ドイツ、フランス、スペインは16日「将来戦闘航空システム(Future Combat Air System)に含まれる次世代戦闘機のデモンストレーター製造契約を産業界に授与した」と発表、これを使用した技術実証を2029年に開始する予定だ。
参考:Europe’s Future Combat Air System: on the way to the first flight
参考:European Future Combat Air Program Wants Demonstrators Flying By 2029
FCASは1機のA400Mから小型RC×50機と大型RC×12機を発進させることを想定している
フランス装備総局(DGA)が3ヶ国を代表して締結した契約によると将来戦闘航空システム(FCAS)の開発はフランスのDassault、ドイツのAirbus部門、スペインのIndraが主導、コアシステムの次世代戦闘機(NGF)開発はDassaultが主契約者で、これをAirbusがドイツとスペインの代表企業としてサポート、NGFのエンジン開発はEumet(仏Safranと独MTUの合弁会社)が主契約者で、スペインのITP AeroがEumetの主要パートナーとして開発をサポートし、2028年までにNGFのデモンストレーターを製造して2029年から技術実証を開始する予定だ。
3ヶ国はNGFが含まれるFCASを2040年頃に導入し、このファミリーシステムに含まれる新技術要素(NGF、チーミング可能な無人戦闘機や無人機、搭載兵器類、ネットワーク技術など)とタイフーン、ラファール、A330MRTT、A400Mといった既存戦力を統合する予定で、特にNGFや既存戦力とチーミング可能なRemote Carriers(RC)と呼ばれる無人機は輸送機で戦場空域に運搬され、1機のA400Mから小型RC×50機と大型RC×12機を発進させることを想定しているらしい。
RC開発の主契約者であるドイツのAirbus部門によれば「RCは常にパイロットの制御下にあるものの高度な自動化技術で運用される」と明かしており、米国や英国(テンペストプログラムのこと)の計画と同じでファミリーシステムに含まれる無人機とのチーミング技術は既存戦力にも適用されるのだろう。
英国も「イタリアや日本との共同開発(GCAP)と平行して無人航空機や武器といった追加能力に関するニーズの評価を行う」と言及し、BAEが新たに提案した機敏で手頃な無人戦闘機のコンセプトの検討を進めており、英空軍はテンペストよりも先に無人戦闘機を実用化(2020年代中)させてF-35Bやタイフーンに統合させたいと考えている。
FCASに含まれるRCが2040年よりも前に登場するのか、日本が「次期戦闘機を始めとした装備を補完し得る自律型システムに関する重要な連携を米国と開始した」というシステムがいつ登場するのかも不明だが、将来の軍事作戦は有人プラットフォームと無人プラットフォームの協調下で実行されるのはほぼ確定的なので、無人プラットフォームに対する投資に乗り遅れた国は有人・無人チーミング(MUM-T)の流れに取り残されることになるだろう。
因みに正式な動きではないが第6世代戦闘機にする討議が韓国空軍のセミナーで行われ、KF-21のアップグレードとは別に「韓国、ポーランド、スウェーデンという枠組みで第6世代戦闘機を開発してはどうか」とアイデアが登場したらしい。
関連記事:FCASのサブシステム開発、エアバスがA400MからのUAV投下に成功
関連記事:日英伊が次世代戦闘機の新たな枠組、グローバル・コンバット・エアー・プログラムを発表
※アイキャッチ画像の出典:Rama/CC BY-SA 3.0 fr NGFのArtistImageで公式のイメージではない
今後も無人化は進むだろうから自衛隊も人員削減とかなるのかな
それとも維持したまま中途半端に無人化するめるか?
