欧州関連

搭載するF-35Bの調達は? イタリア海軍の軽空母「カヴール」でF-35B受け入れ準備完了

イタリア海軍は今月6日、近代改修が無事完了した軽空母「カヴール (C550)」が海上試験のためマル・グランデ海軍基地から出港したと明らかにした。

参考:Italian Navy Cavour Aircraft Carrier ready for F-35B integration tests

F-35B受け入れ工事が完了した軽空母「カヴール」が海上試験のために出港

スキージャンプ勾配を備えたイタリア海軍の軽空母「カヴール(2万7,100トン)」はSTOVL機のAV-8B+ハリアーIIプラスを10機~12機、対潜ヘリEH101 ASWと早期警戒ヘリEH101 AEWを数機づつ搭載して運用が行われていたがAV-8Bの後継機として調達する第5世代戦闘機F-35Bの運用に対応するため、2018年11月から船体のオーバーホールとフライトデッキの耐熱処理を行っていた。

1年以上に及ぶ近代改修が無事完了した軽空母「カヴール」は海上試験と乗組員の訓練を行った後に米国へ向けて出港、米東海岸でカヴールとF-35Bの適合テストを受ける予定だ。

出典:Marina Militare Italiana / CC BY-SA 4.0 イタリア海軍のF-35B

因みにイタリアはF-35の導入を全機削減すると言い出したため軽空母カヴールの搭載機問題が浮上したが、結局全てキャンセルすると高額な違約金が発生するため90機調達維持で決着(F-35Aを60機+F-35Bを30機=計90機)したのだが、今度は別の問題が浮上してきた。

イタリア政府は福祉分野へ予算を回すため国防費を削減しており、その影響でF-35の調達ペースが(年間10機→5機)落ちてしまい予定したF-35を全機取得するのに15年以上かかると言われており、2020年引き渡し分を入れてもイタリアにはF-35Bが計4機しかなく、そのうち1機は空軍のものだ。

補足:イタリアが調達するF-35Bは空軍向けに15機、海軍向けに15機(当初22機)の計30機で年間調達ペースはF-35Aが3機~4機、F-35Bが1機~2機

結局、海軍が15機のF-35Bを全て入手できるのは最短でも10年~12年(F-35Bを海軍に優先的にまわした場合)はかかるので、これは現在運用中のAV-8B+を2030年代まで維持しなければならない事を意味している。

出典:Causa83 / CC BY-SA 3.0 イタリア海軍のAV-8B+

米海兵隊もF-35Bの調達が遅れているためAV-8B+のアップグレードを行い2028年まで延命させるのだが、イタリアには特にアップグレードの計画は無いので1991年から運用が開催された海軍のAV-8B+が2030年頃まで運用状態を保てるのか非常に怪しい。

この問題に追い打ちをかけたのが新型コロナウイルスだ。

もし新型コロナウイルスの対応に国防費を更に削って予算を回せば、そのしわ寄せがF-35の調達を直撃するのは誰の目にも明らかだ。果たしてF-35Bの受け入れ工事が完了した軽空母「カヴール」にF-35Bが到着するのは一体何時になるのだろうか?

