ラトビア議会は2024年1月から徴兵制度=国家防衛サービス(VAD)の再導入を決定、無作為抽選で選ばれた18歳以上の男性は11ヶ月間の兵役に就く必要があり、この期間に受け取れる報酬の総額は4,400ユーロ(約63万円)に設定されている。
参考:Compulsory military service to be re-introduced in Latvia
代替勤務も用意されているが、兵士として勤務する場合に支給される報酬や特典は受け取れない
ロシアと国境を接するラトビアは15年前の2007年に軍の徴兵制を廃止して志願制(職業軍人)に移行したが、ウクライナ侵攻を受けてレヴィッツ大統領は「安全保障は我々にとって最優先課題だ。もっと予備役を増やすため女性や海外に住むラトビア市民まで適用範囲を広げた徴兵が必要だ」と言及して注目を集めていたが、サエイマ(ラトビア議会)は徴兵制の再導入を決定した。
ラトビア軍は陸海空の三軍(約6,700人)と国家警備隊(約10,000人)で構成されており、予備役36,000人を加えると最大52,700人を動員することが出来るが、徴兵制の再導入で予備役を増やして戦時の動員数を増やすことが目的だと思われる。
因みに国家防衛サービス(VAD)と呼ばれる徴兵制度の対象者は18歳以上の男性のみで、三軍もしくは国家警備隊で11ヶ月間で兵役につき、除隊後は国家警備隊に5年間在籍して年間28日の訓練(個人訓練21日+集団訓練7日)を受ける必要があり、7月1日に予定されている最初の徴兵は任意だが、2024年1月からは無作為抽選で徴兵者が選ばれ、これを拒否もしくは回避すると刑事責任が問われることになるらしい。
徴兵制度には軍の兵站部門、情報局、保安局、戦争博物館、国立防衛アカデミーなど幾つかの代替勤務(週40時間)が用意される予定で、本人が希望すれば能力や学歴を考慮した上で代替勤務が認められることもあり、必ずしも兵士として11ヶ月間勤務する必要はないが、兵士として勤務する場合に支給される報酬(月300ユーロ+満了ボーナス1,100ユーロ)や様々な特典(子供手当、国立幼稚園への優先入園、無償の高等教育など)を受け取れない仕組みだ。
個人的には欧米諸国の軍隊が人員を確保するための取り組みや施策に興味があり、国を守るため働いた者への優遇策は本当に国によって様々で、恐らくラトビアでも除隊者に対する何からの社会的優遇が取り入れられるだろう。
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※アイキャッチ画像の出典:Allied Joint Force Command Brunssum/CC BY-SA 2.0
「即席訓練した素人を戦場に送っても役に立たないから徴兵制は必要ない、ロシアを見ろ!」という人たちがいます。これは誤りで、「即席訓練した素人を戦場に送っても役に立たない」からこそ、平時から予備役兵をプールしておくことが必要なのです。
いずれ日本も台湾や韓国のようになるでしょう。
日本で徴兵制は無理でしょう
歴史的経緯から反発は強いでしょうし、徴兵制を強行すれば政権の維持は難しいと思います
台湾や韓国は脅威をはっきり認識しているでしょうけど正直日本国民はそこまで脅威を認識して無いでしょうし。
配属先で資格が取れるならそれなりに人気になるかも。
徴兵って貧民救済の面もあるし。
徴兵されて自衛隊で資格を取れる事を喜ぶ人は最初から自衛隊に志願するのでは?
それに徴兵されて自衛隊に入隊出来なければ生活できないほどの貧困層は日本にどれぐらいいるの?って話ですし。
別にそこまで困窮して無くても、徴兵されてその後の就活や給料アップに繋がるならやりたがる人はいるでしょ。
徴兵されたら何故給料アップや就活に有利になるんですか?
徴兵されなかった人より遅れて就職する人を企業が優遇する理由は無いと思うのですが?
