アゼルバイジャン国防省は19日に対テロ作戦を開始し「アルメニア軍事組織(ナゴルノ・カラバフ地域のアルメニア人武装勢力)が武器を捨てて降伏すれば作戦を中止する」と呼びかけているため、アゼルバイジャンの主権と統治の受け入れを要求しているのだろう。
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アルメニアは今のところアルツァフ共和国とアゼルバイジャンとの武力衝突に介入する様子はない
アゼルバイジャン国防省は19日「三ヶ国間声明の条項履行を確実にし、カラバフ経済地域における大規模な挑発行為を抑制し、アゼルバイジャン領からのアルメニア軍事組織の武装解除と撤退を実現するため現地で対テロ作戦を開始した」と発表、アルメニアの軍事組織とは「アルツァフ共和国軍=ナゴルノ・カラバフ地域に存在するアルメニア人武装勢力)」のことを指しており、アゼルバイジャン国防省は「カラバフ経済地域に駐留するアルメニア軍事組織が武器を捨てて降伏すれば作戦を中止する」と呼びかけている。
アルメニアのパシニャン首相は「アルツァフ共和国にアルメニア軍は存在しない」と主張しているものの、アゼルバイジャン側はアルツァフ共和国軍を「アルメニア軍の一部」と見なしているため、究極的には「アルツァフ共和国の解体=アゼルバイジャンの主権を認めて統治の受け入れ」を要求していると解釈するのが妥当だ。
アルツァフ共和国のルーベン・ヴァルダニャン元国務相は「アルメニア指導部はアルツァフ共和国を認め、国民=アルメニア人の保護する戦いに参加すべきだ」と訴えているが、パシニャン首相は和平交渉締結のため「ナゴルノ・カラバフ民族という概念が存在しないため『民族自決に基いて独立した』という主張は成立せず、当該地域はアゼルバイジャン領の一部だ」と公の場で何度も発言しているため、今のところアルツァフ共和国とアゼルバイジャンとの武力衝突に介入する様子はない。
トルコのエルドアン大統領も「誰もがナゴルノ・カラバフ地域をアゼルバイジャン領だと認識しており、今回の対テロ作戦も自国領を守るための戦いだ」と述べてアゼルバイジャン側の行動を支持、さらに「アルメニアがザンゲズール回廊に関する約束を果たすのを待っている」とも付け加えており、三ヶ国間声明の条項履行=2020年の停戦協定に盛り込まれた「ナヒチェヴァン自治共和国とアゼルバイジャン本領を繋ぐ交通手段の建設」に動くよう圧力を加えている。
もしシュニク地方を貫通する形で検問のない「ザンゲズール回廊」が建設されればトルコとアゼルバイジャンはナヒチェヴァン自治共和国を経由して陸路で結びつくため、パシニャン首相と会談したイランのライシ大統領は「イランにとって同地域の如何なる変化もレッドラインを超える。3(アルメニア、アゼルバイジャン、ジョージア)+3(ロシア、トルコ、イラン)形式以外の対話、他国との協力、他国の軍事演習は状況を複雑にするだけだ」と述べ、米国との軍事演習を発表や安全保障政策の多様化を打ち出してきたアルメニア、ザンゲズール回廊を要求するアゼルバイジャンの双方を牽制。
対テロ作戦が開始された南コーカサスの状況について「ロシアとイランは協議を行っている」と報道されており、幾重にも重なる思惑や力関係がどのような形で表面化するかは全く予想がつなかない。
アルメニア国内でも武力衝突に介入する気がないパシニャン首相に対して抗議活動が拡大、一部の野党も首相を弾劾するため「あらゆる政治勢力の結集」を呼びかけているので、ナゴルノ・カラバフ問題やアゼルバイジャンとの和平協定に対する不満が一気に吹き出す可能性がある。
因みに(大凡の位置と合わせて)視覚的に確認されているのはコジャリ=Ⓐで防空システムが破壊される様子、ステパナケルト=Ⓑで電子戦部隊が攻撃を受ける様子、アスケラン地区のギルミジ・バザール方面=Ⓔで破壊される車輌の様子だけだが、アルツァフ共和国のアルタク・ベグラリアン元国務相は「アグダラ=Ⓒやアスケラン=Ⓓに対しても空爆が行われた」と述べており、アルツァフ国防省は「全ての接触線でアゼルバイジャン軍が大砲の使用を開始した。敵は防衛ラインへの侵入を試みているが我が軍が粘り強い抵抗を見せている」と報告している。
