欧州関連

英海軍、艦艇をUAVから保護するため艦載用ドローンジャマーを発注

英国は海軍の艦艇を無人航空機から保護するため専用の艦載用ドローンジャマーを発注したと報じられている。

参考:Contract awarded for drone jammers for Royal Navy ships

無人航空機を無力化するには既存の電子妨害システムでは役不足か?

英国防省はUASグループ1に属する無人航空機(UAV)から艦艇を保護するため、キリンテックが提供している艦載用ドローンジャマー「SkyNet」を11基(約200万ポンド:約3億円)発注したと報じらている。

UASグループとは性能別にUAVを5段階に分類した無人航空機システム(Unmanned Aircraft System:UAS)のことで、グループ1に分類されるUAVの性能は重量約9kg/作動高度約360m/作動速度185km以下、グループ2は重量約22kg/作動高度約1,000m/作動速度460km以下、グループ3は重量約600kg/作動高度約5,480m/作動速度460km以下、グループ4は重量約600kg以上/作動高度約5,480m以下、グループ5は重量約600kg/作動高度約5,480m以上と定義されている。

出典:LA(Phot) Keith Morgan / OGL v1.0 45型駆逐艦

要するに英国は航行中や停泊中にマイクロドローンによる監視や攻撃から艦艇を保護するため「複数のUAV=群れに対応可能な艦載用ドローンジャマー「SkyNet」で海軍の艦艇に配備する」という意味で、今回発注されたドローンジャマーは約9km離れたUAVにも効果があるとキリンテックは主張している。

中国軍は低コストで長耐久の小型UAVは戦場での偵察・監視、戦闘任務、通信の中継などに不可欠な存在で将来の戦争作戦にとって非常に重要だと考えて、小型で滞空時間24時間以上の滞空能力をもつ小型のUAV開発・量産(年間1,000台の量産体制構築を進めているらしい)に力を注いでいるという報道もあり、米海軍も艦艇が海上で無人航空機による単独攻撃や小型UAVによるスウォーム攻撃を受ける可能性を想定して新たに開発した外付け用の電子戦モジュール「AN/SLQ-59」を優先的に日本を拠点として活動する第7艦隊所属艦艇に装備させているところだ。

興味深いのは米海軍の艦艇にはレイセオンが開発した高性能な電子妨害装置「AN/SLQ-32」が標準装備されているにも関わらず新たに外付けのAN/SLQ-59を追加している点で、これについて米メディアは「AN/SLQ-59の性能が公開されていないので米海軍の意図は不明だが、対艦ミサイルや巡航ミサイル等を電子的に無力化することに特化したAN/SLQ-32では中国が運用する無人航空機に対抗できないのではないか」と推測している。

出典:马日天(@z5J6NWig6ByNnsC) 空対艦ミサイルも搭載可能な中国の新型UAV「翼竜10」

さらに大西洋や地中海を担当する第6艦隊所属の艦艇向けにはAN/SLQ-62と命名された電子妨害装置が開発されており、敵の無人航空機を電子的に無力化するには標準的な電子妨害装置ではなく各国が使用しているUAVの特性に合わせてチューニングを施した専用の電子妨害装置が必要なのではないかと分析しているのが目を引く。

参考:Shadowy New Electronic Warfare System Has Been Installed On U.S. Navy 7th Fleet Ships

とにかく無人航空機対策は我々一般人が考えているよりも複雑で、既存のシステムをそのまま流用するだけで対応可能というものではないことが伺える事例だ。

勿論、詳しい技術的要件が公開されていない以上すべて推測の域だが、もし無人航空機が既存のシステムをそのまま流用するだけで対応可能なら先進国の軍隊がここまで大騒ぎしていないはずなので、少なくとも無人航空機の脅威を「ラジコンが毛を生えた程度」と認識するのは間違っている可能性が高い。

関連記事:中国は産学連携で軍事用UAVを開発、年間1,000機の生産体制を構築
関連記事:水上艦にもカミカゼドーロンの脅威、イスラエルがアジア諸国に海上発射型ハロップを輸出

