欧州関連

入手経路が謎、ウクライナ軍が青と黄の二色旗をまとったブラックホークを公開

欧米諸国がウクライナに提供したヘリコプターは旧ソ連製が中心で「ブラックホークを提供した」という発表はないのだが、ウクライナ国防省の情報総局は青と黄の二色旗をまとったブラックホークを公開して注目を集めている。

参考:Авіація воєнної розвідки України виконує бойові завдання на передньому краї оборони

将来的に改造を施せば「戦場で使用するのに理想的なプラットフォームになる」と予想している

欧米諸国がウクライナに提供したヘリコプターは旧ソ連製(Mi-2、Mi-8、Mi-17、Mi-24/Mi-35)が中心で、英国だけが海軍の余剰装備だったシーキング(SH-3ではなくWS-61の方)を提供したが、より近代的なブラックホークをウクライナに提供した国は今のところ確認されていない。

出典:Головне управління розвідки Міністерства оборони України

しかしウクライナ国防省の情報総局は21日「情報総局の航空部隊は我が国の前線で働き続けている。偵察機のパイロットが任務から戻ったばかりだ。この戦闘向けのヘリコプターは情報総局に所属する特殊部隊の能力と有用性を大幅に向上させている」と明かし、Mi-24ハインドと共にUH-60Aと見られるブラックホークの写真を公開した。

米ディフェンスメディアは「情報総局が公開した機体は米Ace Aeronautics社が売りに出していた民間登録機(UH-60A)ではないか」「同機の外観を見る限り、武器、電子光学センサー、自己防衛システムを搭載する改造が施されていない」と指摘しており、将来的に改造を施せば「戦場で使用するのに理想的なプラットフォームになる」と予想している。

出典:Pangalau/CC BY-SA 4.0 ブルネイ空軍のS-70i

因みにポーランドのPZLミエレツ(2007年に買収され現在はシコルスキーの子会社)は海外市場向けの軍用バージョン「S-70i(機体単価1,650万ドル程度で圧倒的に安価/米軍が採用するUH-60は約5,000万ドル」と商用バージョンの「S-70M」を生産しており、UH-60とS-70/H-60にどれだけの部品共通性があるのかは不明だが、運用に欠かせないスペアパーツや消耗品は隣国から入手出来ているのかもしれない。

関連記事:フィリピンの攻撃ヘリ選定にシコルスキー参戦、廉価版S-70i ブラックホークを提案?

 

※アイキャッチ画像の出典:Головне управління розвідки Міністерства оборони України

伊首相がキーウを訪問、SAMP/Tを含むウクライナ支援パッケージを発表前のページ

米国、ウクライナに提供する航空機向け精密誘導弾薬はJDAMではなくJDAM-ERか次のページ

関連記事

  1. 欧州関連

    オスマン帝国再興を夢見るトルコ、パキスタンの支援を受けて核兵器を開発か

    インドのSiasat Daily紙は「トルコがパキスタンの支援を受けて…

  2. 欧州関連

    スウェーデンと同時加盟を主張していたフィンランド、単独でもNATOに加盟する方針

    トルコはフィンランドのNATO加盟申請を承認する見通しだがスウェーデン…

  3. 欧州関連

    バイラクタルTB2導入理由を語るポーランド国防相、実戦での実力を疑問視する声にも反論

    ポーランドはNATO加盟国として初めて「バイラクタルTB2」導入契約を…

  4. 欧州関連

    ウクライナ危機、プーチン大統領は着々とウクライナ侵攻に向けて準備中

    米国もロシアも「NATOの東への拡大停止」について一歩も譲る気はなく、…

  5. 欧州関連

    スロバキアの選挙結果、EUのウクライナ支援に混乱をもたらす可能性

    スロバキアの総選挙で「ウクライナへの軍事支援停止」を掲げるSMERが勝…

  6. 欧州関連

    極度の緊張に包まれるウクライナ、南部でもロシア軍が攻勢に出る可能性

    イタリアのクロゼット国防相は9日「ロシア軍の攻撃が今後数日以内に激化す…

コメント

    • ido
    • 2023年 2月 22日

    どのようなことよりも先にデザインがカッコ良すぎないか?偵察任務と言っていたしまだまだヘリは使えそう

    14
    • 58式素人
    • 2023年 2月 22日

    民間市場に出ている売物ならば、購入しても特には問題ないのでしょうね。
    車と一緒の扱いなのでしょう。米国政府もこの取引を認めたのでしょうから。
    けれども、これは、一種の謎かけ(?)なのでしょうか。
    中古武器市場でのウクライナ政府の活動状況は
    なかなか明らかにならないけれど、それなりに活動をしているのかな。
    旧ソ連系の引きならば、あまり記事にもならないだろうし。

    2
      • 名無し三等兵
      • 2023年 2月 22日

      ポーランドのPZLミエレツ社で生産している民間型のS-70iかと想像しますが
      同社からの寄贈でしょうかね?
      ただ、あれはノックダウン生産なので主要パーツはロッキード・マーティンからの
      供給です、無許可では出来ないかと思いますが。
      それともどこか他のブラックホーク導入国の中古機でも入手したのでしょうかね。

      1
        • クローム
        • 2023年 2月 22日

        塗装からしてAce Aeronautics社が所有するN60FWで間違いないかと。
        この機は1980年に米陸軍向けのUH-60Aとして生産され、払い下げられた後に同社によってグラスコックピット化などの改造を施されました。記録に残る最後の飛行では去年の11月末に米国内の貨物船用の港に着陸しています。
        このAce Aeronautics社は航空機のオーバーホールや近代化が主な業務で世界中の軍隊や企業にサービスを提供していて、払い下げられた米陸軍UH-60を海外顧客向けに改造し販売する業務も行っているそうです。

        10
    • 名無し
    • 2023年 2月 22日

    バイデン「ワシは降りる。お前らがこのヘリに乗っていけ。」(キートンのルーマニアマフィアを思い出しながら。)

    11
    • あああ
    • 2023年 2月 22日

    タリバンから買ったのかな?

    2
      • 戦略眼
      • 2023年 2月 22日

      どうやって運び出すの?
      アメリカが裏で手を回したか?

      3
      • いもぐ
      • 2023年 2月 22日

      アメリカ撤退の時タリバンがブラックホーク乗り回してたね

    • もり
    • 2023年 2月 22日

    回転翼機って舐められがちだけど現代軍の要の1つなんだよねぇ

    4
    • Natto
    • 2023年 2月 22日

    S70がそんなに安いのは、防御機能が無いから?

    • はひふへ~ほ~
    • 2023年 2月 22日

    まぁ台湾にも中国にも民間仕様のS-70は購入しているし、イギリスだってとん挫したと言えWS-70の計画と試作機はあったはずだし、民間機としては一時期結構販売板していたから、30年の年季物の民間機なら結構ゴロゴロしている。

    2
    • ネコ歩き
    • 2023年 2月 22日

    2つめの画像、向かって左端のクルーは見た感じ女性っぽいですね。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. 欧州関連

    アルメニア首相、ナゴルノ・カラバフはアゼル領と認識しながら口を噤んだ
  2. 中東アフリカ関連

    アラブ首長国連邦のEDGE、IDEX2023で無人戦闘機「Jeniah」を披露
  3. 軍事的雑学

    4/28更新|西側諸国がウクライナに提供を約束した重装備のリスト
  4. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
  5. 米国関連

    F-35の設計は根本的に冷却要件を見誤り、エンジン寿命に問題を抱えている
PAGE TOP