中国は今年2月にFC-31の魅力をアピールして販売促進を行う専門部署を立ち上げたが、早速サウジアラビアでFC-31の売り込みを開始した。
果たして中東諸国はFC-31の導入に踏み切るだろうか?それとも米国が中東諸国の引き止めに成功するだろうか?
中国は瀋陽飛機工業集団は2月「FC-31(J-31の輸出モデル)を今後の主力製品に位置づけ、従来のマーケティング思考を転換して海外のハイエンド戦闘機市場を積極的に開拓する」と発表、海外市場で米国のF-35Aやロシアのチェックメイトと競合関係にあるFC-31の魅力をアピールして販売促進を行う専門部署を立ち上げた。
これは単純にFC-31を海外に輸出して資金を獲得→研究・開発に再投資→技術開発や装備品の開発サイクルを引き上げるという側面もあるが、最も重視しているのは「米国のF-35Aを通じて導入国の安全保障政策に関与するのを妨害して中国の影響力を拡大する」という点であり、海外市場に唯一供給されている第5世代戦闘機F-35Aを導入したいなら「5Gネットワーク機器からのファーエイ排除=中国と手を切れ」と迫る米国に難色を示す中東諸国や第三世界の取り込みを狙っているのだ。
つまり中国が販売促進を行う専門部署を実機完成前から立ち上げたのは「従来のマーケティング思考を転換した=先に潜在的な顧客の囲い込み出た」という意味で、ウクライナ侵攻の影響で全くスポットライトが当たらなかったサウジアラビアの防衛装備展示会で早速FC-31の売り込みを開始している。
中国企業は防空システムHQ-16A、対空レーダーJY-27A、輸送機Y-9E、無人機Wing Loong 2、CH-5、WJ-700などを展示会に持ち込んだが、この中で最も象徴的だったのはFC-31の展示で「中国企業のブースはサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子、イエメンのサイード首相、イラクのアル・ジュブリ国防相など多くの関係者で賑わった」と中国メディアが報じており、中国の軍事アナリストは「FC-31を導入する国に組み立てラインを建設することで中国と顧客はより深い関係を構築することもできる」とも主張しているのが興味深い。
このアナリストは「F-35Aは高価な導入コストや制限も多いため調達出来る国が限られており、チェックメイトは公開したものの初飛行に至っておらず、開発が進んでいるFC-31は許容できる導入コスト、政治的な制限を設けない姿勢、完全に自立した技術体系、中国独自の優位性、機体と武器をセットで提供できるため優位なポジションを占められる」と以前主張していたが、ウクライナ侵攻の影響でFC-31の優位性はさらに高まったと言えるだろう。
西側の経済制裁が何時まで続くのかは不明だが、この状況下でチェックメイトの開発を予定通り進められるのか非常に怪しく、国際社会からの批判が強烈になった状況下で確実にロシア製兵器に手を出しづらくなったことも加味すれば「FC-31を導入候補に加えよう」と考える国は増えるはずだ。
果たして中東諸国はFC-31の導入に踏み切るだろうか?それとも米国が中東諸国の引き止めに成功するだろうか?
因みに米国は同展示会で弾道ミサイルTHAADのサブシステム(ミサイル発射装置)をサウジアラビア企業が現地生産することを発表しており、何とか安全保障上の影響力を失わないよう苦労している様子が伺える。
関連記事:中国、J-31輸出をテコに地域安全保障に対する影響力拡大を目指す
出典:中国航空工業集団 珠海航空ショーで展示されたFC-31/J-31のモックアップ
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オイルのあるとこはやだな〜。
またあ中東は万博のように東西の兵器が溢れてるから、売り込みには申し分ないんだろうな。
ロシア製に対する風当たりは強いでしょうね。
これを機に中国製と韓国製はシェアを増やすでしょうな。
日本製も咬めればいいんですが、無理だな。
FC-31ってパキスタンとの共同開発機だったよね。宗教が近いサウジからすれば中国抜きにしても魅力的な選択肢。
一方の韓国製は、どうやったってイギリスやアメリカの技術からは離れられない以上、中東に売り込むのは相当キツイんじゃないかな。FA-50だって一番代替の利かなそうな射出座席が原因でアルゼンチンに売れなかったし。やっぱりK-9みたいにギリ西側の国で、米英独仏製よりも優れたコストパフォーマンスとカスタマイズ性で売り込むのが正解なんじゃないか。
ん?パキスタンなんか絡んでたっけ?
