欧州関連

賢い買い物か?ポーランド、1機あたり約220億円でF-35Aを32機導入

ポーランドが米国に売却を要請していた32機のF-35Aについて、9月11日に米国務省はポーランドへの販売することを承認し、米議会に対しても通知を行ったと発表した。

参考:Poland – F-35 Joint Strike Fighter Aircraft

1機あたり約220億円でF-35Aを導入するポーランド

ポーランドは、旧式化した旧ソ連製戦闘機SU-22M4/UM3K(SU-17の輸出型)や、MiG-29A/UBを更新するため、2019年5月、米国に対し第5世代戦闘機「F-35A」の売却要請を行っていた。

出典: Airwolfhound from Hertfordshire, UK / CC BY-SA 2.0 ポーランド空軍のSU-22M4

米国務省の発表は、この要請を承認するというもので、ポーランドが32機のF-35Aを導入するために負担する総費用は約65億ドル(約7,020億円)だ。

この65億ドルに含まれているのは、32機のF-35A、33基のエンジン「F135」、F-35に搭載される電子戦システム、F-35の保守やスペアパーツの管理を行う「ALIS」システムへの接続権利、ポーランド軍のパイロットやエンジニアの訓練費用、各種スペアパーツ、ロッキード・マーティンによるサポート費用などが含まれている。

ただしこの費用には、F-35Aが使用するAIM-120やAIM-9、誘導爆弾「JDAM」などは含まれていない。

ロッキード・マーティンによれば、ポーランドが導入するのは現行の「ブロック3F」ではなく、現在開発中で、新しい兵器の運用能力が統合され、ウェポンベイに収容できるAIM-120が現行の4発から6発に増える「ブロック4」がインストールされたF-35Aだと話しているため、ロット12以降に製造されるF-35Aが供給されるはずだ。

そうなるとF-35Aの機体単価は現行(ロット11)の8920万ドル(約97億円)よりも、価格が引き下げられたロット14=7600万ドル(約82億円)程度のF-35Aが供給される可能性が高いが、単純に今回発表された総費用約65億ドルを調達数(32機)で割ると、1機あたりの調達費用は約2.03億ドル(約220億円)となる。

これは導入総費用約65億ドルの内、機体調達に掛かる費用は約25億ドル(約2,700億円)程度で、約40億ドル(約4,320億円)が機体以外の部分に掛かる費用という意味だ。

一見、非常に高価に見えるが、これまで旧ソ連製軍用機の運用経験しかないポーランド空軍は、一から米国製戦闘機を運用するためのインフラを整備する必要があり、当然、その分のコストが必要となるため、仕方のない負担とも言える。

出典: Rhk111 / CC BY-SA 4.0 F-16Vのスケールモデル

しかしポーランドは、F-35A導入の見返りとしてロッキード・マーティンから、ポーランド企業によるグローバルなF-35部品製造への参加が保証されており、今後製造のピークを迎えるF-35製造に参加し、投資額の一部を回収することが可能になるため、相対的に見ればブルガリアが導入を決めた、1機2億ドルを超えるF-16V(F-16C/D block70/72)よりも賢い買い物になるかもしれない。

もしかすると将来、日本に引渡されるF-35AやF-35Bには、ポーランドが製造したコンポーネントが搭載されているのかもしれない。

 

※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by R. Nial Bradshaw

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コメント

    • 匿名
    • 2019年 9月 12日

    ドイツに変わってポーランドが新たな軍事大国として浮上してきそう
    装備の自主開発も色々やってるし面白い国だ

    1
      • 匿名
      • 2019年 9月 12日

      ポーランドは対露最前線だからね
      軍事大国目指すというより自主国防力の向上っていう日本と同じ理由だと思うよ
      そもそもドイツがサボってるのはポーランドを盾にする気マンマンだからだし
      後ろが頼りにならんからしょうがなく頑張るしか無い

      4
    • 匿名
    • 2019年 9月 12日


    ポーランド空軍は既にF-16C/Dを48機運用し、また現用の旧ソ連製軍用機もNATO規格に標準化されていますが?

