フランスは防御力の強化に重点を置いたルクレールのアップグレードを進めているが、XLR規格へのアップグレードで車体前部に設けられた弾薬庫(18発分)が廃止されるため、ルクレールの砲弾携行量は40発から22発に減少するらしい。
参考:France’s Leclerc tank gets a facelift
参考:Для того, щоб адаптувати Leclerc XLR до сучасного поля бою вирішили вдвічі скоротити боєкомплект
ウクライナメディアは「車体前部の弾薬庫廃止は現代の戦場の現実に基づいたもので適切な決定だ」と評価している
フランス陸軍は主力戦車「ルクレール」のアップグレードを進めており、2029年までに保有する200輌をXLR規格にアップグレードする予定で、車体の側面に爆発反応装甲を、砲塔と車体の後部にワイヤーゲージ装甲が追加され、対耐地雷耐性を強化するため車体の底面も強化されており、新たに即席爆発装置を無力化する電波妨害装置も搭載するなど防御力の強化に力を入れている。
勿論、戦闘管理システム、レーザー警報システム、サーマルカメラといった部分も刷新され、7.62mm口径のRWSも追加される予定だが、ウクライナでの戦いを受けて仏メディアは「レオパルト2A8やM1A2/SEPv3に採用されているAPSや徘徊型弾薬からの保護システムの欠如」「空中目標との効果的な交戦を妨げているRWSの設計」などを問題視しており、さらに車体の前部に設けられた弾薬庫(18発分)が廃止されるためルクレールXLRの砲弾携行量は砲塔内の22発だけになるようだ。
操縦席の隣りに設置されている弾薬庫は乗組員にとってリスクが高いので「車体前部の弾薬庫廃止は乗組員の生存性を高めることに繋がる」という声や、一般的な西側製戦車は40発前後の砲弾を携行するため「22発では少なすぎる」という声もあり、この部分については評価が別れている。
各国で研究が進められている次期主力戦車は「防御力」と「視界外戦闘」を重視する傾向が強く、戦場認識力を拡張するための小型UAVや徘徊型弾薬の搭載が示唆されているが、現行と同じレベルの砲弾を携行するのかは不明で、無人機で常時監視される戦場に留まれる時間が減少するなら「弾薬庫を削減して別の能力にスペースを再配分する」という考え方は理に叶っているが、まだ答えを出すのは時期尚早だろう。
因みにロシアと戦争中のウクライナメディアは「車体前部の弾薬庫廃止は現代の戦場の現実に基づいたもので適切な決定だ」と評価しているのが興味深い。
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※アイキャッチ画像の出典:Nexter_KNDS LECLERC XLR
22発とは驚きだな。
榴弾と徹甲弾の比率はどうなるのかね。
10式戦車も(公表はされていませんが)22発という説がありますね。
別説では90式同様に40発だとか。
そんな比率なんて状況によって変えるべき物だから分かる訳がない。MBTが全く居ないような任務で徹甲弾の割合多くしますとかあり得ない。EBRC ジャガーとか榴弾砲とかの支援があるとか戦場に送る戦車に何を求めるかで柔軟に対応するのが正解だろう、普通だと徹甲弾が1/3のように思うが、湾岸戦争時の米軍だと徹甲弾の方が圧倒的に多かったケースもあるし。
使用する弾薬がM1と似たような感じで半分に近いレベルにまで減らしてガチ戦場に向かうなら米軍みたいに4種の弾薬を代替する多目的砲弾(Advanced Multi-Purpose)を作るか導入してAPFSDSと2種類するんじゃないかなと思うけど割合は任務次第。対歩兵とかメインなら高価な多目的弾やめて現状のエアバースト可能なプログラマブル弾とキャニスター弾の割合増やすとかもあるだろう。
ドローンやミサイルの発達があるので戦車が万能に対応する必要も低下した結果の減少もあるだろうし、戦車の防御が上がってドローンやトップアタックミサイルで撃破しにくくなってAPFSDSの活躍が期待されるなら対戦車戦闘に割り振った装填をするだろう。
流石に少ない気もしますが
何を重視するかなんでしょうね
ほかを切り捨てても防御力を上げるか
我が国の10式みたいに軽くして機動性を上げるか
戦場に留まれる時間が減りつつあるのだから理にかなってるんだろうね。
戦車砲以外の防御用武器を増やさないと生存率さがりそうだし。
見出しを見て、多分そうなんだろうなって思った事全てが書かれてて納得感。
これからの砲塔は少なめの弾薬をリボルバー拳銃のスピードローダーみたいに、
前線後方の支援車両とランデブーして『ガチャコン!』って感じでスピード補給。
必要な装備パターンも数分で換装可能になったりするんですかね?
