アゼルバイジャンは地雷除去作業にナゴルノ・カラバフ紛争で使用された短距離弾道ミサイル「イスカンデル」の残骸を発見したと発表、しかも破片はロシア軍しか保有していないイスカンデルMのものだと報道されており大きな波紋を呼んでいる。
参考:Fragments of Iskander Missile Found in Azerbaijan’s Karabakh Region Raise Serious Questions
短距離弾道ミサイル「イスカンデル」を使用した証拠が見つかるが、本当にミサイル技術管理レジームに引っかかるM型ものであれば大問題に
アルメニアがロシアから調達した短距離弾道ミサイル「イスカンデル」は変則軌道で目標に接近するため通常の弾道ミサイルよりも迎撃が難しいと言われており、アゼルバイジャン軍に対して人員や装備面で劣勢なアルメニア軍にとって切り札的な存在で、絶対的ではないにしてもアゼルバイジャンに対する一定の抑止力や実際の戦闘で使用すれば戦略的に価値の高い標的を破壊してアゼルバイジャン側に痛手を与えることが期待されていた。
昨年のナゴルノ・カラバフ紛争でもアルメニア軍は保有する複数のロシア製弾道ミサイルを使用してアゼルバイジャン側の都市やインフラを攻撃、特にイスカンデルと推定される弾道ミサイルの発射シーンを収めた動画も紛争中にネット上へアップされており実戦でイスカンデルを使用されたのは間違いない。
Video of the Armenian Iskander launch pic.twitter.com/keTt7IT2MG
— Fabian Hinz (@fab_hinz) November 9, 2020
しかしアルメニアのサルキシャン大統領は「この決定的な切り札をパシニャン首相が紛争の初期段階で使用しなかった」と批判、これに対してパシニャン首相は「大統領はアルメニア軍が使用したイスカンデルが正常に作動して爆発しなかったこと正常に作動したイスカンデルが10%に過ぎない」と語りロシア側が激怒、ナゴルノ・カラバフ紛争中にアルメニア軍はイスカンデルを1発も使用しておらずパシニャン首相の妄想が何処から来たのか彼に聞く必要があると強い表現でアルメニア側を非難している。
ロシアの軍事専門家ドミトリー・リトフキン氏はパシニャン首相の発言について「ナゴルノ・カラバフ紛争が自分たちのシナリオ通り進まなかったことに不満を抱いている結果で、ナゴルノ・カラバフ紛争の戦犯探しにイスカンデルが巻き込まれただけ」と言っていたが全てを覆す事実をアゼルバイジャンが発表して注目を集めている。

出典:Jonj7490 / CC BY-SA 4.0 アルメニア軍のイスカンデル
アゼルバイジャンはアルメニア軍によって埋設された地雷の除去作業中にナゴルノ・カラバフ地域のシュシャ近郊でミサイルの残骸を発見、軍の専門家が識別番号(9M723)を見つけたことからミサイルの残骸は短距離弾道ミサイル「イスカンデル」のものだと言っており、しかも輸出型のイスカンデルEではなくロシア軍しか保有していないイスカンデルMの残骸だと主張しているらしい。
※参考記事に発見されたミサイルの残骸写真が掲載されている。
イスカンデルが開発された時には中距離ミサイル全廃条約(INF)が失効していなかったため射程を500kmに制限したM型をロシア軍が導入、輸出仕様のE型はミサイル技術管理レジーム(MTCR)に引っかからないように射程を280km以下に制限されており、当然アルメニアに輸出されたのはE型ということになっている。
要するにアゼルバイジャンはナゴルノ・カラバフ紛争中にイスカンデルが使用されていないというロシアの主張は嘘で、ロシアがアルメニアにイスカンデルMを売ったかアルメニア国内に駐屯するロシア軍(第102軍事基地)がイスカンデルMを使用したかのどちらかだと言っており前者ならMTCRの規定にロシアが違反、後者ならナゴルノ・カラバフ紛争にロシア軍が関与していたことになる。
アゼルバイジャンは発見された残骸がイスカンデルMものである根拠について触れていないのでアルメニアもロシアもイスカンデルEの残骸だと主張することは可能だが、1発もイスカンデルは使用されていないというロシア側の主張は崩れたことになり、もし残骸がイスカンデルMである根拠が示されればアルメニアもロシアも苦しい立場に追いやられることになるだろう。
関連記事:役に立たない? アルメニアとロシアの間で勃発した弾道ミサイル「イスカンデル」論争
※アイキャッチ画像の出典:Vitaly V. Kuzmin / CC BY-SA 4.0 短距離弾道ミサイル「イスカンデル」
またロシアか(笑)
北の黒電話の花火も、イワンが横流ししたんでは?