歴史を振り返ると軍隊の組織を近代化するときは大体リストラやってる気がする
現状でも隊員が不足していますので・・・
むしろ人員削減を前提とする方が中途半端な無人化につながるんじゃないの。
戦場の無人化は全体の兵員数の縮小とは直結しないからねえ。多数の無人機を運用整備するとなると今まで以上手間がかかる可能性はある。そこら辺の効率化は無人機技術の進展とは別次元になるから、人員削減につながるかは出来高でしかない。貧すれば鈍すというけど、拙速に人員削減を進めればむしろ無人機技術の進展をゆがめると思うね。
計画前段階では散々モメても、いざやることが決まればトントン拍子でモノが出てくるというのはさすが欧州企業連合という感じですね(まだ予定ですが)。いかに西欧が軍事的脅威をあまり感じていないとはいえ、ここであまり遅れるとFCASを買うべき欧州の国々が競合品に目移りしてしまうという切迫感も働いたのかもしれませんね。
対して、韓国の次世代戦闘機計画の方向性の話とても興味深いですね。あくまで個人の意見として、KF-21は第六世代戦闘機のシステムプラットフォームには少し手狭じゃないかなと思っていました(ポメラはF-5やF-4といった旧来戦爆を置き換える事に最適化されており、まとまった数が調達出来るコスト性も条件の一つだったとされる)。国防院やKAIは今までKF-21ベースで将来戦に対応させるという話をしていましたが、ここに来てポーランドとスウェーデンという欧州外縁の重工業国を抱き込むのは面白そうですね。戦争が終わったらここにウクライナも合流したり、トルコ参加も有り得そうですね。旧列強が競い合う次世代兵器の開発競争に西側新列強が参加するという構図が成立するなら楽しみです。
このデモンストレーターは3年近く前に始めようとしてたけどドイツが金出さねえから始められねえ、2026年の初飛行に間に合わなくなる、って騒いでた奴ですよね?
しっかり3年後ろ倒しになってるのでトントン拍子には程遠いと思いますが…。
その頃には中露の元気が残っておらず
テンペストともども無駄に終わってくれることを切に願う
侵略を企てる勢力がなくなれば増税してまでこんなものを作る必要はない
自由主義圏が連携して中露への経済制裁を強化し継続することが平和への最短経路であることは疑いない
全部中露が悪い
第6世代の内容を知りたいですね。
まだ、米国は定義を決めてはいないと思いますが。
先日観た動画で、 Mig41の紹介があって、
”超高高度をM4で飛び、宇宙空間での活動も可”
と言うのがありました。
俄には信じられないですが。
米国のNGADやF/A-XXの場合は
これ戦闘機じゃなくて小型爆撃機ですよねってくらい
運動性よりステルス性を優先したデザインになってる
GCAP(テンペストや次期戦闘機だったころのデザイン含む)やFCASは
YF-23のような垂直尾翼と水平尾翼をまとめる設計で、
既存よりはステルス性を重視する一方である程度は運動性も考慮してるけど
米国のNGADやF/A-XXは尾翼がなくて全翼機みたいになっちゃってる
これでいくなら格闘戦するつもりはないのだろう
次世代戦闘機は従来の概念での第○世代とは一線を画すのでは。
管理人さんが述べておられる通り、
「将来の軍事作戦は有人プラットフォームと無人プラットフォームの協調下で実行される」
ことに適応する存在でしょう。「戦闘機の主敵は戦闘機」を基にした従来的世代概念とは別物かと思います。
基本的意思決定は有人機が担いますが、その目的実現には任務単位の無人アセットが自律的に対応する。有人機は状況に応じた意思決定者で、現場を仕切るコンダクターとでも言えば良いでしょうか。
カギを握るのはAIとステルス技術だろうと思います。総合的優劣はこれらの達成レベルになるのではないかと。これを元にした新たな世代分けが行われるかもしれません。
将来的にAIの自律レベルが訓練を受けた人間以上になれば、究極には有人戦闘機は不要になる理屈です。
レイトレーシングによるステルスをACMでも維持出来る機体かな?