主力戦車の口径では知らないけれどリボルバー自体はフランスは昔やってる。
対装甲車両だけなら22発でなんとかなるだろうけれど、積極的に歩兵の近接火力支援するのは難しくなりそうな気がしますね。
毎回IFVに役割分担できるというものでもないだろうし、戦車の防護力が欲しいという状況も多いでしょうし。
砲弾数の少なさと榴弾との住み分けを考えると、任務別で別車両を配属とか。
兵站面への負担を考えて→戦車と同じ車体
砲弾数及び防御面の確保→固定砲塔
配備は例えば戦車連隊付けで必要に応じで中隊とかへ派遣とか、M10の真逆車両ですね。
固定砲塔という時点で使用できる戦場に制限を受けますが・・・
実際のところ歩兵支援にウクライナはそれなりに主力戦車をつかってかつ榴弾を気前よく連射しているのをReddit等で見るので、そういう用途をIFVで代替できるかというと装甲も口径も足りないので難しいのでは?AMXの例のアレは火力はともかく装甲が…
榴弾砲の架台に給弾庫載せて常に牽引してればいいんだろう?
表面的なものしか知らないけどウクライナの戦車が所持砲弾全部撃ってるのかというと疑問だから、乗員の生存性重視は妥当な気がする
宇・露とも相手勢力圏内では榴弾砲や攻撃ヘリ(将来的にはUAV)から射程外から一方的に殴られて無力化されてるし
戦車とIFVの比率はどのくらいでしょう。
戦車部隊ではなく機械化歩兵部隊の編成だったら、
戦車:IFV=1:2くらいになるのかな。
であれば、足りない榴弾をIFVに依存するのも良いかも。
考えてみると、ロシアのBMP-3は、
そうした任務に向いているような気がします。
今回のウクライナでの戦役では、主力戦車が何だか
”歩兵戦車”に本卦帰りしているような気もします。
現場レベルでは前方の弾薬庫には弾を置がないようにとかもしてるのかもしれませんね。なんにせよロシアもウクライナも弾薬固有爆には悩まされ続けているので、そのウクライナがこのように評するということは前方の弾薬の誘爆はやはりそれなりの被害を出したのでしょう
たしかに戦争初期は誘爆したと思われる写真結構見たし、この改修の意味は弾薬がいらないという事ではなくて、
現場レベルのフィードバックの結果、弾薬誘爆が相当ヤバいから携行弾数削ってでも前面に弾薬置きたくないという事なのかも
単純にウクライナ戦車の1戦闘あたりの平均使用弾数を元に減らしたという可能性もあるけど
廃止されて浮いた元『車体前部の弾薬庫』のスペース、何に使っているのだろう?
