米陸軍が進めているFVL(Future Vertical Lift, 将来型垂直離着陸機計画)プログラムについて興味深い動きが報じられている。
参考:Italy eyes path into US Army’s next-gen helo program, thanks to EU pandemic-relief fund
イタリアがEUの復興基金を活用して米陸軍のFVLプログラムに投資?
EUは新型コロナウイルスでダメージを受けた加盟国の経済状況を再建するため7,500億ユーロ(返済不要な補助金5,000億ユーロ+返済が必要な融資2,500億ユーロ:計約92兆円)もの復興基金拠出を決定、イタリアは補助金と融資分を合わせて2,000億ユーロ(約25兆円)を受けることになっており、この資金を雇用創設、クリーンテクノロジー、デジタルプログラム、新しい鉄道や病院の建設など数百ものプログラに投じることを検討中だ。
勿論、国内の防衛産業にも投資が検討されており、そのリストに中に米陸軍の「FVL(Future Vertical Lift:将来型垂直離着陸機計画)プログラム」が含まれているらしい。
このFLVプログラムは米陸軍が運用してる回転翼機(AH-64/OH-58/UH-60/CH-47など)の後継機開発をバラバラに行うのではなく、センサー、アビオニクス、エンジン等のコンポーネントを共通化=ファミリー化することで開発コスト削減や開発期間短縮を行うというもので、現在FLVプログラムの下でUH-60後継機の技術実証機(ティルトローター機のV-280や二重反転式ローター機のSB-1」開発や、OH-58の後継機開発「Future Attack Reconaissance Aircraft:FARA(将来攻撃偵察航空機)」プログラムが進められている。
要するにイタリア政府は米陸軍のFVLプログラムに出資することで、イタリア最大の防衛産業企業「レオナルド」をFVLプログラム下で進められる新型機開発や製造に関与させたいと考えており、既に技術実証機「V-280」やFARAプログラムで実機製造に選ばれた「レイダーX」を開発しているロッキード・マーティン(シコルスキーは子会社)とレオナルドは、FVLプログラムを通じて得られたティルトローターや二重反転式ローターを使用した民間仕様機開発やFLVプログラムの下で開発された機体の欧州輸出や現地サポートで協力できないか話し合いを始めているらしい。
このような動きはイタリアに限った話ではなく、米陸軍のFVLプログラムには8つの国(国名は明かされていない)の関心を示しており、早い段階でFVLプログラムに食い込むことが出来れば自国の防衛産業維持や発展に役立つだろうと期待してるのだ。
ただ仮にイタリアがEUの復興基金をFVLプログラムに投じればEUの資金が一時的に米防衛産業へ流出することになるが、FVLプログラムの下で開発される新しいヘリの潜在的な需要(AH-64:約750機 / UH-60:約1,600機 / CH-47:約450機など)や同盟国への輸出需要まで考慮に入れれば十分回収できると踏んでいるのだろう。
問題は米陸軍はFVLプログラムに海外からの出資をF-35のように受け入れるのかだが、現時点で米陸軍は何も表明していないためイタリアのレオナルドのようにFVLプログラムに参加している米防衛産業企業と組むのが最も手堅い。しかしFVLプログラムに参加してる企業は数が限られているため早く話を持ちかけた者勝ちとも言える。
日本政府も出来る出来ないは別としても、ヘリコプターを製造しているSUBARU(旧富士重工)や川崎重工を維持・発展させるため、米陸軍が進めるFVLプログラムに日本企業が関与できないか探ってみてはどうだろうか?