どの方向で地上部隊が衝突しているのか不明だが、首都制圧が目的ならシュシャとアグダムからステパナケルトへ向かっている可能性が高い。
Ⓔ:アスケラン地区のギルミジ・バザール方面で破壊されるアルメニア軍(アルツァフ共和国軍のこと)車輌の様子
Ⓕ:場所は不明だがアルメニア軍(アルツァフ共和国軍のこと)の射点が攻撃される様子
Ⓖ:場所は不明だがアルメニア軍(アルツァフ共和国軍のこと)のレーダーが攻撃される様子
Ⓗ:場所は不明だがアルメニア軍(アルツァフ共和国軍のこと)の弾薬庫が攻撃される様子
Ⓘ:場所は不明だがアルメニア軍(アルツァフ共和国軍のこと)の陣地と装備が攻撃される様子
Ⓙ:場所は不明だがアルメニア軍(アルツァフ共和国軍のこと)の通信施設が攻撃される様子
Ⓚ:場所は不明だがアルメニア軍(アルツァフ共和国軍のこと)の砲兵装備が攻撃される様子
Ⓛ:場所は不明だが民間インフラへの攻撃を否定する動画、アゼルバイジャン軍は民間人や民間インフラは対テロ作戦の標的ではないと主張
Ⓜ:場所は不明だが民間インフラへの攻撃を否定する動画、アゼルバイジャン軍は民間人や民間インフラは対テロ作戦の標的ではないと主張
Ⓝ:場所は不明だがアルメニア軍(アルツァフ共和国軍のこと)の塹壕、陣地、装備を破壊する様子
追記:上記の話はこれまでに積み上げ情報と、今回収集した情報(そこまで深くは掘り下げていない)をまとめたものに過ぎないので、報道機関の記事と合わせて読むことをお勧めする。
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※アイキャッチ画像の出典:Azərbaycan Respublikası Müdafiə Nazirliyi
あとはアルメニアの政権がもてば一件落着だね
ロシアがんばれアルメニア国内に軍事力持ってるのロシアだけなんだから
ロシアのカルタポロフ国防委員長
「ナゴルノ・カラバフに駐留するロシア平和維持部隊は、自らに脅威がない限り武器を使用する権利はない」
ダメみたいですね
脱ロシア掲げてアメリカと合同軍事演習始めておいて、やっぱりロシア軍何とかしてくれなんてそりゃ無理な話よ
アルメニアはなんというか決定的に外交が下手なんだよなぁ
ロシア平和維持()部隊
いる意味ない…意味なくない?
アルツァフ共和国消滅まではどうやらアルメニアすら認めざる得ない所まで来ているのかもしれない
しかし、いざナルゴノ地域がアゼルバイジャンに入りアゼルバイジャンとアルメニアのぐんじば
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アルメニアアゼルバイジャンの軍事バランスが崩れれば現在の国際関係すら維持できるか不明で、特にイランとアゼルバイジャン間の影響力に干渉しようとする国が出てくる可能性が懸念される
イランはどないすんねん
発言内容は解決させる気があるようには見えないんだけど
今回1番胃痛ポジなのはこのパシニャン首相でしょう。必死に協定を遂行しようとするも国内からは反発され中々出来ずするとアゼルからは早くするよう圧力をかけられての板挟み状態。からの今回の軍事行動でまた国内で辞任を求める大規模デモが起こっているそうです。少し気の毒な人です。
問題は、パシニャン首相の首を切っても、じゃあ後釜の人物が何をできるかだよな。
ウクライナみたいに、他国の援助が期待できない以上、どうしようもないのでは。
実効支配地域の自国編入まで公言していた完全な扇動側なので気の毒と言えるかは怪しいかと。
旧与党のアルメニア共和党出身の政府首班の何人かは、それが原因で失脚したとはいえナゴルノ・カラバフ問題の融和路線を敗戦する前に行おうとしていました。
これアルメニアが不介入で見捨てたら軍部によるクーデターが起きたりしないかしら
このまますんなりと事が収拾するとは到底思えんのだが
クーデター起きたところで、じゃあ軍部ならアルツァフ奪還できるんかって話になりませんかね
3年前の第二次ナゴルノ・カラバフ戦争でボコられている当事者の軍事がクーデター起こすかねぇ?