    • 匿名
    • 2019年 9月 12日

    日本はF-35を147機導入する予定であるとのことですが、当然一括購入なんて出来るはずもなく年度ごとの発注ですよね?
    小分けにして購入していたらブロックがバラバラで性能差が発生するような事態にはならんのでしょうか?
    その場合、後からグレードアップして性能差を埋めるのかもしれませんが、ただでさえ低性能で高いブロックの機体に追加費用をかけるのもなんだかなぁと思ってしまうのですが。

      • 匿名
      • 2019年 9月 13日

      防衛省のF-35追加導入要求は2019年から2023年までに45機なので、残り60機が2024年以降の予算になる予定です。
      45機はブロック3F、残り60機がブロック4を予定していると想定して、残り60機の調達が終わってからブロック3F機をアップグレードする予定なのでしょう。
      ブロック4はソフトウェアだけでなくハードウェアの更新もあるので、MHIで重整備ついでに更新することになりそうです。

    • 匿名
    • 2019年 9月 12日

    ドイツに変わってポーランドが新たな軍事大国として浮上してきそう>
    ポーランドはNATO加盟に伴い、NATOの対ロシア戦略上の最前線になったので(隣国のベラルーシは親ロシアで、その隣がロシア)、自国防衛のみならずNATOの一員と言う意味でも、軍拡が必須な環境になって居るのです。

    ポーランド空軍は既にF-16C/Dを48機運用し、また現用の旧ソ連製軍用機もNATO規格に標準化されていますが?>
    ポーランドのF-16C/Dブロック52アドヴァンスは2006年からの導入なので、もう最新鋭とは言えない。
    更に旧ソ連製のMiG-29はドイツからの譲渡機も含めて、80年代後半から90年代にかけての導入で、NATO規格に標準化されたと言っても西側の戦闘機と全く同じ事が出来る訳では無いし、機体寿命が西側の戦闘機よりも短いと言う問題点もある。
    SU-22に至ってはもっと古く、欧州でも運用しているのはポーランド空軍だけと言う状況なので、後継機が必須の状況。

    2
    •  
    • 2019年 9月 13日

    確かに高価だが、米国との連携強化込みと考えているんだろう。
    ポーランドは冷戦終結後、対米連携強化に熱心な国という印象がある。
    1999年に素早くNATOに加盟し、イラクには2500人、アフガンにも2600人派兵した。

    近隣のバルト三国も2004年にNATOに加盟し、ロシアの難を逃れている

    それに比べダメな比較対象はもちろんウクライナである。

    • お!
    • 2019年 9月 13日

    北極周りだと、ポーランドって近いんだよな。
    重整備ってなったらイタリアかアメリカか日本か。
    日本だったら、ムネアツだ。

    • 匿名
    • 2019年 9月 13日

    軍オタには電撃戦でやられ役にしか見えないポーランドだが、歴史を振り返ると大国だった時期もあり何度国が滅んでも蘇る不死鳥国家。今は蘇ってる最中なんだろうな

    3
    • 匿名
    • 2019年 9月 13日

    ヨーロッパに駐留するアメリカ軍はその主軸をポーランドに移す・・・
    (ドイツの駐留部隊から引っこ抜いて・・・)って話もありますね

    1
    • 匿名
    • 2019年 12月 28日

    第一次大戦後には英仏と結んでたポーランドだったが、ドイツがポーランドに侵攻しても英仏は準備不足でまるで動かず、見殺しにされたからな。
    ドイツがEUの統合に失敗して瓦解が始まっている以上、ポーランドが英仏からアメリカに提携先を乗り換えるのも必然。

    1
    • KAMA
    • 2022年 6月 04日

    ブルガリアはポーランド以上に西側機の運用インフラも整っていないですし、航空機産業もない国ですので飛行後の点検補修費用のお高いF-35Aよりは、初めての西側戦闘機としてはF-16Vの選択も悪くはないかと。
    価格も確か諸費用を含めた価格でしたし。

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