欧州関連

バフムートを巡る戦い、幹線道路M03でウクライナ軍がロシア軍の前進を阻止

バフムートを守るウクライナ軍はロシア軍の前進を幹線道路「M03」で食い止めることに成功したが、全体的にロシア軍の前進が成功しているためバフムートの状況はどちらかと言うと悪化している。

スリリングな状況が続くバフムートの戦い、まだ同拠点への兵站ルートは保持されている

ウクライナ軍参謀本部は9日「敵はドネツクとルハンシクを完全制圧するためクピャンスク、リマン、バフムート、ヴーレダー方面で攻撃を続けている。過去24時間に19の拠点(ザポリージャ州の拠点に対する攻撃1件を含む)でロシア軍の攻撃を撃退した」と発表、さらにバフムート周辺での戦いについて視覚的な証拠も登場したためロシア軍が前進している位置も判明した。

出典:GoogleMap バフムート周辺の戦況/管理人加工(クリックで拡大可能)

ブラホダットネから北西に前進するロシア軍は高台のまで前進していることを視覚的に確認、参謀本部が8日に言及した「オリホヴォ・ヴァシリフカ」と「ドゥボヴォ・ヴァシリフ」に対する攻撃はウクライナ軍(第30機械化旅団の戦車)がで阻止しており、辛うじてロシア軍の前進をM03のラインで食い止めることに成功している。

さらにイワニフスキーに向かっている前進するロシア軍がに存在することを視覚的に確認、ロシア側の情報源は「バフムート北の入り口=M03とT0504が交差する地点にロシア軍が到達した」と述べているが、これに関して視覚的に確認されていない。

出典:GoogleMap ドネツク周辺の戦況/管理人加工(クリックで拡大可能)

もう一つのホットスポットに浮上しているヴーレダーではウクライナ軍がロシア軍の前進を阻止し続けている。しかしロシア軍はヴーレダーへの攻撃をどんどん強化しており、パブリフカからヴーレダーを迂回してボホヤヴレンカに向かう動きを見せているらしい。

因みに英国はウクライナと長距離攻撃兵器の供給で合意したと報じられているが、何を何時までに提供するのかは今のところ不明だ。

関連記事:バフムートを巡る戦い、ロシア軍が初めて幹線道路M03の西側地域に侵入
関連記事:ウクライナ侵攻348日目の戦況、ルハンシク州のビロホリウカは宇軍が保持

 

