欧州関連

修理に最低6ヶ月? 英空母プリンス・オブ・ウェールズは水漏れで出港不能

英海軍のクイーン・エリザベス級空母2番艦「プリンス・オブ・ウェールズ(R09)」は当分の間、全く使い物にならないことが判明した。

参考:Royal Navy’s new £3.1billion aircraft carrier ‘stranded for six months due to flood’
参考:We aren’t sailing! Royal Navy’s newest aircraft carrier HMS Prince of Wales is stranded for six months after £3bn warship flooded for second time

本当に海軍の艦艇にとって水漏れは日常的に発生するものなのか?

今年10月、ポーツマス海軍基地に停泊中のクイーン・エリザベス級空母2番艦「プリンス・オブ・ウェールズ(基準排水量45,000トン)」で海水が機関室に流れ込む事故が発生、ネットに公開された動画や乗組員の証言からプリンス・オブ・ウェールズの機関室は少なくとも1m程度の深さまで海水で満たされているのではないかと推測されていたが、英海軍は詳しい被害状況について詳細を発表しなかったので正確な被害状況は謎のままだった。

しかし複数の現地メディアが最近、プリンス・オブ・ウェールズは少なくとも2021年半ばまでポーツマス海軍基地を離れることが出来ないと報じて注目を集めている。

出典:Royal Navy / OGL v1.0 クイーン・エリザベス級空母2番艦「プリンス・オブ・ウェールズ(R09)」

現地メディアの話を総合すると今年10月の事故は配管が破裂して数千ガロン(1,000ガロン=3,785リットル)の海水が機関室に流れ込み、電気系統の設備を24時間以上も水浸しにしたらしい。結局、機関室に流れ込んだ海水を排出して損傷具合を確認した英海軍はプリンス・オブ・ウェールズにポーツマス海軍基地から離れることを禁止したと現地メディアは報じており、同艦の修理には数百万ドルの費用と6ヶ月以上の時間が必要らしいので来年予定されていた米国派遣(F-35B運用適合テスト)に間に合わないかもしれない。

補足:F-35B運用適合テストは米海兵隊のF-35Bを使用して行われるため米国の東海岸まで出向く必要があり、数年前から計画して関係当局との調整が行われているらしい。要するに予定されている運用適合テストまでにプリンス・オブ・ウェールズの修理が完了して米東海岸まで移動できなければ、再びスケジュールを調整し直してF-35B運用適合テストを設定しなければならずプリンス・オブ・ウェールズの初期作戦能力の宣言が遅れるという意味。今回現地メディアに情報を提供した人物の話によれば「間に合わない」と言っている。

因みにプリンス・オブ・ウェールズは今年5月にも居住区画の天井から滝のように水が流れ出して浸水しており配管設計自体に何らかの問題や設計ミスがあるのではないかと疑われているが、1番艦「クイーン・エリザベス(R08)」も艦内が3度も水浸しになっているため配管の設計というよりもクイーン・エリザベス級空母の設計自体に欠陥があるかもしれない。

※今年5月にプリンス・オブ・ウェールズの居住区画で水漏れが発生した際の動画

1番艦クイーン・エリザベスは2017年12月にスクリューのシャフトからの毎時200リットルの海水が艦内が流れ込み、2019年1月にはスプリンクラーシステムの誤作動により艦載機を収納する格納庫が水浸しになった。さらに2019年6月には高圧の海水管が破裂して約66,000ガロン(約250トン)の海水が2つの区画に流れ込み、この影響で浸水した区画にあった階段や隔壁は損傷して幾つかのデッキプレートを破壊、3人の乗組員が溺死の危機に晒される事故が発生しており、単なる偶然や配管設計のミスで片付けるには無理がある。

1番艦クイーン・エリザベスは来年に西太平洋へ派遣される予定だが、本当に大丈夫なのだろうか?

空母クイーン・エリザベスで水漏れ事故が発生した時に艦長を務めていたスティーブ・ムーアハウス大佐曰く「海軍の艦艇にとって水漏れは日常的に発生するものなので問題ない」と語っていたが、乗組員が溺死の危機に晒されたり、電気系統が海水に浸かって6ヶ月以上の修理が必要になるレベルの水漏れが日常的に発生しているのは英海軍だけの話だろう。

 

※アイキャッチ画像の出典:Royal Navy / OGL v1.0 クイーン・エリザベス級空母

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コメント

    • 匿名
    • 2020年 12月 08日

    派遣されたクイーンエリザベスが漏水したら、状況的に日本でドッグ入りという見込みか
    見物人としては期待なんだが

    14
      • 匿名
      • 2020年 12月 08日

      期待したいですねぇ
      可能性としては、米海軍・横須賀海軍施設の第6号ドック(現状、日本国内で唯一日常的に空母の整備が可能なドック)が最有力候補だと思います