※アイキャッチ画像の出典:public domain 二重反転式ローター機のSB-1
基本的にアメリカの技術だからどれほど他国に分配できるのか不透明だな。
あとFLVじゃなくてFVLね
ヘリかー
ヘリの調達ってなんであんな闇深いんだろう
俺が知らんだけで戦車や護衛艦も闇の深さは変わらんのかな
日本も是非参加すべきと思います。ヘリのエンジン関係なんかはすでに企業レベルで参加してるみたいだし。
そうですね。
新技術への挑戦と技術者の雇用維持で参加に賛成です。
良いもの作れても、投資分を回収出来るかは別問題
新型ヘリの需要があるかどうかだけど・・ぶっちゃけドローンが席巻してる今、昔ほどの需要は無いんじゃないかな・・
ヘリは固定翼機より無人化しやすいのでその意味でも参加しておくメリットがありそうに思いますが。
は?固定翼機の方が無人化しやすいでしょ、現に無人航空機は大型であるほど固定翼機だし
ヘリタイプの無人機は軍民共に圧倒的少数派
農薬散布用の無人ヘリとか日本にもあるけど少ないの?
どっちの方が無人化しやすいとかは知らんけど。
日本のパイは小さいから、これはアメリカに乗っかるほうが得策でしょう
当たり前か
ところでV-280はいつ頃正式採用されて実用化されるのかなあ
V-22を除いてヘリ業界は40-50年前からあまり顔ぶれが変わってないから楽しみにしてます
日本はこれからUH-X(ベル412EPX改造機)を調達するから、米国の次世代ヘリはスルーするだろう
みんな言ってるけどこれはいっちょ噛みしといた方がいい案件では?
あんまり興味ないんで禄に知識ないけど日本のヘリ開発はグッダグダになってるんじゃなかったっけ?
米の次世代ヘリコプター事業は巨大な二重反転構造やツインローター構造で
どうせ開発延長で開発費も機体もメンテも高額になる
今の所、自衛隊はUH-Xで十分だと思う
高額だが、欲を言えば海自にオスプレイを導入した方がいい
早く決断しないとラインが閉鎖しちゃう!
FVLプログラムに関して「自衛隊はUH-Xで充分だからいらない」等と寝言を言っている奴がいるが、トンデモ無い!
何故なら、FVLプログラムで代替される対象はAH-64・UH-60・CH-47と自衛隊が運用するヘリと見事に被っているので、今から日本も唾を着けて置かないとF-35の時みたいに、後になって欲しいと言ってもライセンス生産は認められず、直輸入しか許されない可能性が高いぞ
特にUH-60なんて、自衛隊機としては珍しく陸海空全てで運用されている機体だから、1機当たりのコストは高くてもソコソコの生産数を期待出来る機体を全部輸入にする機か?
そうなったら日本の航空産業は壊滅的な打撃を受けるかも知れないぞ?
>FVLプログラムで代替される対象はAH-64・UH-60・CH-47
計画通りに進めばの話だろ
機体規模や用途の異なる機種を統合すれば無駄に大きく重くなるだけ
F-15とC-130を統合しますって話くらい荒唐無稽な話
攻撃ヘリや輸送ヘリを1機種に統合するのではなく、記事でも触れているようにセンサー、アビオニクス、エンジン等のコンポーネントを共通化するだけで、AH-64・UH-60・CH-47の後継機は別々に開発されますよ。
もちろん予定通りにはいかなくても、話に一枚噛んどくのは保険をかけるようなもん、
国産ヘリだってどう転ぶか、何の保証もない闇なんだから
そんな軍ヲタの素人ですら判ることを、プロ集団の米軍が勘違いして失敗覚悟の開発進めるという話をしたいんですか(笑)
あなたは何の専門家かよ
自衛隊と日本の航空産業は全くの別物だぞ
おバカちゃん
日本の航空産業の少なからぬ部分は防需=自衛隊向けが占めているのに気付かないお馬鹿さんこそお帰り下さい
後、国産の民間&官公庁(自衛隊を除く)向けヘリコプター市場って、三菱がMH2000で大コケして以降何処も手を出していない結果、ユーロコプターやアグスタウェストランドの草刈り場と化しているのだけど?
訂正
誤:国産の民間&官公庁(自衛隊を除く)向けヘリコプター市場って、
正:国産の民間&官公庁(自衛隊を除く)向けヘリコプターって、
以上、申し訳ない
まだ純国産だのにしがみつくのは幼稚な軍ヲタと時代遅れの防衛利権者のみ
ヘリコプターで食っていける情勢じゃないだろが、税金の無駄遣い前提の妄想するな