ウクライナのクレバ外相はミュンヘン安全保障会議で「我々はクラスター爆弾を禁じる条約に署名しておらず、ロシア軍も使用しているので提供してほしい」と訴えたが、NATOも元製造国のドイツも提供しないと拒否した。
参考:Генсек НАТО отверг требование Украины относительно кассетных боеприпасов
参考:Ukraine-Krieg im Liveticker
この種の兵器をウクライナが入手するには国内で独自に生産するかしない
複数の子弾を内包したクラスター爆弾は単弾頭の爆弾と比較して影響を与える範囲が広く面制圧向きの兵器だが、正常に作動しなかった子弾が不発弾となる確立が高く民間人への被害も多いため、多くの国がクラスター爆弾を禁止するオスロ条約に署名、しかしロシアとウクライナは同条約に署名していないため現在の戦争でクラスター爆弾を日常的に使用している。
ウクライナは国内で補充できないクラスター爆弾の提供を求め続けており、エストニアのペヴクル国防相は先月「クラスター弾頭タイプの155mm砲弾をウクライナに提供するため製造国のドイツに移転承認を要請した」と明かして注目を集めていた。
エストニアは同条約に署名したものの批准していないためクラスター爆弾の使用や保有に制約がなく、保有するクラスター弾頭タイプの155mm砲弾をウクライナの要求に応じて提供したいのだが、この砲弾はドイツで製造されたものなので移転承認を取り付けなければならず、国際法の専門家であるタリン大学のルネ・ヴェルク教授は「ロシア軍のように人口密集地でクラスター爆弾を使用するのは禁止されている。しかし野外で敵軍を制圧するため使用するのは正当化させるべきだ」と主張しているが、ドイツは同条約を批准しているためクラスター爆弾の移転に同意しない可能性が高い。
ウクライナのクレバ外相は18日、ミュンヘン安全保障会議で「ロシア軍がクラスター爆弾を使用している証拠がある。この兵器が世界的に問題のあるものだと理解しているが、我々はクラスター爆弾を禁じる条約に署名していないためクラスター爆弾使用に法的な障害はない。もしこれを手に入れてもロシア軍に対してのみ使用する」と述べ、兵士の波を制圧するのに効果的であると思われるクラスター爆弾の提供を会議に参加している国に訴えた。
さらにキーウ市長のクリチコ氏も独メディアの取材に「クラスター爆弾や白リン弾(国際的に禁止されていない)が議論の多い兵器だと知っている。しかし本物の戦争ではどんな手段であろうと敵を止めるのが重要で、ロシアがやった大量虐殺は罰せられなければならない」と答え、国際社会にクラスター爆弾や白リン弾の提供を要請するのは「正当な要求だ」と強調したが、どんな理屈を並べてもダメなものはダメである。
ベアボック外相は「自国の自由と欧州の平和秩序を守っているウクライナを支持するが、我々は欧州の平和秩序、国連憲章、国際人道法を遵守する」と遠回しにウクライナの要求を拒否、ショルツ政権に参加している緑の党所属のホフライター議員も「ウクライナはあらゆるものを要求しているが、これは間違った要求で絶対に許可しない」と述べ、左翼党党首のウィスラー議員も「ウクライナの要求は断固して拒否する、このような兵器を提供する国に国際法を擁護したり防衛のため武器を支援する資格はない」とウクライナの要請を批判。
NATOのストルテンベルグ事務総長もミュンヘン安全保障会議で「これらの武器をNATOは推奨も供給もしてない。我々はウクライナに大砲などの武器を支援しているがクラスター爆弾は供給しない」と発言し、ウクライナの要請をきっぱりと公の場で拒否した格好だ。
今回の件でエストニアが要求していたクラスター爆弾の移転は絶望的で、この種の兵器をウクライナが入手するには国内で独自に生産するかしない。
因みに同条約に署名していない米国も昨年12月頃「クラスター爆弾のウクライナ提供を検討し始めた」と報じられたが、議会がクラスター爆弾移転を法的に制限しているため「このアイデアをバイデン大統領は真剣に検討してしない」と関係者は述べている。
関連記事:エストニア、ドイツにクラスター爆弾のウクライナ移転を承認するよう要請
※アイキャッチ画像の出典:Генеральний штаб ЗСУ
もしかして認めるかもと思ってたが、さすがに拒否したか。条約を結ぶということはそういう事よな。
まあ世の中には条約を一方的に破ったり、有名無実化したり、軽いものと思ってる国もあるけど。
ロシア相手だろうが「本物の戦争ではどんな手段であろうと敵を止めるのが重要」とか言っている時点でウクライナ支援すべきかって議論出てきても良いような気もする。もう考え方がロシアのそれじゃんよ、自国危機なのは分かるが条約批准して廃棄した国やそれに準じた行動をしている国をどこか馬鹿にしているとしか思えない。
自分達が西側諸国に耳障りの良い戦い方しているからこその支援継続であって、それを外れればどうなるか想像出来ない訳でもないだろう。