勇ましい事は言うけど政権奪取はしないと思うよ。
もし介入したら既にボロボロのアルメニアがミソッカスにぶっ叩かれて崩壊するだけだし
アルツァフの回収のみが作戦目標であるならば、アゼルバイジャンとしてはラチン回廊に圧力をかけつつ外交的屈服を待てばよい。
軍事侵攻に踏み切れば当然、武力不行使の原則に違反し国際的な非難に直面するためである。(小泉悠氏が指摘のとおりである)
なぜこのタイミングで再度の武力侵攻を行うのか。アゼルバイジャンには更なる「野心的動機」があると考えるのが自然ではないだろうか。
アゼル側は、前回(対アルメニア戦)以上に無人機を使いそうに思えます。
正規軍の衝突というよりは、非対称戦に近いような。
無人機による、探索/判定/殲滅が主になりそう。掃討戦のような戦いになるのかな。
アルツァフ側は戦訓の吸収が足りないような印象。
ここで立ち直って無人機対策と電子戦をしないと、一方的になるのでは。
あと、TB2を撃墜できる無人戦闘機に投資をしては。もう遅いかな?。
そもそもアゼルバイジャンとアルメニアでは国力が違いすぎて勝負にならんのですよ
それが判ってるからパシニャンも事を荒立てたくなかった訳で
アルツァフ共和国が国際的に認められてなかったにしても、ナゴルノカラバフって元々アルメニア人が多いわけでそれをアゼルバイジャン領として編入するのって国際法やルール上はありなの?
それともソ連時代はアゼルバイジャンに帰属してたからアゼルバイジャン領で当たり前?
第2次世界大戦以降は「武力で国境線を変更するな」「国内問題に外国が干渉するな」が国際法のルールです
なのでナゴルノカラバフはアゼルバイジャン領ということになります。
(欧米は上記の国際法を犯してセルビア領コソボを独立させました)
(さらに言えば冷戦期は両陣営とも何度も他国の国内問題に干渉したので国際法がむなしくなっています)
コソボ独立は国際法上は合法と判断されています(国際司法裁判所の勧告的意見による)
武力行使は違法と言う意見が大勢だけど
そんな判断はされていませんよ
国際司法裁判所の勧告的意見には何ら拘束力がありません
国際司法裁判所の勧告的意見に拘束力がないと言うのは正しいですが
法的に重要な意見であると言うのは確かです
また独立を違法とする国際法上の根拠がありません
コソボ紛争においては、安保理決議等の法的根拠を持たないまま NATO による空爆が実施されました。
その行為に対し「NATO の介入は違法だが正当」とする評価が大勢を占めたというのが実態です。コソボにおけるアルバニア系住民への迫害が「非人道的」であるという国際的レッテル貼りがなされ、それを停止させるための介入は「正当」であるという主張が国際社会に広く支持されたという経緯だったかと。
アルメニアやアゼルバイジャンはソ連構成共和国時代の国境線を引き継いで独立したと国際的に認知されているので
アゼルバイジャン領で当たり前、という認識で正しい
ソ連時代の国境線が戦争の原因になってるなら、アルメニアの反発を無視しながらその国境線を実際にひいて放置し続けたソ連(ロシア)の責任もかなり大きいんだな
歴史的経緯が複雑で非常に難しい部分もありますが
旧ソ連時代の国境画定が今日の紛争の原因の一つになっていると言う点は間違いないでしょうね
最近は戦争のニュースがTVの面白動画バラエティみたいな動画集になってきてますねえ。