円以上

豪国防省は今月16日に国家防衛戦略と統合投資計画を発表する予定で、リチャード・マールズ国防相は「資金の投資優先順位を変更する」と明かし、無人化技術の投資額を100億豪ドルから最大150億豪ドル=約1.7兆円に引き上げ、最低でも22億豪ドルを小型で低コストなドローン開発に費やす予定らしい。

参考:$5 billion in new spending on drones as Defence learns lessons from Ukraine and Iran
参考:Australia’s shift towards drone warfare

豪産業界のドローン企業(豪企業と提携している海外のドローン企業)にとって16日の発表は重要な日になるだろう

オーストラリアは世界的に見ても無人化技術への投資と配備で先行している国で、豪陸軍は2018年に世界で初めてマイクロUAV=PD-100を小隊レベルで導入、豪国防省は2021年10月「RQ-7BやRQ-12Aなど複数の無人機を1,000機以上運用している」と発表したが、ロシアのウクライナ侵攻が勃発してドローン戦争に移行すると無人化技術の重要性が飛躍的に高まったため、2024年に発表した国家防衛戦略の中で「全領域の無人化技術に今後10年間で100億豪ドル=約1.1兆円以上を投資する」と発表。

出典:Boeing

100億豪ドルのうち43億豪ドル=4,800億円以上を無人航空機分野に、MQ-28Aには累計19億豪ドル=2,100億円を、世界で初めて量産を開始した特大の無人潜水艦=Ghost Sharkにも累計18.5億豪ドル=2,080億円を投資し、MQ-28Aはドイツ採用が有力視されており、Ghost SharkのベースとなったDive-XLは米国防総省の国防イノベーションユニットと米海軍が主導する無人潜水艦(Combat Autonomous Maritime Platform=CAMP)として採用が決まった。

オーストラリア製の小型無人機や対ドローンシステムを取得する取り組みにも資金を投資しており、細かいプログラムの動きまで取り上げれば切りが無いが、豪国防省は今月16日に2026年版の国家防衛戦略と統合投資計画を発表する予定で、豪国営放送=ABCのラジオインタビューに応じたリチャード・マールズ国防相は「資金の投資優先順位を変更する」と明かして注目を集めている。

出典:Australian Defence Force/Kym Smith

“無人化技術には今後10年間で120億豪ドル~150億豪ドルを投資する。これは大幅な増加率で2024年の国家防衛戦略で計画していた投資額より20億豪ドル〜50億豪ドルの追加となる。この分野への投資を大幅に増やしているのは現代の戦争の在り方が大きく変わったからだ。ウクライナでの戦争がどのように展開して進化してきたか、誰もが本当に驚いていると思う。自律型システムは明らかに今後の戦争の中心となるだろう。中東でもそれが起きているのが観測されている。だから、それにしっかり追いつくことが重要で自律型システムへの重点を大幅に引き上げた”

“(どの部分の優先順位を引き下げて無人化技術に追加投資する資金を捻出するのかの詳細は)木曜日に全てお話する。予算の全体像として今言えるのは国防予算の増加傾向を今後も継続していくということだ。自律型システムへの重点は今構築している国防軍のあり方を考える上で欠かせない要素だ。昨年発表したGhost Sharkには今後5年間で17億ドルを投じているし、MQ-28Aにも最近14億ドルを追加投資した。これらは世界最先端の自律型技術であり、オーストラリアの地理的状況に合った大型のシステムだ。こうした技術が私たちが構築する国防軍の中心的な柱となっている”

出典:Australian Defence Force/SGT Nicole Dorrett

“対ドローンシステムについても取り組んでおり、無人化技術への投資は領域全体をカバーしている。地理的特性を考えるとオーストラリアは大型技術の開発で専門性を高めているが、国防軍に必要な無人能力は全領域をカバーするものになる。小型ドローンの場合は数の優位性が必要で、それがウクライナで実際に起きている。一方で中東情勢を見ると対ドローン技術も極めて重要なのがよく分かる。これが全体の構成要素として欠かせない”

ABCも「国防省が今週後半に発表する新たな統合投資計画には最低でも20億豪ドルの新規資金もしくは既存プログラムの優先順位変更による資金転用が含まれる見込みで、まだどのプログラムが影響を受けるのか明らかになっていない」「この追加資金はMQ-28AやGhost Sharkといった大型無人システムだけでなく小型で安価なドローン開発にも配分される。少なくとも22億豪ドルが小型で低コストな機種の開発に費やされる予定だ」「安価で大量生産されたドローンが高価な迎撃ミサイルの備蓄を枯渇させる能力があること明らかになったことを受け、既に進められている対ドローンシステムの取り組みも強化される予定だ」と報じている。

出典:Australian Defence Force

仮に国家防衛戦略と統合投資計画の中で無人化技術に対する120億豪ドル(約1.3兆円)~150億豪ドル(約1.7兆円)の投資が発表されても、そのための予算は議会から毎年承認を受ける必要があるため保証された投資ではないが、それでも豪国防省は16日に「今後10年間に投資する無人化技術への総投資額」「どの分野にどれだけ投資するのか」「どの技術を必要とするのか」「どのプログラムの優先順位を引き下げるのか=投資削減」を示すため、豪産業界のドローン企業(豪企業と提携している海外のドローン企業)にとっては重要な日になるだろう。

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※アイキャッチ画像の出典:Boeing

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コメント

  • コメント (4)

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    • たむごん
    • 2026年 4月 14日

    無人機ドローン分野に先行投資、備蓄を進めることに成功した国は、極めて有利になりますからね。

    シンプルな話しで、仮想敵国が準備できてなければ抑止力になりますし、実戦で相手に負担を強いる事ができるからです。

    3
    • せい
    • 2026年 4月 14日

    豪州の無人機分野への投資は凄いな
    そのうちドローン母艦化されたもがみ級の逆輸入とかもあり得そう

    4
    • AKI
    • 2026年 4月 14日

    ドローンといえば水中空中が中心になってますが、ウクライナでは車両含め無人兵器だけでの陣地奪還も成功していますね。
    そろそろ小型の攻撃用無人車両への投資も本格化しそう。

    兵士を投入しないと占領は出来ないというのも、過去のものになるのか。

    6
    • 58式素人
    • 2026年 4月 14日

    思うのですが。
    提案中の新型FFMにも、SeaRAM(射程10km)と、CIWS(射程1.5km)
    の間を埋める対UAVミサイル(射程5km程度、速度M1.0程度)
    を提案する必要があるのでは?。
    できれば国産で。現在は該当品が無いけれど・・・。
    UAV対策となると、迎撃側も、とにかく弾数が必要だろうし。
    ドイツなどは、その辺りを狙って、MEKO型の再提案をしたりして来るのでは?。
    ドイツは、タレスベルギー社に70mm FZ275を開発させているし、
    エストニアで開発中のフランケンブルグMk.1なども考えられるのでは?。

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