効率は悪いだろうが120mm戦車砲のエアバースト機能を持つ弾薬要求とか、すぐに提供出来るかは置いておいてストライカーの30mm機関砲搭載車も要求してエアバースト弾使用するとか、155mm榴弾砲の空中炸裂で補う為に多目的信管を要求するとかすれば良いのに。
ロシアの考え方が危険だからウクライナを支援しているわけではなく
ロシアが国際的に承認されている領土を超えて領土を拡大
つまり侵略しているからその被害にあってるウクライナを支援しているだけですよ
西側諸国にとってロシアが敵であるというのも重要なところ
むしろこっちのほうが本音といっていいか
アメリカが敵を叩くために支援した国のなかではウクライナの悪行はまだましなほうですからね
テロリストと何が違うのか分からない集団に武器与えたことすら結構あるのだから
ユーゴスラビア絡みだとお互いが民族浄化する地獄絵図だったのに西側諸国は片方の味方をして直接空爆したりしたのだから
それと比べれば直接攻撃せずに武器供与に留めてるだけいろいろ抑えてますよ
条約の穴を突くならともかく『自分たちの目的のためなら、条約なんて平気で無視する』という前例を作ったら、ジュネーブ条約だっておおっぴらに破って良いという事になります。厳格に守られてるかは別として。
『悪のロシアと戦うウクライナを支援するNATO』という大義名分でやっている以上は、対外的にそういう線引きも必要になります。こういうサイトに来る人からすれば、名を得るために対人地雷やクラスター兵器を禁止するという、軍事面での実利を捨てた行為がバカバカしく見えるのは確かです。が、そういった知識や興味の無い西側の有権者たちは、そう考えない人の方が多数ということなのです。
我が国のMLRSもクラスター禁止になってから存在感無くなってそのまま退役の予定みたいですが
こういう禁止条約って批准するつもりがないロシアや中国が得してるだけなんですよね
核兵器禁止条約については我が国もその意識があるのか批准せずにスルーを続けていますね
ロシアや中国が批准しない条約は平和や安全のためにならず自分に制限かけてるだけなんですよ
環境関連の規制もそうですけどね
ロシアや中国からすれば自分で枷作って付けてる西側諸国は笑えるでしょうね
ロシアや中国は「ヘイワダンタイ」に金銭撒いてこうした自縄自縛な条約を西側諸国に制定、批准させてると邪推します。
オスロ条約は「世界のNGOが力を合わせて成し遂げた」とか書いているサイトもありますからね。繋がっているかはともかく、結果的に民意なんて気にしない国を利したのは確かという。
K国の出番じゃん
クラスター爆弾使用すると短期的にはよくても、不発弾とかが領土に埋まり何十年も生活困難になりますからね。
今ならロシアだけが使用しているからロシアにだけ恨み向かうが、ヨーロッパも提供したらヨーロッパにも恨み向かうからしないでしょ。アメリカやヨーロッパは色々あるがロシア軍の虐殺や街の破壊が報道されて、民衆守るために支援の動きがあるから、後に民衆生活破壊する武器の提供は出来ないでしょうね。
この戦争は十年以上はウクライナかロシアの体力つきるから終わるがクラスター爆弾被害は何十年も残りますからね。
>今ならロシアだけが使用しているから
これは違いますよ
クラスター弾も空中散布型対人地雷もロ軍、ウ軍の双方で既に大量使用されています。
ウ軍側ではその補充が出来ないから海外から供与してくれって話です。
戦争当事国としては、国家の存亡がかかっていて、例え国内戦であろうと負ければ
全てを失うのだから、平時感覚での人道問題などこの際糞食らえで、今は戦に勝つ為の
武器が欲しいと言ってるだけの事です。
クラスター弾の代わりにGPS誘導弾を供与するから。。。(震え声
中露米が参加していないのに意味ある?と聞かれるとまぁその通りではあるんだけど、とはいえ正式に参加してる条約を公然と破るのは国際秩序上不味いので…その…
欧米諸国は国際秩序を守る為にこの戦争でウクライナを支援しているのだからね
その大義名分、建前は崩せないと
まさにその通りですね
今回の戦争において、西側は徹底的にベビーフェイスを貫く必要があると思います
ロシア相手には、多分、必要なのでしょう。
製品はもらえないでしょうが、部品をもらって、自分のところで作れば良いと思います。
基になるものはあるでしょうから。
例えば、OTR-21 トーチカの9N123クラスター弾は、ウクライナも所有していて、
コピー生産も可能かと思います。
クラスターのような面制圧兵器を使わなくても効果的な攻撃ができるということでハイマースが供与されたんだけどね。
これは動員前の数が少ないロシア軍に対しては有効だったが動員後の大兵力を叩くにはやはり面制圧弾頭が必要になってきたということ。
ハイマースでちまちまピンポイント攻撃しててもキリがないから。
大軍と戦うには狙撃銃より機関銃が必要ということ。