就活に関しても徴兵されたらその分就職が遅れますし、大学生なら徴兵された期間分卒業も遅れます。
人口180万程度の国にすら危険意識を持たせて備えさせるとかほんとロシアの青鬼っ振りったらないね。
童話と違って自分は赤鬼のつもりだから質が悪い。
ざっと調べたけど、ラトビアの平均年収は税引き後で17000ドル
11ヶ月で63万は安すぎないか?
記事に書いてある特典だけでは厳しいね
まぁ徴兵中 食費とかがが軍もちでかからないとしてもお得感はないですね。。。
当事者や子持ちでないと保育園の優先権・高等教育の無償化と言う特典は、わからないだろうなあ。
日本も貧しくなったのだから、ROTCで大学生を確保すれば良いのに。
戦場の方向性が違うからね。韓国やバルト三国らへんは最前線。従って人海戦術に対抗する必要がある。
そして、あっこらへんは人口もそんなに多くないので人口比率的に超過してかき集める必要もある。
日本は海や山に囲まれているので専門性が高い上、人口がかなり多い。なので職業軍人に専門技術を身につけて貰って、長く勤務して貰うスタイルになっている。更に日本は自衛隊が災害救助部門も請け負ってもいるので実際の人数は意外といる。人口規模が大きいので人口比率で言えばそこまでは高くない印象というだけの話で国家としてはフランスやイギリスなんかよりも兵力数自体はある。そして、警察や海保、青年団も結構な人数がいるので、それら全てに該当しない一般の民間人を今すぐ強制でどうこうみたいな逼迫状態にはない。
加えて災害国かつ学校制度的に一般的な国で言う教練が一部済んでる扱いも受ける。隊列組んだり、順番に配給受け取ったり、スマホ操作したり、避難したり程度でいちいち軍で仕込む必要がない。
他の国だとそこから教える必要があるので練兵教育の必要性が高かったりするのだがけども。短期研修では言う程大した事は出来ないので、それほど使える新兵になってる訳でもない。あれは秩序を覚えさせる事と、徴兵の覚悟を決めさせる事、その手順をしっかりする方が意味合いが大きい。
徴兵制を敷いている国は人口の少ない国が多いですね。北欧、バルト三国、オーストリアなど。人口が少なくても国が狭くても兵員は一定数必要なわけで、志願兵では追い付かないのでしょう。その点G7やアジアの多くの国は人口や経済規模が十分で職業軍人を養えるから徴兵しなくていいのでしょう。
いわゆるアジアで徴兵制を採用している国:韓国、北朝鮮、モンゴル、タイ、マレーシア、カンボジア、ベトナム、ラオス、シンガポール、中国(志願制との併用)。
制度の内容は様々(タイは抽選だったり)だが、台湾も来年度に徴兵制が復活する予定だし、ミャンマーは法的には兵役義務が規定されている。
主要国で志願制なのは日本、インドネシア、インド、パキスタン、バングラデシュで、アジアでは徴兵制が主流だと思います。
地理的条件に加えて、人口や予算に苦しんでるところは頼るしかないってとこもありますよね。
強制してでもかき集めたいだとか、格安条件で暫定的な人数を繋いで、なんとか人数を見せかけたいだとか…
億を超えてる様な国になるとちょっと余裕あるというか、逆にそんな人数を強制動員するのも困るというかw
そして、予算があるなら出来れば長期雇い比率が高い方が技量が高いしね。新兵は所詮新兵で、配備してからが教育だし…
バルト三国はロシア国籍で社会的立場が悪い住人が多数在住しているだけに、先のロシアで行われた憲法改正69条が適応されるとロシア側としては合法的に他国へ軍事介入してくる口実が出来たので、国家防衛の為の緊急性が求められた事もあるのでしょうね。
日本も某少数民族の人が言質を取られる書簡をロシア政府へ送りましたね・・・
