米国関連

米国、ウクライナに提供する航空機向け精密誘導弾薬はJDAMではなくJDAM-ERか

米国がウクライナに提供する航空機向け精密誘導弾薬についてBloombergは「JDAMではなくJDAM-ERだ」と報じており、これが事実ならウクライナ空軍機は最大70km先の地上目標を精密攻撃できるようになる。

参考:US Is Giving Ukraine a Long-Range GPS-Guided Bomb That Can Hit Targets Miles Away

米軍備蓄に現物はないが、夏前にはJDAM-ERをウクライナに向け出荷できるだろう

昨年12月に米国が発表したウクライナ支援パッケージには「航空機向け精密誘導弾薬」が含まれており、これは無誘導爆弾(Mk.82=500ポンド、Mk.83=1,000ポンド、Mk.84=2,000ポンド)に精密誘導能力を追加するJDAMキットだと報じられていたが、Bloombergは22日「これがJDAM Extended Range(JDAM-ER)だと確認した」と報じている。

出典:U.S. Air Force photo by Airman 1st Class Akeem K. Campbell

戦闘機からJDAMキットを追加した無誘導爆弾を投下すると「最大28km先の地上目標」を精密攻撃できるようになるのだが、折りたたみ式の主翼を追加したJDAM-ERなら「最大70km先の地上目標」を精密攻撃できるようになり、ウクライナ空軍の戦闘機に統合すれば「JDAMより遠距離の目標を叩くことが出来るようになる」という意味だ。

ただボーイングとオーストリア空軍が共同開発したJDAM-ERはJDAMよりも高価で、最大到達範囲も劇的に改善するわけでもないため米空軍は関心を示さず、オーストリア空軍しか採用していない=米軍備蓄に現物がないため新たに製造してウクライナに供給する予定(数量は不明だがボーイングに授与された契約額は4,050万ドルで6月末までに契約内容を完了する)らしい。

因みにJDAMもJDAM-ERも滑空爆弾の一種なので最大到達範囲は投下高度に左右され、前線空域で1,000フィート以下の低空飛行を余儀なくされているウクライナ空軍機に上手く扱えるのか疑問もあるが、米国もその辺りの事情を加味した上で提供を決めていると思われるので「戦場で役に立つ」という確信があるのだろう。

関連記事:米国がウクライナにJDAMを提供か、ゼレンスキー大統領が今週中に訪米する可能性も
関連記事:米国、パトリオットやJDAMが含まれたウクライナ支援パッケージを発表

 

※アイキャッチ画像の出典:ボーイング

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コメント

    • 名無し
    • 2023年 2月 22日

    >米国もその辺りの事情を加味した上で提供を決めていると思われるので「戦場で役に立つ」という確信があるのだろう。

    「この、倉庫に眠ってる、余った評価用のJDAM-ERどうしよう。。。せや!!」

    こうじゃないの。実態。

    8
      • ido
      • 2023年 2月 22日

      記事に書いてある通り新規製造するらしいので使い道はあるんでしょう。

      58
    • くらうん
    • 2023年 2月 22日

    残弾がどれだけ残っているかは不明ですが、既に供与済みのHARMと共同運用すればゲリラ的な対地攻撃と防空網制圧に有効ではないでしょうか。

    4
    • 匿名
    • 2023年 2月 22日

    xxx「横腹にロケット推進器を抱かせてみようぜ」

    1
      • 干物
      • 2023年 2月 22日

      既にJDAM-ERにジェットエンジンを搭載し射程を300km以上に延伸可能な
      Powered JDAMが構想案として存在するんですよ…

      11
    • paxai
    • 2023年 2月 22日

    JDAM-ERの最大射程70キロは高度何キロの時だろうか?高度10キロだとしたら滑空比7と悪いけど主翼小さいしそんなもんかな?とも思うけど。(旅客機が20前後らしいので初速の問題はあれどこれを上回る事はないだろう)
    ウクライナ空軍がJDAM-ERの性能を引き出す(高高度を飛行する)のは難しそう。

    8
      • hiroさん
      • 2023年 2月 22日

      豪空軍の投下テストは高度20,000ft(6,000m)で実施した様ですので、この辺りが基準なんですかね。
      気になるのは、ウクライナ空軍が使用する無誘導爆弾に装着するのに改造が必要となるのかと、MigやSUとの統合が簡単にできるのかですが、先行して対応しているのかな?

      4
    • 名無し
    • 2023年 2月 22日

    正式対応してるかしらんけど、ウクライナに渡したらトス爆撃し出しそうじゃない?ヘリでもやってるくらいだし。

    • 思い付きだけど
    • 2023年 2月 22日

    これ実質的にはボーイングに、仕事を回すことにしたのでしょう。
    ロッキードには既にいっぱい仕事を発注してるから、こんな「小さい」のは手をださなかったと思います。
    (ルーツはBv246でしょうか。半世紀かけて実用化されたのですね)

    3
    • ヤゾフ
    • 2023年 2月 22日

    JDAM、どの機体から運用するんだろう?
    根本部分で恐縮ですが、Mig-29に統合されてましたっけ…?

    • 58式素人
    • 2023年 2月 22日

    新造ならば、もっと翼を大きくできないものでしょうか。
    上の方が書いている、Bv246は、210kmの有効距離があるそうな。
    米軍はどう考えているかはわかりませんが、
    投擲のためには高度を取らないといけないでしょうから、
    70kmの有効距離では、戦闘機が上昇したら、SAMの良い目標になりそうな気がします。

    2
    • ネコ歩き
    • 2023年 2月 22日

    2/22付けForbesの記事によると
    敵地域に経空侵攻することが非常に危険なのは事実のようで、双方とも低空攻撃を取らざるを得ず、攻撃範囲は前線から数マイル以内に限定されているとのこと。
    従来通り低空を高速で前線に向かい、JDAM-ERをトスアップすることで最大50マイル離れたロシア軍を撃破できる可能性がある、としています。
    リンク
    記事の添付図 “DELIVERY PROFILES FOR GUIDED BOMBS” では到達距離が3~5マイルですが、JDAM-ERならこれが最大50マイル(約80km)になる可能性があるということなんでしょう。
    これが事実ならば非常に有効ですね。

    9
    • 匿名
    • 2023年 2月 23日

    M7 Bradley BFISTがウクライナに供与されたって、これを誘導するためか。
    なるほどなぁ…

    • あお
    • 2023年 2月 23日

    WikiによればMQ-9 リーパーでの運用が検討されているそうなのです。先日MQ-9を渡したという話があったかと思うので、まずはそこからかもしれませんね。

    •  
    • 2023年 2月 24日

    射程を伸ばすなら単純により速度を上げて飛ぶって手段もあるにはあるね。音速を超えて飛ぶ余裕があるなら投下後に限定的な上昇もできるんじゃなかろうか
    それでも伸びる射程なんてたかが知れてるけど、有用ではあるんじゃないかな

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