英海軍は2023年に寿命が尽きるハープーンを更新する暫定的な対地/対艦ミサイル調達プログラムを中止したと報じられている。
参考:UK stops interim anti-ship missile project
2023年以降に能力的なギャップが生じたとしても射程1,000kmか極超音速で作動する対地/対艦ミサイルが欲しい英海軍
英国はフランスと両国が使用している複数の対艦/対地ミサイルを更新するため極超音速ミサイル(Future Cruise/Anti-Ship Weapon)を共同で開発する計画を進めており、これは両国が使用している空中発射式巡航ミサイルのストーム・シャドウ、対地/対艦ミサイルのエグゾセやハープーンなどを2030年頃に置き換えることを目標にしている。
しかし英海軍の保有するハープーンの寿命は2023年に尽きるため、FC/ASWが実用化されるまでのギャップを埋める「暫定的な対地/対艦ミサイル」を2023年までに調達を開始するプログラムを進めていたが、どうやら英国は暫定的な対地/対艦ミサイルを中止して新たな計画に移行するらしい。
つまりハープーンの後継と目されていたFC/ASWプログラムはアタック級潜水艦の中止を受けてフランス側が開発協定の署名を延期しており、暫定的な対地/対艦ミサイルの実質的な候補=ハープーンK SLAM-ERの作動速度は亜音速で射程も250km前後しかないためハープーン更新計画を一先ず破棄、2023年以降に能力的なギャップが生じたとしても射程1,000kmか極超音速で作動する対地/対艦ミサイルの取得を検討し始めたという意味だ。
勿論、ハープーンの寿命が尽きる2023年までに新しい対地/対艦ミサイルが調達できるのがベストだが、SLAM-ER程度のささやかな性能ではロシアが配備予定の極超音速ミサイル「ジルコン」などに対抗できないためギャップが生じたとしても大きな能力アップを行いたいと英海軍は思っているのだろう。
現実的な選択肢として最も英海軍の要求に近いのはトマホークかLRASMだが、残念ながら英海軍の既存の艦艇は米国製のMk.41VLS(垂直発射装置)ではなく仏製のシルヴァーVLSを採用しているためトマホークやLRASMの統合が不可能(現在建造が進められている26型フリゲートはMk.41VLSを採用している)で、極超音速で作動する対地/対艦ミサイルに至っては西側諸国で実用化すらされていない。
果たして英海軍は能力的なギャップを最小限に留めながら、SLAM-ERよりも優れた対地/対艦ミサイルをどこから調達するのだろうか?
英第1海軍卿のトニー・ラダキン大将は「より効果的な攻撃兵器を導入するための議論を行っている最中で、我々は他国と協力して必要な兵器を手に入れる=独自に新規開発するという線はないという意味」と述べているが、停滞しているFC/ASWがこの先どのなるのかなどについてはコメントをしていないため謎だ。
※アイキャッチ画像の出典:Royal navy / OGL v1.0 26型フリゲート
英軍は以前、ハリアーGR.9とシーハリアーFRS.2を退役させてから後継機となるF-35Bを導入するまでの間に空白が生じていた前例があるから、今回も「ハープーンの後継は極超音速ミサイル」で、極超音速ミサイルが配備されるまでの間は対艦・対地ミサイルが無くてもやむを得ないって腹なんだろう(この辺り、日本とは置かれている脅威の環境が異なる)
仮に、暫定的にハープーンの後継ミサイルを導入しても運用期間が10年足らずでは予算的に無駄が多いから、その予算を極超音速ミサイルへ極振りするんじゃないだろうか
で、その間はNATO加盟諸国の艦船や潜水艦が保有する対艦・対地ミサイルに依存するんだろうね
英国が仏国と進めていたFC/ASW計画が宙に浮きそうなので、FC/ASWへのツナギとして準備していたSLAM-ERの調達も含め全部キャンセルし、既存のハープーンを引き続き使いつつ西側同盟国と極超音速対艦ミサイルの共同開発を模索する、ということか(あってます?)
西側で極超音速ミサイルを開発中の国はいくつかあるし筆頭というか王道なら米国と組むんだろうけど、あそこはまだ空中発射型と地上配備型を作ってるだけでASMと統合するつもりがあるかというと微妙だしなぁ。日本も候補に入ってるのかな(日本もASMと統合するとは言ってないが)
>既存のハープーンを引き続き使いつつ
ハープーンは、2023年に寿命が尽きると記述されているので、現在は存在していない極超音速対艦ミサイルが実戦配備されるまでは、何も無しになるんじゃないかな?
ペルセウス!
ペルセウスじゃないか、お前2003年くらい消えた双子ミサイルだったのにまさかの極超音速ミサイルで復活!