新設する『即席爆発装置を無力化する電波妨害装置』の本体部で、上記スペースの一部を使用するかもだけど、それだけでは埋まらないだろうし。
冷蔵庫とか給湯器がマジメに必要かも。
イギリスは給湯器を装甲車両に設置してるらしいし。
オーストラリアのブッシュマスターは冷水機がある。
第四世代戦車は10式のように軽量化の方にはいかずに、対対戦車ミサイル、対ドローン、ドローン運用能力など重量がどんどんかさむ方向なのかなぁ
陸上戦艦みたいだ
ルクレールの目標が万の単位の戦車/装甲車で押し寄せるソ連相手に質の優位で戦うことで、ほかの西側も同様なので40発強の砲弾を備えていたけれども、それはもはや現実的ではないので妥当では。
22っていうとALSのマガジン(ブローオフパネル対応弾薬庫)以外全部除去してる感じですかね。車体部のドライバー側弾薬庫の被弾時リスクについては各国で以前から指摘されてきた訳ですが、本質的にはMBTの車体正面(とくに下部)への被弾率をどの程度と見積もるかという問題でしょう。
現行の西側第3世代MBTも当初は遠距離戦志向が強く、遠距離砲戦やATMで狙いにくい場所(ようは車体正面、とくに下の方)は装甲バッサリ削って重量節約しようという事をみんなやっていたんですよね。過去形みたいに言いましたが今も大半の戦車はそうです。それが対テロ戦争で至近距離での歩兵掃討をやるようになってRPGやIEDで弱点を狙われるようになってしまい、さらにウクライナでは地理的都合から塹壕掃討や森林での遭遇戦を超至近距離で戦車がやっているんですよね。そういう活動は旧来の定義でいう重戦車や歩兵戦車が担うべき事で、(英陸軍式呼称でいうところの)歩兵戦車と巡航戦車を統合した主力戦車で歩兵戦車的な任務に準拠した改造を行うと、どこかの時点で帯に短し襷に長しになってしまうんでしょうね。
例えばイラク戦争以降のM1は改造の果に歩兵戦車化していましたし、10式は重量制限を満たすために要件が許す範囲で極限まで防御面積を削ったことで巡航戦車っぽくなっています。戦車=主力戦車1種類という図式もそろそろ見直す時期なのかもしれないですよね。
攻防走を全て満たせるようになって主力戦車を名乗るようになったので、いずれかを満たせず取捨選択するようになるなら復古的な名称もいいかもせれませんね。
この弾数では1回戦で補給が必要になるのでは?
○○の戦いレベルの戦闘が出来ずに、敵を見過ごすことになるだろうな。
前部に弾薬庫と聞いてなぜそんな設計になった??と思いましたが、考えようによっては一番装甲が厚い部分に搭載しようという事なのでしょうか?
なぜこのような設計になったか興味があります。
メルカバの前部にエンジンというのはまだ分かりやすいのですが・・・。
APDS化以後の戦車徹甲弾の被害統計では地上2m以上に着弾の8割が集中してます。2m以下、つまり車体側が戦車砲弾を受ける事はそうあることではない。ロシア戦車があのALSを採用したのはその結果であり、西側MBTが車体側にブローオフ構造を完備もせずに弾薬携行するのもそのためです。
ここが対戦車地雷で誘爆?というのも試験済みです。無論、上向きHEAT地雷には付加装甲無しでは基本無力ですがね。
でマルチヒット全周囲防護化の残存性的にそれを廃止という事ですが一箇所にまとめてではなくあっちこっちに即応弾を収納してる場合もあります。M1など手動装填式の場合はそういう事になる。これも実質廃止済みなのではないか。
ただルクレールはALS付きです。車体側弾薬は即応弾ではなく予備弾です。であるなら弾薬数減少の代替手段はいくらでもあるとおもいます。
>一箇所にまとめてではなくあっちこっちに即応弾を収納してる場合もあります。M1など手動装填式の場合はそういう事になる。
手動装填式でも随分前から即応弾は砲塔後部に集中配置です。
M1は初期型こそ砲塔後部の弾庫とは別に戦闘室内に即応弾ラックを設けてましたが、40年近く前に登場のM1A1から即応弾ラックは廃止になりました。
レオパルト2は初めから砲塔後部の弾庫のみです。
>レオパルト2は初めから砲塔後部の弾庫のみです
一度レオ2の砲塔がどんな物なのか調べて話をすべきだと思う。それでも40発位の砲弾搭載出来ると言うなら世界的にも珍しい前後2列に弾薬装填してないと説明が付かない。
普通に正面から見て右側に砲弾積んでいるはずだし、最新型ですら安全対策したとは言え砲弾が数発減っただけ。もちろん車体下部や正面装甲の改善、誘爆しにくい装薬の開発とかしてリスク低減しているけど完全では無いし。