※アイキャッチ画像の出典:Сухопутні війська ЗС України

ゼレンスキー大統領、新たな武器が届くまでバフムートでロシア軍を拘束したい前のページ

独ラインメタル、KF51パンターの輸出についてキーウと話し合っている次のページ

関連記事

  1. 欧州関連

    フランスが火薬生産に5億ユーロを投資、戦争が終わっても世界は元に戻らない

    マクロン大統領は「火薬の生産量を増やすため5億ユーロを投資する」「ロシ…

  2. 欧州関連

    破格の条件が成立、フィンランドがF-35A調達契約とサプライチェーン参加協定に署名

    フィンランドは11日、F-35A調達契約とフィンランド産業界がF-35…

  3. 欧州関連

    ルクレールXLRへのアップグレード、砲弾携行量は40発から22発に減少

    フランスは防御力の強化に重点を置いたルクレールのアップグレードを進めて…

  4. 欧州関連

    ウクライナ政府高官、TIME誌の記事内容を否定し情報提供者の排除を示唆

    ウクライナ国家安全保障・国防会議のダニロフ書記は31日、TIME誌の記…

  5. 欧州関連

    帝政ロシア製の重機関銃が現役のウクライナ軍、旧ソ連製の対戦車砲が演習に登場

    ウクライナ国防省は地上軍による演習風景を映した動画を8日に公開、ジャベ…

  6. 欧州関連

    フランス国防省の警告、軍隊の無駄を削減すれば危機に対して無力

    フランスは軍の無駄を削減しながら運用効率を向上させる取り組みを実施した…

コメント

    • F
    • 2023年 2月 09日

    GPS誘導のミサイルで西側にとって好ましくない目標はセットできないように制限できる物があればいいんですけどね
    西側が望まない目標を攻撃してしまうかもしれないってのが長距離兵器の供与を躊躇する最大の理由だと思うけれど
    そこのところを何とか解決して我が国でも検討中の反撃能力を解禁しないとジリ貧の状況が続く
    反撃能力の議論が急加速してるのって中国の脅威拡大だけではなく
    ロシア領土に反撃できないウクライナの惨状を見せつけられてるってのもあるんじゃないですかね
    反撃せずに飛んでくるのを迎撃しているだけだとこうなりますってのがよくわかる

    9条のある我が国でも反撃能力は合憲として議論されてるのに
    ウクライナはロシア領土への反撃禁止ですってなかなか厳しい条件ですよ

    28
    • TKT
    • 2023年 2月 09日

    詳しいことはよくわかりませんが、おそらくこのウクライナ軍の第30機械化旅団の戦車大隊が、この方面のウクライナ軍の機動予備、これこそまさに
    「火消し」
    の戦力なのでしょう。

    さらにこの部隊に続く機動予備の部隊がウクライナ軍にあるのか、ないのか、そもそも今、M03号線道路で反撃を行ってる部隊のウクライナ戦車が何台くらいなのかもよくわかりませんが、とにかくここをロシア軍の戦車に突破されたら危機的状況になるのは明らかです。

    こういうシチュエーションは、巨匠・小林源文氏の描く戦争劇画では、何度も繰り返し描かれてきた状況です。私が昔、買ってプレイしたプレステのゲーム、
    「パンツァー・フロント」
    でもありました。

    4
    • カディロフ上級大将
    • 2023年 2月 09日

    去年動員という種まきを始めて収穫の時期になったかと思ったら急に戦線が動き始めたね。
    去年は殆ど動かなかったのに、現代戦は徴兵による即席兵士より専門的な訓練を受けた正規兵のほうがいいとか言われてたけど。
    こーゆーのみてると物量が用意できるのはそれだけで有利なんだね、流石にかつての東部戦線みたいに独ソ両軍の百万単位の軍団とまではいかなくても、それなりの物量は重要なのかな。

    4
      • 2023年 2月 10日

      物量は重要ですよね。
      99%当たるミサイル100発より60%当たるミサイル1万発の方が脅威ですし。

      4
    • paxai
    • 2023年 2月 09日

    メドベージェフの工場視察動画が上がってるけど製造途中であろう戦車の砲塔部分が結構あって驚いちゃう。
    全体で見れば毎日1輌以上のペースで生産してるのかなー?

    1
    • _
    • 2023年 2月 10日

    80年代のソ連型機械化歩兵師団が概ね戦車300、装甲車400、砲・迫・ロケット250、人員13,000。
    戦車が少し少ないものの10個師団相当、あとの人員17万は兵站要員でしょうか?
    これを最初から投入していれば膨大な損害は殆どなかったでしょうに。

    人も装備も補給も問題点は山積みでしょうが、ウクライナ軍に数個師団規模の予備があるとは考えにくく、対処不可能と考えざるを得ません。
    問題は、どこまで進むかでしょう。
    5週間で700km前進した実績があるんですよね、ソ連って。

    1
  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 日本関連

    防衛装備庁、日英が共同で進めていた新型空対空ミサイルの研究終了を発表
  2. 欧州関連

    トルコのBAYKAR、KızılelmaとAkinciによる編隊飛行を飛行を披露…
  3. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
  4. 米国関連

    米空軍の2023年調達コスト、F-35Aは1.06億ドル、F-15EXは1.01…
  5. 北米/南米関連

    カナダ海軍は最大12隻の新型潜水艦を調達したい、乗組員はどうするの?
PAGE TOP