欧州関連

海外依存から脱却するトルコ、念願の国産ターボシャフトエンジン量産を開始

トルコのムスタファ・ヴァランク産業技術大臣は5日、念願だったヘリコプター用ターボシャフトエンジンの国産化が完了して量産に取り掛かると発表した。

参考:Turkish-made helicopter engine to cut import bill by $60M

たった3年で開発経験がないターボシャフトエンジンの国産化に成功したトルコの実力

トルコは需要が高い6トンクラスの多用途国産ヘリ「T625」や国産攻撃ヘリ「T129 ATAK」に米企業のターボシャフトエンジンを採用していたのだが、ロシア製防空システムを導入してことで米国から輸入していた防衛装備品の調達が困難になり両機種の製造が事実上ストップしていた。

出典:Anna Zvereva / CC BY-SA 2.0 多用途ヘリ「T625」

特にT625はトルコ軍採用が決定済みでトルコの同盟国にも提案中、T129はパキスタンから30機を受注済みでフィリピンが同機を興味を示してたため早急にエンジン供給問題を解消しなければ折角の受注が全てキャンセルになってしまう状況なのだが、トルコが望みを託したのはターボシャフトエンジンの国産化だ。

幸いにもターボシャフトエンジン「CTS800-4A(1,360馬力)」を国産エンジンに置き換えるプロジェクトが2017年にスタートしていたため開発を前倒して完成を急ぐことになったのだが、トルコはターボシャフトエンジンの開発経験がなく設計に手間取るだろうと言われていたのに、トルコは予想を裏切り国産ターボシャフトエンジン「TS1400(1,400馬力)」の全開発工程を3年で完了させることに成功、同エンジンの量産を開始するとヴァランク産業技術大臣が発表して注目を集めている。

出典:TUSAS Engine Industries Inc

既に多用途国産ヘリ「T625」への国産エンジン統合やテストは完了済みで、攻撃ヘリ「T129」への統合も開始されているだろう。

そのためパキスタンはトルコに発注していた30機の攻撃ヘリ「T129」の調達(約15億ドル相当)が難しくなったことを受けて中国製攻撃ヘリ「Z-10」に興味を示していたが、今回のエンジン国産化成功で何とか契約を失わずに済むかもしれない。

さらにフィリピンも攻撃ヘリ「T129」の調達(購入交渉を開始する了解覚書調印まで話が進んでいた)が難しくなった後、米国からAH-1ZとAH-64Eの提案を受けたが高価過ぎて手が出せず廉価版S-70iの武装型を提案されているが結論はまだ出ていないため、こちらの契約もギリギリ取り戻すことが出来る可能性を秘めている。

出典:public domain F136

ヴァランク産業技術大臣は国産ターボシャフトエンジン「TS1400」はトルコ・エンジン産業(TEI)のエンジニアリングチームによって開発されたと説明しているが、TEIは米企業GEのターボファンエンジン「F110(F-16が採用しているもの)」やターボシャフトエンジン「T700(AH-64やSH-60等が採用しているもの)」をライセンス生産した経験を持ち、F-35向けに設計されたターボファンエンジン「F136(コスト削減のため代替エンジンの開発は中止)」の開発に参加するなど高い技術力を備えており、このような経験を生かして開発経験のない国産ターボシャフトエンジンを完成したのだろう。

今回のTS1400開発成功を受けてヴァランク産業技術大臣は「私達の新たなサクセスストーリーの出発点となる」と語っており、トルコ産業の実力は侮れない成長力を見せていると言っても過言ではない。

 

※アイキャッチ画像の出典:MilborneOne / CC BY-SA 4.0 攻撃ヘリ「T129 ATAK」

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コメント

    • 匿名
    • 2020年 12月 07日

    技術が増えるよ!やったねエルちゃん!

    9
      • 33-4
      • 2020年 12月 08日

      おい、待てやめろ。

      2
    • にわかミリオタ
    • 2020年 12月 07日

    いや、トルコすごいなぁ。やる気があって羨ましい。
    それはそうと経済は大丈夫なんだろうか。

    18
      • 匿名
      • 2020年 12月 07日

      意外に頑張ってる
      トルコの7-9月GDP、前年同期比6.7%増-G20で最も高成長
      リンク

      13
        • にわかミリオタ
        • 2020年 12月 07日

        へぇー!知らなかった

        7
    • 匿名
    • 2020年 12月 07日

    何だかんだトルコは国産兵器は上手くやってるな
    あの紛争やギリシャとの問題で死の商人なイメージが強くなってるけど

    13
    • 匿名
    • 2020年 12月 07日

    安全保障について、積極的に関与するトルコが少しうらやましく思う。
    日本は、根っこの部分でどこか他人任せなところがあるから、不安に感じる。

    17
    • 匿名
    • 2020年 12月 07日

    OH-1とか言う産廃を作った日本と比較される話だな
    陸自の攻撃ヘリは失策で壊滅状態なんだし、トルコからT129を輸入するのもアリだろう
    コスパも非常に優れているし
    それに、OH-1に限らず日本製兵器って高い癖に性能も低いクズがほとんどなので、これからは艦艇以外基本輸入する方向にした方が税金も無駄遣いせずに済む

    4
      • 匿名
      • 2020年 12月 08日

      釣られないぞ

      10
        • 匿名
        • 2020年 12月 09日

        5chで相手にされなくなったオッペケだよwわかってやれw

      • 匿名
      • 2020年 12月 08日

      トルコはアルタイ戦車や214型潜水艦もしっかり作っているから、とても影響を受けそうな国があるとか。
      化学関係はあの地域から発展したからそれなりの自力はもっている。
      さすがに戦闘機用のエンジンは作れないだろうが、もしかすればjK-FXよりT-FXのほうが先に完成する可能性もある。

