カナダ国防省は高まる小型UAVの脅威に対応するためカウンタードローン技術を競うコンテンストを開催、これに参加した豪企業は「1回の迎撃コストが5ドル~10ドル」という安価なシステムで小型UAVの無力化に成功した。
参考:Australian defence tech thrives in Canadian counter UAV contest
参考:Counter Uncrewed Aerial Systems Sandbox 2022
ローエンドの量的脅威を5ドル~10ドルの迎撃手段で中和することが可能
カナダ国防省が主催するCounter Uncrewed Aerial Systems Sandboxは時速200km以下で移動するマイクロUAV(重量2kg以下、高度60m以下、LOS通信による飛行半径5km以下)及びミニUAV(重量2kg~15kg、高度1,000m以下、LOS通信による飛行半径25km以下)に対応したカウンタードローン技術の有効性を競うコンテンストで、実戦に即した5つのシナリオで効果を判定する。
1.固定の基地を保護するシナリオ
予め機器を設置して半径2.5kmをカバーする必要があるものの、システムのサイズや消費電力に制限がない。
2.移動中の車列(5輌)を保護するシナリオ
車輌にカウンタードローン技術を搭載する必要があり、システムのサイズや消費電力に制限がある。
3.降車した12人の兵士を保護するシナリオ
カウンタードローン技術を兵士が持ち運ぶ必要があるためシステムのサイズや消費電力に極度の制限あり、電力源はポータブルバッテリーに限定。
4.複雑な都市環境で4ブロックを保護するシナリオ
建物が複雑で不規則に乱立する都市環境(最大10階建てのオフィスビルが存在)で4ブロックの範囲を保護する必要があるものの、システムのサイズや消費電力に制限がない。
5.沿岸海域を航行中もしくは港に停泊する船舶を保護するシナリオ
大きな海峡や港への進入路など様々な沿岸海域、港に停泊する船舶やドックに入渠中の船舶の上空を保護する必要があるので耐塩性処理を必須、システムのサイズや消費電力には制限がない。
この5つのシナリオを1つのカウンタードローン技術で対応する必要はなく、カナダ、米国、英国、ドイツ、デンマーク、オーストラリアから参加した12社が持ち込んだ技術も検出(アクティブ方式やパッシブ方式で検出した目標が有人機なのか大型UAVなのか小型UAVなのかを識別する能力を含む)のみに対応したもの、検出と無力化(ソフトキルとハードキル)に対応したものに分かれ、特に降車した12人の兵士を保護するシナリオでは条件が厳しいため無力化の方法はソフトキルに限定されてしまう。
豪Electro Optic Systems Australiaがコンテンストに持ち込んだカウンタードローン技術はM240機関銃を搭載した「R400S RWS」で、同社は「静止・移動中に300m~800mの距離で商用ドローンや高価なドローンを破壊することに成功した。ローエンドに脅威を倒すのに特殊な武器や弾薬を必要としないのが我々の技術の強みで、ローエンドの量的脅威を安価な迎撃手段(1回の迎撃コストが5ドル~10ドル)で中和することができる」と述べているのが興味深い。
要するにRWSとEO/IRセンサーの組み合わせで小型ドローンを破壊するという意味なのだが、小さな空中目標に無誘導弾を命中させるのは簡単な話ではなく、豪企業は7.62mm弾を800m先の小型UAVに命中させているため迎撃コストは非常に安価(この手のハードキルで実用化されているものは比較的口径の大きな弾薬を使用するものが多い)だ。
小型ドローンに対抗するにはレーザーやマイクロ波を利用した兵器が「最終的な答えだ」と言われているが、気象条件に影響を受ける点や実用化に時間がかかるため実弾系のハードキル採用が今後増加していくだろう。
関連記事:従来の防空システムとは異なるカウンタードローンシステムとは?
関連記事:全軍を挙げてドローンの脅威に対抗、米軍が全兵士に対するカウンタードローン訓練を開始
※アイキャッチ画像の出典:Counter Uncrewed Aerial Systems Sandbox
ムーグの軽量中口径RWSですかね。対地のRWSの高機能化で対空もやれる方向は高価格化に直結でしたが、ミサイル代替手段だと言われると案外許容されるもんです。しかし軽機関銃弾はおいそれと空に向けて撃てません。HMGとかとんでもない所まで飛んできます。
なのでエアバでなく時限自爆機能付きのM230弾丸とこれを組み合わせるタイプが有望なんでしょう。またこれは軽量化優先でM230含め500kgほどでLATVにも乗ります。露で既に運用中のBMP用のを四駆に乗せるあたおか仕様とは違います。
そんでLMGと逆側の砲耳にレーザーハイドラを同軸させてって感じでしょう
本邦の場合は国産RWSに低レートのJM61で対UAVも考えてたらしいですが開発販売で先行してる国のとではまあ相手にならんですね。周回遅れの性能以前に単価面でまず無理です。
昔アーマード・コアというロボットアクションゲームで敵のFCSによる偏差射撃をかわすためにゆらゆら動く「踊り」というテクニックがありましたが、敵性地域でドローンが踊るようになったらこんな簡単に当たらなくなったりするんでしょうか。距離とか弾速にもよるかな。むずかしくて計算できない。
欲しかったRWSが出来てしまった
R400RWS、自衛隊でも採用してあらゆる車両に載っけよう
日本企業はどこ?
