ベルリンを訪問したウクライナのシュミハリ首相はショルツ首相と会談、KMWからレオパルト2A7を直接購入することを許可して欲しいと要請したが「同意を得られなかった」と報じられている。
参考:Scholz lehnt offenbar Bitte der Ukraine um mehr schwere Waffen ab
参考:Scholz verteidigt deutsche Rolle bei Waffenlieferungen in Ukraine
参考:Шольц отказался давать танки Украине – СМИ
西側製戦車のウクライナ供給をブロックしている正体は「ショルツ首相」ではなく「西側諸国全体の総意」なのだろう
ロシア軍がキーウ攻略に失敗したことを受けて西側諸国は重装備の提供に踏み切ったが、独KMWも4月8日に「100輌のレオパルト2A7を36ヶ月以内に引き渡すことでウクライナと合意した。契約額は15.5億ユーロで政府の承認が必要になる」と明かして注目を集めていたが、この合意にショルツ政権は承認を与えることはなく旧ソ連製のT-72をRingtausch=装備交換で供給する方式に拘っている。

出典:Ministerstwo Obrony Narodowej
そこでウクライナのシュミハリ首相は4日、ベルリンを訪問してショルツ首相と会談した際「KMWからレオパルト2A7を直接購入することを許可して欲しい」と改めて要請したが同意を与えなかったと報じられており、ウクライナへの武器支援におけるドイツの役割は「防空システムと砲兵装備の供給だ」と説明したらしい。
但し、ショルツ首相は「武器支援の内容は米国と緊密に調整が行われており、常に状況はダイナミックに変化している」とも言及、ウクライナに西側製の多連装ロケットシステムを提供する際も米国、英国、ドイツの3ヶ国がほぼ同タイミングでHIMARやMLRSの提供を発表しているため、もはやレオパルト2=西側製戦車のウクライナ供給をブロックしている正体は「ショルツ首相」ではなく「西側諸国全体の総意」なのだろう。

出典:Public Domain
因みにシュミハリ首相は米国にもM1エイブラムスの提供を要請しているが前向きな反応は観測されておらず、もし西側製戦車の提供が実現する場合「多連装ロケットシステムの時と同じように米国とドイツが同時に提供を発表する」という意味だ。
航空戦の主役である西側製戦闘機、地上戦の主役である西側製戦車のウクライナ提供に踏み切れないのは象徴的な意味合い=政治的な力学が影響している可能性が高く、最大限好意的に解釈すれば西側製戦闘機や西側製戦車を提供しないという政治的ポーズを西側諸国とウクライナが演出、これがロシアに戦術核兵器の使用を思いとどまらせる抑止力=通常戦力による戦いに限定させる要因なのかもしれない。
関連記事:ウクライナ軍の反撃はヘルソン限定ではない? ハルキウ州でも反撃を開始か
※アイキャッチ画像の出典:Norsk hær レオパルト2A7NO
第3世代戦車を供与すると核を使われると本気で考えてるんですかね?何か引っかかるんですが、どういうロジックなのか腑に落ちる解答をくれる専門家は出て来ないんですよね…。「核戦争になるからですよ」の一点張りというか何というか。
T-72がレオパルト2にボコボコにされるのが恥ずかしくて耐えられないから核を撃ちます、ガス栓全止めします、はまあまあわからなくもないんですがハイマースやジャベリンやハームなら許すというラインが謎
私も同じ事を考えていました。
先日もラトビアの大統領と副首相兼国防相が西側製戦車と戦闘機をウクライナヘ送るべきだと主張したばかりのタイミングで、この塩対応を深読みすると、もう単純に「ロシアが核を使うから送れない」と言うロジックだけでは説明出来ないです。
もしかすると、西側主要国は情報機関からロシア国内の兵器生産状況についてある程度知らされており、最早ロシアは現状ウクライナヘ送っている戦車や戦闘機以上の性能の兵器を大量製造出来ない(例えば、T-14戦車やSu-57ステルス戦闘機等)事を知っているので、ウクライナへはNATO諸国に残っていた旧ソ連製戦車を送るだけで充分と考えているのかも知れません。
ですので、ここで「もしも、ロシアがT-14やSu-57をウクライナヘ大量投入出来ていれば、西側諸国はどう対応しただろうか?」と想像するのも一興かも知れません。
