韓国の安国防部長官は2025年9月「全将兵を対象にドローン教育を大幅に強化する『ドローン戦士50万人養成計画』を推進する」「コア技術が国産化された訓練用ドローンを3年後までに5万機調達する」と発表していたが、国産化された訓練用ドローン×1万1,000機の年内取得が開始された。
参考:軍, 교육용 드론 1만1천여대 입찰공고…연내 보급
参考:軍, 핵심부품 국산화한 드론 1만1천대 연내 도입…입찰공고 진행
参考:[영상] 우크라군, 드론 ‘탈중국’ 성공…국군은 첫 걸음마
コア技術が国産化された訓練用ドローンの5万機調達は「ドローン戦士50万人養成計画」の一部に過ぎない
韓国軍はウクライナとロシアの戦争が勃発する前からAIや無人システムの研究開発、これを応用した戦闘能力のフィールドテストや評価を大々的に行っており、特に韓国陸軍は民間主導で開発が進む第4次産業革命技術(ロボット工学、人工知能、IoT、仮想現実、拡張現実、複合現実など)を取り入れて戦闘効率や生存性を高めるため、2019年にArmy TIGER4.0と呼ばれる戦闘システムの開発に着手。
2021年にはArmy TIGER4.0のフィールドテストを報道関係者に初公開し、光学センサーを搭載したドローンが建物の外に潜む敵兵士の位置を自動的に検出、小銃を搭載したドローンや無人車輌がこれを排除し、ドローンが建物内に侵入して状況を把握したのち兵士が建物内を制圧するというシナリオを実演して見せて注目を集めたが、やっていることはウクライナで繰り広げられているドローン戦争の先取りで、2022年6月には第25歩兵師団の第70歩兵旅団をArmy TIGER実証旅団に指定し、従来構成の部隊に対し「圧倒的な戦闘能力をもつ」と評価されている。
韓国陸軍は計5回の戦闘実験で「Army TIGERが実装された部隊は認識力、戦闘勝率、生存性で従来構成の部隊を圧倒する」と実証されたため、Army TIGERの実装は旅団から師団に規模が拡大され、安国防部長官も第36歩兵師団をドローン・対ドローン実証部隊に指定した2025年9月の式典で「全将兵を対象にドローン教育を大幅に強化する『ドローン戦士50万人養成計画』を推進する」と発表。

出典:대한민국육군
このドローン戦士50万人養成計画とは「誰もが軍隊から帰って来ればドローン操縦資格を持っている状態にするため、職業軍人と徴兵された全将兵がドローン操縦資格の取得と実務経験を積める環境を整備する」というもので、コア技術が国産化された訓練用ドローンを3年後までに5万機調達(陸軍2万機、海軍1万機、空軍1万機、分隊あたり1機以上配備)する計画だが、最大の問題は小型ドローンを構成する主要部品(データ送受信モジュールなど)の国産化比率が40%にも達していない点だ。
安長官も「我が国の小型ドローンのエコシステムはほぼ底辺レベルだ」「今回の取り組みを通じて国防部がドローン産業の先駆けとなるべきだ」と述べてドローン国産化予算を増額、国防部も14日「ドローン戦士50万人養成計画の一環として訓練用ドローン調達(1万1,000機の年内取得)の入札を開始する」と発表し、この入札は「コア技術が国産化されたドローンの国内調達」「国内サプライチェーンの確保」「国産ドローン市場の活性化」を重視して調達単価を国産化価格に合わせた予算を配分、さらに国防分野の入札としては初めて複数落札制を採用して3社に約3,800機ずつ発注するらしい。

出典:대한민국 국방부
ドローン戦士50万人養成計画の総コストは不明だが、2026年度予算に計上された訓練用ドローンの調達、ドローン操縦訓練の教官育成、訓練インフラの整備の総額は計330億ウォン=約35億円で、徴兵された若者が兵役を終えて社会復帰した際「ドローン関連産業の即戦力」になってドローン産業を韓国に根付かせる効果も期待されており、国防部はドローン戦士50万人養成計画を「1990年代のIT人材育成と同様の国家プロジェクト」と位置づけている。
ちなみに韓国軍は米軍と同様にFPVドローンを「第2の個人火器」と位置づけているため、コア技術が国産化された訓練用ドローンの5万機調達は「ドローン戦士50万人養成計画」の一部に過ぎず、ドローンを扱う人材基盤の構築と平行してFPVドローンの大量調達(陸軍は60mmと81mm迫撃砲を段階的にFPVドローンで置き換える予定)が始まるはずだ。
関連記事:豪州が無人機分野への投資を最大1.7兆円まで増額、低コストドローンにも2,000億円以上
関連記事:韓国がMQ-9相当の国産無人機を量産化、MUAV1号機がロールアウト
関連記事:小泉防衛相は国内生産を示唆、今の日本に攻撃型ドローンを作る企業はない
関連記事:小泉防衛相、自衛隊を無人装備品を駆使する世界一の組織に変革する
関連記事:米陸軍、新型ドローンの投入で兵士の認識力と攻撃範囲が30kmまで拡張
関連記事:ドローンが変えた陸上戦、ウクライナでは戦場の一部から兵士が居なくなる
関連記事:米陸軍、戦術弾道ミサイルで徘徊型弾薬や精密誘導兵器の投射を検討中
関連記事:ドローンが従来の戦闘概念を覆す、もう海兵隊は制空権の保証が得られない
関連記事:米海兵隊はライフル兵をドローン操縦兵に、交戦距離をmからkmに拡張
関連記事:ウクライナとロシアが戦場で使用するFPVドローン、米陸軍も演習でテスト
関連記事:ウクライナで実証されたドローンと手榴弾の組み合わせ、米陸軍も演習でテスト中
※アイキャッチ画像の出典:U.S. Marine Corps photo by Lance Cpl. Saige Steiber



















韓国ならではのドローン普及方法だなぁ
日本の場合は農林水産関係の高校や大学で必修科目にするところからかな?
折角便利な物を世界的に開発しだしたんだし、どんどん民間にも広めていきたいね
ほんと仰る通りで、素晴らしい考えですね。
各種の専門高校は、授業時間内に取り入れやすいと思います。
新しい技術を規制するばかりでなくて、前向きに取り入れたいものですよね…。
迫撃砲をドローンで置き換えるのか……
北朝鮮が、ウクライナ戦争に派兵して、戦訓を学んでると言われてますからね。
韓国軍にとっては、38度線の国境を接しているため、切実なのだろうなと感じています。
韓国が陸軍装備の輸出が大きく伸びていますが、ドローン無人機分野でも育成できるのか興味深いですね。
FPVドローンの操作、組み立ては全自衛隊員の必修科目にしないと駄目でしょうね。
後は、少なくとも陸自には小銃並に1機づつ配備。
毎年1万機でもよいから購入しないと。