その疑惑はずっとくすぶってる
ロシアとして北を不安定要素として保護しとくほうが何かと有利だから
これはMであってEではないと断言できるような部品や型番をアゼル側が証明してくれないと、なんとも
この話は誰がウソをついてるのかすら見えない
>これはMであってEではないと断言できるような部品や型番をアゼル側が証明してくれないと
もっともなんだけど、一方で、停戦日のバクーへのミサイル攻撃について、射程280kmの正規のEでは、アルメニア本土からバクーへは絶対届かねえだろ問題が。
(アゼルに飲み込まれるアルツァフからはきっと撃ってないよね。お宝すぎて。)
なんで、Mか、もしくはMの部品を一部に利用した、MTCR違反型の長射程Eとかがあるんじゃないですかね。(Mも、INF条約違反型の長射程版みたいなのあったみたいだし。)
それなら、ロシアがイスカンデルは使われていない(迫真)と言うのもわかる。
相手を陥れるためならば、どこかから残骸を運んでくるくらい朝飯前、それが謀略戦。
そもそもその残骸がMなのかEなのか、第3者には何も情報が出て無いんで
ですから 何とも言えないって
フル装備のSu-30も最新のイスカンデルも投入して負けていた。そういうことなんだろうな。
ただ、ウクライナとロシアの流通を仕事にしてるからウクライナに住んでるロシア系、ジョージアとロシアの流通を仕事にしてるからジョージアに住んでるロシア系は強い。
同じようなことがウクライナでも起きようとしているだな・・・。
ロシアならどちらが勝利するか正確に予測できただろうし、アルメニアの敗北でどうせあとバレするのだからロシア軍が直接関与したとは考えにくいかな。
アルメニアへの輸出についても、アゼルとロシアの関係を考えるに違反してまで販売するほどの動機があるのか?というと薄いような。
まあ、実際のモノを公開展示でもしない限り当事者以外誰も何も言えん訳ですけれども。
少なくとも戦争最終日にバクーに打ち込んだやつがイスカンデルすぎて、そもそも誰もイスカンデル使ってないと思ってないでしょ。
細かな仕様の違い(E型とM型)が判別できるぐらいなら不発弾だろうから、パシニャン首相の「イスカンデルが正常に作動して爆発しなかったこと正常に作動したイスカンデルが10%に過ぎない」という主張も正しいのかも
アゼルバイジャンがここで西側を巻き込むことで、ナゴルノ=カラバフ情勢での自国の立場をさらに有利なものにすることも出来ますからね。
米国がグルジア・ロシアが南オセチアを巡って戦火を交えたあと、現地でロシアのミサイル関連の調査をしていたようですから、米国の専門家に更なる精査を依頼するのもありです。
米国は、ミサイル技術管理レジームが守られているかどうかの名目で調査すると言えばロシアも妨害しにくい状況になりますし、ロシアに共同で現地調査はどうかと持ちかけるのも手でしょう。
>「大統領はアルメニア軍が使用したイスカンデルが正常に作動して爆発しなかったこと正常に作動したイスカンデルが10%に過ぎない」
この辺、気になるんですよね。
安価でよく売れるロシア製兵器の信頼性。
さすがに実際に導入した国は性能評価はできてるんでしょうが。
イスカンデルのせいにしているアルメニア大統領を、
アルメニア軍の副参謀長が嘲笑して解雇されているので、
軍はイスカンデルに不具合があったとは思っていなさそうですけどね。
国際社会からの信頼はドン底の無敵国家だから
やりたい放題だね
でも兵器の信頼性まで貶められると、ちょっと困るのではないかと
ウクライナとかで話題の親ロシア派がナゴルノ・カラバフで戦争中に何かしてた?