近代的軍隊で徴兵制は過去の遺物とまで言われてましたし、私自身もそう思っていましたが……、
ウクライナ戦争で文字通り、正規兵の為の生きたボットとしての役割は、残念ながら確認されましたからね……。
早くボストンダイナミクスに代替ロボを作ってもらおう
1年犠牲にさせられこの報酬では辛い
ラトビアみたいに近隣の国外に出やすい環境だと
若年層の海外流出を止められない気がする
バルト3国、ポーランド、チェコなどでロシアの傀儡政権に支配された人々にとって、その時代がいかに鬱陶しい、息の詰まるものだったかが良くわかるウクライナ戦争勃発後の反応です。「あんなことは、もう二度とごめんだ」という気持ちが爆発する大人たちと、実際に兵役に就く若者との間に、意識のギャップはないのだろうか。
2000年に、ラトビアの人口は239万人であった。2021年には189万人である。(これがどんぐらい酷いかというと秋田県ぐらい)
出生率は一時より上がったものの1.5程度と低い。がもっと大きい問題としてEU加盟以降若者の流出が止まらない。
それに経済面でもインフレ率は20%と悲惨だから拍車がかかってる。
更に兵役なんて追加したら若者の国外脱出が止まらなくなるんじゃねえかな。
旧ソ連に辛酸を舐めさせられたラトビアでさえソ連離脱後いったんは徴兵制を停止していたということを再認識しました
冷戦終了に浮かれて軍縮に走った救いようのない愚か者とドイツを罵る声がここではよく見られましたが、ドイツだけではなかったということです
となりに頭のおかしい国があると大変だ。
日本もそうだけどな。
ウクライナ戦争を見ると、「ラトビアが徴兵制度の再導入を決定、予備役を増やして戦時の動員数を確保」は当たり前ですね。
男性のみの徴兵は男女同権を目指す現代社会の逆行になりそう。隣国の徴兵事情を見れば男女共同参画と男性の徴兵の両立は社会不和の原因の一つになりうることは確実。とはいえ生物学的差は軍隊としては簡単に統合できるものではないし、規律の問題なんかも出てくるだろうから難しい。文字通り有事に命を賭けることへのメリットが男性側にないと不満が出るのは確実だがどう落とし所を見つけるのだろうか。
報酬ショボすぎません?
月300ユーロて…
今は分かりませんが、2021年のニッセイ基礎研究所の記事では韓国軍の徴兵された人の月給が6万円になったらしいので、300ユーロ=約4万3000円とするなら、GDPを考えるとそのくらいかなと。ラトビアの物価や平均給与が分からないので、あんまり偉そうなこと言えませんけども。
AFPの記事だと中国軍ですらも引き止めのために軍人の給与を上げているらしいので、数週間後のニュースでは、それじゃ低すぎると300ユーロから増額しているかもしれませんね。
徴兵制のデメリットを相殺するくらいの特典付きかつ、軍人になるのがステヰタスみたいな社会風土にしなきゃ、現代社会じゃ納得いかんよな。覚えることとか昔に比べて多いだろうし。徴兵で若者の心身を鍛えろ系の発言をする無責任な奴は問答無用でポイが推奨だけど。
日本だと徴兵逃れは韓国のが有名だが、イスラエルですら徴兵拒否の方法として『超正統派に所属しラビ(宗教指導者)になる』とかいうやり方で逃げる奴も居るし。
まあ幾ら訓練を受けたところで、戦場で殺傷への忌避感や死の恐怖を抑えられるのかという問題も出てくるが。
ロシア兵が数万円の雑多なドローンでグレネード弾でなすすべなく殺されてるのを見ると、もう歩兵の時代は終わったのだと思えてならない。数万の肉壁を捧げても戦線の押し上げが出来ないし、都市一つ落とせないというのが現代の戦争なのだから生産コストの高いレンジャー兵は不要だし、若者も不要だろう。定年後の一年間を捧げよとした方がまだましなのでは。