ロシアたかが知れてる説を信じたくなるけど、それじゃあポーランドが長期的な大規模軍拡に踏み切ってるのはなんなんだという話になる。単に近隣国だと意識が違う・万が一にも備えたいという話なのか、それともポーランドには十分に情報が共有されていないのか。
装甲材等の機密事項かな。
出せるなら、レオパルド2をポーランドへやって、PT-91をウクライナヘ送れば良いのに。
戦車や航空機を供与すればロシアが核を使用するという確信があるわけではなく、核が使用された際の報復プランとして西側重装備供与を残したいだけだと思います。
ロジック(論理的な話し)じゃなくて、プーチン・ロシア政府の脅しに従ってしまってるだけかと
なので、具体的に言及された以外の兵器は供給してますからね
ラインを見極めようとしても、プーチンの気分次第で使用可能ですし
(プーチン1人では無理と言っても、残り権限はプーチンの忠実な側近が持ってる)
論理的思考出来て合理的判断が出来るプーチンという幻想から抜けきれてないのでしょう
「下院議長が訪台なんてとんでもない!そんなことをしたら戦争になる」と言っていたアメリカの専門家・有識者たちは多数存在した
実際の結果は……
それと同じようなものだと思う
ロシアは本当に核兵器を撃てるのか最新のレオパルトやタイフーンを送って確かめてみようという向きはいまだに多いが、現場で政治やってる人としてはそんな危ないことはできないという当たり前の話だった
ロシア的にT-72ならセーフらしいが、T-72の装甲ブロックを西側製の最新の素材に差し替えたらアウトだろうか?ロシアの示す基準が謎だ
西側のコンセンサスは個別の兵器の有り無しというより、ウクライナがクリミアを奪還できる戦力を保持するのはNGというところなんだと思います。
今のウクライナ軍の強度を見れば、大量の3.5世代戦車と戦闘機を手に入れれば本当にクリミアも奪還できそうです。
クリミアを奪われた時点ではロシアは核兵器は使わない(使えない)と思いますが、プーチンの首は確実に飛びます。
プーチン後の政権が穏健派になればいいですが、今のロシアの政情を見るとそれは望み薄。
良くてより強硬派、下手をすればモスクワを見限った中部東部の分裂内戦が起きます。
世界一の核保有国で内戦が起きた時に何が起こるのか。中国が何をするのか。
戦術核なんてロシア自身が怖くて使えないと思うけど・・・
ロシアが使えば世界中が核兵器の開発始めるだろうしもちろんロシアの敵国なんてすべての国が持つわけで
それよりロシア産のエネルギー資源なしで欧州がやって行けるかどうかが重要なんだと思う
その辺のギリギリの駆け引きがあるんじゃないかと
来春までにロシア産脱却できればどんどん出荷するんじゃないかな
戦後の事を考えているのかも。
ウクライナは地方の軍閥が西側戦車を横流しするかもしれない
強力な浸透力を持ったウクライナは国民の支持のもとロシアへ侵攻するかもしれない
凄いカリスマ政治家が誕生して、急転直下ロシアと和解し連邦国家を形成し、新生ウクライナが西側と敵対するかもしれない
完全に西側民主国家になり切っていないウクライナには、勝ち越すだけの戦力は与えないと言う事でしょうか。
プーチンが戦術核使用を決断する実際のボーダーラインがどこにあるのか、NATOではその見極めがまだできていない。
ウクライナ政府によるクリミア半島及びドンバス地方の武力奪還意思表明も、ロシア側の反応を見るという観測気球の意味もあるのかと。
両地方の武力奪還は難しいのが現実と考察します。本音は先の表明の通り、武力侵攻開始時点までの武力奪回、両地方の帰属は外交によるつもりなのかもしれません。実行可能になればクリミア大橋の通行不能化は実施すると思いますが。
意思表明だけでは足元を見られるので、へルソン州での反抗戦の成功はロシアの反応を引き出す上で重要と思います。
おそらくプーチン自身にもボーダーラインが分かってないというか、感情次第なのかと
西側諸国の今までのプーチン分析が、論理的合理的知性的という前提だったので
そこから、自制心弱い感情的後先考えないなので、分析が出来ないというか、
この手の人に自分内部でのルールとかラインが無いので、理解しようとすること自体が無理な気はします
ロシアも北朝鮮から武器を調達する訳だし、ウクライナが他国から武器を調達しても問題ないと思うが。実は売らないといいつつ、やっぱり売りますというのは実に欧州っぽい。この辺りから情報戦が始まっていると思ってよいのか。
実際にウクライナは海外から調達してますよね?