FC-1(JF-17)と間違ってる?
FC-1ですね。ごめんなさい。
でも、中国はパキスタンと共同開発したという実績はやはり魅力的じゃないかと。
特定の機体の話じゃなくて「中国機」がシェアを増やす、という話なら仰る通りかもですね。
考えたくはありませんが今回の騒動のドタバタの隙にロシア・ウクライナ両国のエンジン等の技術者を掻っ攫って技術を獲得してしまう可能性は十分にありますし。
ウクライナは中国資本による自国の航空産業買収を阻止したのであれですけど、ロシアはソ連崩壊時に自国の軍事技術を売った実績があるので、自分から売り込み行くんじゃないでしょうか。
「掻っ攫う」と言う言葉がよくなかったかな。
懸念しているのは「中国がロシア・ウクライナの該当技術(者)を手に入れる事」ですので、それが中国による引っこ抜きによるのか露側からの売り込みなのか、は割とどうでもいいです。
ほぼ確実にユーザーの求めない機能がこっそりと搭載されていそうなファーウェイに拘る理由は何だろう?
莫大な裏リベートだろうか?
FC-31もモンキー度合いが気になるし、中国が望まない時はあっと驚く機能がある気がする。
でも、サウジはもう帰って来ないな。
西側諸国製だからと言ってバックドアが仕掛けられていないとは限らないのでは?
個人的には東側よりリスクは少ないと思いますが、結局はその国がどうリスクを考えるかですからね。
べつに西側が全てOKなんて書いていないんだけど?
米国がソースコードをブロックしているなんて周知の事実だしね。
変な裏読みじゃなくて、書いている事にコメントしてください。
アメリカの正義に振り回されたくない国が中国との関係悪化をひきおこすような事はしないと思いますよ?
そうであればファーエイとの関係を切ることは無いでしょう。
もはやどのコメントのどこに対して何を言ってるのか全く分からない…
ファーウェイは通信装備市場でシェアが6年連続首位。
理由は安価で技術力が高いから(世界の5G特許でもファーウェイが首位)。
さらに中国政府の一帯一路政策に乗っかり、中国政府から補助金を貰って世界中で販路を拡大した。
安価で高性能なのでファーウェイを選びたい国は多いでしょうね。
あと、中国はモンキーモデルの兵器を作ったことがないと思いますが。
モンキーモデルはおっしゃる通りですね。
でも、中国空軍では採用しない輸出専用モデルというのがなんとも。
FC-31の派生型が中国海軍の次期艦載機(J-35)になる可能性が高いですし、サウジに売り込んでいるFC-31は従来と大きく異なるのかもしれません。
インフラ整備コストが他国性に比べて安いみたいです。
NAVAL NEWS を見たら、中国は各種水上艦艇や超音速地対艦ミサイルの売り込みにも積極的なのかと、韓国も同様
さて、日本はどうするべきか、黙って漁夫の利を取らせたままで良いものなのか?
仮に日本が兵器の売り込みに行って契約できたとしよう
その国が紛争国になった瞬間に追加発注が来ても断るしかなくなる
必要な時に買えなくなる兵器を欲しがる国があるのかと
晴れの日に傘を貸して雨が降ったら取り上げる銀行みたいな事をしろと?
