マクロン大統領は「火薬の生産量を増やすため5億ユーロを投資する」「ロシアのウクライナ侵攻で世界は変わった。例え戦争が明日終わっても世界は変わらない」と述べ、フランスはベルジュラック工場で年間1,200トン分(砲弾50万分)の火薬生産を行う予定だ。
参考:France to spend $540 million on artillery propellant production
国防投資を出来るだけ自国の雇用に結びつける動きが増えてくるだろう
Eurencoはニトロセルロースを生産していたベルジュラック工場を2007年に閉鎖、そのためフランスの砲弾生産は同社のスウェーデン工場が供給する火薬に依存していたが、ウクライナ侵攻による砲弾ニーズが急増したためベルジュラック工場の再稼働を決定、マクロン大統領は工場を視察して「砲弾の生産ペースを加速させ供給量を確保したいなら、火薬を含む全ての生産プロセスをコントロールする必要があるとの結論に達した」「火薬の生産量を増やすため5億ユーロを投資する」と発表した。
L’usine d’Eurenco à Bergerac montre notre capacité à relocaliser et à accroître la production de ressources critiques pour la France et pour l’Europe, et à créer des emplois. Une économie de guerre concrète. pic.twitter.com/kd5NaBaqbS
— Emmanuel Macron (@EmmanuelMacron) April 11, 2024
フランスはベルジュラック工場で年間1,200トン分(砲弾50万分)の火薬生産を行う予定で、マクロン大統領は「ロシアのウクライナ侵攻で世界は変わった。ロシアでは大規模な再軍備が行われており、欧州全土でも国防支出と軍需品発注が増加し世界中で地政学が変化している。例え戦争が明日終わっても世界は変わらない」と述べ、現実的な安全保障のコストがどこまで高騰するのか予想がつかない。
米欧州軍司令官とNATO最高司令官を兼任するクリストファー・カボリ陸軍大将も「ロシアの戦力再編は予想を上回るスピードで行われおり、戦力規模は侵攻前よりも15%ほど大きくなっている」と下院軍事委員会の公聴会で証言しており、Bloombergも「各国の安全保障担当者らは冷戦時代並の国防支出が必要と考え始めている」「もし支出が4.0%台になると今後10年間で10兆ドル以上の追加投資が必要になる」と報じている。

出典:Минобороны России
もう世界の安全保障環境は後戻りできないほど相互信頼が崩壊してしまったため、仮にウクライナでの戦争が今直ぐ終結しても「状況が元に戻る」ということはなく、国防投資を出来るだけ自国の雇用に結びつける動き(許容できる経済性の範囲内)が増えてくるだろう。
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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Army Photo by Cpl. Geordan J. Tyquiengco, Operations Group, National Training Center
この分だと、綿花の生産にまで踏み込むのかな。
今は、多分、中共製が多いと思うのだけど。
火薬製造に綿花の何を使うのかと思ってググったら
綿を取った種子周辺に残るコットンリンターと呼ばれる部分を加工してニトロセルロースを製造する必要があるのか
そうなんですよね。
明治時代ぐらいから変わってなくて。
何とか化学合成で、ニトロセルロースに代わるものが出来ないものなのか?
ダブルベース火薬のニトログリセリン原材料、グリセリンは普通の油から大量に作れて余ってるぐらいだから、不足は無いのか?
綿花というバイオセルロースに経済性で勝てる合成物はないのですよ。
バイオディーゼルがいくら道義的に正しくても主流になれないのと同じ。
ロステックは去年から木材と亜麻パルプを原料にした火薬製造をはじめたとか
従来の火薬よりも決して劣っていないとのこと
そのコメントをどこまで信じて良いかは不明ですが将来的に火薬生産の6~7割に拡大させたいとまで言っているので実用に足る性能は出ていると見ていいかもしれません
要はセルロースどこから持ってくるかって話だから木材から抽出してもいいんでしょう
林業の維持と武器原料の国産化とカーボンゼロとで良い組み合わせかもしれない
リグニン、ヘミセルロースの分離もだがそっから更にセルロース分解まで含めて人類にとっては夢の技術やな
その辺の雑木林やら竹林やら藪が宝の山になるわけだから
皆でシロアリになろうや
木材と亜麻パルプ…
ただのレーヨンとリネンの混紡じゃないですか
数年前から国内での綿花生産の話はでてるんですが、徐々に進んでいるとは言うものの、中印米などの安価な輸入綿に量も価格も張り合えないので時給率1%が遠いのがなんともはや。
まあどうせ他の西側諸国でもファストファッションか火薬生産というクソみたいな2択で揉めると思うんですけどねグヘヘ(笑い事じゃない)
後は作った設備の維持などを企業任せにせず国が責任を持って管理出来るかどうかですね
今は良いけど将来政権が交代した時などにやっぱり維持するのやーめたなんて事にならない様にしなければいけません。
やっぱりやーめたと言えるくらい平和になってる方が嬉しいですけどね…
日本も、弾薬備蓄量の増加、掩体や待避壕の整備など、やる事が多いですね。
韓国の総選挙、野党が圧勝ですから、今後どうなるのか分からないですし。
日米台比の関係が、基軸になるのか注目したいと思います。
フランスの事だから、欧州内の需要が一巡してしまったら余剰生産を欧州以外の地域で無節操に廉売していい事にするんでしょうね
アメリカ離脱後のNATOのリーダーの地位を真剣に狙ってるのか
イギリスが表立って発言しないのが相変わらず不気味というか、ドイツがトーラスミサイルの件が発覚した後でさえ散々突き上げくらってたようにフランスも焚き付けられてるのか
まぁ何にせよ他国の戦争支援のために自国の産業構造まで変えるのは極端に見えますが
フランス革命の頃からのとりあえずやってみよう、ダメだったら変えればいいからとにかくやってみようという精神が深く息づいてる気がします。
火薬生産に関して、衣服を繊維にするリサイクル技術が進んでいるのでなんとかならねーかなーと思って調べたら、ナカノ株式会社のコラム『繊維リサイクルの歴史【006】軍需景気で活況を呈するが』を発見して、こんな事でも歴史は繰り返すんだなあと思ったり。
ロシアは戦争開始早々セルロースの出物を抑えたといわれてますね。
中国や中央アジアで主に生産されているのでロシアが入手しやすかったのも大きいけど
この結果西側は砲弾を供給する火薬の調達がそもそもうまくいっていない
なのでロシアに砲撃で勝てない、砲撃で勝てないから人海戦術となり、結果損耗率の大きな差になっている
ヨーロッパで一番綿花を生産している国はどこかと思えば、なんとギリシャ(世界11位)
世界10位はアルゼンチンなので
ギリシャとアルゼンチンはニトロセルロース工場を作ってバンバン輸出して経済を盛り上げましょう