提供する側が戦車は売らないよって言ってるだけで。
茶番でウクライナの兵士が大量に訓練中だったらいいですけどね
兵器の性格上それなりの数を揃える事で最も効果が出せると思うので
戦略的な意味としては戦車よりも、ハイマースやMLRS、対レーダーミサイルなどのが余程大きいと思うんだけど、今さらレオパルトやM1A2如きでエスカレーション危惧する意味がよく解らないなぁ。
東側制とは言え戦車なら既に供与してる訳で、さっさとウクライナに渡すものまとめて渡して、早期にケリつけさせた方が良くはないのか?どうせ戦後のウクライナ軍は西側兵器を中心に再編させる事なるんだし。
先に西側製戦車や戦闘機を供給しない理由を「核戦争を防ぐ為」と匂わせておく事で、ロシア側のエスカレーションを牽制しているんじゃないかな。
西側は自重してるんだから、ロシアももちろん自重するよね? という事かと。
天然ガスが止まってなければ提供しただろうな
戦車を提供するのもガスを止めるのも何らかの理由がいるから双方相手の出方を伺いつつ隙を与えないギリギリを狙い続けてる
西側の戦闘機と主力MBTをウクライナに提供しないのはNATO加盟国間の合意事項です。
可能な限りロシアとの外交関係を悪化させたくないドイツにとっては錦の御旗なんだろうと思います。天然ガス供給制限や中断の件はそれを見透かしたロシア側の牽制かと。
侵攻当初のドイツ世論は理不尽なロシアを叩けでしたが、現在はドイツにとって最良の戦争の終らせ方を考える国民が増えているそうです。ドイツ人にとってウクライナは近いが遠い国なのでしょう。逆にこの20年ほどは、ロシアは遠いが近い国という認識だったようです。それも微妙に変わりつつあるようですが。
ショルツ政権は老朽化した国内インフラの近代化を政策のメインにした内向内閣だそうです。ドイツメディアの評価は、戦争事態のように複雑な外交には人材的に向いていないということです。ドイツのウクライナ支援が紋きり調になるのは仕方ないのかもしれません。
核兵器以外のロシア兵器ではドイツの戦車を倒すのは不可能なので
ドイツ戦車の供与は核戦争になるということなのか。
HIMARSあれだけ渡しておいて
戦車だけ供給しないという選択肢はありえないので
まとめて渡せるタイミングを待ってるんでしょうね
部隊として運用出来るレベルまで訓練するのは時間がかかるので
それが終わるタイミングで発表されるはず
無責任きわまる軍ヲタとしては、A7とロシア戦車群との激突無しで終わられてもさびしい
出来ればT14まで出してくれよプーチン
ロシア世論に対する問題もあると思いますよ。開戦時の演説を見ても、「我々は東欧で唯一”主権”を持つ覇権国である(覇権国以外に”主権”はないという認識らしい)。 西側の覇権国である米国と対等であるべきだが、それにふさわしい国際的待遇を得ていない」というような彼ら独自の世界観に基づく覇権主義的怨念に満ちていた。
つまりロシア世論にとってNATOととの戦いとウクライナとの戦いは全く意味が違う。
ウクライナの抵抗は属国の身分知らずの思い上がりであり、チェチェン紛争と同じく懲罰としての「特殊軍事作戦」に過ぎない。ここで総動員令を出すと属国と対等ということになりロシアの衰退を認めることになるから出せない。
一方でロシア国民が「NATOとの戦い」と認識したときは違う。それは全力を出すべき聖戦であり、動員令を当然視してそれに耐える。
ロシアの手足を縛るために、「特殊軍事作戦であって戦争ではない」という欺瞞、自己暗示を維持させる必要がある。そのためには主力兵器(現行世代のMBTや戦闘爆撃機)の引き渡しはできない、というところだと思う。ロシア国民にすればNATOとの戦いは十字軍であり、耐えるだけの動機を与える。