nachteuleさん、上の私のレスはM1もレオパルト2も「即応弾」について書いたものです。
言葉足らずだったかもしれませんが、その前提で読んで頂きたく思います。
端的に言えば、東西冷戦下の想定戦術上、被弾率が低いと判断された纏まった空きスペースが操縦席横(廃止された通信士席)にあったということかと。
レオパルド2もルクレールもアリエテも90式も、第2世代以降西側MBTは大体その位置に予備弾薬庫を配置しています。
余談ですが、M1エイブラムスの場合は砲塔バスルの即応弾薬庫の他戦闘室後部に予備弾薬庫を配置しており、どちらも耐圧防火壁とブローオフパネル付で、乗員区画は砲弾誘曝から完全に保護されています。
一個小隊4両だと88発あるし、残弾はC4Iで連隊本部等で把握するだろうから戦況をみて補給のために戦車を下がらせることは出来るのでは。車体弾庫に砲弾があっても自動装填装置の砲弾を使い切ったら砲弾を移すために後退しなければならないし。
湾岸戦争の頃からのT72の破壊のされ方を見ていると。
目立つのが、砲塔が吹っ飛ぶ”びっくり箱”と、砲塔のハッチから火柱を噴き上げる形ですね。
いずれも搭載する装薬が関係していますよね。誘爆するか、燃焼するかとの差でしょう。
今の装薬は、燃焼式薬莢なので、ほとんど丸裸状態ですよね。
素人は思うのですが、金属薬莢を復活させたらどうでしょうか。少々重いですが。
元来、薬莢式と薬嚢式の境は127mmと言われていました。(艦載砲の場合ですが。)
金属薬莢を使えば、少なくも火柱は防げるでしょう。全部同時に燃焼は無いと思います。
昔のティーガーの戦記を読むと、固定されずにいた装弾が、カルダンシャフトと接触していて
摩擦熱で発火した話が載っていました、発火は1発に留まり、乗員は無事だったとか。
誘爆は、無煙火薬の場合、衝撃波によるものですよね。
ウクライナ戦争では榴弾の着弾/至近弾によるものが報告されていますが、
WW2の頃の比べて、野砲が大口径化(6インチ級)して炸薬の量が増えて、
衝撃波が強くなったことと、先述したように装薬が丸裸状態なので、
衝撃波が伝播しやすくなった為と想像します。
装薬が金属薬莢に収まっていれば、多少は伝播を阻害するのではと思います。
もっとも、装甲を貫通され車内で炸裂されたら、
これは装薬どころでなく炸薬も誘爆するでしょうから万事休すでしょうが。
金属薬莢にしたら、一体弾薬ならば装填手が一人で素早く扱える限界の25kgを超えてしまうぞ
現代の120mm級戦車砲弾が一体弾薬なのは、燃焼式薬莢で薬莢の重量の大半を削減できたからこそだ
金属薬莢の分離弾薬にすると、今度は浸徹体の長さが制限されかねないし
自動装填装置を採用するとしても、それへの再装填時の負担や人手は増加するでしょうね
120×570mmNATO弾は、APFSDS弾で19.8kgだそうです。
確かに軽いですね。105 mm APFSDS 弾は18kgだそうです。
比較して、旧陸軍の三式十二糎高射砲は40.1kg、
旧海軍の十年式十二糎高角砲は33,5kg、
同じく八九式十二糎七高角砲は34.32kgだそうです。
簡単に比較するのは良いかはわかりませんが、旧軍の12cm級の
高射砲/高角砲はいずれも毎分10発以上の実用発射速度があります。
装填補助装置があってのことですが。
そうであれば、薬莢を使うか否かは、選択かなと素人は思います。
高射砲や艦砲の類は、戦車よりもずっとスペースが広くて、かつ装填手も複数だったりしますよ
その上で、日本海軍は長10サンチ高角砲で口径を小さく弾薬を軽くして発射速度を向上させました
狭くて揺れる車内で、全長1m程度の重たい弾薬を素早く装填しなければならない戦車の方が、より過酷な環境かと思われますが
固定式(一体式)装弾の前提で考えると。
金属薬莢にするか、それとも現状のままで
防火区画・他に頼るのか、は選択だと思います。
金属薬莢式の場合、重さから、装填補助は必要でしょう。
旧軍のものは、装弾トレイに載せるのが人力だったようです。
その後、砲尾に押し込むのは機力であったようです。
重い装弾を砲尾まで人力で押し込んだりはなかったようです。
装弾トレイの位置にもよりますが、装填動作としては
比較的に楽(?)なものであったのかと想像します。
継戦能力をトレードオフしてでも軽量化を推し進めるという観点では日本は先進的な考え方を取り入れられてたのかもしれんな
旧海軍の駆逐艦にあった魚雷の自発装填装置要るのか要らないのか問題に通じるジレンマ