ロシア兵器はポンコツに条件反射で書き込んでたら、唯一使える親ロシア派がいないから、ナゴルノ・カラバフで負けたと認めてしまった。
つまり、ロシア製のミサイルは使用されてもされなくても
当たらないからどうという事はない代物だったのですね。
そういう話じゃないんだけどな・・・。
ロシア軍しか保有していないのなら何で該当ミサイルだって分かったんだよー?
アゼルの主張が正しい場合、ロシアは中途半端に紛争介入(アルメニアにM型を提供)して、
アルメニアを宥めていたのかもしれない。だが、結局ロシアはアルメニア側に立たず、
アゼル有利に紛争を終結させ、パシ二ャンに逆切れされた?…….
ロシア製兵器はポンコツなんだよ
ガチだったソ連時代だってハリボテ感満載だったんだから、発展途上国に転落した今のロシアがまともなもん作れるわけがない
ロシアを実際に見たことがあれば終わってる国だってのはわかるんだけど、知らない人は兵器くらいはマトモなものつくれるんじゃないかって期待しちゃうんだよね
本当に芯から腐ってるんだけどね
ポンコツだったら、このご時世どの国もロシア兵器を買おうとはしないよ(S-400とか)。
それに、ロシアはシリア内戦で長距離精密攻撃や、ドローン等からの攻撃に対する防空にも成功している。
ロシア軍の技術力は馬鹿にできないよ。
有人衛星を一応はきちんと打ち上げられていますからね。
いまのところ一応はね。
それ本当にロシア行って見て知ってる人の意見とは思えないけど(笑)
とんでもない国なのは本当だが、それは悪い意味だけではないから。
何でイスカンデルMって分かったんだよって書いている人、まともに管理人の内容見てないよね。部品に9M723の表示があったから、そう主張している感じじゃないの{Iskander-M (9M723) Iskander-E (9M720) }。その部品が共通かどうかは不明だけど、部品に完成品本体の型番をまんま表示するかが疑問なんだよね。MとEの違いとしてはペイロード/射程/誘導部分の違いあるけど、それらが分かるような状態で見つかっているのか素人の自分には分からない。
発射時の支配領域から着弾場所へE型が届くかどうかということも言われているようです。以前ロシア領内から発射されたM型とされる残骸にも型番表示はありました(ただし今回の刻印とは別の印字)。クラスター弾頭であるため(あるいは不具合?か)ノーズコーンやカウリングなど変形するだけでかなりの部分が残るようです。ペイロードや射程はどう制限しているのかという疑いもあるので区別できないかもしれません。詳細は不明ですが残骸とされ公開された物には、回路図が書き起こせそうな状態の電子回路基板断片群も含まれているので、解析できれば誘導は判断できるかもしれません。
あからさまに分かる射程に関してそんな間抜けな個とされるなら関係は微妙になるなぁ。ペイロードと射程はおそらくだけど固形推進剤で調整しているのではないかと思う。射程だけに限るなら本国使用より加速が良いなら固形推進剤を加速よりにして急激に消費する充塡の仕方にしているとかね。
賞味期限切れかギリギリのやつをリリースされたのでは
本国仕様が常に完璧だとは思えないな
>賞味期限切れかギリギリのやつをリリースされたのでは
それ、MTCR違反なんだよなあ。