自己暗示、面白い視点です
自己暗示が続くとして、プーチンがこの先失脚しないためにはなんの犠牲を払ってもこの戦争目標を達成する必要があるのに、「プーチンが自己暗示によってロシアの手足を縛って戦い続けるのは西側の戦車戦闘機が供与されないから」と考えるのは些かドイツ的過ぎるような…
欧州がロシアのガス無しでこの冬を越ることを確認してから戦車を送る算段がついているならと願うばかりです
米製も独製も西側諸国の胸先三寸で振り回されるのを見ると
これからも韓国製兵器はシェアを伸ばして行きそうな気がする
西側全体で生産力が不足する分を韓国製が補う局面は増えそうだが
とはいえ、今回のように米製や独制が供給されないのが政治的都合だとすると、それは韓国製だろうが同じ事だからなぁ
ここまで戦車売ってくれないとなると‥こうなったら三菱重工で、[週刊90式戦車を作る]、を100号完成、1号300万円とかでウクライナ限定で通信販売してしまうのです、組み立てキットで100分割、リモコン操縦なら多分大丈夫と妄想します。
中古のM60の近代化キットのほうが良さそうだな
台湾もM60の近代化するんでしたっけ?
どの程度まで通用するのかなあ
M60Tレベルなら、M1A1とタメを張れるレベル。
真偽の怪しい話ですが、現地にボクサー装甲車が搬入されて使われているという話もあるみたいです。APCいけるならIFV、IFV大丈夫ならMBTという感じで少しずつ拡大しないかな…?
以前にも、ここの記事でどなたか言っておられたけれども。
125mm戦車砲弾のストックまたは生産・供給の状況はどうなのだろう。
これがなくなれば、120mm戦車砲弾を供給する必要があるのでは。
その時点で120mm砲弾を受け入れられる方法を考える必要はあるのでは。
例えば、T64/72/80/90の砲塔を丸ごと交換できるようにするとか。
多少大きくなっても、装甲も強化する形で。主機は修理のたびに型式を統一する形で。
どこかで砲塔を新規生産しないとですね。場所はチェコかポーランドか英国で。
マールィシェウ工場の社員・工員が出向する形で。
今の状況では、飛行機もF16の提供は危なそうですから、何か考えなければですね。
ドイツ「戦車を提供しないと言ったがアレは嘘だ!もうすでにドイツ国内での機種転換訓練完了したウクライナ機甲師団が戦地に出撃したぞ!!」
みたいなオチだったら良いなあ
ロシアの大統領が核兵器使用を決断するが、その決断理由がすでにある核兵器使用を正当化できる4つのシナリオに必ず合致しないといけないとも思わない。
最低限自国に対して言い訳出来る理由があるならばプーチンの核使用を阻む物なんてないと思う。第三国(主にNATO)が積極的に介入して戦略的脅威となるなら手段を選ばないような発言もしていたはず。だから手探りで支援を拡充している経過見てないの?
ウクライナとの戦争被害がロシアの戦略に影響を与えない筈はないだろう。兵器や兵士の損耗、兵器や軍に対する評価の低下は将来に様々な影響があるのは間違いない。
戦車は万能で使い方を間違えなければ歩兵にも装甲車にも戦車にも有効に使えて味方の盾にもなり機動力もある。都市奪還にもそれなりに寄与するだろう。ロシアやウクライナが保有する戦車より攻守に優れた物をまとまった数供給されるなら人と物や支配地域の喪失とロシアの損害をより加速させる可能性は十分にある。
ロシア系列の戦車より仰角が大きい分、高所を狙いやすいし間接射撃に関しても新たな状況が生まれる事も考えられる。うっかり活躍してそれが拡散した日にはどこかでプーチンぶち切れるんじゃないかな。