しかも、射程1000kmになって帰って来るとは…成功すれば孝行子孫になれる成功すれば!
期待して待ってるよ
艦上に発射機ポン付けして、LRASMかな。
ASM-3の艦艇発射型を共同開発というのはどうだろう、と思ったが、あれはただの超音速でしかも射程も鬼ほど短かったな。
ASM-3は超音速対艦ミサイルとしては小さすぎる。
どうせF-2に2発しか積めないなら思い切って電柱サイズにすればよかった。
共同開発から抜けるのが常習のフランスとではなくアメリカと開発しとけば良かったのに
アメリカはアメリカで主に議会がJOINT症候群だし・・・
>MBDA FC/ASWのコンセプトモデル「ペルセウス」
宇宙戦艦かと思った
自国の周辺に安全保障上の脅威が存在しないからこそできる事だよな、羨ましい。
日本ほどではないとはいえ、たまにイギリスの付近にロシアの潜水艦とか出没しているよ
今のロシアに西側先進国と正面戦争やれるだけの余裕はないよ
初手から核を使うなら別だけど
王立海軍第一海軍卿とか言うカッコよすぎる肩書き
オレのパパ、海軍卿やってんだ〜!とか言ってみたいですね
財務大臣も第二大蔵卿だぞ(第一大蔵卿は首相が兼務)
米海兵隊の35bを共同運用する当たり、割り切りが凄いですよね。
こう言うときMk41使ってて良かったとおもう。
17SSMはMk41に入るのかな?
こう言うときMk41使ってて良かったとおもう。
17SSMはMk41に入るのかな?
自衛隊の超音速対艦ミサイルって艦載型あった?
空対艦ならASM3
なお量産はされない模様
いや、量産化決まってますけど
たぶんコメ主さんが言わんとしているのは、開発完了した当初のASM-3は量産されないってことでは。
量産化されるのは改良版のASM-3A、蛇足だけど今開発中なのは射程延伸版のASM-3(改)。
それならそうと言うでしょ
ASM-3改とASM3-Aが量産されるの知ってて言う言い方じゃないもん
まぁそれだけの話
艦載型は今のところ開発中の物も含めて全て亜音速だったと思う。
海自に超音速対艦ミサイルはないよ。
最新型は17式艦対艦誘導弾だけど、”はぐろ”と “もがみ型”にしか搭載されていない。
ASM-3(改)は売れないのかな(願望)
ASM-3(改)は売れないのかな(諦観)
でもASM-3(改)はマッハ3以上で射程400km以上とはいわれてるけど、射程1,000kmで極超音速で作動する対地/対艦ミサイルという英海軍の要求とは合わないか。
ああそもそもまだ開発中だったか。ダメか…
ん?その条件だと暫定的なギャップ埋めではなく、FC/ASWに対する要求だと思うのですがASM-3(改)をどちらに売り込みたいのですか?
すみません上記コメントを書いたのは下の方で英文をアホ解釈した私めにございます。
なのでどうか上記コメントは華麗にスルーしていただければと…(平身低頭)
さすがに再来年までに開発は出来んだろ・・・いや、まさかのシー・スラグMK.3!?(艦対空ミサイルなのに地対地で撃ったことがある)
現在日本が開発中の12式地対艦ミサイル改は、暫定的に射程900kmで1500kmへの延伸するとのことですので、ハープーンのキャニスターランチャーを置き換える形で更新できるのであれば、英国が求めている射程1000km以上の次世代対艦ミサイルの要件を満たせるのではとも
それは12式地対艦誘導弾能力向上型のことではなかったっけ?
それに速度も極超音速ではなかったはずなので英国の求めているものとはちょっと合わないかと思う。
「射程1,000km”か“極超音速で作動する対地/対艦ミサイルが欲しい」なので、亜音速でも射程1000km以上であれば英国の要求を満たせるのでは?
本文中の英文リンクだと「but we should reach out to hypersonic weapons and weapons that have plus-1,000 km range.」とあるので、極超音速と射程1,000km以上というのはAND条件なんだと思ったんですが、如何でしょう?
英文には、明確に “and” って記述されているねぇ。
andなのはhypersonic weaponsとweapons that have 〜なので、
「兵器Aと兵器B」であって「AでBな兵器」では?
書きかけで送信しちゃって意味不明になってた。
「兵器Aと兵器B」であって「AでBな兵器」では?
でした。
というか元のレスの方が下でその旨書いてますね。
それだと
「しかし我々は極超音速兵器と射程1,000km以上の兵器を手に入れるだろう」
じゃないでしょうか。
「極超音速で射程1,000km以上」なら
“but we should reach out to hypersonic weapons that have plus-1,000 km range.”
