フランス、ドイツ、スペインが開発を進めている未来戦闘航空システム(Future Combat Air System:FCAS)プログラム=第6世代戦闘機(NGF)のエンジンについて3ヶ国が合意に達したと報じられている。
参考:German MTU, French Safran & Spanish ITP Aero Agree to Cooperate on European Next-Gen Fighter Engine
最悪の事態を避けるためにもドイツは6月下旬まで議会の承認を取り付けて開発フェーズ1Bに移行する必要がある
フランスとドイツは第6世代戦闘機(NGF)の開発や製造に関するワークシェアを50対50で進めること、主導権争いを回避するためFCAS開発はフランス企業がMGCS(次期主力戦車)開発はドイツ企業が主導権をもつことで政府間で合意に達していたのだが新たにスペインが合流したことで参加国の権利やワークシェアの比率などで3ヶ国が揉めていたのだが、ようやく主要コンポーネントのエンジン問題で合意に達したと報じられている。
最終的な合意内容はエンジン開発・製造を担当するフランスのサフランとドイツのMTUが設立した合弁会社EUMETにスペインのエンジン開発・製造を担当するITPをパートナーの地位で迎え入れることで平等(33対33対33)なワークシェアを約束、これによりEUMETはNGF用の新型エンジンを開発する独占的な地位と権利を保有することになり、この新型エンジンが開発されるまでNGFのデモンストレーターにはラファールに採用されているスネクマ製(サフランの子会社)のM88をベースにしたエンジンを搭載することで合意した。
因みにエンジンの開発分担はサフランがエンジン全体の設計と統合を担当、MTUがエンジンのシステム開発を担当、ITPはエンジンに組み込まれる低圧タービンや排気ノズルの開発を担当することになっている。
これで昨年から揉めていた機体やエンジンの開発に係る枠組み問題に決着がついたことになるのだが、機体やエンジンについての各合意は各国の議会で承認を得る必要がある。特にドイツでは今年の9月に総選挙が実施されるため議会が夏休みに入る6月下旬まで承認を得られなければFCASの取り扱いが選挙の争点に浮上して収拾がつかなくなる恐れがあり、議会審議の時間を考慮すると今年2月までの合意形成が必要だったのだが4月末決着となってしまったためドイツ議会の承認(開発フェーズ1Bへの移行)が間に合うかが最大の焦点だ。
仮にドイツ議会の休会に間に合わず総選挙の準備に突入すれば最短でも新たな内閣や議会が整う10月以降の審議になり、総選挙でFCASが争点に浮上して合意内容以上の要求が出てくれば再びフランス、ドイツ、スペインの3ヶ国は開発の枠組みから話し合いを始めなければならない。
この様な最悪の事態を避けるためにもドイツは6月下旬まで議会の承認を取り付けて開発フェーズ1Bに移行する必要がある。
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※アイキャッチ画像の出典:Tiraden / CC BY-SA 4.0 パリ航空ショーで発表されたダッソーFCASのモックアップと随伴機の無人機
みんなが対等な話というのが実は危うい気がする
中心、責任、問題処理を押し付けあったり奪い合ったりはしばしば綺麗事から起きるのに
某銀行のシステム統合はそれで泥沼化したなぁ
単純に比べちゃいけないんだろうけど、あの銀行も内部の派閥争いがひどいからなぁ・・・
統合して20年経過した組織ですらアレだと、別の国の官民同士の共同作業・意思疎通とか悪夢だろうな
合意の上で合併吸収された某メーカー側の幹部は、10年後にはみな追い出されてたっていう実話
冷酷に見えても、企業統治とかいう視点からすると冷酷に振る舞ったほうが正解なんだろうね
帝国憲法も大臣間の権限が平等に近くてグダグダを招いたな…
後から入ってきた西まで含めて数字上は均等なのに
主導権は仏が持つ、って無理があるよね。
まだ不穏な雰囲気は残ってるけど一応一段落ついた形か、この後は順調に進んで欲しいが
ドイツ議会という最大の壁がねぇ・・・(白目)
またなんか文句つける事はないよね?流石に。
メルケルの後継候補に緑の党からヤバいのが出てきてるらしいけど
これが首相になったらドイツが絡んだ共同開発全部破談になりそうだな
『ドイツは「緑の首相」を選ぶかもしれない』出典Newsweekヤフー記事
>■ 緑の政策(中略)
緑の党が政権を取れば、独仏防衛協力の主要プロジェクトである独仏戦闘機の開発も終焉を迎えるかもしれない。ベアボックは、ドイツが核兵器禁止条約に署名すること、NATOの核共有プログラムから離脱すること、ドイツ国内からすべての米国製核兵器を撤退させることを要求している。彼女は3年前にこれらの立場を表明して以来、今も否定していない。これは、核抑止力なるものを、克服すべき「有害な男性原理」だとする「フェミニスト外交」を主張しているからだ。
リンク
えぇ…ベアねき強烈すぎませんかね。つかこれポーランドにぶん殴られたりしません?
