欧州関連

ウクライナ人パイロットの訓練はルーマニアで実施、ただスケジュールは未定

ルーマニア国防最高評議会は「ロッキード・マーティンや同盟国と協力して設立されるF-16訓練センターはウクライナや同盟国のパイロットにも解放される」と明かしたため、ウクライナ人パイロットの訓練はルーマニアで行われる見込みだ。

参考:Ședința Consiliului Suprem de Apărare a Țării
参考:Romania eyes F-16 training facility for NATO allies, Ukraine

もう戦闘機連合は「7月中の訓練開始」にこだわっていない可能性すらある

6月のラムシュタイン会議で国際的な戦闘機連合は「F-16を使用したウクライナ人パイロットの訓練に関する取り組みの開始」をウクライナ側に通知したが、まだ具体的な訓練スケジュールや機体提供については何も決まっておらず「このプロセスをオランダとデンマークが主導し、東欧のNATO加盟国に設立する訓練センターで語学の習得、初期及び基本的な飛行訓練、F-16への転換訓練を出来るだけ早く開始する」とだけしか判明していない。

出典:U.S. Air Force photo by Senior Airman Joshua Hoskins

東欧のNATO加盟国に設立される訓練センターについては「ルーマニアが有力」だと噂されてきたが、ルーマニア国防最高評議会(CSAT)は6日「ロッキード・マーティンや同盟国と協力してF-16のパイロットを養成する訓練センターが我が国に設立される予定だ。この施設はルーマニア人パイロットに加えウクライナや同盟国のパイロットにも解放される予定で、この分野における主導的な立場を獲得するだろう」と述べており、ウクライナ人パイロットの訓練はルーマニアで行われる見込みだ。

ただCSATは訓練センターが何処に設立され、いつ稼働を始めるのか明らかにしておらず、オランダかデンマークが提供する可能性が高い訓練用機体=F-16Dにウクライナ人パイロットがアクセスするための承認もまだで、NATO軍事委員長を務めるバウアー氏は「戦闘機をウクライナに提供する時期は反攻作戦の後になる」と述べているため、もう戦闘機連合は「7月中の訓練開始」にこだわっていない可能性すらある。

関連記事:NATO軍事委員長、ウクライナは反攻作戦後に戦闘機を受け取るだろう
関連記事:ウクライナ国防相、F-16を使用したパイロットの訓練が間もなく始まる
関連記事:米国のミリー議長、ウクライナへのF-16提供コストは10機で20億ドル
関連記事:ウクライナ人パイロットは4ヶ月の訓練でF-16を操縦できるようになる?
関連記事:ウクライナ人パイロットは数ヶ月でF-16を飛ばせる、但し飛ばせるだけ実戦は別

 

※アイキャッチ画像の出典:Photo by Tech. Sgt. Teri Eicher

バフムートの戦い、ウクライナ軍の前進がクリシェイフカの高台陣地に到達前のページ

バイデン政権、まもなくクラスター爆弾が含まれるウクライナ支援を発表次のページ

関連記事

  1. 欧州関連

    英陸軍の次期自走砲、スナク首相がベルリンでRCH155調達を発表

    英国は防衛計画の見直しでAS90退役と次期自走砲計画を発表、BAEのA…

  2. 欧州関連

    フランス、2027年までに次世代戦闘機の技術実証機開発で3ヶ国合意と正式発表

    フランスのパルリ国防相は17日、未来戦闘航空システム(Future C…

  3. 欧州関連

    北欧4ヶ国が空軍戦力の統一運用で合意、欧州の大国に匹敵する運用規模

    ロシアの脅威を目の当たりしたスウェーデン、ノルウェー、フィンランド、デ…

  4. 欧州関連

    次期戦闘機HXプログラムへの最終提案を受け取ったフィンランド、年内に調達機種を決定

    フィンランド国防軍は次期戦闘機HXプログラムへの入札期限だった4月30…

  5. 欧州関連

    独紙、F/A-18、AH-64、MQ-9Bが手に入れば本来の反攻作戦が可能

    ドイツのWelt紙は15日「ウクライナの状況は思っているほど悪くなく来…

  6. 欧州関連

    欧米がウクライナに約束した戦車提供、少数過ぎて作戦部隊に組み込むのが困難

    欧米諸国は計321輌の戦車を提供するとウクライナに約束したが、Time…

コメント

    • あばばばば
    • 2023年 7月 07日

    そういえばF-16がウクライナに供与されたとして、その整備はだれが行うのだろうか?
    LMのスタッフは治安が悪いと言ってウクライナの入らなそうだし、元から扱っている人たちが来ないだろう。そうなるとウクライナ軍のスタッフしかいないわけだが、トレーニングには時間がかかるだろう。
    そう考えると供与されたところで運用できるようになるまでに数年はかかるし、焦る必要はないな。

    その頃までにはウクライナ軍の手札に戦闘機は残ってなさそうだけど

    1
      • hiroさん
      • 2023年 7月 07日

      パイロットの転換訓練よりも整備運用体制の構築の方が大事業になると思っていましたが、ひょっとしてウクライナには軽整備だけを任せて重整備はルーマニアやポーランドが担う体制もあり得るかもと妄想しています。
      旧ワルシャワ条約機構加盟国の方がロシアへの恨みは強い様ですし。

      2
    • RAAF
    • 2023年 7月 07日

    アメリカのATACのように民間で働いている元空軍整備兵を危険手当付で一時雇用でしょうか?
    供与される機体によってアメリカ政府のアクセスやらとかの規制はありそうですが

    2
    • sage
    • 2023年 7月 07日

    この紛争の停戦後に西側兵器体制へ移行する準備と考えています。そう考えると、F16に慣れさせるよりユーロファイターやミラージュに慣れさせた方が後々の売り上げに繋がると思いますが、イギリスさん、フランスさん、遅れをとってますぜ!?

    1
      •  
      • 2023年 7月 07日

      ウクライナに戦後に西側戦闘機を運用するほどの資金力はないしそもそもイギリスが自国のユーロファイターを出したくないがためにF-16を名指しして供与を推し進めたのが戦闘機連合だから

      6
    • 鼻毛
    • 2023年 7月 07日

    日本も有事の際には西側装備全部タダでもらえる説
    なお国民と兵士が犠牲となる模様

    • 58式素人
    • 2023年 7月 08日

    地上の準備も結構大変みたいですよ。
    機体を見れば分かることですが、インテークが機体の下ですから、
    綺麗に舗装/掃除された滑走路が必要でしょう。
    日本のF2や欧州のタイフーンも同じでしょう。
    どこかの高速道路では無理でしょう。
    Mig29やSu27は前線基地での使用を前提に、
    機体上面にもインテークがあるそうです。
    かなり後方でないとそのようなことをする余裕はないのでは。
    シャヘドや巡航ミサイルに機体のみならず滑走路を狙われるでしょうから、
    それに対処する基地防空部隊と基地施設維持部隊も必要になると思います。

    1
  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 北米/南米関連

    カナダ海軍は最大12隻の新型潜水艦を調達したい、乗組員はどうするの?
  2. 米国関連

    米陸軍の2023年調達コスト、AMPVは1,080万ドル、MPFは1,250万ド…
  3. 米国関連

    米空軍の2023年調達コスト、F-35Aは1.06億ドル、F-15EXは1.01…
  4. 欧州関連

    トルコのBAYKAR、KızılelmaとAkinciによる編隊飛行を飛行を披露…
  5. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
PAGE TOP