      • 33-4
      • 2020年 12月 08日

      M1Abrams(輸出価格10億以上)「それな」
      LeopardⅡ(10億以上)「お、そうだな」
      ルクレール(以下略)「そうだよ」
      ↑※重量50t以上
      10式(調達価格10億)「解せぬ」
      ↑※基本重量44t

      5
    • 匿名
    • 2020年 12月 07日

    兵器輸出を経済の柱の一つにしようてのは従前からの政策でしょう。高評価の攻撃型UAVはその端緒になるのかもしれません。
    投資の甲斐あってか技術レベルは相当に上がっていると見受けられます。少なくとも、実績ある製品を参考にしつつも独自開発に挑戦し成功させるだけの基盤はあるのかと。

    6
    • 匿名
    • 2020年 12月 07日

    押せ押せエルドアンやな。ガンガン兵器を作って国力アップや!みたいな。

    5
    • 匿名
    • 2020年 12月 07日

    T625なんか、自国で800機、輸出で300機なんだから、国費を自国内に回すどころか利益が出るかも。

    4
      • 匿名
      • 2020年 12月 07日

      あれってそんなに売れてるのかすげー…

      陸自のヘリ計画もここまでとは言わずとも、うまく行ってほしいですね

      2
    • 匿名
    • 2020年 12月 07日

    なんと言っていいのやら。
    月並みに凄いねとかさすがだねとしか言葉が出ない。
    いやほんと三年で作り上げるとは。
    いろいろとあるが天晴れですね。
    これが地域の安定に向かいそうにないところが複雑です。

    15
    • 匿名
    • 2020年 12月 07日

    OH-1がグダグダの我が国とはえらい違い。

    13
      • 匿名
      • 2020年 12月 09日

      5chで相手にされなくなったオッペケが必死過ぎて草

    • 匿名
    • 2020年 12月 07日

    国産化っても、他国の特許とかを無視した事実上の丸コピーだとは思うがね。今まで、日英ほか他国には輸出をも含めた全権利の譲渡しか求めてこなかったし
    無論、丸コピーするにも技術力は必要だが、「トルコ国産品」を入手分解してみれば、いくらでも特許問題で訴えられるかもしれない。
    まあ、エンジンやらカナダから輸出を差し止められた無人機センサーとかが、特許の切れた枯れた技術のみ(若しくは国際特許を取っていないか)で構成されていれば別だけれども
    あとは、単純に信頼性の問題か。

    9
      • 匿名
      • 2020年 12月 07日

      まぁ、コピーなんでしょうね。3年で開発したと言っていますが、耐久試験はしたのでしょうか?タービンブーレードは高い冶金技術が必要なんで、生産できる国は限られています。中国はターボファンエンジンを国産化していますが、耐久性や出力が不十分らしくロシア製からの輸入に頼っています。恐らく冶金技術が低いからでしょう。この分野は韓国も遅れています。市販車用のターボチャージャーを生産している会社も世界中で数えるほどしかありませんし。ちなみに三菱もIHIも市販車用のタービンを生産していますし、ターボシャフトエンジンの開発生産も行っています。

      10
        • 匿名
        • 2020年 12月 09日

        中国の場合冶金技術もさることながらタービンシャフトの製造での加工技術も障壁になっているでしょう
        トルコに話を戻すと、ターボシャフトエンジンの場合前段の燃焼部と出力部に軸が別れてターボジェットやターボファン、ターボプロップと比べて燃焼部でのみ精度が求められる分安易ではあるが精度(冶金技術も)はエンジンの耐久性に直結するんでまぁお察しレベルだとは思う
        このあたりの基礎工業力は数十年レベルでの投資の蓄積なしには上がらない

    • 匿名
    • 2020年 12月 07日

    需要があっても無くても将来を見越して、国産化を最後まで遂行する意思と覚悟、技術開発に臨めるだけの基礎技術の裏付け。
    良くも悪くも時の政治・権力の強さですね。
    しかしほんとすごくうらやましい開発速度

    5
      • 匿名
      • 2020年 12月 09日

      偉いよトルコは。アメリカに飼い慣らされて独自の防衛を打ち出せないこっちとは大違い
      これが自立した国家のあるべき姿、あえて困難に取り組む自主性

    • 匿名
    • 2020年 12月 07日

    OH-1のグダグダというが、初期の不具合修正は終わって安定してるだろ。過去の話。当時から、偵察ヘリって高確率で撃墜されるからドローンという選択肢があったり、攻撃型は官製談合と言われたとか、別件で落選したヨーロッパメーカに訴えられたりしたけど。データリンクも終わって性能はすごいことになってる。

    7
      • 匿名
      • 2020年 12月 08日

      グダグダでしょう。今現在も飛べるのは、試験用にエンジン換装した一機のみで残りは全部飛行停止のままで、今年度予定していたエンジン試験はやらないことになり、復帰できるは、いつになることやら。換装するとしても一機一億以上かかるようです。
      このまま用途廃止じゃないでしょうか?

      2
    • 匿名
    • 2020年 12月 08日

    不具合だらけだったり、コストや信頼性に問題があったとしても、とりあえず完成したことにしただけでは…

    • 匿名
    • 2020年 12月 08日

    最近何故かトルコとロシア仲が良いよな?
    まさか…

    • 匿名
    • 2020年 12月 08日

    良く完成したなぁ。記事によると少なくとも市場に出すんだから素直にすごいと思う。
    1,400馬力で高度対応も十分というのは驚き。
    あとは量産で安定するかって言うのが最大の課題かな。どこのタービン使ってるのかはすごく気になるところ。

    2
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