 

※アイキャッチ画像の出典:LPhot Daniel Shepherd/MOD / OGL v1.0

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コメント

    • ソソソナス
    • 2021年 2月 02日

    自衛隊は対策進めているのでしょうか?もう少し防衛費を増やして研究開発を急いだほうが良いと思うのですが。

    17
    • 匿名
    • 2021年 2月 02日

    各国、UAVとそれへの対抗手段がトレンドになってるな。
    自衛隊もそうだと良いんだけど。

    21
    • 匿名
    • 2021年 2月 02日

    EF-18Gの電子妨害ポッドも妨害する波長別に3種類ほど有るとの事なので、単純に既存の対艦ミサイル用とは使用する波長帯が違うだけなのかも

    5
    • 匿名
    • 2021年 2月 02日

    ソフトキル・ハードキルの両方から複合的な対策が必要で、単一の戦術では対抗できないだろうな。

    まぁ最終的にはRAMのような小型SAMとマイクロ波とかレーザー兵器とか組合せたCIWSでハードキルするに限るってなると思う。
    EA無駄とは言わんけど、航空機からしたら船舶なんて止まってるようなものだし、対策は厳しいだろう。

    10
    • 匿名
    • 2021年 2月 02日

    3億円か
    イージス艦より高い45型や、空母を守るには安いのかもしれないが、仕掛けてくるドローンは3億円以下なんだろうな
    財布にもダメージを与えてくるとか2重に厄介だな

    12
      • 匿名
      • 2021年 2月 02日

      イランは航空戦力でイスラエルに対抗できない分
      この分野と弾道ミサイルに集中投資するだろうし、イスラエルには頭の痛そうな問題だな

      5
    • 匿名
    • 2021年 2月 02日

    ドローンジャマーにハロップが突撃する所まで想像できるな。

    4
    • 匿名
    • 2021年 2月 02日

    しかしここまでUAVが発達するとヘリの立場が無いな

    2
      • 匿名
      • 2021年 2月 02日

      そう遠くない未来にヘリの役割は置き換わっていてもおかしくないんじゃないかな
      よほど人の手を借りる必要のある作業でもない限り

      7
    • 匿名
    • 2021年 2月 02日

    無人機での前哨戦を突破しないと従来の戦闘にならないのか…

    4
    • 匿名
    • 2021年 2月 02日

    >電子妨害システムでは役不足か

    この場合、「力不足」が適当だと思います。
    リンク

    7
      • 匿名
      • 2021年 2月 02日

      それ

      役不足 だと、現行機器の力量に対して役が不足 ということになるので、ローコストな簡易的電子妨害装置を用意しようとしている という内容かと思えば
      逆で 対処できないから新規開発 という内容で…

      2
    • 匿名
    • 2021年 2月 02日

    UASグループ1 重量約9kg/作動高度約360m/作動速度185km以下
    いわゆるマンションのベランダから飛ばす云々タイプのドローンの類だよなこれ
    それを高性能なレーダーと電子妨害装置を既に運用してる戦闘艦がそれとは別の専用の装備導入しないと対処できないのか

    結構ショッキングな事実だよな

    2
    • 匿名
    • 2021年 2月 03日

    現状の装備ではUAVに対処できない可能性ね、まずここをちゃんと読まないと会話にならない
    金欠病な英国が何にも考えないで無駄遣いはしないよな

    3
    • 匿名
    • 2021年 2月 03日

    ここに限らず軍事ブログウォッチャーの中には飛翔している物体はとりあえず全てレーダーに映ってその位置を特定できると思っている人いるからな
    小型ドローンのように低RCSで熱源も弱いとなれば瞬間的には探知が出来てもロストする機会も増えるわ

    1
      • 匿名
      • 2021年 2月 03日

      今までのシステムって敵の戦闘艦とかミサイルとか戦闘機を捉えるためのものだし全く方向性の違うドローンを捉えるには根本的に向いてないね

      2
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