F-35はそこに達しつつある気がするけど。
・F-35以上のステルス
・F-35以上のエンジン出力と出力重量比
・F-35以上の整備性と低コスト
・F-35以上のネットワーク戦闘能力
F-35超えたら第六世代名乗っても誰も文句言わないと思います。商売敵のロッキードマーチン以外は
「以上」はイコールを含むのでそれだとF-35が第6世代になっちゃうし、「何かしらで越えたら」でもF-35のblock4は該当しちゃうよね。
一方で「(単発化するためにエンジンを大型化してる)F-35以上のエンジン出力」は別にマストじゃないし、双発の合計を含めていいならF-15どころかスパホでも上回ってるので条件としてほぼ意味がない。
そして新世代機の初期の機体はF-22やF-14/15、F-4の様に極めて高価な機体になる(新技術がモリモリ詰め込まれてるんだから当たり前)ので低コストを新世代機の条件にするのはどうかと思う。
「第六世代」だと売り文句として曖昧なんで「F-35に勝てる」とかに変更する時期が来てるかもしれませんね。それはそれで揉めそうですが…
それだと「F-35以上の〇〇×4、F-35超えたらF-35に勝てる」になっちゃってただのトートロジーですよ。
正直F-35はコストや入手性を含めての「西側第五世代標準機」ではあっても決して「最強無欠の第五世代機」でも「第五世代機の完成形」でもないので、F-35を新戦闘機のベンチマークとする事そのものが不適切だと思えます。
特に上でも書いた様に双発機の場合それだけで飛行性能・コスト面の値が大きく変わるので「F-35と比べて〇〇」はほぼ意味がないかと。
韓国の第6世代構想も気になるけどそれ以上にKF-21block3でエンジンの国産化構想があるって話を韓国の軍事系YouTubeチャンネルやTwitterで見掛けるんだが本当なのだろうか?
能力的にはF414-GE-400と同等かそれ以上は可能って言い張ってるが、果たして
F-414-GE-400って初運転93年の枯れたエンジンなので国産化できないほうがおかしいくらいじゃないでしょうか。中露と違って技術が制裁されてるわけでもないし。
「30年程度前の枯れたエンジン」って言うならF414以外にもF110はもちろんF119(1997年初飛行。原型のYF119積んだYF-22は1990年初飛行)まで該当しちゃうんだが…。
それどころかもっと前のF100やF404並みのエンジンですらですら米欧仏(評価基準によっては中露日)以外に作れてる国はないと思うんだけど。
韓国は発電用大型ガスタービンエンジンの集中投資により国産化を達成し中核技術を確保しており、スパホ程度のエンジンなら今後の投資額次第で完全に国産できても不思議ではないです。韓国は中露と違って西側の国なので高度な工作機械も日米独などから買い揃えればいいだけの話です。というか西側の全ての国はそうやって持ちつ持たれつでやってるので、制裁でそれらが手に入らない中露のエンジン技術とは開発環境が根本的に違います。
西側に属する限りお金で買えないものはないわけですが、もし今後韓国がお金以外の何かしらの力で国際紛争を解決しようとすればジェットエンジン用の素材や技術の入手に困難をきたすことも考えられ、レーダー照射のような事件を起こさない努力が必要だと思います。
元は三菱の技術だね。
ガスタービンはすごく難しいからこそ 作れるところが限られてるんだけど 上手くコピーてきてるかな?
ガスタービンとはいっても発電用と航空機用とでは別物です
また韓国はFA-50のエンジンを10年以上アメリカからキット購入して組み立て続けており、それを国産品に変更する予定がない現状を見る限り、現時点では戦闘機のエンジンを国産化する見通し自体が全く無いと思われます
ライセンス生産する可能性でしたらあるかもしれません
アメリカが30年前に通った道です。現に発電用大型ガスタービンエンジンは国産化を達成しています。資金と意志があれば戦闘機用も作れると考えるのは不自然ではないはずです
スパホ程度、の時点であまりに認識に開きがあるなぁ。
てか数年や十数年でF414-400級ができるくらいならもうとっくにF404級(F/A-18の初飛行は1978年)国産エンジンの開発が済んでT/FA-50に積む算段くらいしてそうなもんだけど。
輸出する上では大きなハードルの1つでしょ?
ここの過去記事(2020.06.7)
「米国、韓国のKF-X試作機に搭載されるエンジン「F414-GE-400K」を納品」に
>GEアビエーションはF414-GE-400Kの改良を韓国と共同で行うことも提案しているらしい
リンク
という記述があります。
彼らはそれを指して言っているんじゃないでしょうかね。
独自の「F414-GE-400と同等かそれ以上」のエンジン開発を、KF-21block3に間に合うよう行えるだけの技術蓄積はまだ無いと思います。