中国人民解放軍は演習2日目、過去最大となる68機の航空機を台湾海峡に侵入させ軍事的圧力を高めており、米国は緊張を緩和するため予定していたICBMの試射を延期した。
参考:Record-Breaking 68 Chinese Warplanes Just Flew Into The Taiwan Strait
台湾を封鎖する能力が中国軍にあると実証されると「困る」というのが米国や台湾の本音だろう
台湾国防部は5日「午後6時までに中国人民解放軍の航空機68機と艦艇13隻が台湾海峡周辺に侵入、内49機(J-10×7機、J-11×6機、J-16×10機、Su-30×24機、Y-8EW×1機、Y-8ASW×1機)が中央線を越えて飛行した」と発表、昨年10月に記録した58機という数字を超える航空機を中国は海峡に繰り出してきたという点で「記録破りだ」と海外メディアは報じている。
PLA dispatched 68 aircraft and 13 vessels until 17:00 (UTC+8) for the activities around Taiwan Strait, part of which had crossed the median line and jeopardized the status quo of the strait.
— 國防部 Ministry of National Defense, R.O.C. 🇹🇼 (@MoNDefense) August 5, 2022
ロイターも台湾当局からの情報に基づき「中国海軍の艦艇10隻が5日午前に中央線を越え、約20機の中国軍機も一斉に中央線を越えてきた」と報じており、台湾に対する軍事的圧力(演習1日目に中央線を越えた中国軍機の数は22機)を引き上げてきた格好だ。
さらに中国の新華社通信は「中国軍が新型弾道ミサイルを発射して予定された目標に命中させた」と報じており、米ディフェンス・メディアは国営通信が言及した新型弾道ミサイルについて「DF-16の新型=DF-16ZD」だと予想している。

出典:China Central Televisionのスクリーンショット
DF-15の後継として2017年頃に実戦配備が始まったDF-16はロシアのイスカンデルと同じように「飛翔コースを変更する機能」を備えているため、DF-15と比較してDF-16の迎撃難易度は高いと予想されているが、ウクライナ軍がS-300を使用してイスカンデルMの無力化に成功しているため「迎撃が不可能」という訳では無く、米ディフェンス・メディアが指摘した「DF-16ZD」が何なのかについても今のところ良く分かっていない。
どちらにしても台湾を囲むように設定された6ヶ所の演習海域によって航空輸送や船舶輸送に遅れが生じ、米ディフェンス・メディアは「既に世界中のサプライチェーンに影響が出始めている。今回の演習で最も懸念されるのは台湾を封鎖する能力が中国軍にあると実証されつつある点だ」と指摘しており、中国のグレーゾーン戦略に対抗する手段は今のところ見つかっていないため「耐えるしかない」というのが現状だ。
Update: the exercise areas are now mostly clear of vessels, with the traffic flow squeezing its way around them now that they have gone into effect. pic.twitter.com/Vhr2nm7AD5
— Thomas Shugart (@tshugart3) August 4, 2022
要するに中国海軍の空母打撃群は実用レベルではないので米海軍に太刀打ちできない=台湾封鎖は現実的ではないという指摘は「戦争状態」の話で、中国は台湾島を取り囲むように演習空海域を設定することで航空輸送や船舶輸送を合法的に妨害する「台湾封鎖」が可能だと証明しつつあり、これが成立すると演習空海域をもっと増やしたり演習期間を伸ばすことで中国はいつでも「完全な台湾封鎖」を実行することが出来るようになる。
残念ながら第一列島線周辺=中国本土に近い空海域ではA2/AD戦略への膨大な投資で軍事的優位性が中国軍に傾いているため、1996年の台湾海峡危機のように米海軍が複数の空母打撃群を持ってきても中国が引き下がるとは考えにくく、グレーゾーン戦略で台湾を封鎖することが出来ると実証されれば米国や台湾は困ったことになってしまう。

出典:public domain ミニットマンIII
因みに米国は台湾海峡の緊張を緩和するため「予定していたICBMの試射を延期する」と発表、この試射は今年3月に「ウクライナに侵攻中のロシアに誤解や誤認を与える可能性がある」という理由で延期されたミニットマンIIIの試射であり、国防総省の報道官は「中国が台湾周辺で不誠実な軍事演習を行っているが、米国は核保有国としての責任ある振る舞いを示し、誤解や誤認から生じるリスク軽減に努めている」と主張している。
関連記事:中国の台湾を取り囲む演習は武力統一のリハーサル、期間延長の可能性も
関連記事:中国軍が演習を開始、台湾国防部は事実上の海上・航空封鎖だと非難
※アイキャッチ画像の出典:中華民國國防部 中国空軍のJ-16
> 因みに米国は台湾海峡の緊張を緩和するため「予定していたICBMの試射を延期する」と発表
これは正しい判断なの? 弱気過ぎない? 誤ったメッセージを中露に与える可能性はないの? バイデンアメリカ政府の態度がイマイチ気懸り。
総大将がお爺ちゃんで体調が良くない人だと、どうしても弱気になっちゃう。
ペロシに何もしなかった時点でアメリカの勝ちなんですよ。