になるかと。
∧
thatじゃなくてandになってるのは、そういうことなんでしょうね
じゃなきゃ、なんだかめんどくさいことになってる、おフランスとの契約破棄した上で、
納期も費用もおkな最適解を得るってことになるじゃないですか
andとかorとかめんどくさいんじゃ
すみません元コメにレスした者です。
レスした後気になってずっと英文読んでたのですが、もしかしたら私の解釈が間違っていたかもしれません。
訳してみると「しかし我々は極超音速兵器と、射程+1,000kmの兵器を入手するべきだ。」となるので、極超音速と射程1,000km以上という条件を単一の兵器に求めてはいない、とも読み取れるのかなと思い直しました。
なので、極超音速だけど短射程の兵器と、亜音速だけど長射程の兵器を、それぞれ取得すればひとまず英海軍の要求は満たされるのかなと思った次第です。
元コメ主さん、如何でしょうか?
亜音速でも1000km飛ぶならアリだけども超音速でも350kmなら要らないというのが今の艦対艦ニーズだと思う
ASM3は機載だから350km以上500km未満でもアリだけどこれを艦対艦で転用しても多分意味がない
ASM-3(A)はトマホーク本体と長さ一緒なんだからブースターつけたらいいんじゃない?
元コメにレスした者です。
たしかに仰る通りだと思います。
F-2のように機動力のあるプラットフォームなら超音速+短射程(それでも一昔前のASMに比べたらだいぶ延びましたが)もある程度カバーできますが、水上艦のようなスピードの出ないプラットフォームだと(極)超音速だろうが亜音速だろうが+1,000kmという射程は最早必須ということですね。
そしてこの話は艦対艦型についての話だというのを忘れてました、やっちまった…
あと、上の方で英文解釈についてレスしてくれた方々ありがとうございます。
私のアホ解釈で余計なお手間を取らせてしまいまして申し訳ありません。
そもそもロシアがツィルコン(最大到達速度マッハ8~9、射程1,000kmとも2,000kmともいわれている)なんて非常識な兵器を開発するからいけないんだ!(責任転嫁)
今後射程1000㎞は必須のようだ
MK41VLSは製造が遅れてるんじゃないか。もがみでも問題になってたし韓国みたいにオリジナルVLS作って超音速ミサイルだけでも入れて置いたら。
BAEの製造が遅いって言うなら価格面で折り合い付くかわからないが三菱に作らせれば良いだけでは?
射程250kmで「しか」と表される長槍時代
自衛隊が射程1500kmの巡航誘導弾を整備する時代ですし
欲しいのは分かるが、それで戦力を維持できるのか?
そのうちRoyal NavyはSSBNだけで編成され鵜ことになるのでは?
シルヴァーってMk.41と互換性なかったっけ?
とか思って調べてみたらイギリスは採用してなかったのね
どこから調達するつもりなんだろう…
なんやろなぁロシアのミサイルの性能すげーというのは分かるけどSS-N-33ジルコンの本体なんて、全長:9~11m/直径:80cm/重量:3~3.5tで直径と重量なんて西側ミサイルと段違いでの性能だからな。
つまり射程と極超音速どっちも狙うって言うなら2t越え決定したMGM-140 ATACMSの全長2倍したような規模のミサイル作る事になると思うんだけど。26型のMk41ストライクレングスにギリギリ合わせるならまだ行けそうなきがするが、45型のシルヴァー50VLSなんて長さ5.0mしかないから問題外やろな。大型ミサイル作るとして45型に搭載するならどうするのかね。
あと海自の艦船にASM-3とか射程延伸型SSN積んでみたらとか軽く言う人いるけど、重量とか考えた方が良いぞ。射程が短いASM-3ですらSSM-1Bと比較して重量で280kg、長さで1m近く違うからな。ケーシングに入れられた状態は概算1360kgでSSM-1Bと比較したら+350kg増。それを8発積むなら350*8=2800kg。艦の中央とは言え高い場所に置かれているのに最低2800kg増、むしろミサイルの重量増で土台の強化も必要だから3000kg行くかも知れない。ちなみにSSM-1Bより射程が100km程長いと思われる今回話題に出ているRGM-84Fハープーンの重量は137kg程重い。100km射程が長いだけで140kg程重くなるなら単純にミサイル全長増やすとかして射程を伸ばせば伸ばすだけどれだけ重量増していくのか考えただけでも恐ろしい。射程延長や超音速以上狙うミサイルを艦船に搭載するなら設置方法からして変更するか数を減らすしかない。もしくはミサイル自体の高価格を許容してステルス+シースキミング+ターボファンで亜音速止まりにして現状レベルの重量を維持するとか、どれがベターなんだろうな。