関連記事:イタリア海軍の苦難!F-35Bが調達ストップで空母「カヴール」が存続の危機

※アイキャッチ画像の出典:Gaetano56 / CC BY-SA 3.0 イタリア海軍の軽空母「カヴール」

遂に陸自のV-22オスプレイが日本到着! 木更津への輸送は新型コロナの影響で未定前のページ

ボーイングの未来が掛かったF/A-18E/F BlockⅢのプロトタイプ初公開次のページ

関連記事

  1. 欧州関連

    人間対AIの戦い、トルコ製ドローンが初めて自律的に敵兵士を攻撃したと国連が報告

    多くの海外メディアは国連が発表した報告書に注目しており、自律的に攻撃可…

  2. 欧州関連

    フランス、攻撃型原潜ペルルのニコイチ修理が完了して母港へ向け出港したと発表

    フランス軍事省のグランジャン報道官は26日、火災で損傷したリュビ級原子…

  3. 欧州関連

    英海軍を去る第二海軍卿の置き手紙、変化を拒み海軍の革新を邪魔する人間は必要ない

    37年間の海軍生活に別れ告げた第二海軍卿のハイン副提督は「偉大な海軍は…

  4. 欧州関連

    駐英ウクライナ大使、戦争回避のためNATO加盟を断念するかもしれない

    ロシア軍侵攻のリスクが高まる中、駐英ウクライナ大使のヴァディム・プリス…

  5. 欧州関連

    費用と手間を大幅削減、サーブが戦闘機「グリペンC/D」向けに交換用AESAを発表

    今回は欧州関係の話題を2つ、グリペンC/D向けに開発されたアップグレー…

  6. 欧州関連

    ラファールと相互防衛協定がおまけ? フランスが破格の条件でギリシャの次期フリゲートを受注

    世界一激しい受注競争に発展していたギリシャの次期フリゲートを受注するこ…

コメント

    • 匿名
    • 2020年 5月 09日

    最悪、イタリア海軍自身が戦闘機を保有出来なくなっても「米海兵隊のF-35Bを載せてやる」と言う選択肢があるから、カブールの存在は無駄にならないと思う
    実際、海自のいずも型護衛艦や英海軍のクイーンエリザベス級空母でも同じ事をやる訳だし、意外と大した問題にはならなそう

    1
    • 匿名
    • 2020年 5月 09日

    イタリアとスペインはどうしてもコロナの悪影響は出るだろう

    • 匿名
    • 2020年 5月 09日

    コロナで各国が軍事費を削減してる中日本だけ贅沢は出来ない
    中でも必要性の薄いF35Bは全機キャンセルすべき

      • 匿名
      • 2020年 5月 09日

      まるで中国人工作員の理屈笑う
      各国がコロナ対策に忙殺の隙に軍事的プレセンスを高めてる中華を利してどうするのよ、

      1
        • 匿名
        • 2020年 5月 09日

        これ見よがしに空母機動部隊動かしているから、むしろ最優先でいずも型の空母化を優先する必要が有るかと

        • 匿名
        • 2020年 5月 09日

        確かに。
        核弾頭付きSLBMで節約する他ない。
        200基もあればよろしい

          • 匿名
          • 2020年 5月 10日

          SLBMや核はともかく、ロシア極東と中国の航空基地と軍港を打撃できる弾道ミサイルは欲しいんだよなあ・・・
          これでも十分専守防衛の範囲内

      • 匿名
      • 2020年 5月 09日

      それやるとアメリカがかなり重い関税をかけるから
      かえって経済が悪くなるんですよ
      逆に購入数を倍増させれば貿易で有利な条件を引き出せるまでありますね
      ただそれやったら機体の維持費が・・・バランスは大事です

      • 匿名
      • 2020年 5月 09日

      正論ですね
      兵器では国民の生活を支える事はできません
      せめてコロナ禍の影響が消えるまでは自衛隊の正面装備は購入を控えるべきです
      その分を中小企業や個人への助成金と回せばコロナ不況回復への大きなブーストとなるでしょう

      • 匿名
      • 2020年 5月 09日

      中国や韓国で軍縮するべきだと言ってくるべきだな。

      1
      • 匿名
      • 2020年 5月 09日

      >コロナで各国が軍事費を削減してる中日本だけ贅沢は出来ない

      いい加減なことを言うな。中国が軍事費削減しているか?

      >中でも必要性の薄いF35Bは全機キャンセルすべき

      「必要性の薄い」とは変な日本語だがまあいい。「必要性の薄い」という根拠は?
      どこが必要性のある部分か言えるのか?日本を取り巻く情勢分かってんのか。
      俺の疑問に全部納得できる回答をしろよ。どうせできないだろうけど。

      • 匿名
      • 2020年 5月 10日

      やーい五毛党w

      1
    • 匿名
    • 2020年 5月 09日

    地中海で唯一バトルの相手になりうるのは、シリア駐留のロシア小艦隊のみ、それも強いて言えばの話
    カブールは海軍の象徴的存在に過ぎないから、不要不急といわれたらそれまで
    極東の海とは違うとしか

    • 匿名
    • 2020年 8月 06日

    米海兵隊がしばらくハリヤーを使うという事は、いずも型やひゅうが型に米海兵隊のハリヤーがクロスデッキで離着艦する可能性もある、ということかな、。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 中国関連

    中国、量産中の052DL型駆逐艦が進水間近、055型駆逐艦7番艦が初期作戦能力を…
  2. 米国関連

    米陸軍の2023年調達コスト、AMPVは1,080万ドル、MPFは1,250万ド…
  3. 米国関連

    F-35の設計は根本的に冷却要件を見誤り、エンジン寿命に問題を抱えている
  4. 北米/南米関連

    カナダ海軍は最大12隻の新型潜水艦を調達したい、乗組員はどうするの?
  5. 欧州関連

    トルコのBAYKAR、KızılelmaとAkinciによる編隊飛行を飛行を披露…
PAGE TOP