アメリカは図に乗ることもなく謙虚なんです。
中国はペロシ氏に何もしませんでしたが、ペロシ氏の訪台を口実にして、台湾封鎖の訓練を始めることができました。
ペロシ氏の訪台をだしに使うために、中国は過剰反応していた可能性があります。
台湾封鎖の訓練は恐らく常態化するでしょうし、今の流れは中国の計画通りかもしれませんよ。
台湾の訓練状態化は西側の思うつぼにも出来ます。
海上封鎖、大規模かつ長期的な演習という振り上げたこぶしを下せなくすることで
中国は勝手にリソースを消費して疲弊しますからね。
思うつぼにするには、
演習を辞めてやる代わりに何か妥協しろという中国側の要請に一切答えず、
更に高官を訪台させて火に油を注ぎ、こぶしを下させないようにします。
その上で、「訪台を辞めてやる代わりに今の訓練はもちろん、西側の防空識別圏にも今後一切入らない、
尖閣や日本のEEZでの海洋調査も全部やめる」
という交渉を持ち掛けて「主導権を握ってるのは西側」という事を分からせる事でエスカレーションの主導権を奪います。
今の大規模演習を辞める代わりにこちらからも何かの妥協を差し出すと、演習以前からずっと今までやってきた中国の隣国に対する傍若無人なエスカレーションの主導権がまだ向こう側が持ったままになります。
ペロシ訪台で中国側が拳を振り上げてしまうというミスをした所を徹底的に突かないといけませんが
バイデンがそこをちゃんとやるかどうかですね。
>>海上封鎖、大規模かつ長期的な演習という振り上げたこぶしを下せなくすることで中国は勝手にリソースを消費して疲弊しますからね
ウクライナに付きっ切りの今のロシアならともかく疲弊という表現は大げさかと思います
それに記事でも指摘されてるとおり台湾封鎖が常態的にされる事自体のデメリットが大きいという話では
後半に関してはほとんど妄想かなと…
核兵器の扱いは次元が違う。
以前からの予定としても、タイミング的に今回の台湾周辺演習に対する「核恫喝」の意図がある、と解釈する国は中国だけではないでしょう。状況的に中国の対抗措置は避けられない。
ウクライナ侵攻でNATO牽制のため戦術核使用を匂わしたロシアと結局は同じとみなされかねません。それは米政府にとって外交上はなはだ都合が悪いことかと。
中国の意思はハッキリしたでしょう、アメリカが落ちぶれれば中国が暴れだしますよ、我が国としては世界常識の防衛費、GDP2.5%に増額して日本の意思を示す時だと思います、中国が暴れても意味は無いと思ってもらうしかありませんね。
参考?
今の自衛隊はこんな感じ、新しいのは数が不足です、これで戦闘するの?
値上げできない…レトロ自販機「史上最大のピンチ」
リンク
残念ながら日本が防衛費を2.5%にしても第一列島線周辺の中国軍の軍事的優位性を崩すには到底たりないかと
それどころかたとえ日本が正規空母や原潜、核ミサイルを持ったところで、中国は在日米軍がそれらを持っていると想定したうえで行動しているであろうため、大きな変化は望めないと思われます
(在日米軍は核を持ち込んではいないとしているものの、日本は在日米軍への立ち入り調査権利がないため米軍は持ち込むことができ、その米軍が中国軍を警戒している以上、その対象である中国が楽観視して言葉通り持っていないと見なしているとは考えにくい)
中国優位は崩れないでしょうが、対応は変わるハズです。例えば中国は、日本へは領空や領海を侵犯して来ますが、アメリカの領空や領海へは侵入していません。
中国は勝てると確信した相手としか戦争しませんから、日本が防衛費を増額する事、核兵器を配備する事は、確実に意味があります。
仰るとおり、非常に意味のあることです。
要は簡単には占領できない、侵略すれば手酷い反撃を食らう、と相手に思いとどまらせるのが抑止力です。
侵略側は、自身の軍事力を増大させつつ、敵に情報戦を展開して宥和政策に傾く世論誘導したり、抑止力の構築を少しでも遅らせたりしますよね
戦力比1:5が1:2になるだけでも全然違うよ。
> それどころかたとえ日本が正規空母や原潜、核ミサイルを持ったところで、中国は在日米軍がそれらを持っていると想定したうえで行動しているであろうため、大きな変化は望めないと思われます
0か1か論にしても雑過ぎる。
数が1つ増えるだけでも大違いだし、自国判断で使えるという違いも大きい。
正規空母や原潜や核の保有の是非やコスパは別に検討する余地があるとして、「米軍がもう持ってるから保有しても大した変化はない」という根拠での否定はありえんよ。
日本が2.5%に上げてもそこまて差は縮まらないのでは
戦闘機数だけみても中国は数千機体制を目標にひたすら増やし続けていますよ
船やみさいる
船やミサイル、陸上戦力を考慮すればさらに差は大きくなるという
数で対抗するのは無理ですが、兵器の性能で相殺出来ませんか?ここで以前話題になっていたのが有りますけど‥。そして、圧倒的に不足しているのが新装備開発費と調達費、弾薬と物資備蓄量と輸送能力、敵に攻撃を受けた時の抗湛性、全て冷戦終結後に40%位カットされているので、その部分と無人兵器(空、海、陸)関連など、少子高齢化対策で各種機器類も新しくしていかないといけないのです。あと、アメリカが同盟国なのでアメリカの軍縮分を日本で補填して、最新の兵器を継続して導入することによって、中国サイドからみて戦うのは得策では無いと判断してくれば、今回のような武力による圧力では無く平和的に解決しようと、向こうから動いてくるハズですよ。日本は志願制の防衛組織なので「質の良い兵器を必要な数揃える」ですよ。
参考
再掲載|タイ空軍に手酷くやられた中国空軍、グリペンがSu-27に圧勝
リンク
平時から中国と仲良くする方法を考えたほうがいいんじゃないの?