その時は「有害な男性的侵略行為」とかいって批判するんじゃねーの
ヤバくて草も生えん・・・
え?マジでこいつ有力候補なの・・・?
いや、そんなでもないよ。きっと。政治の世界では、6割の健常者の票を取り合うより、特定のメンタルに問題を抱えた人のグループ票を独占した方が有利という考えがある。
だから、本当に首相になったらグダる。
グダるで済めば良いけどね
戦後ドイツに短命政権殆どないし、本当に任命されたらエコ文化大革命とかやりかねないぞ
今世界中で脱炭素やSDGsとか気色悪い熱狂に包まれてるし
普通は選挙で夢見事語ってもいざ政権についてみたら
議会や官僚が現実問題でぶっ叩いてグダったり日和ったりするもんだけど
ドイツはなんというか議会や官僚までおかしなのが揃ってるんじゃ?という懸念が……
国防省の仕事っぷりを見ると
ドイツの官僚機構に良識は期待出来ないと思う
極左も過ぎればナチス忘れる
ユーロファイターも合意してからも開発費で揉めたんだよなー
まだまだ揉めそうだなぁ
これでボールはドイツに投げられたわけか…
明後日の方角に投げ返さないで欲しいけどな
そこはドイツだからw
33%ずつ3者平等……
1%残ってるのは失敗した時の言い訳用なのかな
33%は翻訳でしか出てこないよ。1/3とか等配分の方が正確な訳かな。
まさかのワークシェアを均等割りwww
また揉めて、遅延して、責任押し付け合う未来しか見えねー。
ズバリそれでしょう
どうせまた分配率以外の条件でモメるに決まってる
今度は主導権争いでモメるに300円賭けても良い
今回のタイトルで不毛な争いに終止符とあるが
次の不毛な争いまでの当面の猶予期間を得ただけ になりそうというかなるやろ
どうせまた揉めるし他の部分でも揉める
不毛って単語、ハゲには辛いよね・・・
座布団二枚進呈にと、ドイツネタだからソーセージもサービスな
合意出来たのか。
ちょっと意外。
こんなの、次のちゃぶ台返しまでの中継ぎでしょう
仰る展開がこの先待ってるのでしょうが、
それでも合意出来た時点でちょっと意外。
それすら出来ずグタグタの内に空中分解、と予想してたから。
落ち着く所に落ち着いたんじゃ無いの?ワークシェア1/3ってのが本当に馬鹿正直に履行されるか分からないけどな。下手にシェア欲張って身の丈に合わない部品製造のツケを他に回すのは言語道断だし、参加国導入した自国分の保守作業とか他国に回すのは考えにくい。結果的にスペインのシェアはFCASが三カ国以外に採用されないと合意通りにはならないと思うんだが。
揉めたときのためにフランスが主導権取っておいたほうが良いと思うんだけどなあ
権利が均等割って爆破炎上する未来が見える見える
でもこうでもしないと話が全く進まんからしゃーないんだろうなあ
この件はネタとしてまだまだ終わらないって、かならずドイツが動く
鉄板の予想だよ