      4
        • 匿名
        • 2020年 12月 08日

        入るだけなら呉のJMUの第四ドックでもできるぞ
        米軍施設も日本の施設も日本国内にはイギリス艦船を整備するノウハウなんてどこにもないだろうしな

        2
      • 匿名
      • 2020年 12月 08日

      日本には修理に来るんだよ、多分w

      英国の艦艇受注残って去年の年末のデータだけどB A E S y s t e m s G o v a n 6隻、B a b c o c k ( R o s y t h ) 5隻で欧州全体で300隻の内、隻数ベースで1/30。上位はほとんどフランス。大型艦建造ってほぼなくなってる。
      商船でもクルーズ船以外ほぼないのでノウハウの逸失は大きいんじゃないかな。

      2
      • 匿名
      • 2020年 12月 08日

      初見の日本人に見てもらうとあれー、ここおかしいんじゃん?と、あっさり不具合箇所を見つけてくれないかなー。
      と、期待してるかもね。

      3
        • 匿名
        • 2020年 12月 08日

        ならいいけど、根本的に欠陥だの知りたくない事実もあったりして
        まあ、戦前から英国をお手本に軍艦を造ってきた我が国が、令和に英国艦を整備できるならば、感慨深いね

        16
    • 匿名
    • 2020年 12月 08日

    適合テストって個艦ごとにアメリカでやらないといけないのか。
    てっきり訓練を兼ねて1回アメリカでテストして、以降は1隻目の経験と納品されたF-35Bで本国で適合テストするものだと思ってた。

    3
    • 匿名
    • 2020年 12月 08日

    日本にたどり着けるのか心配になってくる

    11
    • 匿名
    • 2020年 12月 08日

    ほんとおもらしが多いな。大型艦艇の設計やプロダクトマネジメント出来る人材が足りてないんじゃないだろうか?

    5
    • 匿名
    • 2020年 12月 08日

    ブロック工法の繋ぎ目あたりに何かしらミスを抱えてそうだな
    こんなので極東まで来れるんだろうか

    16
      • 匿名
      • 2020年 12月 08日

      バルチック艦隊もこれたし、三笠なんかも回航してきたわけだし、出来て当たり前のはずなんですがねえ。
      やっぱり、技術伝承というのは大事だと思う所存です。

      13
    • 匿名
    • 2020年 12月 08日

    英国の最新鋭空母は、いまの英国そのものを象徴している。
    日本には英国にご執心の方々が多いが、自衛隊は米軍だけと組んでいればいいと思う。
    英国を”招待”するのは、バランスを取るためなのだろう。

    4
      • 匿名
      • 2020年 12月 08日

      ご執心っつーか英国にはもうちょっと頑張ってもらわんと困るのよ。

      24
      • 匿名
      • 2020年 12月 08日

      そんなこと言わずに応援しましょうよ。
      頑張ってるんだから。
      英国の空母が太平洋に来るのは日本のためにもなるし。

      19
    • にわかミリオタ
    • 2020年 12月 08日

    極東までこれるのかなぁ?

    2
    • 匿名
    • 2020年 12月 08日

    お漏らしした女王陛下が涙目になりながら極東の港に飛び込んでくる姿に萌える

    7
      • 匿名
      • 2020年 12月 08日

      それに比べて王子殿下のお漏らしのゲンナリ感(不敬

      7
        • 匿名
        • 2020年 12月 08日

        そこは男の娘に変換してだな…

        1
        • 匿名
        • 2020年 12月 08日

        いや、アズールレーンでも艦これでもプリンス・オブ・ウェールズは美少女だったじゃん?男の名前がついててもへーきへーき。

        2
    • 匿名
    • 2020年 12月 08日

    こういう意味では地道に大型艦を造って着実に空母化している海自は安心なのかな
    設計製造運用とブラッシュアップしながら本格的空母へ無理なく移行できそうな気がする
    多分

    9
    • 匿名
    • 2020年 12月 08日

    コストダウンのために色々と犠牲にしたせいで
    かえってコストが高くついてるみたいだなあ

    1
    • 匿名
    • 2020年 12月 08日

    イーグルやアークロイヤルより大きい艦を60年ぶりに造ると
    こうなっちゃうかー(当時の人材は粗方墓の中)

    7
    • スエスエ
    • 2020年 12月 08日

    日本でオーバーホールと修理だなw

    3
    • 匿名
    • 2020年 12月 08日

    在日米軍を頼るって修理のことかな?

      • 匿名
      • 2020年 12月 08日

      それなら大西洋を曳航して、東海岸で修理、そのまま適合試験するでしょう。

      2
    • 匿名
    • 2020年 12月 08日

    見栄張って各分野の能力に見合わない大型艦を造ったツケが、回ってきたんだな。
    英国はむしろ好きなんだが、昔日の栄光に夢見すぎでは?

      • 匿名
      • 2020年 12月 08日

      ちげぇよ中国の工作だろ
      そのうち日本のいずもも大韓民国の独島もお漏らしする

      3
    • 匿名
    • 2020年 12月 09日

    イギリスは変なところで不思議なミスやらかす伝統があるから。
    作業工程にダブルチェックがないとか、退社時間になったから引き継ぎなしで帰ったとか、実にしょーもない原因に違いない。

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