世界に押されてる分野の日本企業の抱えてる病巣とは、その銀行みたいな殿様感覚かもな、気位高くて文句だけ多い
しかしロシアが損すりゃチャイナが儲かるという構造は面白くない、何とか割り込みしたいもんだ
とにかくまず防衛装備移転三原則の禁止条件の「紛争当事国」を外さんと話にならんよなぁ…。
「死の商人」論者には「なら貴様は火や刃物を使って作られた食べ物を一切食うな」と言ってやればよろしい。
その手の層が結構いるから、国内メーカーは兵器輸出に消極的なのではないかな?
兵器輸出なんかのために、本業が傾いたら困ると。
あと、ケロロな人だったかな?、
防衛装備品な業界は、収益性は滅茶苦茶悪いけど
売上が一定額望める事と売上を確実に回収出来る事がメリット
と言った趣旨のコメントを見た覚えがあります。
兵器輸出はそれが望めないので、国内の防衛装備産業の体質に合わないかも。
それなりに顧客は獲得できるだろうな。
F-35との性能差なんて、実際に戦わせないとわかりはしないから、中国側のセールストークを真に受けるしかないし。
ただ中国も、米国以上に自国の意に沿わない国に対して圧力や制裁かけたりしてるから、その辺を中東がどれくらい見るかねえ。
まあ中東国家は、キーパーソンさえ裏金渡して抱き込めばどうとでもできるか。
とはいえ、モンキーモデルのT-72Mの体たらくをあの辺の国が忘れてるとも思えないんだよな
F-35は対テロと対シリア程度とはいえある程度実戦経験アリで、演習では桁違いの実績をおさめてるというあたりの情報が公開されてるのはやっぱでかいと思う
言うてアメリカの干渉の仕方は普通に鬱陶しいし中国に流れても何も不思議じゃないけど
独裁国家からしてみれば、「人権外交」をしてこないだけ中国の方がマシと考えているかもしれません。
独裁者(独裁組織)が1番嫌がるのは、「自分(達)の言動を非難される」ことですから。
あと、中国はモンキーモデルではなく、輸出用の兵器を別に作っていますね。
中国はJF-17戦闘機やVT-4戦車等を輸出していますが、これらはモンキーモデルではありませんし。
いや別にFC-31がモンキーモデルという意味ではなく
売る側が「これは大変高性能な兵器です」と言ったところでそれを担保する材料は何なのかという
イラクだって湾岸戦争で一方的にやられるまでは、M1A1には及ばないまでもある程度の性能は発揮できると考えてたのでは?
その点、そういった情報公開が弱い中国製兵器は評価しようがないよねっていう
あと、中国は人権にはうるさくないけど結局何やかんやで干渉してくるからね
そういう意味では大差無いかと
事前にサウジのテストパイロットがFC-31に乗って、性能試験や評価試験を行ったうえで購入を決めると思いますよ。
パキスタンのテストパイロットが初期のFC-31に乗った際は低評価で、パキスタンはFC-31の導入を見送りましたし。
干渉具合については中国もアメリカも大差ありませんが、アメリカはさらに自由民主主義や人権を重視する外交を推進しているので、独裁国家したらアメリカの方が鬱陶しいと思いますよ。
世界は民主主義国家よりも独裁的な国の方が多いので、アメリカの人権外交は一長一短ですね。
だからそれは結局理想に近い状況でのスペックでしかないわけで
カタログスペックは高いロシア空軍がSEAD/DEADをあまりうまく遂行できない理由の一つは
そういった大規模で複雑な作戦を行うための演習を行なってこなかった(行えなかった)ためではないか、という見方もあるし
実戦に近い状況で、軍のシステム全体でどのように兵器が機能するのか(させたら良いのか)はそこを通さないと分からないということははっきりしてるかと
その国の「軍のシステム全体でどのように兵器が機能」させるかと言った話しに広げると、
もはやアメリカ製とか中国製とか、関係無いような気がします。