まだスタートラインに立ってない
さあ?
国内の試験には出してるみたいだけど
リンク
陸自、ドローン対処器材の試験に関する役務を契約
陸上自衛隊 中央会計隊は2019年9月に「ドローン対処器材」の性能確認試験に関する役務を各社と契約しました。
ドローン対処器材の技術援助(その1) D-FEND「カウンタードローンシステム」[HP][HP]
ドローン対処器材の技術援助(その2) SkySafe「モバイル型ドローン対策システム」[HP]
ドローン対処器材の技術援助(その3) ローデ・シュワルツ「ドローン探索,監視,対策システム」[HP]
ドローン対処器材の技術援助(その4) 三菱電機「電波探知妨害装置」[HP]
ドローン対処器材の技術援助(その5) FlexForce「ドローンバスター」[HP]
ドローン対処器材の技術援助(その6) 東京エレクトロニツクシステムズ「ドローン検知システム」[HP]
ドローン対処器材の技術援助(その7) 日立製作所「対処ドローンシステム」[HP]
>静止・移動中に300m~800mの距離で商用ドローンや高価なドローンを破壊することに成功
小型ドローンからの陣地防衛には使えそうですが、射程の短さや想定目標の規模も相まって数を用意できないと厳しそうな点には変わりありませんね
実弾系・非実弾系問わず現行の20mm対空砲(有効射程2km以下、地上配備型ファランクスなど)や35mm対空砲(有効射程4km以下、87式やゲパルトなど)と同等以上のチープキル対空兵器の研究規模が気になるところ
多層的防空システムの最下層を守備範囲とするシステムと考えれば良いのでは。
提示された5つのシナリオのいずれか又はいくつかで有効なことを求められたわけで、コスパに優れて広範な目標に対処できる装備が実現されるまで、当面は多種多様な防空システム併用が求められることになるのかもしれません。
今現在では、有効な手段に思えます。
素人は、M240ではなく、ミニガンを推しますが。
20mmのバルカン砲で考えてみると、原型のM61は、弾丸と砲身の状態をさておけば、
一点に集弾するように設計されています。
他方、派生型のVADSになると、一定のパターンで弾丸が散布する様になっています。
同じことをミニガンベースで行えば良いと思うのです。M240は、一点集中でしょう
ミニガンベースならば、発射速度の大きさも手伝って、散弾銃のような形にできると思います。
当然、撃墜の効率も上がるでしょう。ミニガンベースのRWSが良いと思います。
308NATO弾は、市販品なら、日本では約440円(税込)です。
一連射50発で済めば、装置費用を除けば、22,000円です。
軍用ということと、炸裂弾を使うなら、単価は変わると思いますが。
一方、米国は風船をF-22から発射したAAMで破壊したのでしたw
F-22の1時間飛行費用が40,385ドルでしたっけ。
それにAAM-9が何十万ドルでしょう。
そもそもあの高高度に行って確かな運動性能とミサイルを搭載できる機体はF22とサイドワインダーしかないので良かったのでは。
良くも悪くも高額な費用がかかった事態がイタタなわけで。
米国は風船爆弾にトラウマでもあるんでしょうかねえ。
ww2の時に日本にやられかけたからじゃない?
今回落とされた偵察気球は直径30m、下に吊るされた観測機材やパネルのセットも推定幅27mという大型の物です。
高度も18000~20000mと高く確実に落とすにはミサイルが最も効率がいいというか、機関砲で仕留めようにもF-22の実用高度を大きく上回っていてこの高度まで上がるのは無理です。
米軍が盛んに高度記録作ってた頃も、20000m級の世界は専用の改造を受けた機体と特殊な訓練を受けたパイロットを用意して高高度与圧服を着せた上でないと上がれてませんし。
F22の最大上昇高度は20000で65000FTなんで結構ギリギリですね。高度が高くなるほど運動性能も悪くなるのでF22とサイドワインダー以外選択肢がなかったんでしょうね。サイドワインダーは発射後180度反転できるとかなんとか。
中国の言い分がU-2撃墜事件の米国と同じなのは狙ってるんでしょうねえw
確認したら当時の最新戦闘機Su-9では成層圏で追いつけずS-75を14発も撃ってやっと落としてました。
流石に最新鋭の対空ミサイル14本よりはF-22でサイドワインダー撃った方が安くつくでしょうけど。
リンク
なぜ機関砲でなく、高価なミサイルを使用したかのスレッドが立っていました。
なるほど、どこに落ちるかは重要ですよね。
しかし、ウクライナ情報の解析に忙しいブログ主に要求するのは気の毒ですが、この事件の記事が立たないのは意外。
航空機領域の話ですし、コスト問題では象徴的な構造だったのに。