一旦事が始まったらGDP2.5%だけじゃ足んないと思うよ。中国はお隣さんだぞ。
中国の世界に対する在り方は癌細胞そのものです。
癌細胞と仲良くする事は愚か、共存さえ不可能です。
末期癌になる前に世界は手を打たねばなりません。
「中国と仲良く」も「中国は癌細胞、共存不可能」も両極端すぎる。
夢見がちあるいは威勢のいい無責任な意見はろくでもない。
始めっから、共存不能って言うよりいくらかマシだと思ってますよ。
自衛隊の戦力見て、中国とやりあっても勝てる気がしない。
何でもかんでも戦争前提で話をするのはいかがなものか。
そもそも中国が日本を侵略する意思を示している時点で、友好はありえない。向こうが求めているのは隷属でしょうね。事実、チベット人、ウイグル人は中国で家畜以下の扱いを受けています。
勝てる勝てないの問題ではなく。戦わねばならないでしょう。
勝てないから警察はマフィアと仲良くしろ、とはならないのと同じです。
「癌細胞」までは動かしようのない事実だと思いますけどね。
世界中に転移(侵食)が進み過ぎて切除は不可能だからどう悪化を防ぎつつ温存療法するか、って程度の話で「仲良く」はどう頑張っても無理でしょう。
どうしてそう思うんですか?
「マクロファージ」さん、ここのシステムは名前を「バーナーキング」に変えてもあなたのメールアドレスに紐づいたb2d0c130ebe6ede4ae89af1e20eb321eというIDがHTMLに出力されるので無意味ですよ。
自信満々のとこすまんが普通に丸っ切りの別人だが。
見苦しいですね
英語とソフトウェアの知識があるなら以下を見れば分かります
リンク
あなたには無理でしょうが
通りすがりの横槍です。
1.スイス民間防衛は日本人の必読書さんと2.マクロファージさん、3.鬼殺隊さんはIDが同一でした。
下4桁321eが同じバーナーキングさんは誤爆ではないでしょうか?
なるほど、こりゃあ元アメリカ国防省高官も「頼むから防衛費をgdp比3%にしてくれ」と頼むはずだな
実際に我が国の政府がやるかはともかくとしてアメリカがそう言うくらいの脅威だと国民は知るべきだろう
平時から中国と仲良くする方法を考えたほうがいいんじゃないの?
一旦事が始まったらGDP2.5%だけじゃ足んないと思うよ。
「中台統一で指導部の権力基盤を固める」や、「国内の不満を外に向ける」といった理由で戦争になる場合、「中国と仲良くする」ことが何の歯止めになるの?
「日本の都合だけで戦争が起こせる」と思い込むことのできた幸福な時代は、とうに過ぎたのだよ。
気持ちとしてはわかる。知性があれば話し合いで解決できる。個人的には中国人の友達もいるし大連にグループ会社があって交流もあるので嫌いではないです。
その上で、文化、国策としてのお話を。
中国、または中国人が仲良くするということは、仲良くするに値する価値があるものなのです。力であったり利益であったり。あなたは家畜と同じ立場で同じ生活をして人に飼われることができますか?そういったことを話したことがあります。
やりすぎも不味いのですが適度に力がないと話し合いができないのです。
価値観が違うんですよ
奪うな、侵略するな、人を殺めるな、これらは西側の価値観です。
程度の差はあれどね。
少なくとも、中国という国にはこれらの価値観はない。
中国という国のためなら奪ってもいいし、侵略してもいいし、人を殺めてもいい。
国家の発展のために必要ならば、それをやるのが中国の価値観
仲良くできるわけがない
ツイッターで引用されている画像を見ると、与那国島も(西表島も?)封鎖されているようですが・・・
まさに「台湾有事は日本の有事」になっている状況だと思うんですけど、政府もマスコミも呑気ですね
日本側は特に封鎖の影響等は出ていませんよ。
石垣島にいますが西表も与那国島も特に問題なく往来出来ます。