装備国の「軍のシステム全体」の問題なのだから、兵器単体の情報公開がされていようが・されていまいが、関係無いですよね。
いやだから、そこが公開されてる兵器と売る側のセールストークしか根拠のない兵器と
普通どっちを信頼しますかっていう
それが等価に見えるというなら自分から言えることはもう無いけど
兵器自体は当事者が比較するのだから、「売る側のセールストークしか根拠のない兵器」は的外れだろうし、
あと仮にそこで外れを引くなら、それもまた当事者の能力の問題で外野がとやかく言っても仕方ないかと。
中国は独裁国家で権威主義なので何をやらかすのかわからないところがあり、もし今回のロシアのようなことをやらかすと制裁を喰らって武器の生産はままならなります。それでワリを食うのは武器の輸入国であり、そんなリスクを冒してまで導入する価値があるのでしょうか。
経済的には弱者なロシアと第二位な経済大国な中国を比較して、寧ろリスクは低いと判断する国が現れても特に驚かないかも。
個人的には国力が大きいからこそやらかしそうな気がするが・・・。
やらかす危険性は否定的しないけど、
やらかしに対する制裁は、西側への波及具合で緩和されるだろうから、
世界第二位の国力から「寧ろリスクは低いと判断する国が現れても特に驚かない」です。
イランがロシア機を買えるのに意地でもアメリカ機を維持してるのをみるとサウジアラビアなんかのパイロット達には中国機は不満のタネになるんじゃ?
>政治的な制限を設けない姿勢
本当かよ?
だったら日本や台湾が欲しいって言ったら、売ってくれるのか
売るんじゃないの?少なくとも日台が買うといえば「【日台の政治姿勢を理由に】断る」とは思えないけど。
「(J-20やFC-31は)【軍事的な理由で】断る」とか「【日台側が】政治的な制限で買わない」とかの可能性はあるとしても。
ロシアが「敵対国」の企業のパテントを無効とする措置を宣言しました。これがどの程度本気なのか、あるいは西側企業がどうリアクションしていくのかは現時点では分からないですが、もし外資がロシアから恒久的に撤退したり製品供給が断絶するようになった場合、ロシアで唯一優位性のある兵器輸出産業も持続できないのは明らかです。半導体などのロシア国内で製造していない部品はもちろんの事、航空機エンジンから戦車からの製造に使う工作機械やその部品が滞っていけば、数年内に殆どの産業は止まってしまうでしょう(電子システム関係はもっと早く停滞する)。
中国の兵器はロシアに対して技術力で一段劣る部分が未だにありますが(そうでなければ中国軍は兵器を全て内製化して売りさばいているだろう)、肝心のロシアが製品供給できなくなれば第三世界のマーケットは中国一色になってしまうのではないでしょうか。
しかしこのFC-31のエンジンはロシア製ですよね。ロシアの兵器産業がダメになると中国兵器も製造できなくなるものが多そう。
ウクライナから技術を導入しようという企みもあったようですが、まぁ絶対ダメになったでしょうし。
エンジンは自国製(WS-13の発展型?)に換装するでしょうね。
今の中国でしたら普通に開発生産できると思います。
中国の工業界とそれなりに接してきた経験からすると最終行には同意できないなぁ。
>ウクライナから技術を導入しようという企みもあったようですが、まぁ絶対ダメになったでしょうし。
むしろ導入の可能性が高くなる様な気がします。
個人的な利益を追及する者って絶えないですから。
中国のシェアも伸びるだろうけど、今後はトルコなどの新興勢力が勢いを増すと思います。
中東は今は中国と良好な関係だけど、イスラム系のウイグルを虐殺していることに関して快く思っているはずはなく、経済的な勢いも明らかに鈍化している。
トルコはその点絶妙なポジションにいる。
まだ第五世代機は青写真しか見えてないけど、バイラクタルなどの強みで足場を築いて、着々と大型兵器も輸出していくんじゃないかと。