欧州関連

ノースロップ・グラマン、英国初の無人戦闘機開発にパートナーとして参加

ノースロップ・グラマンは今月27日、英国初の無人戦闘機開発プログラムにパートナーとして参加する契約を締結したと発表した。

参考:Northrop Grumman in the UK and Intrepid Minds Receive Project MOSQUITO Phase 2 Contract Awards

英国初の無人戦闘機はノースロップ・グラマンの技術をベースに開発されると見てほぼ間違い

英国は開発を進めている第6世代戦闘機「テンペスト」だけでなくタイフーンやF-35Bのロイヤル・ ウィングマン(忠実なる僚機という意味)として作動する無人戦闘機の開発を進めており、2023年までに技術実証機「モスキート」を製造する予定でノースロップ・グラマンUKは同プログラムに開発パートナーとして参加する契約を締結したと発表した。

ノースロップ・グラマンUKは技術実証機「モスキート」の開発期間を短縮するためデジタル・エンジニアリングの知識や技術の提供に加え、無人機に欠かせない自律分散制御システム、ゲートウェイ装置、メッシュネットワーク機能を英国初の無人戦闘機に提供すると説明しており、新たに開発に加わった英企業のイントレピッド・マインズが無人機の制御システム開発を担当するらしい。

出典:英国空軍

今回の契約発表によって英国の無人戦闘機開発を率いるチーム・モスキートは米企業のスピリット・エアロシステムズ、ノースロップ・グラマンUK、英企業のイントレピッド・マインズの3社で構成されることが決定したのだが、本来の主契約者は英企業のカレン・レンツとボンバルディアの北アイルランド部門によるコンソーシアム「チーム・ブラックドーン」だったのに米企業のスピリット・エアロシステムズに取って代わられているのが興味深い点だ。

ボンバルディアの航空部門は経営不振に陥っており同社の小型旅客機「CRJシリーズ」は競合機(SpaceJet)の開発を進めていた三菱重工に売却され、北アイルランドにあった製造部門も米企業のスピリット・エアロシステムズに売却されてしまい、いつの間にかチーム・ブラックドーンから英企業のカレン・レンツが抜けスピリット・エアロシステムズの北アイルランド部門が主契約者になってしまった。

出典:Grasshopper2015 / CC BY-SA 4.0 MRJ 試験一号機

なぜ英企業のカレン・レンツが抜けたのかは不明だが英国が最も重視するのは企業の国籍ではなく、国内に拠点をもち英国人の雇用に繋がるかなので北アイルランドの製造部門が引き続き無人戦闘機の製造に携われ北アイルランド経済に貢献できるならカナダのボンバルディアだろうが米国のスピリット・エアロシステムズだろうが関係ないのだろう。

逆を言えば英国の安全保障政策への投資は国内経済とリンクする必要があり、2019年にE-3の後継機として導入することを決めたE-7Aは英国企業がライセンス生産を行うのではなくボーイング初の欧州製造拠点シェフィールド(英)で製造されているのが特徴だ。

出典:U.S. Air Force photo by Staff Sgt. James Richardson オーストラリア空軍のE-7Aウェッジテイル

さらに英国は政治や軍事的に結びつきの強い米国との関係を利用して米国防総省のプログラムにBAEシステムズが食い込んで多額の受注を獲得しているが、これはBAEシステムズの現地法人が米国防総省の機密を保護するため幾つもの対策を講じた結果で日本も参考になるかもしれない。

防衛産業からの日本企業撤退が相次ぎ今後自衛隊の装備品は海外企業からの調達が増加すると思われるが、仮に海外企業からの調達するとしても輸入するのではなく日本に現地法人を設立させ日本人雇用につなげるなど欧米の装備調達方法を参考にしながら「新しい調達方法の模索」が必要ではないだろうか?

少々本題から外れてしまったが英国初の無人戦闘機はノースロップ・グラマンの技術をベースに開発されると見てほぼ間違いないだろう。

関連記事:英国防省、無人戦闘機の技術実証機「モスキート」を2023年までに開発

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※アイキャッチ画像の出典:英国空軍

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コメント

    • 匿名
    • 2021年 4月 28日

    ボーイングがオーストラリアでノースロップグラマンがイギリスでアメリカがよくわからんベンチャー?
    ギミックとしてはオーストラリアのが面白いのかな今んとこ

    4
    •   
    • 2021年 4月 28日

    UAVベンチャー企業は日本でもいくつか出てきているが、それらの企業が儲からない防衛産業に参画するかってーとどうなんだろな
    既存の防衛産業企業が一から開発するとなるとコストが高くついてしまう
    コストの低さというのもUAVには重要な要素になってきているし

    • 匿名
    • 2021年 4月 28日

    バンボルディア?

    1
    • 匿名
    • 2021年 4月 28日

    将来的には日本の防衛産業は英国のBAE、ロールスロイスみたいに
    三菱重工、IHIに集約されるんやろうか?

      •   
      • 2021年 4月 28日

      イギリスでの軍事企業集約ってのは、左派政権下での社会主義に影響を受けた政策として行われたんだよ
      つまり国有化された
      しかし経済が停滞したので民営化した

      最近は新自由主義が流行りだし、儲からない防衛産業で集約したところで会社が保たないと思うが
      海外市場も無いしね

      3
    • 匿名
    • 2021年 4月 28日

    バンボルディア?
    ボンバルディアでなく?

    1
      • 匿名
      • 2021年 4月 28日

      盗用サイト識別用のシグネチャでは?

      7
      • 匿名
      • 2021年 4月 28日

      どこまで詰めようが「カタカナ」ですから

      1
    • 匿名
    • 2021年 4月 28日

    誤記でも分かればいいだろ粘着
    スペック馬鹿はどうでもいい些事にしか興味を抱けないようだな

    5
    • 匿名
    • 2021年 4月 28日

    日本の無人機は実質的にLM社だから差が出たな。でもF-3の方はNG社も参加しているから共通項があるかも?

    2
      • 匿名
      • 2021年 4月 28日

      LM制作なんて初耳なんだけど、どこの情報?

      10
    • 匿名
    • 2021年 4月 28日

    >自律分散制御システム、ゲートウェイ装置、メッシュネットワーク機能を英国初の無人戦闘機に提供すると説明
    ノースロップ・グラマンが上記技術を確立済或いは目処が立ってるてことが分かる記事で非常に参考になりました。

    • 匿名
    • 2021年 4月 29日

    日本はF-3とリンクさせる無人機開発はどうするんですかね。、

    1
      • 匿名
      • 2021年 4月 29日

      多分F-35とF-3共用で使える無人戦闘機を考えてんじゃないかな
      となるとミーティアみたいにF-35にアクセスできる国と組むか何かしないと
      別々に無人機を用意するとか貧乏性の自衛隊がやるとは思えん

      1
      • 匿名
      • 2021年 4月 29日

      防衛省は20年12月から「遠隔操作型支援機技術の研究試作」をSUBARUと契約してるぞ、23年までとなってる。
      それまでに評価可能な試作機つくるはず。
      最後は願望

      2
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